北海道キャンプ場見聞録
トナシベツ川(2018/10/14)
錦秋の川下り
10月例会で下る予定だったのが、台風の影響で中止になってしまったトナシベツ川
一週間後に再び、ミニ例会として企画された。
紅葉も美しくお天気も最高
例会の時に下った沙流川の紅葉は、ピークにはまだ少し早い感じだったので、その一週間後ならば紅葉も丁度ピークになっていそうだ。
そして天気も良い。
紅葉に囲まれた前泊のキャンプ地から、トナシベツ川へと駆けつけた。
空は青く澄み、回りの山々も錦の衣を着込んでいる。
そんな風景にワクワクしながら林道を奥へと進む。
スタート地点にしている流星橋の手前200mに、通行止めのロープが張られていた。
路肩の崩れた林道の補修工事が行われるようだ。
流星橋までは車で入れそうなので、橋の横にカヌー装備を降ろした後、通行止め箇所まで戻ってそこに車を停める。
流星橋付近の様子
色鮮やかなモミジ
流星橋の周辺には、期待通りの美しい紅葉風景が広がっていた。
川の上にカヌーを浮かべる。
9月初めにもこの川を下ってたいけれど、その時よりも水は少なめだ。
しかし、水の透明度は今回の方が遥かに勝っている。
これだけ澄んだ水の川を下るのは、歴舟川の上流部やヌビナイ川くらいでしか経験がない。
川下りスタート
下り始めて直ぐに、太陽が雲に隠れてしまった。
陽射しがあるのと無いのとでは、紅葉の鮮やかさが全く違ってしまう。
紅葉に染まる渓谷へと入っていく
水が少ないと岩を避けるのが大変だが、ルートさえ間違えなければ座礁することも無く下ることができる。
バウのかみさんは、ドローにクロスドローと忙しそうだ。
私は膝立ちになって、かみさんの頭越しに前の様子を確かめながら、かみさんの選択するルートに微調整を加えるだけである。
前回も行く手を塞いでいた倒木は、そっくりそのまま残っていた。
カヤックは枝の隙間を通り抜けていくけれど、私たちは無理しないでポーテージする。
倒木の枝の間をすり抜ける
次第に日が射してきた。
赤や黄色に色づいた木々の風景にため息が漏れる。
光が当たると一層鮮やかになる紅葉の風景
その中でも、モミジの赤の鮮やかさは際立っていた。
1本の紅葉したモミジがあるだけで、周りの風景を華やかなものに変えてしまう。
色鮮やかなモミジが風景を艶やかにする
一か月前に下ったばかりで、川の様子も大体分かっているので、積極的に先頭で下っていき、所々で後続メンバーを撮影する。
楽しい瀬が続く
でも、倒木が斜めに倒れ込んでいる場所だけは、皆の様子を確認してから下ることにした。
前回は、その倒木をギリギリでかわして下れたけれど、今回は水が減った影響で倒木の下を潜るしかなさそうだ。
この倒木を潜る前にいさかいが
そのルートを確認して漕ぎ出したところ、その手前で岩が邪魔をしているのが見えた。
倒木の下を潜るためには早めに右側によってその岩をかわさなければならないのだが、かみさんが何処へ行こうとしているのか分からない。
そうこうしているうちに、その岩に乗り上げてしまった。
こんな時は大体、私が悪者にされるのが常である。
「どっちに行こうとしてるのよ!」と怒っているかみさんに、さすがに私も腹が立って「ここは右からだろう!」と声を荒げてしまう。
皆からは夫婦で息が合っているなどと言われるけれど、その実態はこんなものなのである。
斜めの倒木の下流にも嫌らしい瀬が
ちなみに、かみさんも右から下ろうとしていたらしいが、それならばもっと早くから右に寄っていなければならないはずである。
ただ、かみさんは自分が悪いとは絶対に言わないタイプなので、結論はうやむやに終わらせるしかないのだ。
岩からカヌーを何とか外した後は、倒木の下を無事にくぐり抜けた。
その先も、岩が絡んだ厄介な流れになっている。
先に下ってカメラを構えていると、ウッチーが途中の岩に乗り上げてしまった。
どうするのかと思って見守っていると、どうすることもできなくそのまま沈。
よしよしと思いながらシャッターを切っていると、その後ろでE田さんも沈してくれた。
なかなか珍しいダブル沈の写真が撮れたのである。
ダブル沈
岩壁に囲まれた美しい渓谷の中、その先でポントナシベツ川が合流し、渓谷の上には赤いトラスが特徴の羽沢橋が架かる。
紅葉の名所トナシベツ渓谷の一番美しい場所である。
トナシベツ渓谷の紅葉
その先の日当たりの良い河原で昼の休憩。
日が当たっていると暖かいのだけれど、日陰に入ると急に寒くなる。
ウェットスーツで沈してしまったウッチーのためには、日の当たる河原が必要だったのだ。
何処までも続く紅葉風景
沈しながらもロールのセッティングを試みるヒロやん
休憩を終えて再び下り始める。
美しい紅葉と楽しい瀬が続く。
熊さんの奥さんのヒロやんが瀬の中で沈をした。
一度目のロールは失敗したが、そこで諦めないで2度目のロールで見事に起き上がり、皆の喝采を浴びる。
毎週のように通っているホームグランドの千歳川ではロールもほぼ確実に起き上がるようになったみたいだが、実際にこうやって川を下っている時にロールするのは結構難しいのだ。
誰かが「熊さんも見習わなきゃ」と冷やかしていたが、奥さんとの差は確実に広がってきているようだ。
ヒロやん、さすがにここではロールでは起きれなかった
次の難所でヒロやんは瀬に入る前に沈。
岩だらけの浅瀬では、さすがにロールすることもできずに沈脱。
そこで再乗艇するのかと思ったら、そのまま流れてきてしまった。
カメラを構えている私の前まで流れてきたので、先にカヤックを確保してあげる。
それと一緒に岸に上がるかと思ったら、足を滑らせて再び流されていく。
下流の方でウッチーが助けようと手を出すが、自分が流されそうになっている。
水も少なく、その下も瀞場になっていてそれ以上流される心配も無いので、笑いながらそんな一部始終を楽しませてもらった。
ここでは二人仲良く沈をした熊さんご夫妻
そして次に待ち受けている最大の難所が二つの大岩。
水が少ないと、他の岩も頭を出してきて、余計に下りづらくなるみたいだ。
E田さんが大岩の間で沈して流されてきた。
I上さんがロープを投げてレスキューしていると、続けてヒロやんが流れてきた。
舟の上で写真を撮っていた私に、I上さんが「ロープを貸して」と言うので、慌ててロープを渡す。
する今度は熊さんが沈をした。
I上さんが、ロープが足りないと慌てているので、今度はかみさんの持っていたロープを渡そうとしていたら、熊さんは自力で岸に這い上がった。
トナシベツ川が初めての人が、ここを下見無しでいきなり下るのは、やっぱり無理があるようだ。
二つの大岩の瀬、左岸側がチキンコースか
更に下り続けていると、いきなり釣り人が現れて驚かされた。
トナシベツ川で釣り人と会うのは初めてだったのである。
もっとも、釣り人の方がいきなりカヌーの集団が現れてもっと驚いていたと思う。
そのすぐ先にトナシベツ川一号橋が架かっているので、釣り人はそこから降りてきたのだろう。
トナシベツ川一号橋も美しい橋だ
この橋も、周りを紅葉した木々に囲まれなかなかフォトジェニックな橋である。
ここから先は渓谷を抜けて、川相も穏やかになってくる。
そして浅瀬も多くなって、座礁しない様に下るのが大変だった。
ゴールの河原でも鮮やかなモミジが出迎えてくれた
古い橋の下を抜けるとゴール地点の河原はもう直ぐだった。
美しいモミジの紅葉に迎えられて、最高の川下りを終えたのである。