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ダウンリバーキャンプin歴舟川

歴舟川の河原(9月3日〜4日)

 現在のアリーを買って15年。それ以来私の心の中では、河原でキャンプしながら川下りをしたいという思いがくすぶり続けていた。
 しかし、カヌー歴は長いものの、実際に川を下った経験も少なく、キャンプ道具を満載したまま沈をしては堪ったものではない。カヌークラブに入ったのも、ダウンリバーキャンプを出来る程度のスキルを身につけたいと言うのが大きな理由だった。
 とは言っても、カヌーにキャンプ道具を積み込んでそんな激流を下るわけでもなく、その気になりさえしたら何時でもダウンリバーキャンプはできていたはずである。。
 ただ、その決断が出来ないまま時を過ごしていたというのが本当のところだ。
 愛犬フウマも今年の2月で11才になり、もうすっかり老犬の部類に入ってしまい、このままズルズルと先延ばししていたら、フウマと一緒の川下りも出来なくなってしまう。
 そこで、今年こそは絶対にダウンリバーキャンプを実行しようと、早くから心に決めていたのである。
 コンパクトなシュラフやテント、大きめの防水バッグ等を少しずつ買い揃え、必要な装備もほぼ揃った。そして9月に入った最初の週末、場所は此処しかないということで歴舟川で決まり。
 ワクワクしながらその日がくるのを待っていると、カヌークラブのサダ吉さんから同じ日に歴舟川のキャンプ場に泊まってヌビナイ川を下りましょうとの誘いが入ってきた。
 それを聞いたかみさんが「エッ?ヌビナイ!クダリタイ、ゼッタイクダリタイ!」と騒ぎ始めてしまった。もともとダウンリバーキャンプにそれほどこだわっていないかみさんは、ヌビナイ川ダウンリバーの方が魅力的に見えてしまうらしい。
 このままでは半年前からの私の計画が、ヌビナイ川の魅力にあっさりと負けてしまいそうだ。
 するとサダ吉さんから、ヌビナイを一緒に下ってキャンプ場で荷物を積み込み、そこから歴舟川を下ったらとの提案を受けた。そして翌日は、河口まで迎えに来てくれるというのだ。
 当初の計画では河口に車をおいて、そこからタクシーでキャンプ場まで戻ってくるように考えていたので、これはありがたい話しで直ぐにその好意に甘えることにした。
 かみさんはヌビナイ川を下れることになって無邪気に喜んでいたが、私はちょっと不安な気持ちになっていた。
 ヌビナイ川はそれほど簡単に下れる川でもないし、果たしてアリーで下れるのだろうか。そして、その後続けて歴舟川を下れる体力が残っているのだろうか。
 不安を抱えたまま朝7時に札幌を出発した。

荷物積み込み 我が家を含めて8人のメンバーで、12時頃からヌビナイ川を下り始め、午後4時過ぎにカムイコタンキャンプ場へ到着した。
 ヌビナイ川は本当に美しい流れで、アリーも破損することなく無事に下り終えて大満足。
 普通はここでめでたしめでたしとなって終わるところだが、今回はこれからが本番である。
 センターの浮力体を取り外し、そこにキャンプ道具を積み込む。
 車の中で留守番していたフウマも、張り切って河原へ飛び出してきた。
 皆は、「このままキャンプ場に泊まれば良いのに!キャンプ場の河原にテントを張れば同じことだよ!」
 かみさんまでその気になり始めたが、「ダメ!ソレハゼッタイダメ!」
 それではまるで普通のキャンプと同じで、私の思い描いていたダウンリバーキャンプとは全く別物なのである。
 荷物は予定どおりカヌーに全て収まった。テントを入れる防水バッグまで買う余裕は無かったので、ゴミ袋の二重重ねで間に合わせる。沈することは想定していないのでこれで十分だろう。
出発前に記念撮影 カヌーを水に浮かべようとしたが、重くて持ち上がらない。かみさんが、「本当に大丈夫なの?」と不安そうな顔をするが、昔は息子と3人で乗っていたのだから、水の上に出てしまえば重さは大して問題にならない。
 底に穴を開けないように注意しながらズルズルと引っ張り、ようやく川に浮かべることが出来た。
 遂に憧れのダウンリバーキャンプへの出発である。

 本当ならば意気揚々としているはずなのに、既に体は疲れ切っていて、時間も夕刻が迫ってきている。歴舟川はこの時期にしてはやや水量も多めだが、その分少し透明度も下がっている気がする。
 曇った空に青黒い水、気持ちもなかなか盛り上がってこない。
 とりあえずは一刻も早くテントを張れそうな河原を見つけなければならない。
 でも、まずはキャンプ場から遠ざかることが先決だ。皆から見えるようなところにテントを張っていたら、良い笑いものである。
 それにダウンリバーキャンプでは、なるべく人里離れた場所にテントを張らないと面白くない。
 サダ吉さんが、「大樹町の近くに適当な河原があったはずで、そこなら道路にも近くて安心ですよ。」と言ってくれたが、元よりそんな場所にテントを張る気は全然無かった。
 キャンプ場近くの神居大橋が見えなくなるまでは、ひたすらパドルを漕いだ。水量が多い分、瀬の中では結構な波が立っていた。
 ガンネルから顔を出していたフウマに思いっきり波がぶつかる。瀬を越えるたびにカヌーの中にも結構な水が入ってくる。
 フウマの場合、自分から川に入って泳ぐくせして、カヌーの中で濡れるのは嫌いなのである。そうなるとカヌーから降りたがってそわそわし始めるのだ。
歴舟川の土壁 この付近の歴舟川独特の景観である土の壁が見えてきた。この土壁を過ぎると、ようやく神居大橋も視界から消えさる。
 橋が見えなくなったところで最初の河原に上陸。しかしそこは、大きな玉石ばかりでテントを貼れそうな場所がない。
 諦めて再び下り始め、次の河原に上陸。そこは小高い部分に砂地があり、テントを張るのにも申し分ない。ただ、河原と陸地との間がやや低くなっているので、増水した場合そこが中州として取り残されてしまうことになる。
 今夜の予報で雨が降ることは考えられないので、私はここに決めようと思ったが、かみさんがやっぱり嫌だという。
 確かに、もしも不測の事態が起こった時、こんなところにテントを張っていたら無謀なキャンパーと新聞ネタになってしまう。そんな素人臭い真似はしたくないので、ここも諦めて先に下り続けることにした。
 何気なく下っている時はキャンプできそうな河原が沢山あるように見える川だが、こうして注意して見てみると、そんな場所は限られている感じだ。
 果たして適当な河原は見つかるのだろうか。次第に不安がつのってきた。
 そうして5時を過ぎた頃、何となくピンと来るものを感じさせる河原が見つかった。
 そこに上陸してみると、いざというときに避難出来そうな林も直ぐ近くにあり、水面からの高さも十分、テントを張れそうな砂地もあり流木も転がっている。川の反対側は土壁がそそり立ち如何にも歴舟川らしい景観だ。
 まさに、ここで河原キャンプを楽しんで下さいと言った風情の、最高の河原である。
 キャンプ地が見つかってホッとしたが、暗くなるまでの時間を考えると、これがギリギリのタイムリミットだったかもしれない。

キャンプサイトの夕暮れ まずは濡れた服を着替える。こんな場所なので平気で裸になれるのが良い。
 さすがにかみさんはそうもいかないので、私が着替え終わったら直ぐにテントを設営する。脱いだ服はカヌーの上や大きめの石を見つけてその上に並べた。
 長めの流木を組んで物干し場も作りたかったけれど、そこまで凝っている時間もない。
 対岸の土壁が夕日に照らされて赤く染まってきた。
 今日の夕食はレトルトカレーだが、ご飯もレトルトではさすがに味気なさ過ぎるので、飯だけはちゃんと炊くことにした。
 私が夕食の準備をしているうちに、いつの間にかかみさんが流木を集めて焚き火の準備を始めた。あっ、それは俺の仕事なのに!と思いつつも、私が全て準備した今回のキャンプなので、大人しく飯炊きに専念する。
 集めた流木は良く乾燥しているので、火を付けると直ぐに景気の良い炎を上げて燃え上がった。
 ここでようやくビールを開ける余裕ができた。
 プシュッ、グビグビ、プハーッ。
歴舟川の夕焼け カヌーに積み込んだ荷物の中で、氷とビールが一番の重量物だったが、苦労して持ってきた甲斐があるというものだ。
 かみさんは、この他にワインも持ってきたがっていたけれど、さすがにそれは勘弁してもらった。
 ご飯も上手く炊きあがり、質素だけれど美味しい夕食を済ませる。
 いつの間にか、西の空の雲が真っ赤に染まっていた。
 その展望を妨げている背後の河畔林がちょっと邪魔だ。
 もっと広い河原にテントを張れば、空一面の夕焼けと赤く染まる歴舟川の姿を楽しめたのにと思ってしまうが、そこまで贅沢を言ってもしょうがない。
 フウマも疲れ切ってしまったのか、荷物の間に倒れ込んで寝ている。
 そんなフウマをデジカメで写した時だった。
 撮影後、液晶に表示された画面を見てみると、何やら怪しげな白い影が・・・。
 ビックリしてもう一度写し直してみると、今度は普通に写っていた。
 先ほどの画像を表示させると、やっぱり白い影が写っている。
心霊写真? 何なんだ、これは!背筋に冷たいものを感じた。
 かみさんを怯えさせてしまうので、写真のことは黙っておくことにした。

 恐怖の心霊写真のことは直ぐに忘れ去り、河原キャンプの最大の楽しみ、流木の焚き火の前にどっかりと腰を据えた。
 この焚き火がやりたくて、ダウンリバーキャンプにチャレンジしたようなものである。
 かなり太い流木でも、良く乾燥しているので直ぐに火が回る。
 長い流木はその端から焚き火の中に入れ、燃え尽きるにしたがって少しずつ焚き火の中央に押し込んでいく。
 キャンプ場では何時も焚き火台を使ってチマチマした焚き火ばかりしているものだから、火ばしは必需品だ。
 今回のキャンプでも当然火ばしは必要だろうと思って、持ち物リストの中にしっかりと小さな火ばしを入れておいたのだが、そんな火ばしは河原での焚き火に全く必要はない。
 かみさんから、「その火ばし、全然役に立っていないわね。」と笑われてしまった。
 邪魔なガスランタンの明かりを消すと、河原は闇に包まれ、焚き火の炎がその周りを柔らかく照らしている。聞こえてくるのは川の水音だけだ。
 昼間のカヌーの疲れとビールの酔いが相まって、焚き火の前でウトウトとしてしまう。
 雑誌BE-PALに、サラリーマン転覆隊の連載が載っていたことがあり、それを何時も楽しく読んでいた。毎回、川下りと河原キャンプの様子が書かれていたが、その中で焚き火をしながら玉石の河原で眠ってしまっている隊員の写真が載っていたことがある。
 それを見て、石がゴロゴロしたこんなところでよく寝られるものだなと感心していたけれど、自分がこうして同じような状態になってみると、その気持ちよさが良く理解できた。
 疲れと酔いで体中の骨がクニャクニャになってしまった感じで、石の隙間に体が自然とはまりこんでしまうのである。
 焚き火で火照った肌に、砂の冷たさがとても心地よく感じられる。
 そのまま眠ってしまいたい誘惑を振り払って、歴舟川の水で歯を磨き、早々にテントに潜り込んだ。

最高の焚き火   寝てしまいそう

 夜中にふと目が覚めて時計を見ると、まだ12時前だった。
 川の音が良い感じだなーと思いながら微睡んでいると、突然「ボコボコボコボコ」という音がテントの外から聞こえてきた。
 一変に眠気が吹き飛んだ。「何だ!今の音は!」
 しばらくすると、また「ボコボコボコボコ」と聞こえてくる。
 かみさんも目を覚ました。インナーテントから顔を出すとフウマもビックリしたような顔で起きあがっていた。
 再び、「ボコボコボコボコ」。
 「鹿の足音?」
 それにしても一頭の足音ではない。鹿の群れがやってきたのだろうか。
 メッシュの窓から外をライトで照らしてみたが、良く見えない。テントの外に出てみた。
 フウマが地面の臭いを嗅ぎながら走っていった。ライト光が届く先には何も見えない。テントの直ぐ近くで足音が聞こえたような気もしたが、周りの地面にそれらしい跡は付いていない。
 「一体、あの音は何だったのだろう?」
 不思議な感覚に囚われながらテントに戻ったが、フウマがなかなか戻ってこない。心配になって、再びテントから出てフウマの名前を呼んだところ、ようやく遠くの方からトボトボと戻ってきた。
 その表情からは、足音の正体を突き止めた様子は窺えなかった。
 カメラに写った怪しげな影と言い、正体不明の怪しげな音と言い、ここの河原には何かがあるのだろうか。
 再びシュラフに潜り込んだものの、疲れているはずなのになかなか寝付かれない。
 別にこの出来事に怯えていたわけではなく、「外に出たついでにオシッコをしておけばよかったなー。また起き出すのも面倒くさいなー。」と考えていただけなのだが。

朝から焚き火 朝は気持ちよく目覚めた。
 テントから出ると、朝の冷たい空気に身が引き締まる。
 昨夜の音の正体を確かめるために、改めてテントの周りを調べてみた。確かに鹿の足跡らしきものは有ったが、それは一頭だけのもので、群れらしき足跡は見つからなかった。
 その間にかみさんが、また勝手に焚き火を始めていた。「あっ、ずるい」
 歴舟川の水で顔を洗う。
 朝食は冷凍チャーハンをフライパンで炒めるだけ。前回の青山農場と同じパターンである。
 これがなかなか美味しくてかみさんの評判も良かった。我が家の新たな手抜きメニューに加わりそうである。
 食後のコーヒーを味わっていると、再びあの音が聞こえてきた。
 「ボコボコボコボコ」
 対岸の土壁が崩れ落ちているところだった。
 思わずかみさんと顔を見合わせて、笑ってしまった。そこで、昨夜の心霊写真をかみさんに見せたところ、「焚き火の煙がレンズの前に漂っていただけじゃないの」と、一笑に付されてしまった。
炒飯作ってます もしかしたら、歴舟川で溺れ死んだ人間の霊が自縛霊となってここの河原に漂っているのでは。あの音は、溺れかけながら必死になって何かにすがりつこうとする時の音だったのかも。
 折角のスリルを楽しんでいたのに、一気に現実に引き戻されたしまった。

 のんびりと寛いでいると、上流の方から二人の釣り人が歩いてきた。まさか、こんなところまで人がやってくるとは思わなかったので、ちょっとビックリする。
 釣り人と山菜採りのおじさん達、この2種類の人種は本当に神出鬼没というか、最近のアウトドアフィールドでもっとも行動範囲の広い人達ではないかと感心してしまう。
 ちょうどもよおしてきたところで、テントから離れた河原で野○○でもと考えていたので、危ういところだった。
 近くまで来たところで「おはようございます」と挨拶したら、「あれ?もしかしたら見聞録の方では?何時もとテントが違うので気が付かなかったけれど、このカヌーに、そちらはフウマ君ですよね?先日は確か青山へ行っていたのでは。」
 「あ、は、はい」
 もう一人の釣り人に「清水町が実家なんだよ。」とまで紹介してくれている。
 こんな場所で人に出会っただけで驚きなのに、その人にそこまで知られているとは何だか変な感じだ。
 最近のキャンプでは、何時声をかけられるか解らないので、あまりバカな真似はできなくなってしまった。それが、こんな人が近づかないような河原でも、やっぱりバカなことはできないのだ。まして野○○なんて、とんでもない話しである。
 と言うことで、釣り人さんが去った後、周囲に十二分に気を配りながら安心して野○○を済ませたのであった。もちろん、紙は火を付けて燃やし、後に残った物体も石を積み上げて完璧に封印したことは言うまでもない。

記念の落書き 川は昨日よりも若干水位が下がり、水の透明度も増した感じだ。
 テント等を片付け、焚き火の跡もきれいに消し去る。かみさんは、河原の石にせっせと記念を残していたようだ。
 荷物をカヌーに積み込んで再び歴舟川に漕ぎ出す。直ぐ下流で釣りをしていた先ほどの二人に手を振って、後はひたすら海を目指すだけだ。
 嫌らしい流木のストレーナーがあったり、流れの真ん中に護岸ブロックが転がっていたりと、危険な場所も数カ所あったが、何の問題もなくそれらをかわして下ることができる。
 カヌークラブで経験を積んだ成果が実感できて、嬉しくなってしまう。
 大樹町内の大樹橋の下だけは、障害物が多いので安全のためにポーテージすることにした。
 そして、次のふるさと大橋を過ぎるあたりからは分流も多くなり、コースの選択に迷うことがある。
 何気なくカヌーを進めていると、河原の向こう側に白い波が見えた。「あらら、間違えちゃった。」
 直ぐに上流に漕ぎ上がって、改めて先ほどの白波が見えた方への流れに入り直す。そして、その白波の場所へ近づいて行くと、落ち込みの先にはかなりの大波が立っているのが見えた。
 その波をかわすように落ち込みの端の方から入ろうと思ったら、そこは石がゴロゴロしていてカヌーが引っかかってしまいそうだ。
迫力のある瀬 V字型に流れが狭まり、その頂点に三角波が立っている。ここまで来てしまったら、そのど真ん中を突っ切るしかない。
 「行くぞ!」かみさんに声をかけて、パドルを握る手に力を込めた。
 最初の波でカヌーが大きく跳ね上げられる。増水した雨竜川で沈した時のイメージが頭を過ぎった。
 その波を越えてカヌーが下がった時、次の波が頭の上から襲いかかってきた。あっと言う間にカヌーの中に大量の水が流れ込んだ。そのままカヌーが横を向いてしまう。
 完全な沈のパターンだったが、何とか波の中から抜け出すことができた。
 アリーは浮いているのか不思議なくらいの状態だ。フウマなどはカヌーの中で泳ぐことだってできそうである。
 やっとの思いで岸までたどり付いた。フウマが「もう堪らん!」と言った感じでカヌーから飛び出した。
 沈は想定外と言いながら、川ではやっぱり何が起こるか分からないので、もしもの時の準備はしておいた方が良いかもしれない。

河口が近い そこから先は、コース取りさえ間違えなければ快適な流れが続く。
 コース取りを間違えたとしても、カヌーの底をゴリゴリと擦ってしまう程度だ。
 歴舟川にかかる最後の橋「歴舟川橋」を通り過ぎると、後は海まで何もない。
 空も次第に広くなってきた。広大な河原が広がり、その中を縫うように歴舟川が流れている。
 このまま海まで達して川下りが終わってしまうのが、何となく勿体なく思えてきて、時々河原へ上陸してはダラダラと時間を過ごした。
 頭上の太陽にはくっきりとした暈がかかり、とても印象的な風景だ。
 河原の一部に流木が規則正しく積み重なった場所があり、その下に小さな水たまりがあった。その中を沢山の小魚たちが泳いでいる。
 その様子に見とれていると、フウマがその中で泳ぎはじめて底の泥をかき回し、折角のきれいな水をあっと言う間に濁らせてしまった。
 再び川を下りはじめると、とうとう潮の臭いが漂ってきた。遠くに水平線が見える。
河口の風景 遂に歴舟川の河口に到着である。
 歴舟川の河口はちょっとした湖のように広がっていて、海との間は砂丘で隔てられている。
 海とはその砂丘の切れ目で繋がっているような感じだ。
 その切れ目の向こうには、太平洋の力強い波が打ち付けてきている様子が見える。ドーンと言う腹に響くような波の音も聞こえてきた。
 ヌビナイ川をスタートしてから約35km、一泊二日の楽しい川下りがこうして終わりを迎えた。
 今日は、この波の音を子守歌に晩成キャンプ場でもう一泊することにしよう。

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