北海道キャンプ場見聞録
沙流川(2019/05/19)
勝率5割のチャレンジ
クラブの5月例会二日目は沙流川。
1週間前に下見で下った人達の話しでは、水が全然ないとのことだったが、現地に着いてみると結構な水量である。
気温が上がって新たな雪解け水が流れ込んだのか、双朱別ダムからの放水によるものなのかは分からないが、昨日の鵡川に続いてのんびりダウンリバーを楽しもうと思っていたので、ちょっと緊張してくる。
今シーズンはまだ、瀬らしい瀬は下っていないのである。
特にかみさんは、最近になって激しい瀬を下るのを極端に嫌がるようになってきたので、それが問題だった。
今回の例会だって、最初は渋っていたのを「水が少ないみたいだから」と言いくるめて連れてきたのである。
増水とまではいかないけれど水は多めだ
そんなかみさんとのタンデムなので、瀬の中ではひたすらチキンルートを下ることになる。
そして、周りに他の舟がいると下りづらいとも言うので、なるべく先頭の方を下るようにする。
そこで沈するとレスキューしてくれる人が少ないので、これはこれでリスキーなのだが、かみさんはその辺りのことは気にしていないのだ。
渓谷入り口までの瀬は以前より迫力が無くなった気がする
おかげで、他のメンバーの写真を撮るチャンスも多くなった。
今回は大型カナディアンが私たちの他に3艇、SUPも2艇いるので、面白いシーンも撮れそうだ。
渓谷入り口までは、大きな波の立つ瀬も無くなり、ウォーミングアップの様な感じで下っていく。
渓谷入り口までは楽に下ってこれた
渓谷の中に入ってくると、所々にスリリングな瀬が現れる。
そこを先に下ってカメラを構える。
太陽の陽射しが強すぎると、ホワイトウォーターが白飛びして写ってしまい、カメラの露出の設定が難しい。
それでもやっぱり、晴れている方が良い写真を撮れるので、下っている時と同じくらいに気持ちが良い。
スリリングな瀬が続く
カヤックは、迫力あるシーンを撮ろうとすると、水しぶきで誰が誰だか分からなくなってしまうし、シャッターのタイミングで波の中に体が隠れてしまうこともある。
身体が水しぶきで見えなくなる
波の間に身体が消えてしまう
一方、大型カナディアンは、カヤックが大きく跳ね上がるような波でも、何事も無いように通り過ぎてしまうこともあり、これはこれでシャッターチャンスが難しい。
カヤックならば跳ね上がるような波だが
大型カナディアンが跳ね上がるシーンはなかなか撮れない
SUPの場合は、沈が前提の様なものなので、その瞬間を逃さない様に狙っていれば良いだけだ。
奥さんの後ろで夫のSUPがひっくり返るシーンは笑える
途中でI山さんがウドを見つけて、崖を登り始めた。
ウドが生えているのは、崖のかなり上の方。
さすがにそこまで登るのは危険すぎると皆から止められ、渋々と諦める。
瀬を下ることより、山菜を採る方を心配しなければならないのだから、困ったものである。
ウドを諦めて動画を撮っているI山さん
りょうさん夫婦艇が波に煽られて沈。
沈の瞬間を撮り逃したな~と思っいながら下流を見ると、そのままどんどん流されていく。
水が多い時に大型カナディアンのタンデム艇が沈すると、レスキューも簡単にはいかないのである。
豪快に波を越えたと思ったら
そのままひっくり返った
私たちが沈した時もそうだけれど、大体は奥さんが先にレスキューされ、旦那と舟はそのまま流され続けることになる。
りょうさんと舟はかなりの距離を流されたけれど、何とか舟と人間が一緒に岸に上がれたようだ。
これで舟だけが流されてしまうと、その後の対応が結構面倒なのだ。
ソロで下っていたetuさんが、奥さんを乗せて旦那さんのところまで届けて、無事に一件落着。
その先はもう三岡の瀬だった。
結構な水量でかみさんは全然下る気なし。
それはもう織り込み済みで、今日は最初から一人で下るつもりだった。
三岡の瀬上流部もなかなか激しい流れだ
最後の落ち込みの場所まで下見しながら歩きつつ、ふと後ろを振り返ると、そこには沈脱して流されているY谷さんの姿があった。
レスキューロープを投げる余裕も無く、合掌しながらY谷さんが落ち込みの中に消えていく姿を見送った。
横を見るとY谷さんが流されていた
そのまま落ち込みの中に吸い込まれていく
水が増えると、落ち込みに辿り着くまでの瀬もかなり激しくなるのだ。
Y谷さんの悲惨な姿を目の前にした私の心の中にチキン魂が芽生えてしまい、手前の瀬をポーテージして最後の落ち込み部分だけを下ることにした。
中央の波を避けて左岸側のチキンコースへ
後で調べてみたところ、過去にここを下ったのは13回。
そのうちポーテージ7回、クリア3回、沈3回(内1回はソロ)と、勝率は5割。
これだけ相性の悪い瀬は、北海道でもここだけである。
先週の渇水時はカナディアンで下った人が、波の下に隠れている岩にカヌーの底をぶつけていたけれど、今日の水量ならばその心配はなさそうだ。
それでも一度芽生えたチキン魂のために、左岸寄りのチキンコースから落ち込みに突入。
ソロチャレンジで初めての三岡の落ち込みクリアだったが、前半部分をポーテージしてチキンコースからのクリアだったので、その喜びも小さかった。
チキンコースからのクリア
大型カナディアン組では、今日はタンデムで下っていたヨッシーがソロでクリアし、etuさんがヒーローコースのど真ん中を下ってクリア。
りょうさん夫婦はポーテージだったけれど、その前の沈が無ければ、多分チャレンジしていたのだろう。
SUPの2人は期待通りの見せ場を作ってくれた。
豪快に飛んでくれたYヒロさん
ヒロやんのチャレンジの時は、心配だったのでカメラを置いて上流側でレスキューロープを持って待機する。
すると、心配した通り途中で沈脱。
A達さん2度目はロールで起きられた
私の上流側でヨッシーがロープを投げたけれど届かず。
次に私が投げようと思ったけれど、その位置ではたとえヒロやんがロープを掴んでも、逆に危険な場所に入ってしまう。
しょうがなく、合掌しながらヒロやんが落ち込みの中に消えていくのを見送った。
落ち込みを下った後に沈脱してしまったA達さん、2度目のチャレンジでも沈したけれど、今度はロールで起き上がった。
三岡の瀬は全員がすんなりと下れることは殆ど無くて、何時も誰かが皆を楽しませてくれる。
そこで昼食を食べて後半戦のスタート。
瀬の余韻に浸りながらの昼食
三岡から下流は渓谷の風景を楽しみながらのんびりと下れる区間だけれど、水が多いとそうでもない。
沈脱した人もいたようだが、山菜ハンターの人達はお持ち帰り用のウドの収穫に余念が無い。
水が多い時は渓谷の中の瀬も波が結構大きくなる
新緑に染まった沙流川渓谷の風景を楽しみながら、二日間の5月例会は幕を閉じたのである。
新緑に染まる沙流川渓谷
(当日12:00沙流川水位 幌毛志観測所:57.24m)