北海道キャンプ場見聞録
沙流川(2017/10/07)
紅葉と瀬のコラボレーション
カヌークラブの10月例会は、例年と同じく紅葉に包まれた日高の川を下りまくる3日間。
その初日は沙流川だ。
下る準備をしていると、近くに設置されているスピーカーから「発電のため放水するので川から離れてください」との放送が何度も流れてくる。
経験のないYさんは、この放送を聞いて本気で心配していたようだが、他のメンバーは「サッサと放水してくれ~」と水が増えるのを楽しみにしていた。
参加者は24名。
生憎の曇り空だが、それがかえって鮮やかな紅葉の衣をまとった山々の風景を落ち着いたものに変えていた。
展望台下の大岩は、土砂に埋もれて完全にその姿を隠してしまった。
その先に現れる瀬が、最初のウォーミングアップとなる。
流れの中に頭を出している岩に何艇かが乗り上げていたが、全員が無事に下り終える。
そしてその先の岩のゲートを通り抜けて、いよいよ紅葉に彩られた沙流川渓谷の中へと入っていく。
今年の紅葉は例年より色鮮やかだと聞いていたが、沙流川渓谷の紅葉は例年並みといったところだろうか。
ここの紅葉は何時も鮮やかなので、これ以上を期待するのは無理なのかもしれない。
上流の災害復旧工事の影響で水が濁っていることを心配していたが、そんなに酷い濁りではない。
逆に、笹濁り気味に青く染まって周りの紅葉の中に溶け込み、更に美しい風景を作り出していた。
渓谷の中の分流は右側を下っていく。
そこを下り終え、瀬の中に飛び出ている岩の上に撮影ポジションを確保。
上流の方でカヤックが1艇沈してレスキューされていたが、遠すぎてカメラでは捉えられない。
そこから下ってきたKさんが、私の直ぐ目の前で律義に沈してくれた。
次にその上流でYさんが沈して、舟だけが流されてきた。
その舟は上手い具合にKさんが回収。
対岸に取り残された人間をどうしようかと考えていたら、Yさんはそのまま川の中を歩いてこちら側に渡ってきた。
川下りの経験は浅いYさんだけれど、サーフィンを長くやっているだけあって水を怖がる様子は全く無さそうだ。
そこからまた暫く紅葉の風景を楽しみながら下っていく。
両岸から川に被さってくる紅葉した木々、そしてその先では錦に彩られた山が待ち構えている。
何度見ても感動する風景である。
そして、瀬も所々に現れる。
分流部の瀬のように、邪魔な岩もほとんどなく、快適に下ることができる。
紅葉と瀬を交互に楽しみながら、三岡の瀬まで下ってきた。
瀬の手前で上陸して瀬の様子を確認。
そろそろ放水による影響もでてきている感じだが、恐ろしさは感じない。
何時もは嫌がるかみさんも、今日はすんなりと下ることに決めたようだ。
ここでは、最後の落ち込みに辿り着くまでの間も結構な瀬になっていて、増水時には手前の瀬の方が迫力を感じることもある。
今日は大丈夫だと思っていたが、それでもやっぱり少し水を汲んでしまった。
そして、最後の落ち込みに突入。
二つ目の波にまともに潜り込んで、カヌーはあっと言う間に水舟と化す。
それでも何とか、岸まで辿り着くことが出来た。
Yさんも果敢にチャレンジ。
手前から右岸側に寄せられ、完全な沈のパターンである。
と思ったら、右岸側の岩に半分乗り上げながらも見事にクリア。
姫さんは最初からここはポーテージと決めていたようで、1人で苦労しながらカヌーを運んでいた。
見かねたGさんが、姫さんのカナディアンに乗って瀬を下ってくる。
それも、パドルは使わずにガンネルを掴んで瀬の中を流されてくるだけ。
余計なことさえしなければ、舟は瀬の中で簡単にはひっくり返らないことを見事に教えてくれたのである。
結局、今日の三岡の瀬は誰も沈しないで終了。
一昔前は全員がポーテージして場所なのに、今はすっかり以前の荒々しさは無くなってしまったようだ。
そのまま、昼の休憩をとる。
三岡橋をすぎると一旦視界が開け、その先の轟橋から再び渓谷の中へと入っていく。
ここからが本来の沙流川渓谷と呼ばれている区間になる。
その轟橋の手前もちょっとした瀬になっている。
ここでも再び水舟となるが、増水時のような荒々しさはなかった。
渓谷の途中にももう一箇所瀬があるが、ここではもう景色を楽しむだけである。
黒々とした岩壁、その上の鮮やかに色付いた木々、所々で小さな滝も流れ落ちる。
何処から撮影すれば、この渓谷美を一番上手く表現できるか。
毎回、色々と考えるのだけれど、なかなか良いポイントを見つけられないままで終わってしまうのが常である。
写真撮影に気を取られるよりも、素直に周りの風景を楽しみながら下る方が良いのかもしれない。
荒々しい瀬に緊張することも無く、風景を楽しみ、瀬を楽しみ、快適に下ることができる。
今回くらいの沙流川が、私にとってはベストコンディションと言えそうだ。
明日は鵡川のダウンリバーである。
そちらの紅葉も楽しみだった。
(当日12:00沙流川水位 幌毛志:57.09m)