何の予定もない今年の夏、歴舟川の1泊カヌーツーリングでもやろうかなと漠然と考えていたら、ホームページでリンクしているKevipaさんから、「今年も北海道へ行くので何処かでお会いできませんか?」とのメールが舞い込んだ。
去年の夏もそうだった気がするけれど、夏に積極的にキャンプへ行こうという気はしないので、誰かに誘ってもらうのを待っているような他力本願状態である。
その誘いがカヌーがらみだったら、喜んで飛びついてしまう。
去年の夏も、そうしてKevipaさんご夫婦と空知川のほとりで初対面となったのだが、その時は時間が合わなくて一緒の川下りもできず、夜の宴会時に少しだけ乱入させてもらっただけで終わっていた。
北海道に2週間以上滞在しているので、日にちと場所はこちらに合わせてくれるとのこと。合わせると言われても、もしかしたら私以上に北海道に詳しいようなご夫婦なので、変なキャンプ場を選ぶわけにもいかなくて困ってしまう。
そこで、Kevipaさんの予定しているルートの中に然別湖が入っていたので、私も久しぶりに然別湖に泊まりたかったし、そこで合流することにした。
本州からカヌーを積んでやってくるキャンパーと一緒に泊まるのなら、屈斜路湖、支笏湖、そして然別湖がやっぱり王道だろう。
去年の夏にも一緒だったサダ吉さん夫婦も来られることになって、楽しい夏のキャンプになりそうだ。
出発当日の天気予報では帯広の予想最高気温は35度になっていた。
最近は寒い時期のキャンプに体が慣れてしまっているので、寒さならマイナス20度くらいまでは堪えられるが、暑さにはことのほか弱くなってしまっている。25度を超えるともうダメだ。それが35度の暑さの中でのキャンプだなんて、もう完全に想像を絶する世界に入ってしまう。
冬にキャンプをすると「なんて物好きな奴」と言った目で見られてしまうが、私からすれば35度の暑さの中でキャンプしている人間の方がもっと物好きな奴に見えてしまう。
我が家を朝の8時過ぎに出発、かみさんから「これじゃあ一番暑い時間に着いちゃうんじゃないの?」とチェックを受けた。
8月の天気の良い週末、そして人気キャンプ場ともなれば混雑は必至である。こうなると、少しでも条件の良いサイトを確保するためには、たとえ35度の地獄の猛暑が待ち構えていようとも、少しでも早くにキャンプ場に着こうとするのが私の性格なのでどうしようもない。
車の温度計は上がり続け日高町付近で30度に達した。さすがに日勝峠ではやや下がったものの、峠を下り始めると再び温度は上がり始め清水町に着く頃には遂に34度になっていた。
そこで「目分料」という蕎麦屋で昼食にする。11時過ぎでオープン間もないのに、早くも店内は混み始めていた。
私の故郷清水町で、現在一番集客力がある施設かもしれない。
次は鹿追町瓜幕の「鹿追チーズ工房」で熟成ゴーダチーズ、「長沢とうふ店」で豆腐と油揚げを仕入れた後、然別湖を目指した。
どちらの店も、出発前日にインターネットで検索して見つけた店である。
「鹿追チーズ工房」は小さなショーケースが一つあるだけの地味な店、それでも全ての種類のチーズを試食させてくれるのでお気に入りのチーズを買うことができる。
「長沢とうふ店」は80年以上手作り豆腐を作り続けている伝統の店、800gで200円と信じられないくらいに安い値段に「本当に美味しいの?」と心配になってしまうくらいだ。
然別湖に近づくに従って、嘘のように気温が下がりはじめた。
6年ぶりに泊まる然別湖、テントがびっしりと立ち並んだ様子を頭に描いていたのに、到着してみると場内は閑散としている。
何だかキツネにつままれた感じだ。
先に到着していたサダ吉さんが、湖寄りの一等地にビッグタープを張って待っていてくれた。10時頃に到着したサダ吉さんも、あまりにも空いているものだからどこにタープを張るか悩んでしまったとのことだ。
3台あるリヤカーが全て使われていたので、駐車場から湖畔まで何往復もしながら荷物を運ぶ。普通ならここで汗だくになってしまうところなのに、涼しいのでほとんど汗もかかない。
そして今回がキャンプデビューのニューテント、ヨーレイカの「ツーリング2」の設営に取りかかった。
かみさんから「キャンプ場で説明書を見ながらテントを張るのだけは止めてね」と言われていた。
これは夏のキャンプ場でよく見かける風景である。
そのため、あらかじめ我が家の庭で予行演習をしておいたので設営はスムーズだったが、別に買ったテントを初めて張るのに、説明書を読むくらい構わない気もする。
ただ、説明書を見てもなかなかテントを張れずに苦労するお父さん、子供達は「早く遊びに行こうよ〜」とだだをこね、お母さんはその横に立ちつくすだけでイライラしながら「静かにしなさい!」と子供達を叱りつける、なんて図だけは避けたいものである。
そこへKevipaさんご夫婦も到着した。一年ぶりの再開である。
そしてレトリバーのケビン、ワイアーダックスのルークとクレアの3匹の犬たち。初対面となる我が家のフウマはちょっとびびりがちだ。
一通り設営が終わったところで待望のビールを開ける。毎度のことながらこの瞬間が何とも楽しい。特に夏のキャンプでは最高の一瞬である。
湖からの涼しい風がタープの下を吹き抜け、下界の暑さが嘘のような快適さだ。
3時を過ぎると、徐々にキャンパーの数も増えてきた。
地元の人間が利用するようなキャンプ場なら昼前から一杯になるのに、やっぱりここは旅行者の利用が多いのだろう。
それでも昔と比べたら、キャンパーの数もぐっと減ったような気がする。
6年前に訪れたとき、湖畔寄りのここの広場はほとんど裸地状態だったが、現在はほとんど全体が草に覆われて落ち着いた雰囲気に変わっている。
これまでは、はっきり言ってここはテントを張りたい場所ではなかったけれど、今の状態ならここがキャンプ場のベストサイトと言っても良いかもしれない。
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