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尻別川

(喜茂別町民公園野球場裏〜京留橋)

カヌークラブの8月例会初日は、尻別川の喜茂別から京極の間を下る。
当初の予定ではこの日は白老川を下る事になっていたが、水不足のため尻別川の上流部に変更されていた。
その上流部も水が少なかったため、当日になってこの区間に変えたのである。
例年、8月の渇水期は下る川の選択に苦労させられるのだ。

スタート地点は、今回初めて利用する喜茂別町民公園野球場裏の河川敷。
そこには、堤防を越えて河川敷に降りる道が付いていて、出艇しやすい川原もあって、川下りのスタートゴールにするには最適の場所になっている。
Googleマップで川の様子を調べていて、偶然見つけた場所である。
川下りをする時にGoogleマップの航空写真は、瀬の様子や出艇場所などを調べるのに本当に役に立つのである。

私が道案内役となって車の回送を済ませる。
何時もの例会より参加者は少なかったけれど、それでも車は13台。
交通量の多い国道で迷子を出さないように誘導するのは、川下り以上に大変である。

コールマンのカナディアンカヌー今日の例会には、川下りの経験は美々川を1回下っただけというIさんがゲスト参加していた。
舟はコールマンのカナディアンカヌー。
実物を見るのは私も初めてだったが、その無骨さはちょっと衝撃的だった。

公園の手漕ぎボートをカナディアンカヌーの形に作り変えたと表現すれば分かりやすい。
そして強度を出すために、内側にパイプのフレームが組まれている。
その船底のフレーム部分が外側に膨らみ、強烈なキールとなっているのだ。

初心者がそれに乗って川を下れるような舟ではない。
今回はN島さんが一緒に乗って、タンデムで川を下る事にしていた。
まずはN島さんが試乗して乗り心地を試し、その後でIさんがバウに乗って、パドリングの基本のレクチャーを受ける。


出艇風景   ウォーミングアップ
ちょうど良い出艇場所だ  

スタート前のウォーミングアップ


尻別川を下る一通りのレクチャーが済んだところでスタートとなる。
今回の下る区間では特に難しい瀬も無い。
先の方を下りながら、適当な場所で皆の写真を写す。

青空が広がり、それ程気温も上がらず、絶好の川下り日和である。
数日前まで、私はこの8月例会への出席を諦めていた。
2週間前に自転車で転んで左手中指を骨折し、額に11針縫う怪我をしていたのである。
それが、抜糸も済み、中指が使えなくてもパドルを握るのに支障は無い。

骨折箇所はボルトで固定する必要があるとの事で、次週の月曜日に手術する予定である。
手術を受けると、さすがに暫くの間はカヌーには乗れないだろう。

尻別川を下る骨が付くまでは2〜3ヶ月かかると言われていて、もしかしたらこの例会を逃すと今シーズンはカヌーに乗れないかもしれない。
どうせ手術を受けるのならば、少しくらい骨がずれても関係ないだろうと考えて例会に参加することにしたのである。

その指の具合もほとんど気にならず、気持ち良く下っていく。
Iさんがバウに乗ったN島さんのタンデム艇も、岩を避けながら瀬の中を問題なく下っていた。

これは多分、N島さんのパドリング技術によるものだろう。
はっきりとしたキールの付いた回転性の悪いカヌーで、しかもバウに初心者を乗せ、浅くて岩の多い瀬を下るのは容易いことではないはずだ。

尻別川と羊蹄山羊蹄山が正面に見えてきた。
この区間を下る時の、私が一番楽しみにしている風景である。
山の周りに雲が纏わり付いていたけれど、山頂部分は見えている。
まるで、真っ白なモンスターが羊蹄山を抱擁しているようだ。
この瞬間に羊蹄山の山頂に立っていたとしたら、ちょっと変わった風景を楽しめたかもしれない。


尻別川と羊蹄山
この風景が一番の楽しみ

川原で休憩「腹減った〜」との叫び声が後ろの方から聞こえてきた。
既に12時を過ぎていたので、その先の川原に上陸して休憩となる。

川原の石が少し汚れているのは、ここ暫く大増水していないからなのだろう。
川が美しい姿を保ち続けるためには、たまの大雨も必要なのである。

休憩を終えて再び下り始める。
留産橋下流にある蛇籠を積んだ堰は、前回下った時よりも堰が崩れてきていて、すんなりと下れるようになっていた。


折れた指   崩れてきた堰
折れた指も気にならない   落差のなくなってきた堰

そこの先にもちょっとした瀬がある。
そこが最後の瀬らしい瀬だ。

そこを過ぎると目立つような瀬も無くなり、ゆったりとした流れが続くだけとなる。
昔は所々でバイカモが群落を作っていたはずだが、今はその姿もほとんど見かけない。
川岸に群落を作るオオハンゴンソウの花くらいが目を楽しませてくれる程度だ。


尻別川を下る
青空に浮かぶ雲と瀬の輝き

尻別川を下る   オオハンゴンソウの咲く川岸
団子になって瀬を下ってきた   川岸ではオオハンゴンソウが満開

瀬も無くなり、見るべきものも無いとなると、退屈し始める人が出てくるのが毎度のパターンである。
天気が悪いわけでもなく、向かい風が吹いているわけでもない。お日様の陽射しを浴びながら何もせずに水面に浮かんだいるだけで、川の流れがカヌーを運んでくれる。
カナディアンに乗っていると、それで退屈する理由が良く分からない。

堰堤をポーテージただ、今回はMEで下っているので、ちょっとだけその気持ちも分かる気がする。
普通のカナディアンカヌーのシートと違って、膝立ちの姿勢のまま腿をベルトで固定しているので、自由が利かないのである。
流れの緩やかなところでも、足を延ばしたり寝転がったりと楽な姿勢をとれないのだ。
早くMEの操作に慣れたいとの気持ちがあったのだが、こんな川を下る時はやっぱり前のフリーダムの方が良かったかもしれない。

堰堤のポーテージで上陸したところで、退屈さに耐えられなくなった228君が一緒に来ていた奥さんに電話して車で迎えに来てもらう事になった。
それに同調するO橋さんとK岡会長。
「えっ?本当にここで止めちゃうの!」
少し前の長流川でも途中で川下りを止めていたが、その時と今日では状況が違いすぎる。
自分達だけでもそのまま下り続けるつもりだったが、それは大方のメンバーも同じだった。


尻別川の堰堤
この堰堤から3人が脱落

結局、そこで川下りをやめたのは3人だけ。
この日のキャンプで、この3人が軟弱トリオと呼ばれる事になったのは言うまでも無い。

尻別川を下る堰堤を越えた直ぐ先に、この区間で一番の瀬が待ち構えている。
尻切れの瀬とも呼ばれているところだが、以前のような迫力はなくなってしまっていた。

そこから先は瀬と言えそうな流れは全く無くなる。
それでも水は流れているので、空を眺めながらのんびりと下って、20分程でゴールの京留橋まで下ってきた。
軟弱トリオの3人が戻ってくるのとほぼ同じタイミングで到着。
これでは、わざわざ車で迎えに来てもらう必要もなかったようだ。

今日のキャンプ地は、上陸地点の直ぐ隣。
そして温泉も隣接。
たまにはこんなのんびり川下りも良いものである。

2015年8月22日 晴れ時々曇り 
当日12:00尻別川水位 (喜茂別下流観測所) 252.75m
(尻別川三崎観測所) 219.54m


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