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シーソラプチ川(2018/08/18)

大増水の例会

カヌークラブ8月例会の初日は、シーソラプチ川を下る。
現地へ向かう途中に見た鵡川は、数日前に降った雨の影響で大増水。まっ茶色の水が濁流となって流れていた。

同じくシーソラプチ川も増水していたけれど、水は濁ってはいない。
ただし、幾寅観測所の水位は、私が過去に下った中では一番多かった。
渡月橋から眺める国体コースも、何時も見えている岩の殆どが水没している状況である。


殆どの岩が水没している国体コース


そんな川を、これから39名の大所帯で下ろうと言うのだから、クレージーと言われてもしょうがない。


参加者は39名

今回のツアーリーダーはタケちゃん。
3月に二人目の子供が生まれたばかりで、今年はまだ一度も例会やミニ例会には参加していない。
それが今回は、ツアーリーダーになっていると言う理由で奥様のお許しが出たらしく、39名の参加メンバーの中でも一番張り切っているように見える。

最近のクラブの例会は参加者も多くなり、役員の間でも大人数で如何にスピーディーに且つ安全に下るようにするかで話し合われていた。
グループに分けたりとか、方法は色々あるけれど、あまり堅苦しくしても例会の楽しさが失われてしまう。
最終的には、役員が声掛けしながら下っていこうとの結論となる。

スタート前のミーティングでも、タケちゃんからそんな事が話された。
しかし、今日の水量ではそれもなかなか難しそうだ。
参加者それぞれが、自分の身は自分で守るといった気持ちで下ってもらうしかない。

スター地点から直ぐに始まる瀬も、増水していて結構な迫力である。
そこで皆の写真を撮ろうかと思ったけれど、全員が出艇してくるまで暫く時間がかかりそうなので、先に下っていくことにする。


スターとして直ぐに瀬が始まる


その先も、途中で写真を撮るのは数枚だけにして、どんどん下っていく。
人数が多過ぎて写真を撮るのに時間がかかることもあるけれど、流れが激しいので、自分が沈しないように下るだけで精一杯なのである。

右岸側から倒れ込んでいる倒木を避けるために左に寄ろうとしたが、水深が浅くてカヌーの底が石に引っ掛かり、そのまま倒木の方へと流される。
倒木直前の岩に乗り上げて、まともに倒木に突っ込むことだけは避けられた。


行っては駄目な場所を流される熊さん

しかし、後ろからきていた熊さんは、右岸側をまともに下ってきていたものだから、まともに倒木に突っ込んでいったのである。
水面と倒木との間が少し開いていたので、手前で沈してそのまま倒木の下を潜り抜けて流されていった。

この日の夜の宴会で熊さんは他のメンバーから、この時のことについて「絶対に行ってはダメなところにどうして行くんだ!」と散々責められ、そこから話はカヌーの技術論まで膨らんで、そこまで言うのかと思えるくらいに皆から意見されていた。

「熊さんになら何を言っても大丈夫」
そう思わせる熊さんのキャラによる部分もあるのだけれど、普通の人なら「もう、こんなクラブ止めます」と言っても不思議ではない。

確かに「倒木が前方に見えているのに、どうしてそのまま向かって行くのだろう」とは思ってしまうが、私だってそれを避けきれずに突っ込むところだったのである。
会員のスキルを上げることはツアー全体の安全性を高めることにも繋がるのだけれど、そればかりを追求していては窮屈なクラブになってしまう気がする。



五流の瀬では、水が少ない時は左岸側から落ちるしかないが、今日の水量ならば右岸の方からも下ることができる。
私はいつも通りに左岸側から降りて、そのまま撮影ポジションに付く。


右岸側を下るちえちゃん

左岸側を下るI田さん


沈して流れてきたI田さんと舟を回収していると、H池・baubauペアのカナディアンが落ち込みのど真ん中を下ってきた。
下るのなら右寄りか左寄り、真ん中は止めた方が良いと言われていた、その真ん中である。


真ん中のコースでひっくり返ったH池艇

案の定、落ちると同時にひっくり返ってしまう。
舟と一緒に流されてきたbaubauちゃんをレスキューしていると、O橋さんの「やばい、やばい」との声が聞こえてきた。
落ち込みの下に取り残されていたH池さんが、そこで巻かれていたのである。

真っ白なホワイトウォーターの中ではライフジャケットの浮力も失われるので、巻かれながら何度も浮き沈みしていた。
皆がロープを投げるものの、慌てているので木の枝に引っ掛かったり、ロープを離してしまったりと、H池さんは相変わらずもがき続けている。

そこへI倉さんの乗っていたカナディアンMEが上から流れてきた。
それに押し出されるように、H池さんがようやく落ち込みの下から抜け出すことができた。
そこへ今度はI倉さん本人が体一つで流れてきて、ようやく自分の舟と一緒になれた。
と思ったら、そこへ大型カナディアンのPOSさんが下ってきて、I倉さんとMEの上を乗り越えていく。


やっと助かったH池さん、POSさんに轢かれるI倉さん



POSさんの舟にしがみついて脱出したI倉さん

轢かれてしまったI倉さんは大丈夫だろうか。H池さんの代わりに、今度はI倉さんが巻かれてしまうのでは。

そう思って心配していると、I倉さんはそこを無事に下ったPOSさんの舟にちゃっかりとしがみついていたのである。

全てが僅か1分ほどの間の出来事だった。
目の前でH池さんが溺れかけた様子を見ていたbaubauちゃんは、体の力が抜けてしまった様にその場にしゃがみこんだ。
水が多い時の川下りは、何が起こるか分からない。

天気も良くて、水がキラキラと輝く。
美しい風景だけれど、それを楽しんでいる余裕もない。


こんな流れだけなら景色を眺めながらのんびりと下れるのだが


次の難所はクランクの瀬。
しかし、その手前も激しい瀬になっていた。
良い写真が撮れそうだと思って横の岩の上に登ると、姫さんが沈して流されてきた。


姫さんの舟が赤い腹を見せている


人間は直ぐにレスキューされたけれど、流されたカナディアンは簡単に回収できない。
何時もならばカヤックのメンバーが岸までカナディアンを押していってくれるのだけれど、増水して流れの早い川ではそれも難しい。
カヤックが数艇、流された舟を追いかけて下っていった。


滅多に見られないレアなタンデムだ

H池・baubauペアも沈したけれど、舟はそのまま岩の横に張り付いていたので、簡単に回収できた。
もしもこの舟も流されていたとしたら、ちょっとした問題になっていたところである。

舟を失った姫さんは、I倉さんのMEに乗って下ることになる。
そのすぐ先で待っているのはクランクの瀬。
私がI倉さんに譲ったMEは、ホワイトウォーター用の安定性の悪いカナディアンである。

何時もはSUPに乗っているI倉さんなのでシングルパドルには慣れているけれど、それでも乗りなれないカナディアンである。
五流の瀬でも沈していたくらいなので、冷や冷やしながら見守っていたが、何とか無事に下っていったようだ。



クランクの瀬は岩が隠れてしまって、そのまま真っすぐに下ることができた。
水が多い時は、何時もとは違う場所に難所ができて、何時もの難所が意外と簡単に下れたりするのである。
姫さんも、無事に自分の舟と再会することができたようだ。
一番の難所のトラウマの瀬は、特にトラブルもなく無事に通過。


この辺りは穏やかな流れだ

来週の日曜日には、このシーソラプチ川で南富良野カヌー大会が開催される。
以前は空知川の国体コースが会場となっていたけれど、台風の災害によりゲートの設置ができなくなったため、場所を変えて開催されることとなったのである。

下る区間は落庵から国体コースの手前まで。
そこならば私達でも下れそうなので、その大会に夫婦でエントリーしていた。

落庵から先は、その予行演習のつもりで下っていく。
何時もならば簡単に下れる区間だけれど、水が多いのでなかなか厳しい流れになっていた。

王子橋下流の一番の難所は岩がほとんど隠れて何処でも下れそうに見える。
私たちはいつも通りに、古いコンクリート擁壁にぶつかっていくコースを下った。

そして直ぐに岩の上に登ってカメラを構える。
何処を下っても大して変わりは無さそうだけれど、何時もは下れない左岸寄りのコースが一番安全そうなので、大型カナディアンはそちらに誘導する。


H山夫妻のダッキーは流石に安定している


何とか全員無事に下り終えて、そこで昼食。


昼食タイム

たまたまそこに来ていた若者グループが、次々と下ってくる舟の多さに唖然としていた。
確かに、何かのイベントでもない限り、これだけ沢山の舟が川を下ってくることなんて、他では有り得ないだろう。

国体コースの手前で、H池・baubauペア、POSさん、kenjiさん、姫さんのカナディアン組がリタイア。
五流の瀬でも、その手前の沈で肩を痛めた熊五郎さん夫婦がリタイアしていたので、39名中7名が途中棄権となった。
しかし、姫さんは上陸地点の手前で沈して、再び舟だけ流してしまった。
何とか三段の瀬手前で舟を回収できて、事なきを得る。

その後は、一人だけ三段の瀬で沈してそのまま下流まで流されていった以外は、無事に三段の瀬をクリア。
増水した時の三段の瀬は落差が小さくなるので、普段よりも難易度は下がる気がする。


楽しそうに国体コースを下るツアーリーダーのタケちゃん

しかし、渡月橋の落ち込みはそうはいかない。
いつも以上に激しい波が立っていた。
そこで沈すると、大型カナディアンのレスキューは難しいので、そのまま更に下まで流れていくこととなり、下手をしたら上陸地点まで通り過ぎて流されることになるかも知れない。
そのため、私たちは一番最後から下ることにして、それまで撮影係に徹することにする。

私の撮影場所からは、落ち込みの先の様子が見えないけれど、何艇かが沈して流されてしまったようである。
ダッキーのH山さん夫婦と、カナディアンのT山さんは、沈こそしなかったものの、落ち込み横のエディに嵌ってしまって、そこから舟を出すのにロープで引っ張ってもらうなど、かなり苦労していた。


一人ずつ順番に下っていく



最大の難所である渡月橋の落ち込み


そうして一番最後に私たちが下る。
手前のパチンコ岩は、増水に寄って左岸側にチキンコースができていたので素直にそこを下っていく。
渡月橋の落ち込みは、最初に考えていたよりも真ん中から入ってしまい、結果的にヒーローコースを下ることになってしまう。
しかし、結果的にそれが一番正しいルートだったらしく、皆の歓声を浴びながら豪快に瀬を下って、最高に気持ちが良かった。


狙い通りのコースを下る

ヒーローコースに入ってしまった


その下流の瀬も、いつも以上に大きな波が立っていてヒヤッとさせられる。
私の心配していた通り、ゴール地点を通り過ぎて流された舟も何艇かあったみたいで、その回収に苦労していた人達もいたようである。
大人数で増水した川を下っていると、どこで何が起きているのかさっぱり分からなくなる。
それでも全員無事に川を下り終えて、例会初日は楽しく終わることができたのである。


川下りの動画へ 

(当日12:00空知川水位 幾寅観測所:354.19m)


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