北海道キャンプ場見聞録
余市川(月見橋~田川橋)
(2021/09/26)
鮭と戯れながらの川下り
週末の天気は良さそうだし、何もせずに過ごすのは勿体ないので、久しぶりに余市川を下ることに。
クラブの掲示板で一緒に下ってくれる人を募ったけれど、反応は無い。
それでも、りょうさんご夫婦とIカドさんが参加してくれた。
丁度そこに、千歳川の清掃活動で知り合いになった拓さんから「週末に川を下る予定はありますか?」との連絡があり一緒に下ることに。
何時も余市川を下る時は、大江橋から鮎見橋の区間を下っていたけれど、今回はかなり水が少ない。
私が最後に余市川を下ったのは7年前の11月。
その時は適度な水量だったけれど、その区間を下るのに3時間20分もかかっていた。
今回はその時よりも50センチも水位が下がっているのだ。
しょうがなく途中の月見橋からスタートして、鮎見橋までではさすがに距離が短すぎるので、余市の街近くの田川橋をゴールとすることにした。
月見橋から舟を降ろす
月見橋の直ぐ上流側にはJRの鉄橋があり、その下はテトラで固められている。
部分的にテトラが低くなったところがあり、水があればそこを下ることもでき、私達も春先の水の多い時に下ったことがある。
しかし、今の状況はテトラの間を水がチョロチョロと流れているだけだ。
その様子を見ると、たとえ水が増えたとしても、そこを下る気にはならないだろう。
この様子を見てしまうと水が増えてもここを下りたくはない
水の少なさに驚きながら、下り始める。
今回のメンバーは、大型カナディアン3艇にカヤック1艇。
最近、クラブの中で大型カナディアンが蚊帳の外に置かれる傾向が次第に強くなってきている気がするので、こんなメンバーで下れるだけで何となく嬉しくなる。
別に、カナディアンだけで固まる気は毛頭なく、舟の種類に関係なく川を好きな人が一緒に下ることができればそれだけで良いのだけれど、それも難しくなってきたのだろうか。
月見橋の下から瀬になっている
7年前の川下り日記を読むと、「鉄橋を過ぎると瀬と言えるような瀬は無い」と書いていたけれど、思っていたよりも瀬が多い気がする。
もっとも、何時も下っている川と比べれば、とても瀬と表現できるような流れではない。
それでも鏡のような水面の先に流れのある場所が現れれば、それは瀬と表現するしか無いのである。
流れのない瀞場
瀞場の後に下れば激しい瀬に感じる
私達が下る少し前に、ここをカヤックで下った方が二人いたけれど、それぞれ「ガリガリだった」とか「めっちゃカツカツだった」なんて話をしていた。
それを聞いて途中で何度か歩く覚悟をしていたけれど、浅瀬に入っても何とか舟から降りずに下れるレベルである。
楽しく下れる瀬だ
瀞場では泡も浮いていたけれど、流れのある場所では川底の石もくっきりと見えるくらいに水も澄んで、なかなかの清流である。
水の透明度も高い
今回は遡上する鮭の姿を見るのも楽しみにしていた。
鮎見橋の下にウライが仕掛けられていたので、その上流では鮭の姿も見られないだろうと思っていたが、結構上流まで上っていているようだ。
秋の朱太川を下って沢山の鮭の姿に感動したことがあったけれど、鮭の数は圧倒的にに余市川の方が多い。
浅瀬を下っていると、小さく波立っているところが石なのか鮭なのか良く分からないことがある。
石だと思っていたのが突然動き出してビックリさせられる。
行き場を失ってカヌーに体当りしてくる鮭もいるくらいだ。
カヌーの直ぐ隣を水しぶきを上げながら鮭が通り過ぎる
ホッチャレとなって川底に沈んでいる鮭も沢山いた。
中には、まるで真っ白な骨の標本みたいになっているものもいる。
ホッチャレがそこら中に沈んでいる
「ああ、これも標本みたいだな」と思って良く見ると、それに足が生えていたので驚いた。
「キツネかタヌキかな~」、「いや、イヌに見えるけど」、「ミンクかもしれないよ」と、皆好き勝手なことを言っている。
完全な骨になってしまうと、それが何かはなかなか分からないものである。
この骨の正体は何だろう?
先日下った空知川と比べると、紅葉はあまり進んでいないようだ。
時々、ヤマブドウが真っ赤に色付いているのが目立つくらいだ。
紅葉しているのはヤマブドウくらいだ
木々の紅葉よりも、川原のガマの穂やワレモコウの実が秋を感じさせてくれる。
川岸にはガマの穂が
鮎見橋下流のウライは、岸からポーテージしなくても、ウライの上を歩いて超えることができた。
鮎見橋下流に仕掛けられたウライ
そのウライの上流側に沢山の鮭が群れていた。
何処かに通り抜けられる場所があるのか、増水した時にウライを超えたのか、鮭達は意外と自由に川を遡っているようだ。
ウライの上流にも沢山の鮭が群れていた
ウライの下流は広い浅瀬になっている
それでもやっぱり、ウライの下流の方が鮭の数は圧倒的に多い。
行き場を失った鮭がそこら中を泳ぎ回っている。
全体が浅瀬になっているので、激しく水しぶきを上げながら突進していく鮭もいる。
近くで水しぶきを上げられるとビックリする
産卵場所にもなっているのだろうか。
所々に何匹もの鮭が集まっている。
この区間を何度か下っている拓さんの話によると、これでも鮭の数は例年より少ないそうである。
産卵のために集まっているのだろうか
そしてその回りにたむろするカモメたち。
産卵後のイクラ狙いなのか、それともホッチャレになるのを待っているのか。
ウライの下流では生き物たちの営みが繰り広げられていた。
中洲にたむろするカモメ達
そこから少し下ると、流れの様相がガラリと変わる。
海に近い下流域の流れそのものだ。
おまけに向かい風も吹いてくる。
風景が変わってきた
ただ、真正面から吹いてくる向かい風なのが助かった。
これが斜め正面からの風だと、舟の向きをコントロールするのに余計な力を必要とするが、真正面からの風だと普通に漕いでいれば良いのである。
おまけに今日はタンデムなので、尻別川を河口まで下った時と比べれば楽なものだ。
尻別川下流部を下った時を思い出す
それに、尻別川は流れがなくなってから河口まで12キロ、今日はゴール地点まで2キロ程度である。
サクラマスだろうか。
時々水面から大きくジャンプして楽しませてくれる。
それでも下流部は風景の変化に乏しく、ゴール近くの田川橋が見えてきた時はホッとした。
ゴール手前の田川橋、その先にはシリパ岬の山も見えてくる
田川橋を過ぎると右岸側に斜路がある。
モーターボートなどを降ろすための施設だけれど、カヌーで上陸するのにも丁度良い。
ゴールに到着
ここまで下るのならば最後に海を見て終わりにしたいけれど、この先は垂直護岸になっているので上陸するのに適当な場所が無いのである。
月見橋からここまで7.5キロ、のんびりと下って2時間15分。
水が少ないと聞いた時はどうなることかと心配したけれど、終わってみれば鮭の姿も沢山見られて楽しい川下りとなったのである。
(当日12:00余市川水位 然別観測所:22.50m)