北海道キャンプ場見聞録
忠別川(2017/09/23)
一人だけ災難な川下り
東京から7月例会で一緒に川を下ったS田さんが北海道に遊びに来るというので企画されたミニ例会。
I山さんが選んだ川は、ダムからの放水により水量が安定している忠別川。
しかし、8月例会で下った時は17トン出ていたのに、その後ほとんど雨が降っていなかったので11トンまで減ってしまっていた。
それが、9月中頃から雨の日も多くて再び17トンまで回復。
これで無事に川を下れそうだと思っていたら、川下り前日になって再び11トンまで減ってしまう。
スタート地点の水量は先月とほぼ同じ
近くの宿泊施設を予約していたので下る川も変更できず、予定通り忠別川を下ることにする。
そうして何時ものスタート地点まで行ったところ、前回とほぼ同じくらいの水量だったので驚いた。
数日前に降った雨の影響なのか、川の水は若干濁っている。
支流が増水しているのかと思ったが、ダムはスタート地点の数キロ上流で、その途中に流れ込む支流はない。
I山さんの想像では、用水路への取水を止めたのでその分の水が増えたのかもしれないとのこと。
何はともあれ問題無く川を下れそうなのは良かった。
参加者は10名と、久しぶりの少人数での川下りである。
8月例会で2日連続で忠別川を下っているので、さすがに集まりは悪い。
でも、これくらいの人数の方が下りやすいのは確かである。
この下で倒木に突っ込んでしまった
水量が少なくてゴリゴリとカヌーの底を擦りそうなので、今回は穴の開きかけたフリーダムではなくMEを持ってきていた。
最近はようやくMEの扱いにも慣れてきたので、舟の種類の違いは大して影響ないだろうと思っていた。
しかし、先月は何の問題も無く避けられていた倒木に突っ込んで、危うく沈しそうになる。
MEでは、バウに乗るかみさんとの間隔が狭いので、素早くクロスにパドルを入れられないのが難点である。
私は右漕ぎなので、右側に曲がる時はどうにでもなるのだが、左に曲がる時はクロスを入れられないので、どうしても素早いターンができないのだ。
そこから先でも、左へ曲がらなければならないところで何度も倒木に引っ掛かりそうになる。
今回は、何時もはカヤックに乗っているウッチーさんが、次週の旭川カヌーレースの練習を兼ねてOC-1で参加していた。
カナディアンに乗るのは久しぶりらしく、見るからに危なっかしい。
S田さんがシーソラプチ川をサップで下るのを見た時はカルチャーショックを受けたけれど、その後クラブにサップ乗りの方が入会し、今は川にサップがいるのも見慣れた風景になっていた。
川にサップがいるのは今や普通の風景だ
堰堤はゲートが開いていてそのまま下ることができる
途中の堰堤はゲートが開いていた。
やっぱり、この時期になると用水路への取水が無くなるようである。
I山さんが偵察したところ、堰堤の下流には床止めブロックがあるけれど、カヤックならば通り抜けられそうとのこと。
底を擦るのが嫌なので、私達とサップのS田さんはポーテージすることにした。
そこから下流は、堰堤からの取水が無くなったため、前回下った時よりも明らかに水量は増えているようだ。
途中で止まれるエディも無いため、延々と続く瀬を下って、ようやく小さな中州に上陸することができた。
そこで皆の写真を撮ろうと思ってカメラを構えていると、遠くの方でウッチーさんが沈するのが見えた。
所々に浅瀬もあるし、直ぐにセルフレスキューできるだろうと思って眺めていたが、そんな様子もなく、舟と人間がバラバラになって流されてくる。
ウッチーさんが沈して流されてきていた
カヤックのメンバーが舟を岸に寄せようとするが、そのままどんどん流れてきていた。
このままでは下まで流されてしまいそうなので、腰に付けてあるスローロープの端をかみさんに確保してもらって、川に飛び込んで舟を確保する準備をする。
ボロボロになって流れ着いたウッチーさん
舟の方は途中の岩に引っ掛かって止まったが、人間の方はそこを通り越してまだ流されている。
今度はウッチーさんに投げる為にスローロープを構える。
そのロープを使うことなく、ウッチーさんはボロボロになって目の前の浅瀬に流れ着いた。
何故かヘルメットを被っていない。
おまけに、ライフジャケットのベルトも外れて脱げかかっている。
まるで激流の中をもみくちゃになって流されてきたような有様だった。
聞くところによると、タバコを吸いながら瀬の中を下っていて、瀬が激しくなってきたのでその様子を撮そうとヘルメットを外してそこに取り付けてあるカメラのスイッチを押そうとした瞬間に沈したらしい。
後で皆から「川を舐めているからそんなことになるんだ」と散々言われていた。
どうせなら、カメラのスイッチを押してから流されれば、面白い映像が撮れていたかもしれない。
慣れないOC-1で下るウッチーさん
沈した時に岩とカヌーの間に足が挟まって捻ってしまい、そのために瀬の中で起き上がれなかったらしい。
右足の甲を痛めたようで、カヌーは漕げるけれど、この後ほとんど歩けなくなってしまった。
流されたものもほぼ回収して再び下り始める。
瀬が一区切りついたところで皆はエディに入って休んでいたが、ウッチーさんはそこのエディに入れずにそのまま下っていってしまった。
ウッチーさんを見捨てるわけにもいかず、私達もその後を追いかけることにする。
しかし、そこから先は岩盤の瀬が延々と続く区間だった。
エディも無いので、ひたすら下り続けなければならない。
前を下るウッチーさんは、瀬の中でパドルを持ち替えたりして、まるで初心者パドラー状態である。
それでも何とか沈することなく、上陸できる場所まで下ってこられた。
青空も広がってきて、その後もウッチーさんを除いて気持ちの良い川下りが続く。
水量も十分で快適に下ることができる
青空が広がってきて気持ち良い
一人トボトボと川原を歩くウッチーさん
ゴール地点の堰堤も、ゲートが開けられ水が溜まっていなかった。
水が溜まっていれば、車を停めてある場所の近くまでカヌーで乗り付けられるのだが、今日は広い川原をカヌーを引っ張って歩かなければならない。
これはウッチーさんに気の毒だった。
カヌーを運ぶのは手伝えても、巨漢のウッチーさんを背負うことができるような人は誰もいない。
一人寂しく、川原をトボトボと歩いて、駐車場所まで戻って来た。
ウッチーさんにはこの後、パドリングジャケットを脱ごうとして腕のガスケットが破れてしまうと言う、更なる災難も追い打ちをかけたのである。
そんな災難だらけのウッチーさん以外のメンバーにとっては、天気も良くて水もたっぷりとあり、とても楽しい川下りとなったのである。
(当日12:00忠別ダム放水量 11.0トン)