北海道キャンプ場見聞録
天塩川(2019/07/14)
ダウン・ザ・テッシ-オ-ペッ1日目(びふかアイランドカヌーポート~音威子府カヌーポート)
2年連続で参加するダウンザテッシ。
去年はスペシャル大会として4日間かけて100マイルを下ることになっていたが、雨の影響で二日目が中止に。
今年はその二日目に予定されていた区間を下るので、是非とも参加して100マイルの線を繋げたかったのである。
去年は1日で下る区間を今年は2日間かけて下るのだから、楽勝だろうと思っていた。
しかし、1日目が25キロ、2日目が32キロと、結構な距離である。
しかも雨不足の今年は、さすがの大河天塩川も渇水状態で、川の流れも遅そうだった。
びふかアイランドカヌーポート
前泊地の音威子府村中島公園から臨時バスに乗って、1日目スタート地点のびふかアイランドカヌーポートへ向かう。
カヌーは前日のうちにスタート地点に置いてあった。
セレモニーが終わり、川にカヌーを浮かべる。
全艇が川の上に出てくるだけで大変だ
参加者は120艇、206人。
それにスタッフの乗る艇を含めれば約150艇にもなり、全部の舟が川の上に出てくるだけで時間がかかってしまう。
川の上で待機すること約20分、ようやく川下りがスタートした。
びふかアイランドカヌーポートから天塩川温泉までは、9年前にクラブの例会で一度下ったことがある。
その時は雨で増水気味だったが、今日はその時よりも1m以上水位が低い。
役員の方も、こんなに水の少ない天塩川を下るのは初めてだと言っていた。
凄いカヌーの数である
私たちは最後尾の方からゆっくりと下り始める。
早くも浅瀬で座礁している艇も
スタート地点の浅瀬で、早くも数艇が座礁していた。
暫く下っていくと前方に瀬があるようで、スタッフから1列で下るように指示が出る。
他の艇は右岸ギリギリに舟を寄せて1列縦隊でゆっくりと下っていたが、前方にまだ瀬は見えてこないので、私たちはそのまま川の真ん中を下っていく。
やがて瀬が見えてきたけれど、何処からでも下れそうな瀬である。
1列縦隊のカヌーはその瀬の左岸側ギリギリを下っていくが、私たちは川の真ん中を進んで、そのまま瀬を下る。
去年はスタッフ艇の指示に従順に従っていたけれど、今回はスタート式で競技安全部長から「私たちも指示を出しますが最後は自分の判断で下るように」と話があったので、その通りにしているのだ。
1列縦隊の中には加わらないで自分の判断を頼りに下っていく
しかし、次の恩根内テッシは素直に一列縦隊の中に収まって下っていく。
水が少ないので左岸側しか下るルートが無いみたいなのだ。
スタッフの方が岩の上に立って侵入ルートを指示してくれる。
その先にもスタッフ、そしてまたスタッフ、最後にもう一人、合計4人でルートを指示してくれる手厚いサポート体制である。
ルートを指示されながら恩根内テッシを下る
その指示するコースで瀬を下り、そのまま岩の後ろのエディに入って、改めて恩根内テッシの様子を眺める。
過去に天塩川を下った時は増水時ばかりで、何処のテッシも水没してしまい、そこには波が立っているだけ。
岩が簗のように川を横断している個所をテッシと呼んでいるのだが、今回初めてそのテッシの姿を見ることができた。
恩根内テッシを下るカヌー
最後尾近くからスタートしたのに、何時の間にか前の方の位置に上がってきていた。
恩根内大橋の下で、遅れている後続を待つことになる。
スタッフ間で無線で連絡をとりながら、遅れている舟に前の方で下るようにと指示を出していた。
それを聞いて、「他の舟のスピードに付いていけなくて遅れているのだから、その舟を前に出したところで、結局はまた遅れるだけなのに」と思ってしまう。
後続との距離が開きすぎるのを気にするのならば、先頭がゆっくりと下れば良いだけの話なのだ。
恩根内大橋の下で後続待ち
去年参加した時に感じたのは、下るペースがとにかく早いということである。
予定している時間でゴールするためには、そのペースで下る必要があるのだろうけれど、私はそのペースに付いて行けずに惨めな思いをしながら最後尾近くを下っていた。
今年は新しい舟で参加しているので、去年の様に遅れることはない。
それでも、先頭のペースに付いていくのは結構大変である。
ここで無駄に時間を過ごすのならば、その間に少しでも下っていた方が後で楽になるのに、自分のペースで下れないのがもどかしい。
結局、最後尾の舟がやって来るまで20分待って、再スタートとなる。
再スタート後は先導艇の直ぐ近くを下るようにした。
かみさんもその方が良いようだ。
クラブの例会の時でも、集団の中で下っていると他の舟が邪魔になって思うように下れないことがあり、前の方で下りたがるかみさんなのである。
1列縦隊からは距離をおいて下る
なるべく先頭の方で、しかも集団から離れた場所を保って下っていく。
瀬が近づいて、再び1列縦隊になるように指示が出た。
殆どの舟はその指示に従って、1列縦隊の態勢に入る。
私はこの1列縦隊が好きではない。
前方の様子を確認しながら下りたいのに、1列縦隊になると前の舟が邪魔になって、その様子が見づらくなる。
それに、1列縦隊で下っている人達の様子を見ていると、前の舟の直ぐ後ろに付いていくことだけに一生懸命になっているのだ。
これでは、何のための1列縦隊なのか分からない。
そうやって下っていくと、前に見えてきた瀬は全く問題なさそうだった。
私たちは、集団からからやや離れたポジションのままで瀬に入っていく。
気が付くと、白波を越えながら爽快に下っていく縦隊の横で、私たちは全く波の立ってないチキンコースを下っていたのである。
小車の瀬ではチキンコースを下ってしまった
先導艇を追い抜くことは禁止されている。
そこで、先導艇から離れてほぼ並走するように下るようにする。
そうすると、少しくらい前に出ていても気付かれないのだ。
気分だけは単独のダウンリバーだった。
自分の前に他の舟がいないのは気持ちが良い
そうやって下っていくと、気になる風景が現れた。
川の中州全体がデコボコの岩になっているのだ。
天塩川リバーマップでは中島岩盤(カブト岩)の名前が付いているところである。
パドリングを止めるだけで、あっと言う間に先頭から離れてしまうくらいに集団のスピードは速い。
そんな状況下でカブト岩に上陸するなど致命的な時間ロスとなってしまう。
しかし、その島の景観はとても魅力的で、先頭ポジションは諦めることにしてカブト岩に上陸。
大急ぎで写真を撮って川へと戻ったが、既に先頭集団の姿は見えなくなっていたのである。
カブト岩に上陸している間に先頭グループは先に行ってしまった
そこで再び一列縦隊の指示が出たようだ。
そうなると全体のスピードが遅くなるので、横をすり抜けて前に出るチャンスである。
しかし、ここでは前の様子が分からなかったので、素直に列の後ろから下っていくことにした。
先の様子が分からないので一列縦隊の中を下っていく
左岸側から瀬を下る。
特に難しい瀬ではないけれど、そこは斜めテッシと呼ばれている場所で、全体がやや落差のある落ち込みとなっている。
左岸側に安全に下れるルートがあるのだ。
何年か前に役員の方が斜めテッシを下った動画がアップされていて、その落ち込みにチャレンジするのを楽しみにしていた。
しかし、指示されたとおりに安全なコースで下ってから、そこが斜めテッシだったことに気が付いたのである。
まあ、あらかじめ分かっていたとしても、ここで敢えてチャレンジすることは無かっただろう。
斜めテッシは左岸側から下った
その先に待ち構えているのは豊清水の瀬。
川の流れがロート状に狭まって、その先が瀬になっているのだ。
クラブの例会で下った時も、ここだけは瀬らしい流れになっていたことを思い出す。
先行する舟は左岸ギリギリから瀬に入っていくけど・・・
先を下っていた艇もここではかなり慎重になっているようで、左岸側から間隔を開けて1艇ずつ下っていた。
瀬の様子が分からないので、私たちもゆっくりと近づいていく。
そしてようやく瀬の全体が見えた時、障害物がある訳でもなく、そんなに慎重に下るような瀬でもないことが分かった。
それにここは、左岸寄りに嫌な流れが見えるので、真ん中を下った方が安全に下れるはずである。
より安全に下るのならば右岸側がチキンコースになっている。
多分、先頭の艇が左側を下ったので、それに続いていた艇もそのまま左岸側を下っているのだろう。
このようなイベントに参加していると、流れを見て自分で下るルートを判断するということは無理なのかもしれない。
ど真ん中から瀬に入り、大きな波の頂点を気持ち良く乗り越えながら豊清水の瀬をクリアした。
豊清水の瀬は真ん中から下るしかない
その後は今日の昼食場所である川の駅「天塩川温泉」を目指して黙々と漕ぎ続ける。
恩根内大橋で20分停滞した以外は殆ど休みなく漕ぎ続けていたので、腕の筋肉もパンパンに張っていた。
プログラム上の昼食時間は午後1時になっていたけれど、その手前の止若内橋が見えてきた時には既に午後1時半を過ぎていた。
止若内橋の先に天塩川温泉のカヌーポートが見えてきた
そうして午後1時40分に川の駅に上陸。
昼食は音威子府蕎麦におにぎり2個とお茶。
私たちは早めに着いたので並ばずに食べられたけれど、暫くすると昼食を配る場所には長い行列ができていた。
天塩川温泉カヌーポートに上陸
昼食配布場所には長蛇の列
1時間で再スタートとなるけれど、遅く着いた艇は食べ終わったら直ぐにまた出艇することとなり、本当に気の毒である。
そしてまた、全員が川の上に出るまで20分近くかかり、再スタートした時は午後3時になっていた。
これはプログラム上のゴール時間である。
音威子府村カヌーポートに上陸
上手い具合に再スタート後も先頭近くのポジションを確保できたけれど、それは先頭の早いペースで漕がなければならないということでもある。
おまけに向かい風も強くなってきた。
体力は限界近くに達していたけれど、早くゴールして空いているうちに温泉に入ろうとの思いで、最後の力を振り絞る。
そうして25キロを漕ぎきり、午後4時過ぎに音威子府村の川の駅「中の島」に到着した。
明日は今日より更に長い32キロを下らなければならない。
そんな体力が残っているんだろうかと心配になってくるダウンザテッシ1日目だった。
ここから堤防を越えればキャンプ地なのがありがたい。
(当日12:00天塩川水位 美深橋観測所:67.79m)
(恩根内観測所:52.57m)