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思い出の木の下でコムケ湖キャンプ

コムケ国際キャンプ場(10月15日〜16日)

 今年のキャンプを振り返ってみると、常にカヌーが中心で、そのおまけにキャンプをしているような一年だった気がする。
 紅葉のシーズンを迎えて、たまに我が家本来のキャンプを楽しみたくなって、3泊4日で道北方面に足を伸ばしてみることにした。
 今回のキャンプでは、紅葉見物は当然として、「道北滝巡りの旅」というのも大きな目的の一つにしていた。
 去年の秋、松山湿原へ行く時についでに立ち寄った「激流の滝」とか「女神の滝」に結構感動したものだから、こんな風に滝をみて歩くのも楽しいかなと思い立ったのである。
 今年も春先に「賀老の滝」や「インクラの滝」へ足を運んだ。
 滝見物の場合、滝そのものを見るのも良いのだけれど、その滝までのアプローチ、山の中の林道や滝までの遊歩道などたっぷりと重厚な自然を感じられるのが、また楽しいのだ。
 北海道の森林環境室のホームページの中に興部川の上流にある3ヶ所の滝が紹介されていたので、とりあえずそこに目標を設定して、できれば名寄市の近くにある滝2ヶ所も移動のついでにでも見てみようと考えた。
 ところがそこまでは決まっていたものの、何処のキャンプ場に泊まるかは例によって出発当日の朝になるまで全然決まっていなかったのである。
 さすがにそれでは無計画すぎるので、急遽道路地図を引っ張り出し目的地を考えることにする。紅葉キャンプだけを考えた場合、金山湖とか十勝の岩内仙境も思い浮かんでいたのだけれど、ここから道北に回るのはさすがに無駄が多すぎる。
 道路地図とキャンピングガイドを交互に見比べながら、直ぐに3ヶ所のキャンプ地が候補に上がった。
 まずはオホーツク海側のコムケ湖キャンプ場。ここには12年前に一度泊まったきりで、その後なかなか泊まる機会に恵まれていないところだ。数年前に泊まろうとした時はちょうどオホーツクマラソンの中継地点になっていて場内は大混雑、慌ててUターンした事がある。
 次に歌登健康回復村のキャンプ場。見聞録の中で紹介しているキャンプ場では唯一写真が掲載されていないキャンプ場である。山の頂上のような場所に位置して、そこからの眺めは最高。周囲の紅葉した山々の風景を見下ろし、ちょうど満月を迎えるので夜には最高の光景も楽しめそうだ。
 そして最後に日向森林公園キャンプ場。全く未知のキャンプ場だが、キャンピングガイドではロケーションが星4つになっているし、近くの日向温泉に入って、紅葉した森の中でのキャンプが楽しめる。何だか穴場キャンプ場の臭いがプンプンとしているような気がする。
 最初はその中のコムケ湖キャンプ場に向かうことにした。
 これでようやく、何処に向かって走れば良いのか、ルートを確定することができたのである。

 今年の北海道の秋は暖かな日が続いていたので紅葉も遅れがちだ。旭川付近まで来て、ようやく周りの山々が鮮やかな色に染まってきた。
 道路地図を見ると途中の上川町に「大雪展望台」と言うのがあるのを見つけた。そこに寄り道するため、地図を頼りに裏道に入る。
 やがて山の上にやたら立派な展望台らしい建物が見えてきた。ところが、その展望台への入り口がなかなか見つからない。その山をぐるりと回って上川町の市街地に入って、ようやくそこへ続く道が見つかった。
 何のことはない。国道から真っ直ぐに入ってこられる場所で、国道を走る時に何時も見ていた建物である。国道沿いには確か「エスポワールの鐘」の案内が出ていたはずだ。
 その「エスポワールの鐘」の内部が展望台になっている。生憎の曇り空のため、大雪山は遠くに霞んで見えるだけで、期待していたほどの眺めではない。その代わりに周りの山の紅葉が美しく見えていた。
 次に通過するのが白滝村。途中の道の駅で「マイタケご飯の素」を購入。こんな場所で買い物をする時は、常に製造元を確認するようにしている。
 観光地では良くある話しだけれど、札幌で造られているようなものが平然と店先に並べられていたりするので、注意しなくてはならない。
 白滝村の名前の元となった「白滝」をまだ見たことがなかったのを思い出して、せっかくの滝巡りツアーなのだからと、寄り道することにする。
 寄り道と言っても、国道横の駐車場に車を駐めるだけなので、その気になれば何時でも立ち寄れる場所である。
 残念ながら滝まで降りる道が無いので、上からチラッと眺められるだけだった。滝と言うよりも、カヌーで降りるのが難しいちょっと落差のある落ち込みと言ったところだろうか。
 時間に余裕があると、いつもはただ走り過ぎるだけの場所に寄り道できるのが楽しい。

大雪展望台から 白滝村発祥の地
大雪展望台からの眺め 白滝村の名前の元となった白滝、下の方にチラッと写ってます

 丸瀬布町に着く頃にちょうど昼の時間になった。急遽、丸瀬布森林公園でお弁当を食べて、ついでにその先にある2つの滝を見に行くことにする。
 丸瀬布森林公園と言えば、我が家のこれまでの紅葉キャンプの中でも最高のキャンプを楽しめた思い出の場所でもある。
 今回も周りの山々はまさに紅葉真っ盛りと言った風情で、ここまで来ながらテントも張らずにみすみす通り過ぎるというのは何とも勿体ない話しである。
河原で食事中 キャンプ場へ続く橋は、キャンパー以外進入禁止の看板が立っていたので、その橋がかかる武利川の河原で家から持ってきたおにぎりを食べる。
 場内はキャンパーも少ないのか、ひっそりとした静まりかえっている。こんな素晴らしい条件の週末に何でキャンプに来ないんだろうと不思議に思ってしまう。
 昼食を終えて、そこからしばらく先に行ったところにある「山彦の滝」を見に行く。
 駐車場に車を駐めて、そこから約300m。距離は近いが全て上り坂なので、直ぐに息が上がってしまう。この程度の坂道でこの状態だったら、絶対に山登りなんかできないだろう。
 やがて前方に白く糸を引くように流れ落ちる山彦の滝が現れた。この滝に来るのは2回目だが、その特徴は流れ落ちる滝の裏側に回れると言うことである。
 その滝の裏側には小さな社などがあってちょっと目障りだが、なかなか面白い滝である。
 そこから500mで鹿鳴の滝へたどり着けるが、道を間違えてしまったので一旦駐車場に戻り車で鹿鳴の滝入り口へ移動した。そこには駐車場はないが、道路沿いの入り口から滝までは300mなので、歩く距離はちょっとだけ短縮される。
 こちらの滝は岩肌を這うように流れ落ちていて、迫力のある滝ではない。それでも、滝までの道程は結構森の雰囲気を楽しむことが出来る。

山彦の滝 山彦の滝の裏側
山彦の滝 山彦の滝の裏側から

鹿鳴の滝 滝へ続く道
鹿鳴の滝 滝へ続く道

 滝見物を終えて森林公園まで戻ってくると、ちょうどSL雨宮号が黒煙を上げて出発するところだった。
 以前の紅葉キャンプの時も、息子と一緒にそのSLに乗ったことが懐かしく思い出された。
 丸瀬布での滝見に思いの外時間が取られて遅くなってしまったが、もう一ヶ所遠軽町のコスモス畑を見ていくことにする。
遠軽町コスモス畑 ここは数日前の新聞に紹介されていて、コスモスが最後の花盛りを迎えており、本来の刈り取り予定を少し遅らせて公開を続けているとのことだった。
 一面のコスモス畑は見事だったが、空が曇っているので今一見栄えが悪い。
 コスモスにはやっぱり、真っ青な秋空が似合うのである。
 そしてようやく今日の目的地コムケ湖へと向かうこととなる。

 海岸線が近づくにしたがって紅葉の色が薄れてくる。
 内陸部よりは紅葉も遅れがちのようである
 コムケ湖と言えば、湖に沈む夕日も美しいところだが、今日の空模様では夕日は絶望的だ。
 それに次第に雲も厚さを増してきていて、天気予報通り夜には雨も降りそうな感じである。
 キャンプ場に到着した時は既に4時を過ぎてしまっていた。誰もいない場内は、曇り空と相まって寒々とした雰囲気が漂っている。
 しかし、誰もいないキャンプ場は我が家にとっては大歓迎だ。それだけのことで、とても嬉しくなってきてしまう。
我が家の最初のサイト 受付を済ませて早速サイト探し。
 ここでのベストサイトはやっぱり、我が家的には芝生広場の中に聳えるカシワの木の下ということになるが、ちょっと荷物を運ぶ距離も遠くなるので、今回は一番奥の駐車場近くにテントを張ることにした。
 かみさんが選んだサイトはキャンプ場の外れの林のそば。
 しかしその林はサイトの東側にあたるので、朝日がしばらく遮られることになる。
 そうなると今時期、夜露に濡れたテントはなかなか乾かないので、濡れたままの撤収ということになってしまう。
 ゆっくりとサイトを探す時間もないので、今日はかみさんの決めた場所に素直にテントを張ることにした。
 速攻でテントを立てて、まずは暗くなる前に薪集めである。
 家からある程度の薪は用意してきてはいたが、それだけの量では3日間の夜を楽しく過ごすには少なすぎる。後は泊まった先のキャンプ場で、その都度現地調達しなければならない。
 ここのキャンプ場でも伐採した樹木が隅の方に積み上げてあったので、それを少し分けてもらうことにした。長さが1.5mほどで少し長すぎるが、持ってみると結構軽いので寝るまでには何とか燃やし尽くせるだろう。
 屋根付きの炉があったので、今回はたき火台を使わずにそこを使わせてもらうことにする。ただ、この炉の薪をくべる口が狭いので、長い丸太はその先っぽしか炉の中へ入れることができない。
 それでも、インディアン式焚き火の要領で燃えた先から炉の中へ少しずつ押し込んでいけば何とか燃やせそうだ。
 イスやテーブル、クーラーボックスも全て炉の近くへ持ってきて、今回はここを生活スペースとして利用することにした。他に誰も利用者がいない時に、我が家が良くやる方法である。
 そうすると、到着時に張ったテントはこの生活スペースから少し離れてしまうことになる。テントを使うのは寝る時だけ、とは思ってもやっぱり近くに有った方が何かと落ち着ける。
 かみさんとしばし顔を見合わせて、「良し!やるか!」とうなずき合った。
 一度完璧に張ったテントだったが、中に入れた荷物を外に出し、ペグも全て引き抜く。そうして、張ったままの状態でズルズルと10mほど移動して、引っ越し完了。ようやく落ち着けるテントサイトが完成した。
 それにしても10月中旬だというのに、まだ蚊が沢山飛び回っている。以前、サロマ湖のキムアネップ岬キャンプ場に今時期泊まった時も蚊が多かったが、どうもこの付近の蚊は遅くまで活動を続けているようだ。
 蚊取り線香をまだキャンプ道具の中に入れておいたので助かった。
 今日の夕食は、米を炊いて、後は家から持ってきたカレーを温めるだけの手抜きメニュー。食事が終わった後はのんびりと焚き火を楽しむ。

インディアン式焚き火? 焚き火風景
インディアン式焚き火? 炉を独占して焚き火の夜を楽しむ

 ボーッと耳障りな音を立てながら燃えるガソリンランタンの火を消すと、突然全ての音が消えてしまったような感覚に囚われた。この真の静けさがキャンプの醍醐味である。
 そんな静けさを破ったのは、パラパラと金属製の屋根に落ちてくる雨の音だった。
 札幌を出る時に見た天気予報通りの展開だ。今回も出発前にはコロコロと変わる週間予報に一喜一憂させられたが、最終的に雨マークは、土曜日の夜だけになっていた。明日の日曜日は晴れるものの、夜には曇が広がって月曜日も曇りがちとの予報。
 キャンプに来る前には素晴らしい天気が続いていただけに、何とも腹立たしい。それほど大きく崩れることは無さそうでも、天に向かって恨み言を言いたくなってしまう。
 炉の上には屋根がかかっているので雨が降ってもそれほど気にならないが、その屋根は炉の部分しかカバーしていない。雨は降ったり止んだりを繰り返し、雨が降るたびに炉の縁に腰掛けて雨をしのがなければならない。
 長かった薪も炉の中に全て収まるくらいに短くなったので、明朝のオホーツクから昇る朝日を楽しみにして早めに眠ることにした。

 翌朝は4時頃に目が覚めた。もう一眠りしたかったけれど、「今日は本当に晴れているんだろうか?」とか、外の様子が気になってなかなか眠られない。
 オホーツクの波の音が遠くから聞こえてくる。
 私はぐっすりと眠っていて気が付かなかったが、夜中に2度ほど、フウマがキツネを追ってテントから飛び出していったとの話しである。
 混んでいるキャンプ場に泊まる時は、やたらに吠えまくって飼い主を困らせるフウマだが、こんな時には心強いキャンプの相棒となってくれる。
 時々車の音が聞こえてくるようになった。たまにキャンプ場の中にまで入ってくる車がいて、そうなるとフウマが吠え始め、心強い相棒からいつもの困った犬に変わってしまう。
朝の風景 それ以上寝ていられそうにも無いので、まだ5時前だけれど起き出すことにした。
 外は既に白み始めていて、期待通りに雲一つ無い空が広がっていた。
 顔を洗い終わると直ぐに、車に乗って海岸まで朝日を見に出かける。
 海岸には沢山の車が停まっていて、竿がずらりと並んでいた。サケ狙いの釣り人みたいだ。
 東の空には雲がかかってしまい、朝日を楽しむのは無理そうだ。
 釣り人も多くてゆったりと海岸の散歩を楽しめる雰囲気でもないので、朝の焚き火用の流木を拾って、早々にキャンプ場まで引き返すことにする。
 その後は何時も通りに、焚き火とコーヒーの朝の儀式を楽しんだ。
 やがてコムケ湖側の木々の先端に、朝日の光が当たり始める。
 その光は次第に樹木の下の方へと下がってきて、やがて芝生の上にもその光が広がり始める。
 直ぐ後ろの林に邪魔されて、その光はなかなか我が家のテントまで届いてこない。
 待ちきれなくなったかみさんが、イスを持って日の当たる場所へと移動する。
 かみさんが座っている大きなカシワの木の下は、12年前に我が家がテントを張った場所である。
 その時はまだフウマはいなかったが、家族3人でキャンプを楽しんでいた頃の記憶が甦ってきた。
 芝生広場の奥にあるもっと大きなカシワの木もその当時の姿のままだ。家に帰れば、その木の前で息子とサッカーをしている写真が残っているはずだ。
 私が知る限りの北海道のキャンプ場の中で、大きな木の下にテントを張って一番絵になるのが、このカシワの木だと思う。

思い出の木の下で シンボルツリー
思い出の木の下でコーヒーを味わう シンボルのカシワの木、この木の下にテントを張ったら最高だろう

 ようやく我が家のテントにも日が当たり始めた。
 あらかじめテントに付いた水滴は拭き取っておいたけれど、今時期になると少しくらい日が当たってもなかなかテントは乾いてくれない。
 ゆっくりと撤収を始め最後にテントを残すだけとなったが、9時半を過ぎてもまだまだ完全には乾いていなかった。
 生乾きのテントを車の荷室の一番上に積み込んで、次の目的地を向けてキャンプ場を後にした。

滝巡り紅葉キャンプ(前編)へ続く

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