しばらくカヌー中心の行動が続いていたので、久しぶりに落ち着いたキャンプへ出かけてみよう。
そうなるとやっぱり、今時期ならばどこかで紅葉キャンプということになる。しかし、今年はどこも紅葉がパッとしないみたいで、なかなか適当な場所が思い浮かんでこない。
2泊キャンプの予定なので、ちょっと遠くまで足を伸ばしてみたい。紅葉に関係なく、どこか面白そうな場所は無いか。
そう考えたときに浮かんできたのがクッチャロ湖キャンプ場だった。
クッチャロ湖と言えば白鳥が渡ってくる湖として知られているが、未だにここで白鳥にお目にかかったことが無いのである。
インターネットで調べてみたら、そろそろ白鳥が飛来する時期を迎えているようだ。
これでひとまず場所が決定。次は追加のオプションを考える。
地図を眺めていたら松山湿原が目に入った。ここも以前から行ってみたい場所の一つだったが、なかなかこの付近を通りかかる機会が無くて、長い間憧れの場所となっていた土地だ。
キャンプ地と途中の観光地が決まり、久しぶりの2泊キャンプに心も弾んできた。
当日の天気は夜中に寒冷前線の通過に伴う雨が降ったものの、その後は次第に回復傾向になるみたいだ。
気温が低くなると言う予報も出ているが、そんなことは全く気にならず、9時前には勇んで札幌を出発した。
高速道路を一路北上、旭川付近の紅葉は1週間前にほぼ見頃になっていたのが、そろそろ終わりに近づいてきているような様子だ。
先週はカヌーレース出場のため旭川に来たばかりなのに、何だかそれが遠い昔の出来事のように感じてしまう。まして、2週間前の洞爺湖キャンプとなると、思い出すのも難しいくらいの過去の話しだ。
年を取ると時間の経過が早く感じると言うが、早く過ぎ去った時間をいざ振り返ってみると、やたら昔に感じてしまうというのは不思議な現象である。
高速道路を終点一つ前の和寒インターで降りて、剣淵町のゴトウくんせい(ゴトウチキンズ)という店で薫製チキンを購入する。
美味いのかどうかは解らないが、たまたまネット上で検索していて見つけた店だ。
昼にはちょっと早いが名寄市で昼食にする。これもネット上で見つけた北緯44度という店、カレーが美味しいという話しだったが、カレーはどこで食べてもやっぱりカレーである。
私の場合は味覚音痴なのかもしれないが、美味いカレー、不味いカレーと言うものを経験したことが無いのである。
腹が一杯になった後はいよいよ最初の目的地「松山湿原」に向けて出発である。
美深町から松山湿原に向かう道道49号は初めて走る道だ。道内の主要な道路は道南の一部を除いてほとんど走り尽くしているつもりだが、道北からオホーツクにかけての町と町を結ぶように張り巡らされている道道はなかなか走る機会がない。
初めて走る道はそれだけで楽しくなってくる。
この道路沿いには、利用した方にはとても評判の良いトロッコ王国がある。我が家の子供が小さい頃に、ここのトロッコに乗っておけば良かったと今でも後悔している。
道路地図を見ると「激流の滝」という名前が出ていた。
ちょうど道路沿いに看板があったので、ちょっと寄り道することにした。
紅葉した林道はなかなか良い雰囲気である。トンネルのように両側から覆いかぶさる紅葉の木々、秋の深まった時期にこんな場所を走るのは最高だ。
やがて「激流の滝」の看板が立てられている場所に到着。
その名前に何となく胡散臭さを覚えてはいたのだけれど、その場所を見て「あーあ、やっぱりなー」と言う気持ちになってしまった。そもそもそこは、滝が流れ落ちるような高低差のある場所では無いのだ。
「まあ、見るだけは見ておこう」と川の方へ近づいてみた。
「あれ?何、これ?」不思議な風景が目に飛び込んできた。
大きな岩が川の両岸から迫り、その間にできたわずかな隙間を伝いながら川の水が流れ落ちている。
こんな場所を見ると最初に考えることが、「ここをカヌーで下れるだろうか」というのは最近の悪い傾向である。
もう少し水量があれば小さなカヤックならば何とかなるかもしれない。ただ狭いところでは岩に挟まってしまいそうだ。
実際に私の入っているカヌークラブでは、こんな場所でカヤックが挟まれ、そこを支点にカヤックが水車のようにクルクルと回ったという人がいるそうである。
思わぬ穴場の発見に嬉しくなって、次の松山湿原へと向かった。
その途中にも「高広の滝」と言う滝がある。
これは道路上から直接見ることができるのだが、間に川が流れているので近くまで行くことが出来ない。結構な落差がある滝だが、滝壺まで近づけない滝には大して興味が湧いてこない。。
道道から分かれて松山湿原へと向かう道の途中でも、また滝の看板を発見した。道路地図にもこの滝の名前は載っていない。先ほどの滝に気をよくしていたので帰りに寄ってみることにする。
駐車場に車を停めて急な山道を歩き始める。駐車場から湿原までの距離はそれほど遠くはないが、急な登りが続くので結構しんどい。四つ足のフウマが元気よく駆け上がっていくのが羨ましくなってくる。
そうして湿原まで辿り着くと、茶色に冬枯れした湿原の風景が広がっていた。ワタスゲの花が風になびく夏の湿原も良いが、今回はこんな寒々とした様子を見たかったので期待通りである。
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