札幌から直ぐ近くなのにこれまでは縁遠かった千歳川、「何で千歳川を下ったことがないの」と不思議がられたが、我が家のレベルでは倒木を避けきれる自信がなかったのだ。
それでもこれまでは「まあ、沈しても死ぬ訳じゃないし、なんとかなるだろう」と、いい加減な気持ちでチャレンジしてきたのだが、千歳川の場合、道路からもよく見え、釣り人も多く、ギャラリーが結構多い。
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蛇籠の落ち込み、のんびりとエスケープ |
そのような中、もしも沈をしてしまったら、親子3人犬1匹、ドンブラコッコと流されていく姿を衆人の目にさらすのは耐えられない、等という情けない理由で逃げていたのである。
ところが今回、ベテランメンバーと一緒に下れるという機会があったので、早速参加させてもらうことにした。
これまでのファミリー単独での川下りでは、家族の運命は全てオヤジのパドルさばきにかかっているという悲壮感を持って漕ぎ出していたのだが、今回はまるで行楽気分である。
いつもならばツーリングガイドを隅から隅まで読み通し、頭の中で何度もシュミレーションしているのに、それもなし。
それに内心「去年は歴舟川を下っているんだもんね、千歳川なんて軽い軽い」と、完全に千歳川を見くびっていたのである。
結局それで手痛いカウンターパンチを喰らうことになるとは・・・。
スタート地点は第一鳥柵舞橋の下、駐車スペースも広く、サイクリングロード用のトイレや休息施設も完備されており、申し分のない場所だ。
上陸地点への車の移動も、今回はグループ行動なのでとても楽である。
下る距離は5km程度なので自転車でも問題なく、上陸地点は結構街にも近いので、タクシーを使う方法もある。
当日の気温は30度以上、我が家の愛犬フウマもカヌーに乗る前から川に飛び込んで泳ぎ始めてしまった。
これならば、沈しても反対に喜んでくれそうだぞ・・・。
漕ぎ出してみると、意外に速い流れだ。
ところが私の頭の中には、最近2回連続で下った美々川のイメージが残っていた。
おまけに千歳川を最初からなめてかかっていたので、カーブの部分になっても緩慢としたパドルさばきのままである。
それでも数回カーブを通り過ぎた後、次のカーブの外側に倒木が覆い被さっているところが目に入った。
「はーい、パドル止めて」と、前を漕ぐ妻にのんびりと声をかけてカヌーの向きを変えたが、その間にもカヌーは速い流れにどんどんと押し流されていく。
「オッ、こ、これはまずいぞ」、必死になってパドリングを始めたが時既に遅し、もろに倒木に突っ込んでしまった。
バウが倒木にぶつかり、私は突き出した枝に後ろに反り返りながらしがみついている状況だ。
この状態で、ベテランの方のアドバイスを待っていれば無事にクリアできたはずなのだが、その時は何とかしてその状態から抜け出すことしか頭になかった。
私が枝にしがみついているので、妻に何とかしてバウ部分を倒木から外すように指示、それが巧くいったと思ったら今度は私の方がその倒木に吸い込まれていってあっという間の沈。
千歳川は流れが速いのでそのままどんどんと流されていってしまう。
ところが「レスキュー!」のかけ声とともに、下っていたみんながサッと周りに集まってきてくれて、そのまま浅瀬の方へと導いてくれた。
バラバラに流された愛犬の方も別の艇の人がしっかりと確保してくれて、無事である。
これがもしも、単独で下っていたとしたら、愛犬と離ればなれになっていたかもしれない。
グループで下るときのありがたさが本当に良く解った。
歴舟川での沈の時は「うーん、やられたなー」といった感じで、とても爽やかな沈であったが、今回の沈はなんだかとても情けない沈で、すっかり自信喪失してしまった。
その後の頭首工の魚道部分も面白そうな場所なのに、そこの狭い入り口に巧くカヌーを入れる自信が無くてポーテージ。
家族で参加していた方の小学生や中学生の子供達が、カヤックで豪快にそこの魚道を下り抜けていくのを見て、今回は付いてこなかった息子のことがちょっと頭に浮かんだ。
きっと今頃は家で一人でテレビゲームでもやっているんだろうなー、一緒に連れてきたら少しは刺激になったかもしれない。
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乗っているのが私でないのが悔しい |
その次の蛇籠の落ち込みは我が家は文句無くパス、入念な下見をした後に他のメンバーは次々とそこをクリアしていく。
我が家と同じALLYで参加していた方が一人乗りでそこをクリアするのを見ていて、自分のテクニックではどうしようもないなと痛感させられてしまった。
せっかくの美しい千歳川の流れも今回は最初の沈でびびってしまい、ゆっくりと眺めている余裕もなく終わってしまった。
それでも水中のバイカモ、途中で合流するナイベツ川の手がしびれるような水の冷たさ、もう一度余裕を持ってのんびりと下ってみたいと感じさせられる川だ。
最後に一句、「千歳川、甘く見ていてごめんなさい」。
川下り終了後、美笛のキャンプ場へ戻りカヌーの特訓を受けた。
カヌー歴は一応長いものの、実を言うとこれまで技術書などはあまり見ようとせず、カヌーの基本用語さえもあまり知らなかった。
ここで使ったバウだとかスターンだとかいう言葉も、今まではどちらがカヌーの後ろだか前だかも区別がつかないような状態だったのである。
しかし、実際に湖の上でパドルの操作方法を教えてもらうと、その微妙な動きでカヌーを動かすことの必要性を改めて教えてもらうことができた。
もう一度心を入れ替えて技術書を読み直してみよう。
そうして千歳川をすいすい下ってやるのだ。
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