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沙流川

(キャンプ場〜三岩橋下流)

10月例会2日目は、今年の5月にも下っている沙流川である。
5月の時は水量もかなり多かった。
そこで我が家は沈をして、流されている間にかみさんが左手の小指を折ってしまうという、曰く付きの川なのだ。

川原は水没して浅瀬に今回もその時と同じく、スタート地点の川原が水没して無くなるくらいに増水していた。
ただ、車の回送中に見た三岡の瀬は、その時ほどの水量も無く、前回よりは少しは楽に下れそうだった。

前日は増水した鵡川を無事に下りきって、気を良くして臨んだ沙流川の川下り。
でも、何となく気持ちが乗っていない気がした。
それは、どんよりと曇った空のせいかもしれない。

車の回送後に、ヘルメットの下に被っている帽子と川下りの際の記録を取るGPSを車から降ろすのを忘れた事に気が付いた。
どちらも、それらが無かったとしても川下りには大した影響もない。
ところが、ヘルメットを忘れた人とパドルを忘れた人が出てきて、さすがにそれが無いと川は下れない。
急遽、取りに戻る事になったので、私もそれに便乗させてもらう。
今日は車の回送距離も短いので何とかなったが、昨日の鵡川では30分はかかるので、そこで忘れ物をしたら一大事である。

沙流川展望台下の瀬そんなドタバタもありながら、川下りが始まった。
まずは最初の難所である展望台下の瀬。その流れの真ん中で待ち構えている大岩は、今日の水量では水の下に隠れているはず。
それが分かっているので、私達は大岩の左を抜けるルートで下っていく。

ところが、前を下っていたガンちゃんは、まともにその大岩を乗り越え、そのまま姿が消えてしまった。
「あ〜ぁ、かわいそうに」と思ったら、間もなくしてその先に無事な姿を現したのである。

今日の水量ならば、ここで一人くらいは沈してもおかしくはないのだが、結局沈脱者は無し。
さすがに、今日の参加者がベテランメンバーばかりの事はある。
そんな中で、最初の沈はしたくはない。


沙流川を下る
左の小高い場所に展望台があり、その下が大岩の絡んだ瀬になっている

岩のゲートの先の紅葉そして問題の、前回沈した瀬へとやってきた。
他のメンバーは次々とそこを下っていき、気が付くと私達が一番最後になっていた。

瀬に入る前からカヌーがぐらついているのが分かる。
昨日は鵡川の大波の中でも安定していたのに、漕ぎ手の心の動揺がそのままカヌーに伝わっているようだ。

それでも無事に、トラウマになりかけていた瀬をクリア。
岩のゲートの先に広がる紅葉の風景を楽しむ余裕が出てきた。

前回は沈した後だったので、その先の瀬は皆に笑われながらもチキンルートを下っていた。
今回は逃げることなく、その瀬にチャレンジ。

敢えてチャレンジと言うようなレベルの瀬でもないのだが、何故かそこでカヌーが大きく傾いた。
「えっ?ここで沈しちゃうの?」
カヌーは完全に90度以上傾き、半分は水没。

沈寸前「ここで絶対に沈はしたくない!」
二人で必死にカヌーにしがみ付いていると、何とか元の状態に復元させる事ができた。

ここまで傾けば、以前のフリーダムならば完全にひっくり返っていただろう。
持ちこたえられたのは、MEの復元力のおかげかもしれない。(この時の動画

せっかく沙流川に対するトラウマが薄れかけてきていたのに、この沈寸前事件のために、再び弱気な心が大きくなってくる。
雨まで降り始めた。
まるで涙雨のようである。

周辺の山の紅葉も雨に霞んでしまうが、それはそれで紅葉が艶っぽく見えて美しい風景だ。
核心部の三岡の瀬の手前に、ちょっとした落ち込みなっている瀬があった。
水が少ない時はかなりの落差のあるところだが、増水したおかげで落差は小さくなり、大きな波が立っているだけだった。
そこは無事にクリア。
何時の間にか雨も止んでいた。


紅葉の沙流川
雨が降ってシットリとした紅葉の風景

紅葉の沙流川   紅葉の沙流川
この辺りの眺めも素晴らしい   紅葉に彩られた崖

そしていよいよ三岡の瀬である。
三岡橋の上から眺めるのと間近から見るのでは、瀬の様子は全く違ってしまう。
これならば下れそうかなと思っていても、激しい瀬の様子を目の前にすると、簡単に心は折れてしまう。
おまけに今日は、最初から弱気になっているので、これでチャレンジする気にはなれない。

三岡の瀬を下見ガンちゃんとY田さん、そして私達はあっさりとポーテージする事に決めた。
しかし、他のメンバーは全員がチャレンジするらしい。

以前はクラブの例会では、ここはポーテージすることが約束事になっていたこともある。
それが、数年前からは一部のメンバーがチャレンジするようになり、最近は殆んどの人が瀬を下るように変わってきたのである。

あっさりとクリアする人、クリアした後に下のエディラインでバランスを崩す人、瀬の手前で沈してそのまま流されてくる人と様々である。
豪快に沈したOC-1のよしひろさんは、そのカヌーを担いで上流まで戻り、2度目のチャレンジで成功したのは、その若さの成せる技なのだろう。


三岡の瀬で沈   三岡の瀬で沈
瀬の手前で沈してしまったY谷さん   豪快に沈したYひろさん

三岡の瀬で昼食皆が下り終わった後は、そのまま瀬の横の岩場で昼食。
皆は楽しそうに瀬の事を語り合っていたが、そこをポーテージした私達はその輪から離れて寂しくおにぎりを頬張った。

そこを過ぎれば大きな難所はなくなるが、今日の水量ではまだまだ油断はできない。
轟橋の手前付近も、結構激しい瀬になっている。
しかし、川幅も広がっているので、敢えて波の大きな場所を下る必要もない。
心が弱気になっている時は、チキンコースばかり狙って下ってしまう。

もう一箇所、川を横切るような落ち込みがある。
カナディアンならば問題なく通過できるが、カヤックの場合は、その下にできたホールにつかまってしまうことがある。

技を繰り出すテンコさん私の前を下っていたガンちゃんとテンコさんが、相次いで沈。
そこでコージさんまで沈したら、誰かを轢いてしまう事になる。
一瞬焦ったけれど、ガンちゃんはそのまま沈脱して流されていき、コージさんはそこを無事に通過。
テンコさんがまだホールに巻かれている横を、私達も無事に漕ぎ抜けた。

その時は気付かなかったけれど、私のヘルメットに取り付けてあるGoProの動画を後で確認すると、テンコさんはホールから脱出するために、ループと言われる前方宙返りの技を繰り出していたのである。

テンコさんは、普段はスポットで遊ぶフリースタイル系のカヤッカーなので、こんな技もお手の物なのだ。
紅葉の沙流川それにしても、他のメンバーならばそこでロールで起き上がるのさえやっとなのに、とっさに宙返りしてホールから抜け出そうとするのだから驚きである。

そこの下流が沙流川で一番美しい渓谷である。
流れも緩やかになるなので、沈脱して流されていったガンちゃんのレスキューは他の人に任せて、私は紅葉に彩られた沙流川渓谷の撮影に専念する。

結局ガンちゃんは、かなり下流まで流されてレスキューされたみたいだった。
さすがのガンちゃんも、川の中を流されていては、美しい風景を楽しむ余裕も無かったことだろう。


紅葉の沙流川
この辺りが一番のビューポイント

紅葉の沙流川
三弦トラス橋の日高大橋が見えてきた

紅葉の沙流川
正面に見える岩壁は100m以上の高さがある

紅葉の沙流川と三岩橋この先はもう難所もなくなるので、安心して風景だけを楽しめる。
去年、同じ時期にここを下った時は、天気が良かったので燃えるような紅葉の風景を楽しめた。

今日は雨は上がっても、空は相変わらず雲に覆われたままだ。
でも、曇り空の下で見る紅葉も落ち着いた色合いとなって、写真写りは今日の方が良いかもしれない。

そんな風景を楽しみながら、沙流川の川下りを無事に終えた。
5月の沈のトラウマを振り払おうと望んだ今日の川下りだったけれど、あまり振り払えた感覚はなく、逆に沙流川に対する苦手意識はますます大きくなった気がする。
もう一度三岡の瀬にチャレンジして、そしてそこを無事に下るまでは、苦手意識は消えそうにないのだ。

2015年10月11日 晴れ 
当日12:00沙流川水位 (幌毛志橋観測所)
  57.18m

沙流川川下りのダイジェスト版動画 


紅葉の沙流川
紅葉の川下りも終わりに近い

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