北海道キャンプ場見聞録
トナシベツ川(2023/05/14)
早くもシーズンベストの川下りか
5月例回の2日目はトナシベツ川。
集合場所にしていた南富良野町金山の公共駐車場は、集まってきたメンバーの車で溢れてしまう。
スタート地点もゴール地点も、車を停めるスペースはそんなに広くはないので、皆のカヌーを積んでスタート地点に向かう車、ここの駐車場に置いたままにする車、そして残りの車はゴール地点に置いて最小限の車に皆で乗り込んでゴール地点へと向かう。
大型カナディアンは他の車には積めないので、こんな時は私はスタート地点に直接向かうしかない。
それでもOC-1を1艇、横に乗せられたので、少しは役に立つことができた。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu01.jpg)
駐車場でカヌーの積み替え
この日の天気は、予報ではあまりパッとしないものだったけれど、朝から素晴らしい青空が広がっていた。
メンバーによっては「水が少ない」と文句を言っている人もいるが、私にとってはベストな水量である。
山の木々は新緑に色づき、川の水はトナシベツブルーに染まって、これ以上は望めないようなベストコンディションだ。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu02.jpg)
この風景だけでワクワクしてくる
参加者は24名。
トナシベツ川にこれだけの人数が集まったのは初めてかもしれない。
午前10時40分に澄んだ水の上にカヌーを浮かべる。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu03.jpg)
それぞれ出艇準備
前日の鵡川での今シーズン初川下りで勘を取り戻していたので、今日は安心して漕ぐことができる。
トナシベツ川を下るのは3年ぶりになるけれど、川の様子は概ね分かっているので先頭で下っていても不安はない。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu04.jpg)
SUPのロッカーと波の形がピッタリ会っているNもとさん
川の上に倒れかかった倒木。
私はその下を余裕で潜れたと思ったけれど、近くで見ていた人の話ではかなりギリギリだったみたいだ。
自分の身よりも、ヘルメットの上に取り付けてある360度カメラを倒木にぶつける方が心配である。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu05.jpg)
これくらいなら余裕で通り抜けられるか
所々に行者ニンニクの姿も確認できるが、昨日の鵡川でしこたま収穫した後では誰もそんなものには目もくれない。
白波がキラキラと輝く瀬の中を楽しそうに下るだけだ。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu06.jpg)
黒黒とした露頭に向かって下っていく
黒々とした巨大な露頭の下で一息ついて、再び下り始める。
毎度おなじみのパターンだ。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu07.jpg)
露頭を過ぎて美しい渓谷の中へと入っていく
例年と少し違っていたのは、その先で最近倒れたばかりのような倒木が川を完全に塞いでいたことだ。
カヤックならば何とか枝の間をすり抜けて下ることができる。
枝トラップに引っ掛かって沈する人もいたが、流れも緩い場所なので心配はない。
私は、流石にここはポーテージである。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu08.jpg)
カヤックは強引に通り抜けていたけれどカナディアンは無理
再びカヌーを乗り込んで下り始めると、すぐにその先でまたまた倒木が待ち構えていた。
最初の倒木よりも水面からの高さが低かったが、ここも何とか潜り抜けられそうだ。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu09.jpg)
遠くから見ると通り抜けられそうな倒木だったけれど
完全にカヌーの中に隠れてしまうくらいに身を屈めて倒木の下を通過。
ホッとして頭を上げ前を見ると、直ぐその先に岸が迫っていた。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu10.jpg)
かなり際どい倒木だった
慌ててパドルを構え直すが間に合わず、そこに露出していた木の根の中に突っ込んでしまう。
沈こそしなかったものの、そこから抜け出すのに一苦労して、カヌーの中も泥だらけになってしまった。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu11.jpg)
そのまま木の根に突っ込んだ
そんな小さなトラブルはあったものの、それも気にならないくらいの気持ちの良い流れが続く。
川の横にそそり立つ岩峰。
カメラを縦向きで写さないと、川面と岩峰の先端を1枚の写真に収めることができない。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu12.jpg)
この岩峰もビューポイントだ
新緑に染まる山の木々も美しい。
その新緑も、芽吹いた木々の芽が赤や黄色に色づいて、春紅葉とも言われる色合いになっている。
その中に桜のピンクが更に彩りを添える。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu13.jpg)
新緑に彩られた川
そんな風景を楽しみながら、調子に乗って先頭で下っていると、少し激しい流れの瀬に入ってしまった。
ここは、後ろから下っていると動画を撮影してもらえるポイントでもある。
しょうがないので、岩の上に登って後ろから下ってくるメンバーの写真を撮ることにした。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu14.jpg)
水しぶきが気持ち良さそう
ここの下にも岩が絡んだちょっと嫌らしい瀬があるが、自分の漕ぎを確かめるには丁度良い流れである。
カヌーのお尻を岩にぶつけてしまったものの、何とかクリアすることができた。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu15.jpg)
ここでは数名が沈していた
その下流で合流するポントナシベツ川も美しい美しい渓相の沢である。
そして頭上に架かる羽沢橋。
トナシベツ渓谷の景勝地である。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu16.jpg)
美しい渓谷の風景を楽しむ
昼の休憩を挟んで、楽しい川下りが続く。
途中でイタさんのカヤックに穴が開いてしまったが、ガムテープで補修しながら下っていた。
こうなるとカヤックもファルトボートと大して変わらなくなってしまう。
そんなカヤックに乗りながらも瀬の中を颯爽と下ってきたイタさん。
この時点で既に補修したガムテープは剥がれてしまって、水舟になっていたらしい。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu17.jpg)
穴の開いたカヤックで瀬を下るイタさん
このカヤックでこのまま下り続けるのは無理とのことで、私とタンデムで下ることとなった。
問題は穴の開いたカヤックをどうするかだけれど、結局私のカナディアンに舟と人間の両方を乗せることとなる。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu18.jpg)
ここから先はタンデムで下ることに
カヤックを積んで川を下るのは初めてだったけれど、舟を傾けるとカヤックがずり落ちそうになるので、それを押さえながらパドリングするのはなかなか大変である。
それに重量のあるイタさんとカヤックの重さも加わり、舟をコントロールするのにも力一杯漕がなければならない。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu19.jpg)
これで下るのはなかなか厳しい
その先の核心部では、流石にカヤックを積んだままでは下れないので、イタさんがカヤックを担いでポーテージ。
私一人でのチャレンジとなる。
2つの大岩の間をすり抜けるように下らなければならないが、今日水量ならば舟のコントロールも問題ない。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu20.jpg)
核心部のスカウティング
思い描いていた通りのルートで漕ぐことができてホッとしていると、その先の小さな隠れ岩に乗り上げて粗沈してしまった。
これは完全な油断沈である。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu21.jpg)
本流に乗ったままだと左側の岩にぶつかるかその横の隠れ岩に乗り上げてしまう
そこから再びカヤック付きタンデムで下っていく。
ソロで下るのなら楽しい瀬でも、そこをカヤックを落とさないように下るのは至難の業である。
瀬の波で舟が傾き、カヤックがずり落ちそうになる。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu22.jpg)
この先の瀬でカヤックを落としてしまった
それを支えるためには両手を使わなければならず、そんな事をしていたら自分の舟が危うくなってしまう。
しょうがないのでカヤックは振り落として、他の人に拾って貰うことにした。
瀬を過ぎたところで上陸しようとした瞬間、イタさんがバランスを崩してカヌーから落ちてしまい、私もその道連れにされてしまう。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu23.jpg)
まさかここで道連れにされるとは思わなかった
カヤックを乗せたまま下るのはやっぱり無理との結論となり、イタさんのカヤックは他の人のカヤックで牽引しながら下ってもらうことになった。
普通のタンデムならば下るのには問題ない。
かみさんとのタンデムだと、波の大きい所に突っ込むとお叱りを受けることになるが、イタさんとのタンデムでは波の大きい所、大きい所へと敢えて向かっていく。
タンデムのバウで漕ぐのが初めてのイタさんはとても楽しそうだ。
パドリングも問題ない。
ただ、バランスが悪かった。
カヤックに乗っている時と比べると重心の位置が高くなるのだろう。
舟がちょっと傾いた拍子にバランスを崩して、再びカヌーから転げ落ちる。
今度はそれを予め予測していたので、道連れにされること無く私はカヌーから落ちずに済んだのである。
![トナシベツ川のダウンリバー](tonasibetu24.jpg)
ここでは道連れにならずに振り落とした
その後も波を超える度にキャーキャー騒ぎながら、ゴール地点までたどり着いた。
そんなイベントも有りながら、天気に水量、そして周りの風景と、全てに恵まれた楽しい川下りとなったのである。