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空知川(2018/08/19)

近付かないで!

カヌークラブ8月例会二日目は空知川を下る。
水位は昨日より3センチ下がっただけで、相変わらず増水状態が続いている。

かみさんは「昨日下った良いイメージを壊したくないから」との理由で、国体コース下から下ると言う。
しょうがないので、私一人で国体コースを下ろうと思っていたら、N島さんも国体コースはパスするらしい。


先頭で下ってきたパムさん

それを聞いて直ぐに私もパスすることに決めた。
渡月橋で沈して、そのまま下まで流されていく悪いイメージばかり浮かんでいたのである。

同じく国体コース下からスタートするめぐちゃん、今日は漕がずに帰る予定のS藤さん達と一緒に、渡月橋の下でレスキュー役を引き受ける。
昨日の状況を考えると、ここでレスキューに失敗すると下まで流されてしまうことになるので、レスキュー役も結構責任重大である。

緊張しながら、やや下流側でロープを構えていたが、幸いなことに沈してそこまで流されてくる人はいなかった。
ここで沈したI田さんとY川さんは、二人とも直ぐ横のエディに掴まってグルグルと回されていたのである。


Y川さんの体にはロープがグルグル巻きになっていた

ほうほうの体で這い上がってきたY川さんの体には、S藤さんの投げたレスキューロープが絡み付いていた。
もしもこのまま下まで流されたとしたら、体に巻き付いたロープが首にかかって危険な状況になることも考えられる。

普段から身に付けているレスキュー用のナイフは、この様に体に巻き付いたロープを切断するためにも使用するのだが、Y川さんの様子を見てその必要性を改めて実感したのである。

来週の南富良野カヌー大会に備えて、今日はI山・ウッチーペアとO橋・228ペアがカナディアンのタンデムで下ることになっていた。
最後にその2艇が下ってくるので、レスキューロープを握る手にも力が入る。

最初に下ってきたのはI山・ウッチーペア。
落ち込みの波に煽られて岩に激突、そのまま横向きになって沈。
最初に浮かび上がってきたI山さんにロープを投げて一人だけは助けられたけれど、ウッチーさんと舟はそのまま流れていってしまった。


岩に激突したI山・ウッチーペア

沈を見て大笑いするS藤さん


これだけ水量が多くて流れも速いと、大型カナディアンをレスキューするのは殆ど不可能なのである。
それが分かっていたから、私も今日は何となく乗り気がしなかったのだ。


サルゲッチュペアと言えば知っている人は知っているのだ

最後に下ってきたのはO橋・228ペア。
こちらのペアは昔、旭川カヌーレースに出場した実績があり、普段からシングルパドルで漕いでいるので、急造タンデムのI山・ウッチーペアよりは、まだましである。

しかし、落ち込みはクリアしたものの、その後に岸に付けることができず、そのまま次の瀬へと向かっていった。
どうなるのかと思って見守っていると、瀬の途中で水舟になって沈。
やっぱり今日は、国体コース下からのスタートにして正解だったようだ。

そうして、国体コース下に移動したところ、そこにI山・ウッチーペアの舟の姿は無かったのである。
そこでも舟を回収することができず、舟だけが下流に流れていってしまったのだ。



その舟を追いかけていった人もいて、大量のラフトが下ってきたこともあって、慌ただしく再スタートする。
舟が無くなったI山・ウッチーペアは、O橋艇とH山夫婦のダッキーにそれぞれ分乗して下っていく。

思わぬところに激しい瀬があってビックリした。
その代わりに、飛び出した岩壁に本流がぶつかっていた以前の難所は、本流の流れが変わって全く問題なく下れるようになっていた。


思わぬ激しい瀬にビックリ

昔の難所だった岩


そこを過ぎた先にI山・ウッチーペアの舟が流れ着いていたようで、ここで今日初めてメンバー全員が揃うことができた。
点呼をとると、参加者は22名。


途中で集合写真を撮る

昨日のシーソラプチ川の39名と比べると、随分と減ってしまった。
今日のコースの方がのんびりと下れるのに、やっぱりシーソラプチ川の方が人気があるのだろう。

それに、2年前の台風により今回下る区間は大きな被害を受け、河畔林の多くが流され、今は堤防で囲まれた詰まらない川に変わってしまったことも影響しているのかもしれない。

昨日の夜には、空知川は詰まらないから今日もシーソラプチ川を下ろうなんて話も出ていたくらいである。
私は、どんな川であっても下ることができればそれで満足できるタイプなので、今日の空知川に何の不満も無かった。

水が多いおかげで川の流れも速く、ところどころに瀬も現れる。
退屈しないで下ることができる。


この辺りは台風被害もあまり気にならないが、昔の風景とは全然違っている


前を下っていたガンちゃんが、ちょっとしたザラ瀬で沈をした。
ボートレスキューのできるメンバーは周りにいなく、ガンちゃんはカヤックに掴まったまま流されていく。


ガンちゃんを待ち受けていた流木ストレーナー

その先で待ち構えていたのはガンちゃんの大好きな倒木。
しかも、その倒木が大量に積み重なって巨大なストレーナーとなっているのだ。

それに気づいたガンちゃんは、直ぐにカヤックを離して、岸に向かって猛然と泳ぎ始めた。
先月のレスキュー講習会で教えられたアグレッシブスイミングである。
見事な泳ぎっぷりで、しっかりとフェリーアングルもとれている。

ガンちゃんは無事に岸まで泳ぎ着き、流されていたカヤックも基本通りに起こされていたので、ストレーナーに吸い込まれることなく、他のメンバーに確保された。
もしも、レスキュー講習を受けていなければ、もっと違った結果になっていたかもしれない。


この後、何故かO橋さんはダッキーに乗せられて下っていったのだが、その理由は未確認である



途中では災害復旧工事がまだ続いていた。
町の近くでは堤防等の整備もほぼ完了しているが、全体の工事が終わるにはもう少し時間がかかりそうだ。


川に押し出されている土の山

川に迫るように土が押し出されていて、少しでも雨が降ればその土は直ぐに川に流れ出て、川の水をまっ茶色に濁らせる。
工事が終わり、その工事の跡も分からないくらいに自然の姿が戻ってくるには、10年、20年の歳月がかかるのだろう。

タンデムの2艇が退屈し始めたようだ。
カヤックに乗っている時でも、退屈してくると何艇かで繋がったまま瀬を下って、キャーキャーと騒いでいる。
カヤックがカナディアンに変わっても、同じことを始めた。

そして瀬を越える度に、ラフトツアーのお客さんみたいにパドルを上に突き上げては「イェーイ」と歓声を上げていた。
近くに寄るとその仲間に入れられそうなので、間隔を開けて下っていく。


騒ぎを起こした後、岩の上から救出されるO橋さん

他の舟も巻き込んで繋がったまま下っていると、O橋さんのカナディアンが岩に乗り上げてしまった。
逃げ遅れたちいちゃんが、その下に挟まれる。
ちいちゃんはO橋さんが助け出したけれど、今度はO橋さんが岩の上に取り残された。
やっぱり、彼らに近付くとろくなことがないのである。

それで懲りたかと思ったら、彼らはそんな慎み深さとは無縁だった。
何時の間にか、私たちの直ぐ後ろから「イェーイ」の歓声が聞こえてきていた。
慌ててパドルに力を込め、クレイジーな集団との距離を開ける。

前方に噴水の瀬らしき場所が見えてきた。
台風被害ですっかり様子の変わってしまった噴水の瀬の姿は去年も見ていたけれど、今年は周りの護岸工事も終わって、更に様相が変わったはずだ。
「上陸できる場所があれば下見しましょう」と言っておいたのに、前を下っているメンバーはどんどん下りていってしまう。


前方に噴水の瀬が迫ってきたが、後ろからは別のものが迫ってきていた


最近の噴水の瀬の様子は、ユーチューブにアップされていた動画で見ていたので、そのまま下っても特に問題はない。
ただ、真後ろから「やばい、やばい」との声が迫ってきているのが問題だった。


大型カナディアン2艇が下に潜り込んできたら一たまりもない

最初の落ち込みを無事にクリアしたと思った瞬間、私たちの舟は下から突き上げられるようにゴロンとひっくり返った。
その衝撃で、かみさんが水の中に飛び出していく。

私も水の中に落ちる瞬間、後ろで団子になってひっくり返っている沢山のカヌーの姿が見えた。

自分たちが沈する時、何時もならば何が原因なのか分からないことが多いのだが、今回だけははっきりと分かっていた。
大型カナディアンに後ろからど突かれたのである。

近くから見ていた人の話しでは、この時、大型カナディアン3艇、OC-1が1艇、カヤック2艇が一気にひっくり返ったらしい。(O橋艇から撮影された動画

流されながら自分の舟を確保しようとしたが、凄い速さで私の横を通り過ぎていって掴み損ねる。
こうなると、舟の確保は他のメンバーに任せるしかない。


N島さんは最初から、かみさんしか助ける気が無い

N島さんがロープの準備をしていたが、その目はかみさんにしか向いていない。
レスキューされる望みはゼロなので、私はしょうがなく岸に向かって泳ぎ始めた。

ここでも先月のレスキュー講習が役に立った。
パドルのグリップを片手で握り、フェリーアングルをとりながらクロールの要領で泳いでいく。
流れは緩かったけれど、泳ぎはあまり得意ではないので、岸に着くまでやや暫く時間がかかる。
流された舟は、パムさんとめぐちゃんが浅瀬まで押してきてくれた。
先に岸に上がっていたかみさんが、走ってそれを取りに行く。

そしてようやく一件落着。
増水したシーソラプチと空知川を下り、一度も沈しないままに例会を終えられそうだったのに、思わぬところで沈。
過去、噴水の瀬では一度も沈していなかったのに、その記録も途切れてしまった。
かみさんは大層ご立腹の様子だったが、何事も無く下ってしまうよりは、こんなトラブルも面白いものである。


下流側から見た噴水の瀬


さすがにこれで懲りただろうと思っていたら、再び繋がって下る2艇のカナディアン。
完全にいかれているとしか言いようがない。


岩盤スライダーが目の前に現れた

2年前の台風で川底が洗堀され、新しくできた岩盤スライダーの瀬が近づいてきた。
ここも「下見してから下りましょう」と言っていたのに、誰も岸に上がろうとしないでそのまま下っていく。

手前から瀬が続いているので、先頭で下っている人も、その先に岩盤スライダーがあるとは思っていなかったのかもしれない。
大きな落差のあるスライダーが見えた時にはもう避けることはできないのだ。

増水した岩盤スライダーは迫力のある波が立っていた。
ここは絶対にポーテージすると言っていたガンちゃんも、そのまま下るしかなかった。
いかれたカナディアン2艇も、繋がったままそこを下っていった。

結局ここではI山・ウッチーペアとカヤックのI田さんが沈しただけで終わる。
岩盤スライダーは下る場所によって波の立ち方も違うので、やっぱりここは下見してから下った方が面白そうである。


岩盤スライダーの全貌


そうして福寿橋手前で上陸。
新しく造られた堤防には階段も付けられていたけれど、傾斜が急なので大きなカナディアンを引き上げるにはちょっと苦労する。
途中で降り始めた雨も、ゴールする頃には上がっていて、気持ち良く二日間の例会を終える事ができたのである。
 

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(当日12:00空知川水位 幾寅観測所:354.16m)



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