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沙流川アッパー(2017/10/09)

憧れのアッパーにチャレンジ

沙流川アッパーとは、何時も下っている沙流川オートキャンプ場から更に上流部分のことである。
ミニ例会で下っている人達は何人もいるけれど、私達はまだ下ったことはない。

私の実家の清水町へ行く時、数え切れないくらいにその横を通っていた川なので、何時かは下ってみたい川の一つになっていた。
しかし、それなりに難易度の高い川なので、ミニ例会への参加も躊躇ってきた経緯がある。

例会3日目は鵡川の福山から下流を下る予定になっていたが、車廻しも大変で8月のミニ例会では水不足で苦しめられたこともあり、前日になって沙流川アッパーに変更された。
丁度良い機会なので、渋るかみさんを説得して参加することに決める。
昨夜は、他のメンバーが「青巌峡と比べたら全然大したこと無いから」とかみさんに言っているのを横で聞いていた。
「そんな訳あるはず無い」とは分かっていたけれど、余計な口は挟まずにいたのである。

HOA北海道アウトドアアドベンチャーズさんに車を置かせてもらって、そこから川下りがスタート。
直ぐ上流は、去年の台風により国道の橋が流された現場である。
現在は橋の架け替え工事が行われている真っ最中で、下流側では川の護岸工事も行われている。

そんな中、集合写真も撮らずにそそくさと下り始める。
何度か、他の人が撮した写真で見たことはあるけれど、台風の増水で流された車が、川原で無残な姿を晒していた。

参加者は21名。
こんな大人数で沙流川アッパーを下るツアーなんて、多分これが初めてだろう。
カナディアンのKさんまで参加していて、その勇気に驚いてしまう。

工事現場を過ぎたところで、早速最初の難所が現れた。
まずは全員で下見をする。


私達はチキンコースを下る

ここを何度も下っているKSさんは、こんなに水が少ないのは初めてだと言っていた。
まともに下れそうなのは右岸ギリギリのルートだけだ。

トップバッターでここを下るのは、沙流川アッパーを下ると聞いて今日になって札幌から駆け付けて来たTちゃんである。
今日が川下り3日目になる他のメンバーと違って、元気一杯で張り切っていた。
何処を下るのかと思って見ていたら、ゴリゴリと岩を擦りながら、真ん中のルートを強引に漕ぎ抜けていった。

私達は、右岸ギリギリの所謂チキンコースを下る。
チキンコースとは言っても、岩が絡んでいてそれなりに嫌らしい流れだ。
他のメンバーはほとんどがTちゃんと同じコースを下っていた。

「何でわざわざ、そんなに下りづらいところを下るの?」と思ってしまう。
今日の参加メンバーは、少しいかれた人達のようだ。


わざわざ中央の難しいルートを下る人が多い


そこから先、何ヶ所か瀬が現れるが、下見をしないでも何とか下っていける。
ただ、私にとっては初めて下る川であり、何が有るか分からないから、後ろの方から慎重に下っていく。


カヤックで下れるからと言って、そこをカナディアンで下れるとは限らない。
そもそも、ここを大型カナディアンで下ったと言う話しを私は聞いたことがないのだ。
自分の目で確認しながら下っていくしかないのである。

次の下見ポイントは、国道274の擁壁の下である。
国道を走りながら何度も見ていたところだったけれど、本当にやばい箇所は擁壁の真下にあったので、車の中からは確認できていなかった。


私達は左岸ギリギリルートを下った

ここも岩だらけの瀬だった。
下れるルートは今度は左岸ギリギリである。
先程の瀬はチキンコースと言えたけれど、ここはどう見てもチキンコースではない。

下見するのに舟から下りるのが面倒くさいと言って下で待っていたUさんが、問題無いと聞いてそのまま左岸ギリギリを下っていった。
次に下っTちゃんは、わざわざその横の岩だらけのルートを下っていった。
他の人もそこを下っていく。
やっぱり、いかれた人達としか言いようがない。

左岸ギリギリルートはカナディアンでも何とか下れたけれど、その横はとても下る気にはなれない。
他の人が下るのを見ていても、岩にぶつかって怪我をするんじゃないかとヒヤヒヤしてしまう。


敢えて難しいルートを下る人


その下流の堰堤は、ゲートが開いていたので、その中を通過。
そこでお昼の休憩。
何時の間にか上空には青空が広がっていて、この日が3日間で一番良い天気となった。


スタート時に撮れなかった集合写真をここで撮影。
再スタートする前にIさんから説明があった。
いよいよここからが沙流川アッパーの核心部となり、下見してから下るところが3箇所あるらしい。

その一箇所目は、私もかなり昔に見にきたことがあり、雰囲気は分かっていた。
岩だらけの流れが最後は落ち込みで終わっている。
落ち込みの方は何とか下れそうだが、問題はそこまで辿り着くためのルートである。

カヤックは概ね同じルートを下っていたが、カナディアンでそのルートは難しそうだ。
かみさんと話し合って、最終的な攻略コースを決定。
先に下った熊五郎さんは、私の考えたのとは全く違うルートを下っていって、途中で座礁しながらも落ち込みまでクリア。
私達は、打ち合わせ通りのルートで何とか下ることができた。

ガンちゃんは最後の落ち込みで沈して、何時も通りの瞬脱。
ちえちゃんも全く同じ様な形で沈したが、こちらは見事にロールで起き上がって皆からの喝采を浴びる。
さすがのガンちゃんも、これにはショックを受けたようだ。


落ち込みに辿り着くまでが一苦労


次の下見ポイントはアンダーカットの岩だと聞いていた。
その手前で上陸すると思っていたので、安心して前の方を下っていく。
しかし、瀬の手前まで下ってきても上陸せずにそのまま行ってしまう。

「あれ?ここは違うの?」と思いながら私も下り続けていたら、瀬を下った先でいきなりIさんがストップサインを出してきた。
しかし、私は既に瀬の中に入っている。
前を下っていたMさんが何事も無く下っていったのが見えていたし、その先に障害物が無いことも確認できたので、このまま下っても問題無いと判断した。

川幅が狭まり、その中央に岩が頭を出している。
その岩の左側を通り抜けようとした瞬間、岩と岩との間にカヌーがスッポリと挟まってしまった。
中央の岩に水が被っていて分からなかったのだが、その隙間は見た目以上に狭かったのである。

岩の間に挟まった状態のまま、カヌーの中に水が流れ込んでくる。
これはまずいなと焦っていたら、もっとまずい事態となった。
Kさんのカナディアンが横向きになって張り付いてきたのである。

先に何が有るか分からないような川を大型カナディアンで下る時は、前を下る舟に何かトラブルがあったとしたら直ぐに止まれるだけの間隔を開けて下ることが大切である。
Kさんは何も問題無いと思って油断して間隔を詰めていたようだが、川では油断が命取りとなる。


皆で力を合わせて岩に張り付いたカヌーを剥がす

私達の後ろにいたTちゃんのOC-1は、直ぐに小さなエディに逃げ込んだし、真ん中の岩の右側にも通り抜けられるスペースがあった。
それが出来ないのであれば、油断は絶対に出来ないのだ。

私の舟は直ぐに外れたけれど、上流側に傾いて横向きになって張り付いたKさんのカナディアンを岩から引き剥がすために苦労することとなる。
最後はバウとスターンにロープをかけ、それを大勢で引っ張って、ようやく岩から剥がせたが、舟は気の毒なほど潰れてしまっていた。
しかし、ロイヤレックスの復元力は素晴らしく、岸に引き揚げた後、間もなくして、潰れた舟は自然に元の形に戻り、Kさんはこの後も下り続けられたのである。

結局、二つ目の下見ポイントの場所とは違う分流を下ったらしく、それで下見をしなかったというのが実際のところだった。

三つ目の下見箇所まで辿り着くまでにも幾つかの瀬が現れ、沈脱者も出てくる。
初めて沙流川アッパーを下る他のメンバーが、ここが三つ目の瀬なのかと経験者に聞いていたが、勘定には入っていない瀬だとのこと。
さすがに沙流川アッパーは侮れない。

太陽の日射しが河畔の紅葉した木々を明るく照らし出す。
曇り空の下で見る紅葉も落ち着いた美しさを見せるが、やっぱり陽の光に照らされた紅葉の方が美しい。


そうしてやって来た三つ目の下見ポイントは、大きな落ち込みになっていた。
落ち込みと言うより小さな滝と言った方が適切かもしれない。


一目見て、チャレンジする気を無くしてしまった

ここをタンデムで下ると、バウが思いっきり刺さりそうなので、私達はやむなくここをポーテージすることとなる。
他の人がここを下る動画を見た時、大型のカナディアンでチャレンジしてみたいと思っていたのだが、かみさんに全くその気がないので諦めるしかなかった。

しかし、Kさんはここにチャレンジして、あっさりとクリアしてしまったのだ。
真上から落ち込みを見た時は恐ろしい滝に見えたけれど、違う角度から見ると急角度のスロープのようでもあり、これならばバウが突き刺さることも無いかもしれない。
十分に下るだけのスキルがありそうな人でも、ここをポーテージしていたし、滝落ちにチャレンジするかしないかは、その人の趣向の違いによることが大きそうだ。

下見ポイントを過ぎれば後はゴールまで何も無いのかと思っていたら、まだまだ難所は続いた。
私達も一度、瀬の中の岩に乗り上げてしまったが、私がその岩に乗り移ってカヌーを剥がし、動き始めたカヌーに再び飛び乗って難を逃れる。

美しい紅葉が目の前に現れるが、瀬の中で岩を避けるのに忙しく、楽しんでいる余裕も無い。
そうして、初めての沙流川アッパーを無事に下りきって、ゴールまで辿りついた。


人数が多く下見に時間を費やし、途中でトラブルもあったことから、ここまで5時間以上もかかっていた。
時間がかかりすぎて、車を置かせてもらっていたHOAの方が、心配して後を追って下ってきたらしい。
沙流川アッパーは大人数のツアーで下るような川ではないのである。

でも、最終日を下らずに帰ったとしたら、3日間漕ぎ通したこの大きな充実感を決して得られなかったことだけは確かである。



沙流川アッパーの動画
(当日12:00沙流川水位 幌毛志:57.03m)



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