北海道キャンプ場見聞録
沙流川アッパー(2023/10/08)
チャレンジング川下り
この日は湧別のアウトドアクラブYU-PALのイベント「サーモンリバーinゆうべつ川」に参加させてもらう予定だったが、雨による増水で中止に。
同じ日に私が入っているカヌークラブの10月例会で沙流川アッパーのダウンリバーが企画されていたので、急遽そちらに参加することに決めた。
沙流川アッパーは、私にとって何時も下っている川よりも難易度が1ランク上の川というイメージがある。
水が少なければ何とか下れるけれど、もしも増水していれば下る前にリタイアということになるかもしれない。
そんな心配をしていたけれど、日勝峠を超えてR274沿いに流れる沙流川上流部は渇水状態。
途中からパンケヌーシ川が合流して、そこで一気に水が増えるはずだけれど、そちらも同じような渇水状態。
クラブの例会で昨日下ったキャンプ場から下流は、双珠別ダムからの放水もあって結構な水量だったみたいだけれど、今日下るアッパー部分はやっぱり渇水のようだ。
出発前にHOAの前で集合写真
ゴール地点に車を移動し、集合場所のHOAの裏から川下りスタート。
参加者は22名、今回のツアーリーダーのE田さんから「水が少ないので岩にぶつかって怪我をしないように」とのお話しがあった。
私が沙流川アッパーを下るのは6年ぶり。
去年も、ここで亡くなられたHIDEさんを偲ぶツアーで下っていたけれど、それは途中の堰堤まで。
アッパーの核心部はそこから下流なのだ。
水のある場所まで川を横断
毎年ミニ例会が企画されているものの、6年前に下った時よりも川の難易度はアップしているようで、カナディアンで参加するのは憚られた。
それが今回は例会で下るというので、カナディアンでも堂々と参加することができるのが嬉しかった。
スタートして少し下っていくと千露呂川が合流するが、あまり水は増えない。
それでも苦労しないで下れるだけの水はある。
水は少なくても楽しく瀬を下れる
最初の難所は岩の多い瀬。
初めて下った時はスカウティングさせてくれたけれど、今回はそのまま下っていくようだ。
それでも去年も下っているし、右岸側を下れば特に問題がないことは分かっている。
後ろの方から下っていって、途中で休めるエディが他の舟で埋まってしまう方が嫌なので、前の方で下る。
すると丁度良いエディがあったので、そこで余裕をもって写真を撮ることができた。
他のメンバーも右岸側を下ってくる
カヤックのメンバーは岩の多い中央のコースを下る人が多いけれど、今日は水が少ないからなのか皆チキンコースの右岸側を下っていた。
そこからしばらく大きな岩を避けながら下っていくけれど、特に難しい流れではない。
岩は多くても難しい流れではない
最初の難所を超えたところで一息つく。
水量が少ない分、水の透明度は素晴らしい。
水が少ないと文句を言うパドラーも多いが、私はこの透明度を楽しめるのならば、水が少なくても不満は無い。
美しい流れの中で一休み
こんなところを下る時はもう少し水が多い方が良い
それに、水が少なくてもこの区間には大きな波の立つ瀬が幾つも続くのだ。
岩だらけの瀬を上手く下れた時の満足感も爽快だが、障害物も無く波しぶきを浴びながら快適に下れる瀬もまた楽しい。
障害物のない瀬は気持ち良く下れる
国道の擁壁下の瀬では、さすがにスカウティングが欠かせない。
ここは左岸側がチキンコースになっていて、過去2回もそこを下っていた。
ただ、今回は水が少ないので、そのチキンコースに入るまでが苦労しそうだ。
私は左岸側を下ることに
中央よりのヒーローコースの方がすんなりと進入できそうだが、流れも速いので沈すると痛い目に遭いそうだ。
実際に何人かが瀬の手前で沈して体一つで流されていったが、それを見ているだけで「痛たっ!」と声を上げてしまう。
中央のコースで沈すると痛い目に遭う
チキンコースの方はは入り口で座礁して苦労したが、流れに乗ってしまえば何もしないでもクリアできる感じだった。
下流側から見た瀬の様子
堰堤で昼の休憩。
皆で堰堤のコンクリートの上で昼食を食べたが、その直ぐ目の前がHIDEさんが亡くなった場所だと思うと、何だか複雑な気持になる。
水が流れていなければただの水溜りなのだけれど・・・
ゲートの通過はウォータースライダー気分で楽しめるが、その下流が6年前に下った時とは随分様子が変わっていた。
そこに新たに石が溜まって、ちょっと嫌らしい流れになっている。
途中から左に逃げる人もいたが、そのまま真っ直ぐ下る方が正解のようだ。
ゲートの下流もちょっと嫌らしくなっている
その先の橋を過ぎると、いよいよ沙流川アッパーの核心部へと入っていく。
橋の直ぐ下流には巨大な岩が連なり、迫力のある風景を作っているが流れ自体はそれ程激しくはない。
この橋を過ぎると核心部へと入っていく
難所はその先で待ち構えている。
岩だらけの流れの最後に大きな落ち込みが待ち構えているのだ。
その落ち込みの手前で岸に上がってスカウティング。
上流側からだと落ち込みの先が見えない
6年前に下った時よりも落差が大きくなっているような気がした。
2mくらいはありそうだ。
それに、以前は比較的素直な落ち込みだったような気がするが、現在は捩れるような流れで落ちている。
複雑な流れで落ちている
その捩れの中でカヌーがどのように振られるのか、予想できないままに落ち込みに突っ込んだが、無事にクリアできてホッとする。
無駄な動きをしなければ意外とあっさり下れるかも
その先の川幅が狭まった場所の瀬は、記憶はハッキリしないけれど、6年前に私の舟が岩の間に挟まった場所のような気がした。
通り抜けられると思った岩と岩の間の細い隙間に舟がすっぽりと挟まり、私達は直ぐに抜け出せたけれど後ろから下ってきたもう1艇のカナディアンが慌てて止まろうとして岩に張り付いてしまう。
その張り付いたカヌーを岩から引き剥がすのに一苦労した思い出がある。
何となく見覚えのある瀬だと思ったら
今回はすんなりと下れたけれど、SUPのS浦さんに後ろからぶつかりそうになり、それが影響したのかS浦さんは途中で落水してしまった。
ここでは毎回誰かに迷惑をかけている気がする。
6年前は写真の右側を抜けようとして挟まった、左の白い大きな岩が上の写真にも写っている
その先に待ち受けているのがベンダーと呼ばれる、この区間一番の難所だ。
6年前には下見もしないでそのまま下れた場所なのだけれど、その時とはすっかり様相が変わっていた。
スカウティングの結果、ここは全員がポーテージ。
カヤックだと最初のホールで巻かれて、その先で待ち構えている岩にぶつかってしまうイメージなのだろう。
大型カナディアンならばホールで巻かれることもないので、その先の岩も何とかかわせそうに見える。
しかし皆がポーテージするのなら、一人であえて挑戦する気にもなれず、皆に従うことにした。
全員がポーテージしたベンダー
次は、その意味は不明だがナッツアンドボルトと呼ばれている場所だ。
6年前は唯一ポーテージした場所でもあり、今回はここにチャレンジすることを一番の目的にしていた。
6年前に見た時は落差が3mくらいに見えた落ち込みも、今回はそれ程落差があるようには見えない。
最初に下った落ち込みの方が落差が大きいようにさえ思える。
ナッツアンドボルトのスカウティング
そんな感覚の違いもあって、今回は難なくクリアすることができた。
最初の方に下ったので、後は皆が下る様子をのんびりと見学させてもらう。
下り終わった後はのんびりと見学させてもらう
一番の難所をクリアしたことで油断してしまい、その直ぐ下流のちょっとした瀬で沈寸前のピンチに見舞われる。
突然現れた隠れ岩に驚いた拍子でカヌーが横向きになり、慌てて両手でガンネルを掴んでしまう。
ガンネルを掴むのは絶対に良くないと前回のヌビナイ川での沈で学んだはずなのに、それが全く役にたっていない。
舟も大きく傾いて危ないところだったが、何とか沈しないで下ることができた。
ガンネルを掴むと何もできないのだが・・・
その先にも幾つか瀬が現れるが、核心部も過ぎたので緊張することもなく下ることができる。
とは言いつつも、一度隠れ岩に乗り上げて、この時も反射的にガンネルを掴んでいた。
気を付けてはいても、危うくなるとガンネルを掴んでしまうのは、危険回避のための本能的な反応なのかもしれない。
核心部を過ぎてのんびりと下れると思っても最後まで気を抜けない
その同じ場所でパックラフトのS浦さんが沈して、乗り手だけが流されてしまう。
途中に取り残されていたパックラフトを私の舟に積み込んで、無事に持ち主の元まで送り届けることができた。
カナディアンは人も物も運べるので役に立つ
そうしてゴールの取水堤まで無事に辿りついた。
今まで難易度の高い区間だと思っていた沙流川アッパーも、下り終わってみればシーソラプチ川やヌビナイ川と比べても難易度はそれ程違わないと思えるようになったのが今回の収穫でもある。
今年の川下りはこれが最後になるかもしれないが、シーズンの締めくくりとして最高に楽しい川下りだったのである。