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空知川(2017/07/16)

GPSの記録にビックリ

カヌークラブ7月例会2日目の空知川。
参加者は今日も40名と、大所帯での川下りである。

40名の参加者となると、車の台数も30台を超えてしまう。
通常はゴール地点にほとんどの車を停めて川を下っていくのだが、これだけの台数をゴール地点に停めておける川なんて、北海道でも限られてしまう。
今日の空知川は山畔橋がゴール地点にだが、そこに停められる台数はせいぜい15台程度。
ツアーリーダーのたけちゃんが苦労して車の割り振りをし、ようやく川下りの態勢が整った。
佐賀への転勤が決まり例会参加がこれで最後になる少佐のために、集合写真は敬礼のポーズで決める。


少佐に敬礼!



そもそもSUPで三段の瀬を下ることが信じられない

今日は日曜日で工事が休みのため、ルウオマンソラプチ川の濁りも取れ、国体コースは何時もの清流に戻っていた。
今日も三段の瀬でSUPの豪快な沈シーンを楽しませてもらう。

後続部隊がなかなか下ってこないなと思っていたら、沈して川の中に取り残されてしまった聖帝さんのレスキューに手間取っていたようだ。
川の中に結構長い間浸かっていたため、聖帝さんは体力を消耗したようで、この後も沈脱を繰り返していた。

後でこの時の話しを聞いたら、川の流れも激しい場所ではなく、もっと早くに自力で岸に上がれたケースだったらしい。
レスキューロープが投げられるのを待つのではなく、自ら泳いで岸に上がるなど、各会員のセルフレスキューの技術を磨くことも今後は必要だとの意見がベテランメンバーの間から出されていた。


O橋さんの投げたロープに待ってましたとばかりに掴まるガンちゃん

一方、三段の瀬ではこの日もガンちゃんが瞬脱の妙技を披露し、O橋さんの投げたロープにつかまり悠々とレスキューされていた。
多分、クラブの中でロープレスキューされた回数でガンちゃんに勝てる人はいない。
それだけレスキューされていれば、ロープに掴まっている姿も堂堂として貫禄に満ちたものになるのである。

次の渡月橋の落ち込みでは、昨日は熊五郎さんが締めの沈をしただけだったのに、今日はちょっとした沈脱祭りとなっていた。
普段はほとんど沈したことのない、カナディアンソロの姫さんまでひっくり返っていた。

当然のことながらSUPの方々も沈しまくり。
カナディアンやカヤックでの沈と違って、SUPでは立った態勢から勢い良くダイブするようにひっくり返ることが多いので、周りに岩が有る場所では見ていて冷やっとすることがある。
それさえなければ、私もSUPで川を下ってみたくなってきた。


沈してSUPにレスキューされる姫さん



国体コース締めくくりの沈

今日の国体コースも、最後は熊五郎さんの沈で締めくくられる。

国体コースが終わったところで、カナディアンでゲスト参加のまるさんの奥さんと、久しぶりの川下りとなるT葉ちゃんが合流。
まるさんご夫婦は、何年か前の歴舟川例会でもゲスト参加してくれていた。
夏の例会では、北海道旅行にきている道外パドラーと一緒に川を下るのも、楽しみの一つである。

T葉ちゃんは2年前の千歳川例会以来の川下りである。
千歳川以外の川を下ったのは、7年前の今では伝説となっているシーソラプチ川例会にまで遡る。
増水したシーソラプチ川でT葉ちゃんは、10回近く沈脱を繰り返しボロボロになっていたのだ。
それ以降忙しくなったこともあり、川を下るのは春の千歳川例会の年に一度だけ。
それでも今回は、I山さんのクリーク艇を借りてそれで下るので、シーソラプチ川例会の悪夢の再現にはならないだろう。


最初の難所は下りやすくなっていた

ほとんどのメンバーは、去年の台風10号による大水害以降、国体コースから下流の空知川を下るのは初めてだった。
川幅が思いっきり広がり、全く別の川を下っている気分だ。

最初のちょっとした難所である、大きな岩に本流がぶつかっている場所は、以前とそれ程変わってはいなかった。
ただ、余裕をもってその岩をかわせるようになっていたのは良かった。

その先に川幅が広がって、流れの中のあちらこちらに岩盤が露出しているところがあった。
流れの先を読んでルート取りすれば、そんなに苦労しないで下れたけれど、結構あずっている舟も多かった。

特にSUPは底にフィンが付いているので、浅瀬ではそのフィンを引っかけてしまうようだ。
岩に引っ掛かるとSUPが突然止まるので、乗っている人は前に放り出されるのである。


こんな場所ではSUPも苦労する


河畔林に張り付く流木の山に圧倒されながら下っていく。


緊張して瀬を下るT葉ちゃん

障害物もなく、気持ち良く下れる瀬があった。
皆が楽しそうに下っていく中で、T葉ちゃんだけが緊張した表情を崩さずに下っていた。
それでもさすがにクリーク艇である。
瀬の中で後ろ向きになったこともあったけれど、ここまで沈しないで下ってきていた。

その先の広々とした川原で昼の休憩となる。
台風前の空知川には広い川原はほとんど無かったので、40人もの人数で休憩する場所を探すのに一苦労していたはずだ。
しかし、今の空知川は歴舟川を思わせるくらいにそこら中に広い川原ができていたので、場所探しには全く苦労しなかった。

その先も流木の山に圧倒され続ける。


倒木の山の間を下っていく



見覚えのある風景だと思ったら全然違う風景だった

ようやく見覚えのある風景が現れた。
カラマツ林に沿うように、川が大きく左カーブしているところだった。
でも、左側に広がる川原がやたら広がったような気がしていた。

それもその筈だった。
家に帰ってからこの日に下ったGPSのルートを地図に落とし込んでいると、ここでは以前のカラマツ林だった中に本流が大きく食い込んでいたのである。
川原が広がったと思った場所は、以前はカラマツ林があった場所だったのだ。

そんな事実にも気が付かないまま、噴水の瀬まで下ってきた。
ここには流木が入っていて危険との情報があったので、全員が上陸して下見をする。


ここにあったはずのカラマツ林が忽然と消えてしまった


最初の落ち込みの落差は小さくなっていたが、その先に上流側に根を向けた巨大な流木が横たわっていた。
その横に通り抜けられるスペースは空いていたけれど、もしもその手前で沈して流木の下に潜ってしまえば、ほぼ確実に死ぬと思われるくらいに危険な状況である。


噴水の瀬のポーテージは危険を伴う

当然のことながら、全員ポーテージの指示が出る。

流木も危険だけれど、ここのポーテージも危険である。
足元は苔でヌルヌルしているし、周りの岩はギザギザに尖っている。
以前にここでバランスを崩して岩に手を付き、それだけで手のひらをスパッと切ってしまった人がいた。
転びでもしたら大変なことになってしまう。

一足先にポーテージを済ませ、今までは樹木が生い茂っていた左岸の岩の上に登ってみる。
そこから見ても巨大な流木で、ちょっとやそっとでは無くなりそうにない。
噴水の瀬はこの区間を下る時の大きな楽しみの一つでもあったので、ここが暫くの間下れなくなるのは、とても残念だった。


流木の入ってしまった噴水の瀬


その辺りからポツポツと雨粒が落ちてきて、直ぐに本格的な降りになってきた。
この雨はある程度覚悟はしていたけれど、もう少しでゴールなので、それまで待って欲しかった。

その先には、去年の台風後に新しくできたプチナイアガラと呼ばれる瀬があり、その手前で岸に上がって下見をする。
プチナイアガラと言うので、横一列になった落ち込みを想像していたが、実物は滑り台のような滑床の瀬だった。


主のいないカヤックだけが流されてきた

同じ様な形状の人工の堰堤を見たことがある。
それは、我が家のフリーダムがポキリと折れてしまった留辺蕊川の堰堤である。
ただ、ここには傾斜が一定の場所もあるので、そこを下れば問題は無さそうだ。

と思って眺めていたら、誰も乗っていないカヤックが瀬の中を流れてきた。
K島さんのカヤックである。
岸に上げてあったのが滑り落ちてしまったらしい。
そのままどんどんと流されていく。

たまたま舟から下りずに川の上にいたウッチーさんに後を追いかけてもらう。
川の上からだと、落ち込みの先がどうなっているのか全く見えない。
岸にいる人から下る場所を指差されただけで、何も分からずに突っ込んでいくしかないウッチーさんがとても気の毒だった。
その後をパムさんが追いかける。


このラインを下るのが一番安全

流された舟は何とか回収できそうなので、残されたメンバーは順番に瀬を下っていく。
私達も予定していたルート通りに滑り台の様な瀬を滑り降りたが、それでも途中でカヌーの底をガツンとぶつけてしまった。
底に穴が開いたカヌーを補修して去年から大事に乗ってきたのに、ここでまた同じ場所を傷つけてしまったようだ。

私の下ったコースを見ていたはずなのに、他のカナディアンは左岸寄りのコースを下る人が多く、思いっきりカヌーの底を岩盤にぶつけていた。
途中で傾斜の変わっているこの様な場所を下るリスクを理解していないのだろう。
同じ様な形の堰堤でカヌーを折った経験のある私達は、絶対にそんな場所は下らないのである。

熊五郎さんの奥さんは、去年まで旦那とタンデムで下って何度も沈していた。
それが今年からは、ソロになって見違えるほど上手になっていた。
今回の例会でも熊五郎さんが何度も沈する中で安定した漕ぎを見せていたのだが、とうとうここで豪快な沈を披露してくれた。


豪快にひっくり返った熊五郎さんの奥さん

左岸寄りのラインはカナディアンには厳しい


 
ガンちゃんとT葉ちゃんは、知らない間にポーテージしていたようだ。
水が少ないとカヌーの底をぶつけてしまうが、もう少し水が増えれば、ここは噴水の瀬に代わる楽しいポイントになりそうである。

それにしても、何も無かった場所に突然こんな瀬が現れるなんて驚きである。
今までここを覆っていた玉石が、洪水で全て流され、その下の岩盤が出てきたのだろう。
この時はそう思っていた。

しかしこれも、帰ってからGPSのトラックを確認し、全く違う事実に気が付いたのである。
この瀬があった場所は、去年の台風10号が来る前は畑だったのである。
台風10号で大増水した空知川は農地を削り取り、水が引いた後も畑だった場所を流れ続けていたのだ。


青い線が今回下ったルート、そこに「台風10号の瀬」が出現したのである


新しくできたこの瀬に何か名前を付けられないかと考えていたが、なかなか良い名前が思い浮かばなかった。
しかし、この事実を知って直ぐにそれにふさわしい名前を考えついたのである。

台風10号で川の流れが変わったことによりできた瀬である。
台風10号による被害を記憶に留めておくためにも、この瀬を「台風10号の瀬」又は「10号の瀬」と呼ぶのが一番相応しいのじゃないだろうか。

ゴール地点に着く頃には雨も小降りになっていた。
去年の台風被害から市街地の復旧はかなり進んだけれど、川の上からはその生々しい爪痕をまだはっきりと確認できる。
一部では護岸工事も入ってくるのだろうけど、積み重なった流木が自然の風景の一部として同化するまで。まだ長い年月を必要としそうだ。



(当日12:00空知川水位 幾寅観測所 353.76m)



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