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沙流川アッパー(2022/10/09)

弔いダウンリバー

カヌークラブの10月例回二日目は沙流川アッパーを下ることになった。
例年ならば鵡川のニニウ~福山を下るのだけれど、途中の道路が通行止めなので、変更になったのである。

沙流川アッパーは例会で下るようなレベルの川ではないけれど、途中の堰堤で今年の7月にそこで亡くなった会員の方の弔いをするというので、私も参加することにした。
5年前にかみさんとのタンデムで下ったことはあるけれど、その時とは川の様子も変わっているらしい。
それでも堰堤までなら特別な難所も無いというので、そこで上がることにする。

沙流川アッパーのダウンリバー
スタート地点は国道に架かる橋の下流


車をそれぞれのゴール地点に回して、一晩お世話になったHOAの前から出艇。
昨日よりも川の濁りも取れ、上空には素晴らしい青空が広がり、最高の川下り日和である。

沙流川アッパーのダウンリバー
川は2つに分かれていて右岸側の分流から出艇


しかし、川の水は無茶苦茶に冷たい。
考えてみれば昨日は日高山脈が雪化粧して、今日はその雪解け水が流れ込んでいるのだ。
冷たいわけである。

沙流川アッパーのダウンリバー
川面に青空が映り込む


濁りが取れた分、昨日よりは水位も下がったようだ。
アッパーを下るのにはこれくらいが丁度良い。

ささ濁り気味の水は青く染まって、逆に美しく見える。
真っ青な空に青く染まった川。
そんな風景の中では、ホワイトウォーターの瀬が一際美しく感じる。

沙流川アッパーのダウンリバー
右から千呂露川が流れ込んで水量が一気に増える


素直な瀬が続き、大きな波が立っていても、安心して突っ込んでいける。
冷たい水を浴びても、それが心地良く感じる。

沙流川アッパーのダウンリバー
こんな瀬ばかりならば楽しいのだが


しかし、5年前に下った時の記憶では、この先に岩だらけの場所があったはずだ。
その時はスカウティングの結果、一番右岸寄りに何とか下れそうなコースを見つけて、そこを下っていた。



下流がブラインドになっている場所で、一旦上陸。
そこに下ってきたTちゃんが、何もないような流れで沈。
流されそうになったカヤックを無理に確保しようとしていたが、この時に体を痛めてしまったのかもしれない。

沙流川アッパーのダウンリバー
左端にTちゃんが写っているけれど、この後に沈


ブラインドの先がどうなっているのか、何となく嫌な予感がしたけれど、他のメンバーはスカウティングする様子もないので、そのまま下っていくしかない。
川が少しカーブしていて、そこを曲がったところでようやく全貌が明らかになった。
やっぱりそこが岩だらけの場所だったのである。

沙流川アッパーのダウンリバー
この段階で右岸側を下ることに決めた


流れが2つに分かれていたが、明らかに右に行った方が良さそうだ。
慌てて右の方に向きを変え、何とか右の流れに入れて一安心。
しかし、その先の小さな落ち込みでカヌーが後ろ向きになりかける。
無理をしないでそのまま一回転して流れに戻る。
特に難易度の高い流れではなかったけれど、何とか小さなエディに入れてホッと一息つけた。

沙流川アッパーのダウンリバー
岸に上がって自分の下ってきた瀬を眺める


そこで岩の上に登ってその先の様子も確認するが、相変わらず岩だらけの流れが続く。
ただ、シビアな操船は要求されないような流れなので、岩の間のスラロームを楽しむ感覚で漕ぐことができた。
やっぱり事前のスカウティングは大切である。

沙流川アッパーのダウンリバー
岩は多いけれど下るルートは限られているので迷うことはない


Tちゃんは、先程の沈で痛めた肩の具合が悪そうだ。
途中の堰堤で上がる予定でいたのだけれど、このまま下り続けるのは無理そうなので、ここでリタイアとなる。
Tちゃんには小さなお子さんがいるので、夫と交代で川を下っていて今日は夫が子守役。
連絡すれば迎えにきてもらえるので、こんな時には便利である。

沙流川アッパーのダウンリバー
ちえちゃんはここでリタイア、道路から近い場所だったので良かった


今日の参加者22名中、堰堤で上がるのは5名だけ。
Tちゃんは、数少ないメンバー堰堤組の一人だったので、途中リタイアはとても残念だった。

その先にも岩の多い場所があったけれど、余裕で避けられる岩ばかりだ。

沙流川アッパーのダウンリバー
これくらいの岩なら全く問題なし



そして最後に余裕で避けられない岩だらけの瀬が待ち受けていた。
そこは国道からも見える場所で、何時も「何処を下れば良いんだ?」と思いながら横目で眺めていた。
5年前は左岸際のコースを下っていたけれど、そこへ入るルートが見当たらない。
流石にここでは事前にスカウティングさせてくれた。

沙流川アッパーのダウンリバー
下るとしたら左側のルートか、中央のルートは最後に岩にぶつかりそうだ


ここではやっぱり、下れるルートは左岸際しかなさそうだ。
他のメンバーも同じ判断のようで、ほぼ同じルートを下ってくる。

SUPのNもとさんだけが右岸側の道路擁壁の直ぐ下を下っていた。
座礁はするけれど、流れは比較的穏やかだ。
岩だらけの中で落水することを考えると、SUPにとってはそちらの方が安全なコースになるのだろう。

沙流川アッパーのダウンリバー
SUPのNもとさん以外は左岸ルートを選択


左岸ルートに入るためには、その手前にあるいくつかの岩を避けなければならない。
何処を通るか色々と考えたけれど、実際に下ってみると思ったようにはいかないものだ。
結局は、下りながら咄嗟に判断するしかない。
難所は意外とあっさりとクリアできた。

沙流川アッパーのダウンリバー
この流れに上手く入れれば後は問題なし


ゴールの堰堤の手前にもちょっとした瀬があったけれど、そこも無難に下って堰堤に到着。
川を下らない人達は、堰堤で皆が下ってくるのを待っていたのだけれど、時間は既に昼の12時近く。
さぞ待ちくたびれたことだろう。

死亡事故の現場となった堰堤には、今は水は流れていない。
昨日のHOAでのお悔やみ会に捧げた花は、それぞれがここまで持ってきて、もう一度HIDEさんの写真の前に捧げる。

沙流川アッパーのダウンリバー
HOAから持ってきた花をもう一度捧げる


こうして現場まで来て皆で手を合わせると、こみ上げてくるものがある。
無くなられた方の奥様もここまで来てくれた。
私たちはこれで一区切り付いたような気持ちになれたが、奥様はそう簡単には区切りを付けられないかもしれない。

沙流川アッパーのダウンリバー
ここで皆で手を合わせた


そこで昼食にして、下っていく人達を見送る。
堰堤の下だけでも大変そうな流れだったけれど、後で動画を見せてもらったら、やっぱり行くなくて正解だったと胸をなで下ろしたのである。

沙流川アッパーのダウンリバー
更に下っていく人達をお見送り


 

(当日12:00沙流川水位(参考) 千呂露小橋観測所:355.71m
幌毛志観測所:57.13m

この日の川下りの動画 



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