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歴舟川

(大樹橋 〜 河口)
(農村公園キャンプ場 〜 大樹橋)

 カヌークラブ9月の例会は歴舟川だ。
 歴舟川は2回ほど下っているが、今回は大樹町から河口まで下る予定で、川を下って海に出るのは初めての経験でもあり、かなり前からこの日が来るのを楽しみにしていた。
 9月の3連休と言うこともあって、道内の五つのカヌークラブの川下りがすべて歴舟川に集中しているとの事だった。
 下る区間はそれぞれ別だったりするので、川の上でカヌーで渋滞するような事態は無さそうだが、それにしても歴舟川の人気はさすがである。
 天気予報でも3連休中は道内すべて天気にも恵まれるとの事だったが、唯一心配なのが川の水量である。
 9月に入ってから天気が続いていた影響で、川の水もかなり減っているとの情報が入っていた。。
 清流歴舟川の澄んだ水の中を歩くのは別に厭わないが、今年も何回か水量の少ない川を下って閉口した事があったので、どうせならば適度な水量の川で気持ち良く下りたいものだ。

 前日が仕事だったので、川下り当日の朝5時半に札幌を出発した。
 集合場所のカムイコタン農村公園キャンプ場に到着すると、正にそこらじゅうがカヌーだらけだった。
 カヌーと関係なくここのキャンプ場に泊まったキャンパーにはちょっと気の毒な状況である。
大樹橋下流の様子 スタート地点の大樹橋付近は悲しくなってしまうくらい水が少なかった。
 初めて歴舟川を下った時は、橋の下流側はかなりの荒瀬になっいて、必死の思いで下った場所だ。
 それが現在はちょろちょろと水が流れている程度である。水量が増えたとしても、もうそれほどの難所とはなりそうも無かった。
 しばらく浅瀬が続く中、カヌーを押したり引いたりしながら進んでいくと、早くも愛犬フウマがカヌーから飛び降りてしまった。
 今年は川下り中のフウマの脱走には本当に泣かされている。カヌーの中が水浸しになるのが嫌なのだろうと、今回はフウマ用に特製すのこを取り付けてやったのに、最初からこの状態だ。
 しばらくは川原伝いに下流まで歩いて来れそうなので、そのまま進むことにした。フウマも、時々カヌーの方を振り返りながらも、気ままに川原の散歩を楽しんでいるようだ。
 スタート直後の分流が一つの流れに集まり、そこからは先は何とか下れる状況になった。それでも、前方に気を配っていないと直ぐに隠れ岩に乗り上げてしまう。
 川の流れに集中しているうちに、ふと気がつくとフウマの姿が見えなくなっていた。大声で名前を呼んでも姿を現さない。さすがにちょっと心配になってきた。
 先にスタートしたメンバーが途中で集まっていたので、そこまで下ってから上陸してフウマを探すことにしよう。
 すると、なんとそこでは先回りしたフウマが皆に囲まれて愛想を振りまいているではないか。話を聞くと、そこで飼い主の乗っているカヌーを一生懸命探していたみたいである。
 ホッと一安心であるが、最初からこれではそこから先が思いやられる。
 それでも、これだけ広々とした川原があれば、フウマだけ自由に歩き回らせてやった方が良いのかも知れない。野田知佑氏のカヌー犬ガクもこんな風に川を下っているとの話を読んだことがある。
 フウマも、一人前のカヌー犬に近づいてきたのだろうか。

カヌー犬 今回の川下りではもう1匹のカヌー犬が参加していた。
 最初は、カナディアンで下るのだろうと思っていたら、なんとその飼い主は小さなカヤックの一人艇、フウマよりは一回り大きな犬なのに、スプレースカートの上にちょこんと抱かれるように座った状態で下っているのだ。
 そんな状態で、かなりの瀬の中まで下ってしまうのだから恐れ入ってしまう。
 前回の十勝川では、よちよち歩きの小さな子供をカヌーの中央に乗せ、その子が気持ち良さそうに眠っている状況で、何事も無いように急流の中を下るご夫婦を見て驚かされたが、カヌークラブに入会すると本当のつわものにお目にかかれる。
 水量は少ないものの、気持ちの良い瀬が次々に現れ、快適な川下りが続いた。
 下流へ向かうカヌーの一団に逆らうように力強く上流を目指すサケの姿も楽しめる。
 しかし、スタート直後の気持ちの良い青空がいつの間にか雲に覆われてきていた。そのうちに雷の音も聞こえ始めた。
 何もさえぎるものの無い広々とした川原の中で聞く雷の音は、あまり気持ちの良いものではない。
 昼の休憩のために上陸した頃にはとうとう雨が降り始めた。
 今年の川下りはことごとく雨に見舞われている。今回だけは秋の澄んだ青空の下、快適な川下りが出来ると思っていたのにやっぱりこれだ。
 昼食もそこそこに直ぐに再スタートした。
やっと顔を出した青空 雨は次第に強くなってきた。人間の方はカヌー用の装備に身をくるんでいるので、それほど雨は気にならないのだが、さすがにフウマは辛そうだった。ずぶ濡れになりながらも隠れる場所も無く、情けない表情でじっと我慢している。
 途中の橋の下で休憩と言う案も出たが、雨の止みそうな気配も無いのでひたすら漕ぎ続ける。
 ようやく小降りになってきたかなと感じる頃、前方に太平洋の姿が見えてきた。あれほど楽しみにしていた河口までの川下りだったが、感動もそれほど湧いてこない。
 直接海へ出てしまうのは危険なので、河口のかなり手前の車を停めてある場所で上陸した。
 振り返ると、今頃になって青空が姿を現した。海まで下った余韻を楽しむ時間も無く、歴舟川をあとにした。

 翌日、今度は何時ものキャンプ仲間だけで、農村公園キャンプ場から大樹橋を下ることにした。
 前日とは打って変わっての好天気である。前日の雨はまさに焼け石に水といった感じで、川の水量は一層少なくなったような気がする。
素晴らしい青空 それでも、水の透明度は感動的だ。変に増水すると、さすがの歴舟川でも水が濁ってしまうので、これはかえって良かったのかも知れない。
 前日、初めて歴舟川を下ったメンバーは、これが憧れの歴舟川?、と少し疑問を感じたようだが、さすがにこの日は歴舟川の魅力に引き込まれてしまったようである。
 サケが遡上する姿もあちらこちらで見受けられた。
 背びれだけを水面に出してカヌーに向かってきたかと思うと、あっと言う間にカヌーの下を通り過ぎてゆく。その横では浅瀬に入り込んだサケが水しぶきを上げながらもがいていた。簡単に手づかみできそうな感じである。
 瀬の中で顔にかかる水しぶきも清清しい。
 ひたすら広大な川原が続くだけの前日の区間とは違って、次々と姿を変える川の様子もまた楽しい。
 澄んだ空には秋のいわし雲が広がり、感動的な川下り日和だった。
素晴らしい歴舟川 もっともっと時間をかけてのんびりと下りたいところだったが、この日のうちに札幌まで帰らなければならない。
 あっと言う間に上陸予定地点までたどり着いてしまった。
 このまま下り続け、最後に海に出る事が出来たら本当の感動を味わえたのかも知れない。
 おまけに、途中の川原で1泊して、そこら中に山のようにある流木で焚き火なんか出来たらもう最高だ。
 我が家のカヌーの次の目標はそれにすることにしよう。


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