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尻別川

(中野橋〜羊蹄大橋)

カヌークラブの流水での練習会として企画された尻別川の川下り。
支笏湖での静水練習を終えたメンバーが、そのまま尻別川へと移動する。
この日の流水練習にだけ参加するメンバーもいるが、当初に予定していた初心者の参加は無く、練習会とは言いながら何時もの川下りと大した違いはない。

集合写真とは言いながら、私達夫婦にとっては、昨日支笏湖で初めて乗ったばかりのホワイトウォーター用カナディアンカヌーMEでの初川下りなので、ちょっと緊張していた。
下る区間は、中野橋から羊蹄大橋の間の夏のラフトコース。途中には二股の瀬と呼ばれる難所も待ち構えているのだ。

まずは、足慣らしと言うか手慣らしというか、発電所の放水口からの流れの中でフェリーグライドをやってみる。
今まで乗っていたフリーダムよりは明らかに安定性は悪いので、おっかなびっくりのフェリーである。

その先から始まる岩だらけの流れ。
前後に大きくロッカーの付いたMEは回転性が良いので、その本領が発揮できるところである。
ところが、どうもその違いが実感できない。
組み立て式のアリーからリジット艇のフリーダムに乗り換えても、ウッドパドルからカーボンパドルに変えても、スキーの板をパウダー用の板に替えても、その違いが全く分からないくらいの道具音痴の私なのである。


岩避けの忙しい流れ
岩避けの忙しい流れが延々と続く

しかし、タンデムはやっぱり、バウマンの操作に頼る部分が大きい。
私は、かみさんのパドリングに合わせて漕ぐしかないのだ。
これは今までと大して変わりはない。

木々の間から見える羊蹄山違うのは、前後の間隔が狭いので、クロスを漕ごうとするとかみさんをパドルで叩いてしまう事だ。
スターンマンがクロスを漕ぐのは現実的に不可能である。
それに、かみさんが邪魔になるので、前方の様子を確かめるためには、身体を傾けてかみさんの横から覗き込むようにしなければならない。

岩の後ろの小さなエディに入る練習もするが、なかなかピタリと決まらない。
これは単純に下手くそなだけだろう。

今日は天気が良いので、瀬の水がキラキラと光って眩しい。
日差しが強くても気温はそれ程高くはなく、ドライスーツを着ていても暑くは感じない。

前方にやや落差の大きい瀬が見えてきた。
この瀬を過ぎれば岩避けに忙しい区間はひとまず終了である。
緊張する瀬緊張しながら瀬に突入する。
一瞬だけカヌーがぐらりと傾いたが、無事に下る事ができた。

他のメンバーはそこでサーフィンで遊び始めた。
我が家は、サーフィンで遊ぶまでの余裕はまだないので、眺めているだけ。

その間にガンちゃんがロール練習。
川を下っている間に3回ロールするのが、ガンちゃんが自分に与えたテーマらしい。
その様子を見守っていると、最初のロールで上がらず、2回目で頑張るかと思いきや、見事な速さでの瞬脱。
カヤックで沈脱すると、その後のカヤックの水抜きとかが色々と大変そうである。


ロールに失敗したガンちゃん   マッドリバーME
ガンちゃんロール失敗   新艇の乗り心地は?

暴れ馬を乗りこなす暫く穏やかな流れが続いた後、流れが二つに分流していた。
右の分流は倒木で塞がれていたので、左の分流を進む。

ところが、左の分流は左岸側にブロック護岸が入っていて、かなり急な流れになっている。
緊張しながらそこを下っていくと、最後の方に白く泡立つ小さな落ち込みがあった。
避けれることもできたけど、ここは敢えてその中に突っ込んでみた。

その時は、少しグラッとした感覚だったが、後で写真を見るとカヌーのバウが思いっきり跳ね上がっていたので驚いてしまう。
もしかしたら、MEに乗るためには暴れ馬を乗りこなす感覚が必要なのかもしれない。

雲に隠れた羊蹄山寒別橋を過ぎると左岸側の河畔林がなくなり、羊蹄山の姿がその麓まで見えるようになる。
天気は良いけれど、山頂部分にだけ雲がかかっているのが残念だ。

その先にちょうど良い川原があったので、そこで昼食にする。
尻別川は砂利の川原が少ないので、こんな川原は貴重なのである。

昼食を終え、再び川にカヌーを浮かべる。
川原の前に瀬があったので、皆はまたそこでサーフィンを始める。
そして、ガンちゃんはその下の瀞場でロールの練習。
と思ったら、昨日からスランプに陥ってしまったようで、ロール練習には見切りをつけたみたいだ。
ロール練習とは言っても、ロールに成功しなければ、ただの沈脱練習になってしまうので、起き上がるイメージを持てない時は素直に止めておいた方が良いのである。


正面にはニセコアンヌプリ   休憩を終えて出艇
正面にニセコアンヌプリ   遠くに見える山は無意根山かな?

河原で休憩
昼の休憩、こんな河原は尻別川では珍しい

ガンちゃんが何時も練習していると言う水門を通り過ぎる。
千歳川のマナブと同じで、ここに来ると何時もカヤックの人達が練習しているのだ。

落ち込みを下るこの先に落ち込みになっている場所がある。
その手前がダムで堰き止めたような静水になっているので、直前まで落ち込みの様子が分からないのが嫌らしいところである。
前に下った人のルートを参考にして、進入場所の見当をつける。
そして落ち込みの中へ。
波に煽られることもなく、爽快に瀬の中を下る。

尻別川全体から見るとこの付近は中流域になる。
水は澄んでいるけれど、さすがに上流部ほどの透明度はない。
水深のある瀞場では濁っているような印象も受けるが、ここの様な岩場では水中の岩がはっきりと見えて、その透明度に感動する。


水の澄んだ尻別川
水中の岩もはっきりと見えるくらいの水の透明度だ

クライマックスの二股の瀬が近付いてきた。
一旦上陸して下見をするのかと思ったら、皆そのままどんどん下っていってしまう。
まあ、今日のメンバーなら下見をする必要もないだろう。

瀬を下る私達は一番最後から下っていく。
新しい舟にも慣れてきたので、波のど真ん中に突っ込む。
バウが大きく跳ね上げられるが、それも想定内。
気持ち良く波の中を漕ぎ抜けた。

すると、瀬を過ぎた下流の方で誰かの舟が流されているのが見えた。
そして、その手前でN島さんの投げたロープに掴まって、よろけながら岸に這い上がるO橋さんの姿が。
瀬の下に留まっていたガンちゃんに、そのことを教えてあげると、「えっ!ホント!どれどれ」と嬉しそうな顔をしながら、その様子を見に下っていった。
岩の上でビデオカメラを回していたI山さんも、「良い絵が撮れた」とご満悦である。


尻別川二股の瀬
尻別川二股の瀬を下る

この付近の尻別川は、羊蹄山の北側を回り込むように蛇行しながら流れているので、川を下っていると羊蹄山が後ろに見えたり横に見えたりしながら、最後には真正面に迫って見えてくる。
この変化も、尻別川を下る時の楽しみの一つでもあるのだ。


尻別川から見る羊蹄山
真正面に見える羊蹄山の姿がとても印象的だ

土壁から流れ落ちる水しぶきそして最後のビュースポットは巨大な土壁である。
今年は利別川の土壁にも感動したけれど、ここの土壁もなかなか壮観である。
今もなお崩壊を続けている様子が荒々しく、また、その土壁から染み出す羊蹄山の湧き水が幾筋もの細い滝となって尻別川に流れ込む。

そんな風景に圧倒されながら下っていくと、今度はニセコアンヌプリが真正面に見えてきて、羊蹄大橋の手前でゴールとなる。
最高の天気の下で楽しく川を下り、新艇にも慣れ、充実した流水練習となったのである。

2015年7月5日 晴れ 
当日12:00尻別川水位(倶知安観測所) 167.24m 


迫力の土壁
ここの土壁も迫力がある

尻別川の土壁   尻別川とニセコアンヌプリ
今も崩壊を続ける土壁   最後にニセコアンヌプリを眺めながらゴールとなる


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