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鵡川(2017/07/30)

12年ぶりの渇水鵡川

カヌークラブのミニ例会として企画された鵡川の福山~富内間のダウンリバー。
ここを下るのは、今回で5回目となる。
過去3回は、いずれも増水した中での川下りで、近づいてはならない大岩に私一人で特攻して沈したり、沈したまま堰堤に吸い込まれた人がいたりと、常に何か事件が起こっていた。

しかし今回の鵡川は、未だかつてないような渇水状態である。
12年前にこの区間を初めて下った時も確か、同じ様に水が少なかったはずだ。
その時はニニウから福山まで下るつもりでいたが、G藤先輩の「水が少ない時は福山から下流の方が下りやすい」とのアドバイスを受けて、この区間を下ったのである。
その時に乗っていた舟は、組み立て式カナディアンのアリー。
アリーで下れたくらいだから、今回も大したことは無いだろうと軽く考えていた。


福山大橋から川下りスタート

参加者は16名。
関西から札幌へ転勤してきたばかりのIくらさんが、SUPでの初参加である。
普通ならば「こんなに水の少ない鵡川をSUPで下れるの?」と思うところだが、7月例会の時にSUPでシーソラプチを下る人達を間近で見ていたし、IくらさんもSUP歴はかなり長いらしいので、心配することはなさそうだ。

水が少ないことを除けば、天気も良くて、最高の川下り日和である。
この区間を下る時の一番の難点が、車の回送が大変なことである。
往復で1時間40分。あまりにも遅いので、スタート地点で待っているかみさんが心配して電話をかけてくるくらいだ。


まずは気持ち良く下り始める

水は少ないけれど、座礁することもなく順調に下っていく。

スタートして直ぐに現れるはずのkamesimaの瀬が、なかなか見えてこない。
水量が多いと川の流れも速いので、これまではアッと言う間にkamesimaの瀬まで下ってきていたのだ。

ようやく、見覚えのある三角形の大きな岩が見えてきた。
途中で写真を撮っていたので、最後の方から下っていく。
沈した人は誰もいないようだ。

それで私も安心して下っていくと、岩に挟まれて細くなった流れの真ん中に、小さな岩が嫌らしく頭を出していて、危うくそれに引っ掛かるところだった。
水が少ないと、余計な障害物も多くなるのだ。


水の少ないkamesimaの瀬は岩が多くてドキッ!



水が多い時はこの大岩も水没している

その先の分流は、水が多い時は左岸側の流れがチキンルートとなるのだが、今回は分流にもなっていなくて右岸側の流れだけである。
隠れ岩の多い急な流れになっていたが、何とか隠れ岩にも掴まらずにクリアできた。

その途中、ど真ん中に大きな岩がデンと構えていたが、過去に下った時はこの大岩の上を水が流れていたはずである。

次の川原で昼の休憩にする。
スタートしたのが午前11時45分くらいだったので、まだ3キロちょっとしか下ってきていない。

休憩の間に今回もSUP試乗会が開催される。
私も支笏湖での試乗会の成果を試してみたが、やっぱり最後は皆の期待通りにひっくり返ることとなる。
SUPは面白いけれど、沈する時の衝撃だけはなかなか慣れることができない。


川原で一休み


そこから先、浅瀬が頻繁に現れるようになり、何度も座礁を繰り返す。
今日は、こんな事も有ろうかとMEに乗ってきて大正解だった。
7月例会で舟底に穴の開いてしまったフリーダムは、その後修理をしたのだけれど、その舟でここを下っていれば多分もっと大きな穴が開いていたことだろう。


MEで下っていると少々座礁しても気にならない


何時もならば、撮影班として先頭の方を下るのだけれど、途中で座礁すると後ろの人の迷惑になるので、今日は後ろの方から下っていく。


瞬時に下るルートを判断しなければならない

前方右岸に道路擁壁が見えてきた。
ここは以前、下見してから下った場所である。
しかし、今日の水量では誰も下見などしようとしない。
私達が瀬に入った頃には、既に皆、瀬を下り終えて下で待っているところだった。

嫌な予感はしていたけれど、やっぱり大きな岩がボコボコと頭を出していて、下るルートの見極めが難しい。
迷っている余裕は無いので瞬時に右岸よりのルートを選択したが、直ぐに後悔した。
何とか下れる隙間はあったけれど、最後にコンクリート擁壁に衝突してしまった。

その瞬間に舟の先端部分が欠け落ちたようで、それを見ていた皆はビックリしたようだ。
以前に岩にぶつけて凹んでしまったところをエポキシパテで補修していたのだが、欠け落ちたのはそのエポキシパテの部分だけだった


山から崩れ落ちた岩が瀬を作る

山の斜面が大きく崩れ落ちた風景が前方に見えてくる。
いよいよここから鵡川の核心部へと入っていくのだ。

その山から崩れ落ちてきた岩が流れの中に転がりそれを避けながら下っていく。

そして、大きく崩れ落ちた斜面の下に心許なく続いている道路のシェルターが見えてきた。
何時ものことながら、ここに来ると、人間と自然との闘いを間近で見ている気持ちになる。

そして、自然の力の大きさに軍配を揚げるのだが、今回このシェルターを良く観察していると、まだその機能は失われていないように見えた。
それならば何とかして、通行止めになったままのこの区間の道路を早く復旧してもらいたいものである。


崩れた土砂に押しつぶされているように見えるシェルターは、まだ機能を保っているようだ


その先の壊れた堰堤は、水の多い時は何時も左岸側にエスケープしていたが、今回はそのまま右岸の開口部を通り抜ける。
I山さんやY谷さんがカメラを構えて待っていてくれるだろうと思いながらそこを下っていったら、その先には誰もいなくてちょっとガッカリする。
既に皆は岸に上がって休んでいたのである。


SUPでの沈は頭から水中にダイブすることになる

今日はアブが多いので、撮影班も大変なようだ。
カメラを構えていると直ぐにアブが集まってきて、ゆっくりと撮影もしていられないらしい。

私達は今回、ムヒの虫よけスプレー「ムシペールPS30」を持ってきていたので、これに救われていた。
虫よけ成分のディートが30%も含まれている商品は他には無く、さすがにその効き目は素晴らしいのである。

ここでも休憩中にSUP試乗会が行われる。
今回はN島先輩が初挑戦。
サービス精神旺盛なN島さんは豪快な沈を4回も披露してくれて、皆は大喜びである。
でも、日頃から沈することを恐れないN島さんでも、SUPでの沈はさすがに辛そうだった。


壊れた堰堤で休憩中


既に午後3時近くになっていた。
まだ先は長く、早々に休憩を終えて再び下り始める。


大岩の瀬はポーテージしかできない

そしてやって来た、最大の難所とも言える大岩の瀬。
ところがここは、下る場所が何処にも無く、全員が川の中を歩く事となる。
本流と言えるような流れが無くなり、岩の間に流れが分散してしまったのだ。

その大岩で沈して流されたことを懐かしく思い出しながら下っていく。
その時は、その次の瀬が始まる手前で何とかレスキューされたのだが、そのまま次の瀬まで流されていたら、無事にいられたかどうかも分からない。

その、次の瀬はなかなかハードだった。
これでもかというくらいに次から次に現れる大岩。
それを必死に避けながら下っていく。
流れが緩いので、やや強引なルート取りでも何とか下れるので助かった。
これで水量が多くなった時の事を想像すると、恐ろしくなってくる。


岩の中を縫うように下っていく


今回、大型カナディアンで下っているのは私達の他に、熊五郎さんご夫婦とkenjiさんがそれぞれソロで漕いでいた。
カヤックは今回の水量でも何とか下ることができていたが、大型カナディアンにはなかなか厳しい川下りだった。


岩だらけの瀬の中で立ち尽くす熊五郎さん

特に、40キロを越える重戦車カナディアンを操る熊五郎さんは座礁の連続。
家に帰ってから今回の川下りの写真を見ていると、瀬の写真には必ずと言って良いほど、舟から下りて呆然と立ち尽くしている熊五郎さんの姿が遠くに小さく映っていたのである。

舟が歪むほど岩に張り付き、おまけにブヨにも好かれ、普通の人ならとっくに心が折れているところだろう。
でも、誰よりもカヌーが好きな熊五郎さんは、「これも修行だ」と笑いながら、めげる素振りも見せない。

発電所跡の建物が見えてきた。
廃墟好きにはとても魅力的な構造物である。
時間があれば、ここで上陸してもっとじっくりと見てみたいところだ。
S良パパの話では、旧穂別村の村長が村の開発を目的として建設したが、結局は失敗に終わった歴史があるらしい。


村営発電所跡はとても魅力的な廃墟だ



今回の川下りはMEに助けられた

この発電所跡を過ぎると急に景色が開けて、ようやく難所を通り過ぎたと何となくホッとするが、その先にもまだ気の抜けない瀬や、うんざりする浅瀬が現れる。

そうしてようやく、車を回してあった場所に辿り着いた。
スタートしてから4時間半もかかっていた。
こんなに時間がかかったのも、水が少なかったせいなのだろう。

MEのおかげで、何とか水の少ない鵡川を下ることができた。
と思っていたが、家に帰ってからMEの船腹が見事に割れていることに気が付いたのである。

鵡川のこの区間、水が多くても少なくても、簡単に下れるような川で無いことは確かである。


 (鵡川の川下りの動画へ


(当日12:00鵡川水位 福山:168.43m)



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