トップページ > カヌー > 川下り日記

釧路川源流部(屈斜路湖~摩周大橋)
(2021/07/23)

冒険家と釧路川

今年の冬にSUPで知床を一周している冒険家の佐々木規雄さんと釧路川を一緒に下ることになった。
北海道に滞在中の佐々木さんが歴舟川や釧路川などを下りたいと言うので、4連休に合わせて釧路川の川下りを企画したのである。

しかし、佐々木さんは釧路川を下るのは初めてだろうと思っていたら、以前に釧路川100キロカヌーマラソンに出場して2位になったこともあるらしい。
そして少し前にはSUP仲間で源流部を美留和まで下っていると言うし、私の企画に付き合ってもらうのが何だか申し訳なく思えてしまう。

今回の釧路遠征には、佐々木さんと同じSUP乗りのNもとさんが付き合ってくれていた。
冒険家SUP乗りと一緒に川を下れる機会なんて滅多に無いので、お誘いしたら一も二もなくOKの返事が返ってきたのである。

釧路川源流部の川下り
SUP2艇、カナディアン1艇での川下り


佐々木さんは、冬の知床以外にもユーコン川や北極圏の海をSUPで漕いでいて、沖縄でも島を巡りながら何十キロもSUPで海を渡っている。
それでも、川下りの経験ならば多分Nもとさんの方が場数を踏んでいるだろう。

釧路川源流部の川下り
湖の上でウォーミングアップ


そんな感じで、SUP2艇とカナディアンタンデム1艇での釧路川源流部川下りがスタートした。
4連休2日目で天気にも恵まれ、眺湖橋のたもとからは次々に舟が出ていく。
私達も、屈斜路湖で一漕ぎしてから、眺湖橋の下をくぐって釧路川へと入っていく。

釧路川源流部の川下り
眺湖橋の先が釧路川


直ぐに鏡の間まで下ってきた。
去年、釧路川のこの区間を初めて下ったNもとさんは、単独での川下りだったのでこの鏡の間に気づかないで通り過ぎてしまったらしい。

釧路川源流部の川下り 鏡の間
鏡の間


確かに、周辺には倒木なども多く、それらに注意を払いながら下っていれば、鏡の間の存在にも気付かないかもしれない。
それに、最近は水草の類も減ってきているので、以前のように一目見ただけで感動するような風景ではなくなってきているのだ。

釧路川源流部の川下り 鏡の間
鏡の間の入口部分


カヌーの下を沢山の魚の群れが通り過ぎていく。
大体はウグイなのだけれど、時々美しい模様の魚種も混ざり、巨大な魚影も見かける。
美登里橋まで下ってきた。

釧路川源流部の川下り
この先が美登里橋


ここで、佐々木さんから一眼レフカメラを渡され「写真を撮って欲しい」と頼まれる。
川下り中に写真を撮るのは得意だけれど、佐々木さんはプロの写真家も顔負けするような世界の絶景を撮り歩いている人なのである。
そんな方を被写体にすると、こちらも緊張してしまう。
でも、カメラを構えていると佐々木さんが落水してくれたので、いつもの調子でニヤリと笑いながらシャッターを切る私だった。

釧路川源流部の川下り
カメラを向けていると落水してくれた



Nもとさんは釧路川ではウチダザリガニが沢山採れると聞いて、捕獲セットを持ってきていた。
外来生物のウチダザリガニは生きたまま持ち帰られないので、茹でるためのコンロまで持ってきている念の入れようだ。

釧路川源流部の川下り
緑に染まる釧路川


ようやく一匹のザリガニを見つけたが、それは脱皮したばかりで、手で触るとフニャフニャしていた。
大きさも小さいので、外来生物としてその場で駆除されてしまう。

釧路川源流部の川下り ウチダザリガニ
脱皮したばかりのウチダザリガニ


私達は去年の10月にこの区間を下っていて、その時は倒木の多さに驚かされた。
倒木が多いのは今回も同じだけれど、去年の様なえげつない倒木は減ったような気がする。

釧路川源流部の川下り
余裕を持って避けられる倒木が殆どだ


そうして、美留和の瀬を下って美留和橋までやってきた。
今回は弟子屈の摩周大橋まで下る予定である。
この区間を下るのは16年ぶり2回めだ。

釧路川源流部の川下り
美留和橋を通過


殆どの商業ツアーは美留和橋までで、その先まで下るのは個人的なツアー程度だろう。
人工的に直線化された区間をしばらく下っていくと、いよいよ自然のままの激しく蛇行する区間へと入っていく。



流石にこの区間は倒木が多くなる。
でも、迷路のような倒木の間を抜けていくのも、ここを下る時の楽しみの一つである。

釧路川源流部の川下り
倒木の迷路


今日は天気が良いので、剥き出しになった腕が日焼けでヒリヒリしてくる。
アブの攻撃も激しい。
大体は虫除けスプレーで防げるのだけれど、メッシュのソックスを履いているので大丈夫だろうと思っていた足首が弱点となって攻撃されていた。

流れの緩やかなところで一休みする。
舟の上で休む時だけはSUPが羨ましくなる。
上に寝転がったり、ベンチのように腰掛けて水の中に足を漬けたりと自由自在である。

釧路川源流部の川下り
休憩中はSUPが羨ましく思える


そして再びジャングルクルーズを楽しむ。
この区間の最大の難所は土壁と呼ばれる場所である。
16年前は、瀬が連続していてどこが土壁なのかも分からないままに下ってしまった記憶がある。

釧路川源流部の川下り
流れも緩いので余裕を持って避けられる


ただ、16年前となるとその記憶もあやふや。
瀬が続くようになって、そろそろ土壁かなと意識する。
水量は少なめなので、瀬と言ってもザラ瀬程度。
座礁してカヌーが後ろ向きになるのが心配なくらいだ。

土壁はカヌーの墓場とも言われていて、16年前は途中の倒木にダッキーが引っかかっていたが、今回もファルトボートが倒木の餌食になっていた。
水量が多い時ならば、本流がその倒木に向かって流れているのかもしれないが、今日の水量だと、その倒木に近づく前に座礁してしまいそうだ。

釧路川源流部の川下り
土壁最後のところにブラインドカーブがあった


瀬を幾つか超えたところで前方の確認ができないところがあり、念の為に手前で上陸してスカウティングする。
すると、ブラインドになっているその先では、本流がまともに倒木ストレーナーの中に吸い込まれていた。
そこに突っ込んだら大事だけど、本流から抜け出すことさえできれば問題はない。
私が先に下って下で待っていると、SUP2艇も何事も無く下ってきた。

釧路川源流部の川下り
流れに乗ったまま下っていくと、倒木ストレーナーに吸い込まれてしまう


ここを過ぎればゴールの摩周大橋までもう少し。
そのままのんびりと下っていけると思っていたら、Nもとさんが「去年下った時は、この先にある瀬が一番怖かった」と言う。
16年前の記憶に、そんな瀬のことは全く含まれていなかった。

摩周大橋がもう少しで見えてきそうだと思ったところに現れる、水色に塗られた水道橋。
美留和の瀬と似たような感じで、川底にブロックが敷かれている。
美留和の瀬は真ん中を下れば問題ないけれど、ここは引っかかりそうなブロックが所々に隠れているのでたちが悪い。
それでも川下り最後のイベントとして楽しく下れる瀬である。

釧路川源流部の川下り
水道橋の瀬


ゴール地点は水郷公園の駐車場にしたけれど、道の駅の駐車場より空いていて、こちらの方が落ち着けて良い。
屈斜路湖から美留和橋までは1時間50分、美留和橋から摩周大橋までは2時間10分。
釧路川の源流部を下る時は、何時も美留和橋で上がっていたけれど、釧路川を満喫するにはやっぱり弟子屈の街まで下った方が楽しいのである。

源流部の3箇所の瀬の動画 

(当日12:00釧路川水位 弟子屈観測所:99.88m)



ページトップへ