北海道キャンプ場見聞録
沙流川(2024/10/5)
4勝4敗のタイに
カヌークラブの10月例回は何時もの沙流川。
前日は雨量が増えるとの雨の予報になっていたが、思っていたほど強い雨にはならず、清水から日高へ向かう途中に見た沙流川上流部は拍子抜けするくらいに普段の様子と変わりなかった。
少し早めに現地に着いたので、核心部の瀬の様子を確認しに行く。
三岡橋から眺めた沙流川は、下るのには丁度良い水量で、渇水時にはポーテージすることの多い核心部の落ち込みも、今日はチャレンジできそうである。
核心部三岡の瀬の様子
10月の沙流川例会は紅葉が楽しみなのだけれど、最近は温暖化の影響で紅葉も遅れがち。
今年もその例に漏れず、紅葉は少し色付き始めた程度である。
昔の様な美しい紅葉を楽しむためには例会の時期も少し遅らせた方が良いような気がする。
周りの山はまだ緑色
参加者は19名。
その中でSUPに乗っている人が5名もいて、最近はSUPでのダウンリバーもすっかり身近なものになったようだ。
SUP五人衆
私は今シーズン4回目の川下り。
過去3回は、千歳川と渇水の鵡川上流部、そして渇水の歴舟川上流部。
いずれの川も渇水で何時もの迫力もなく、平和な川下りが続いていた。
それなので、久しぶりに下る波の大きな瀬がとても気持ち良く感じる。
そして直ぐに渓谷の中へと入ってくる。
何時もはここで紅葉に見惚れるところだけれど、やっぱり今回は今一である。
渓谷の中へと入っていく
そこで最初に現れる岩絡みの瀬。
特に問題もなく下れたのだけれど、思ったようにカヌーが操作できなくて自分の思い描いたルートを下れない。
最近は川を下る回数も減ってきているので、多分その影響なのだろう。
岩避けが多い瀬では思ったルートで下れない
自分の考えたルートを下れないくらいなら大した問題じゃないのだけれど、その先でちょっとしたトラブルが待ち受けていた。
岩と岩の間で少しだけ頭を出している流木。
先を下った人達は問題無くその横を通過。
私も余裕をもって避けられるだろうと何も気にしないで下っていくと、何故かカヌーが流木の方に近づいて行く。
「あれ?どうして?」
流木に横っ腹を軽くぶつけたカヌーは、何も抵抗できずにフワリとひっくり返ってしまった。
今シーズンの初沈である。
矢印の先にログが顔を出している
久しぶりに感じる川の水の冷たさは、何故か心地良い。
沈のショックも特に感じずに、渓谷の風景を楽しみながら三岡の瀬まで下っていった。
紅葉は今一だけれど天気が最高
何時も通りに全員で下見。
橋の上から見下ろすのと、真横から眺めるのとでは、当然のことながら印象が全く違う。
狭い落ち込みに集まる水は、一気に流速を増し、大きなうねりを作って流れていく。
下るルートを見定める
そのうねりの中に岩が見えているのが嫌だった。
最初にヨッシーがSUPでチャレンジ。
ど真ん中を下っていくと、その岩にSUPが一瞬張り付いて、人間だけが前に転げ落ちる。
直ぐに再チャレンジするが、何度下ってもSUPが引っ掛かってしまう。
それを見て、他のSUPは下るのを諦めた。
SUPが張り付いて前に飛ばされるヨッシー
右岸側はストッパーになっているので、下るとしたら大波を避けて左岸側を下るしかない。
カヤックのI山さんとOC-1のN島さんがそのルートを下るのを確認して、自分の舟へと戻る。
下れるルートはここだけ
後で調べてみたのだけれど、過去にここを下ったのは17回、そのうちポーテージが10回、沈が3回、沈しないで下れたのが4回という結果だった。
成功した時の記憶は殆ど残っていないけれど、沈した時の事だけはハッキリと覚えている。
そのうち2回は、意に反してカヌーが右を向いてしまってそのまま右岸の岩に激突し、カヌーは壊れるし身体をぶつけて擦り剥いたり打撲したりと散々な結果に終わっている。
最後に成功したのは5年前にソロで下った時。
その後は3回連続でポーテージしているので、チャレンジするのも5年ぶりだ。
沈するのは厭わないが、怪我をするのだけが怖い。
最後の落ち込みまで下っていく途中にも波の大きな場所が2ヵ所ある。
そこで水を汲んだら落ち込みの手前で上陸しようと思っていたが、幸い上手く下れたので、そのまま下り続ける。
核心部の手前も結構激しい流れになっている
目印にしていた左岸側の岩の横を通って、岩が隠れた大波の左を通過。
しかし、その目印の岩にカヌーを擦って、その拍子にカヌーが右を向いてしまう。
この岩にぶつかったのが命取り
その瞬間、頭の中に過去の沈シーンがハッキリと蘇ってきた。
恐怖に囚われて、両手でカヌーのガンネルを掴んでしまう。
そうなるともうコントロール不能だ。
このまま岩に激突
カヌーは右岸の岩にぶつかってひっくり返り、身体はそのカヌーの下になって水の中へと引き込まれる。
何処かに身体をぶつけた感触があり、このまま溺れてしまうような恐怖に囚われたが、無事に浮かび上がることができた。
すんなりとレスキューされたが、沈のショックは大きく、右太股にもかなりの痛みが残っていた。
誰かに話しかけようとしたが、何故か声が擦れて喋れない。
大声を出したわけでもないので、ショック症状の一つだったのかもしれない。
全員が下り終えて、そこで昼食となる。
何とかクリームパンを一つ食べたが、もう一つのコロッケパンは喉を通らなかった。
美しい沙流川渓谷の風景が沈のショックを和らげてくれる
気持ちを落ち着けるために暫く止めていたタバコを吸いたくなる。
E田さんがタバコを吸っているのを見つけて1本恵んで貰おうと思ったが、残念ながらE田さんが吸っていたのは電子タバコだったので諦めるしかなかった。
轟橋付近の風景も好きだ
太股の痛みは深刻だったが、何とか膝立ちで漕ぐことはできる。
ヒビまでは入っていないみたいだが、走るのは暫く無理そうだ。
月末のフードバレーとかちマラソンに備えて、これからスピード練習に取り組む予定だったので、それがちょっとショックだった。
トラス橋の日高大橋は橋自体が美しい
その先に特に激しい瀬は無かったので、痛みはあっても何とか下っていける。
沈のショックも、美しい風景を眺めながら下っているうちに徐々に和らいでくる。
この先の三岩橋を過ぎれば間もなくゴール
そうして無事にゴールまで下ってきた。
家に帰ってから、自分の360度カメラの映像や他の人が取ってくれた動画で沈した時の様子を確認したが、自分でも嫌になるくらいに下手くそである。
多分これが今シーズン最後の川下りになりそうだが、この調子で来年も今まで通りに川を下れるのかが心配になってくる。
(当日12:00沙流川水位(途中にダムがあるため参考値) 幌毛志橋:57.12m、千呂露小橋 355.48m)