暖かな紀伊半島で北山川、古座川と穏やかな川を下り、北海道へ戻ってきて今年初めて下る川がトナシベツ川。 一週間後には屋久島へ出かける予定なのに、そんな川を下ってもしものことがあったらどうするんだろう。 天気もパッとせず、川の水量も今まで下った中では一番多そうな様子。 スタート地点の羽衣橋から先の林道は、まだ雪で埋もれたままだった。 まずは大きなカナディアンを川原まで下ろさなければならない。 トナシベツ川は霧に包まれ異様な雰囲気が漂っていた。 かみさんが水の中を指差す。 |
不気味な雰囲気のスタート地点 |
まあ、何とかなるだろう。 最初のカーブの瀬は何とかチキンへ逃げられた。 困ったな〜、まあしょうがないか。 軽く考えていた。 あれ?なんで? 雪解け水で増水した濁った水。 かみさんはカヌーから離れて独りで流されていく。 川底に足が着いて、そこで立ち上がることができた。 しばらくして、かみさんも座礁するように川の真ん中で止まった。 さて、自分はどうしようとと考えていると、岸に積みあがった流木の山からパムさんが姿を現した。 カヌーを先に回収してもらい、その次が私の番だ。 しかし、私とパムさんの間は10mも離れていない。 |
地獄で仏、激流でパムさん |
そうして、私もかみさんも無事にレスキューされて、再び一緒になる。 指が折れてても平気で下っていた過去のあるかみさんが辛そうにしているので、状態はかなり悪そうだった。 ここでリタイアしようと、川岸の崖を這い上がってエスケープするルートを探してみたが、道路まではかなり距離がありそうだ。 しかし、そこからの流れは更に激しさを増す。 もう一度沈することは絶対に避けなければならない。 Y谷さんが沈して流され始めるのがチラリと見えた。 Y谷さんは何とか無事に、手前の中州に流れ着いたようだ。 中州から川岸にロープを張って、そのロープにY谷さんが掴まって、岸へと移動する。 |
この中州にY谷さんは流れ着いたが、既にその姿は無い |
Y谷さんのことは他の仲間に任せることにして、私たちはここでリタイアすることを決めた。 か弱い女性のがんちゃん、尻を痛めたかみさん、これでは私一人で頑張るしかない。 途中で急な崖を登らなければならない。 林道まで出て来たときには3人ともボロボロになっていた。 そこで信じられない光景を目にした。 その後レスキューされたY谷さんは、低体温症になりかけていたことから、それ以上下り続けることを諦めて、途中で林道へ上がったとのこと。 そうして歩いて車を取りに戻り、皆のところに戻ってくると、川下りを終えた他のメンバーもちょうど戻ってくるところだった。 なお、かみさんの痛めたお尻は、打撲程度で済んで、予定通り屋久島の旅へ出発することができた。 2016年5月4日 雨時々曇り |
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