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歴舟中の川

(砂防ダム〜キャンプ場)

9月例会最終日は中の川を下る。
当初の予定では、豊似川と歴舟川のキャンプ場から大樹橋までを下る2グループに分かれることになっていた。
ところが、前日に豊似川を下った旭川CCの情報によると、増水していてかなり大変な思いをしたとのことで、急遽中の川に変更となったのである。
私達は、大型カナディアンで豊似川を下るのは無理だと思って歴舟川を下るつもりでいたのだが、中の川ならば何の問題も無い。
水が少ない時には下るのに難儀する中の川だが、今日は依然として水位が高いままなので、またとないチャンスである。
結局は全員で中の川を下ることとなったのである。

それでも、前2日間の川下りが結構ハードだったので、3日目ともなるとリタイアするメンバーが相次いだ。
ビンバさんが体調不良、kenjiさんが神経痛、ガンちゃんがカヌー肘、N島さん・Y須賀さんが肉体疲労を理由に3日目をキャンセル。

集合写真そんな中、膝にできた原因不明の瘤が次第に大きくなり、状態としては一番悪そうに見えるO橋さんは、そのコブの回りをガムテープなどで保護してまで川を下ると言うのだから、リタイア組もその心意気を見習ってほしいものである。
とは言え、リタイア組の皆さんが手分けして車をキャンプ場まで戻してくれたので、川下り組は非常に助かったのである。

参加者は12名。
私たち以外は全員がカヤックなのがちょっと残念だった。
今日も空は雲に覆われたままである。
川の濁りは完全に無くなっていたものの、太陽の日射しが無ければ透明な水の美しさも半減してしまう。

スタート直後の瀬を下るそれでも澄んだ水を透して川底の石がくっきりと見え、まるで空中に浮いている様な感覚でカヌーが流れていく。
昨日までの様に波に煽られることも無く、岩避けに必死になることも無く、ただ川の流れにカヌーを任せ、のんびりと下る。
のんびりと言っても、水が多くて流れも速いので、結構な早さである。

中の川を下るのはこれが4回目になるけれど、瀬と呼べるような流れは一か所くらいしか記憶に残ってない。
それらしい瀬が前方に見えてきたのでちょっと緊張したが、岩が絡むことも無い素直な流れで、昨日までの瀬とは比べ物にならない穏やかさだった。


中の川を下る   中の川を下る
穏やかな流れの中をのんびりと下る   太陽が隠れているので景色は今一

サーフィンで遊ぶI上さんカヤックメンバーが早速そこでサーフィンを始める。
ここまで遊べる場所が全くなかったので、これは長くなりそうだと思い、直ぐに岸に上がって見物を決め込む。
ところがそこでサーフィンをしたのは、I上さんとI山さん、それにG藤さんくらいだった。
さすがに三日目のダウンリバーとなると、他のメンバーは無駄な体力を使う気にはなれないのだろう。

その瀬を過ぎれば、景色の良い渓谷部は終わりとなる。
何だかあっという間に通り過ぎてしまった感じでちょっと残念な気がした。

後は何もない流れが続いている。
目を引くのは、河畔林の根元に引っ掛かったおびただしい数の流木くらいである。
その中でも、川の中に倒れ込んだ巨木が印象的だった。
多分、横の崖が水流で削られて、そこに生えていた樹木が川の中に落ちてきたものなのだろう。
今後物凄い大増水にならない限り、その巨木が下流に流れ出すことも無さそうなので、しばらくの間はそこに留まっていそうな様子だ。


美しい川   巨大な倒木
陽が射すと川の美しさも引き立つ   巨大な倒木が川の中に

オーバーハングの岩渓谷は終わってしまったのかとガッカリしていたが、実は一番のビューポイントはこの先に残っていたのである。
前方に岩に挟まれた渓谷状の地形が見えてきた。
渓谷の中は岩の絡む流れになっていたが、苦労せずに下れる。
ここではオーバーハングの岩に圧倒される。

そこから少し下流の岩壁に、赤い花が群落となって咲いているのが見えた。
カヌーから降りて花の咲いている場所までよじ登る。
そこでは、ベンケイソウの様な葉の植物が赤い花を咲かせていた。
その付近には蝶も舞い、荒々しい岩場の風景の中でそこだけが別世界を織りなしていた。
「何の花ですか?」と聞かれ「多分、イワベンケイソウですよ」と知ったかぶりに答えておいたが、後で調べてみると、同じベンケイソウ科でもカラフトミセバヤと言う名前だったことが分かり冷や汗をかく。


中の川の渓谷
美しい渓谷が見えてきた

渓谷の中で漂う   カラフトミセバヤ
渓谷の中で佇む   岩場で咲くカラフトミセバヤ

渓谷の風景に見惚れる
渓谷の風景に見惚れる

水しぶきを上げるサケちょっとした瀬があり、そこでまた皆が遊びそうだったので、私達はサッサと河原に上陸した。
その川原の反対側に小さな分流ができていて、そこで数匹のサケが群れているのを見つけた。
直ぐに皆を呼ぶ。

メスの回りに数匹のオスが群れていたので、もしかしたらこれから産卵するところだったのかもしれない。
人の気配に気が付いたサケは、慌ててそこから逃げ出した。
その中の一匹が、下流側でしゃがみこんでいた私の股間に向かって突進してきた。
私は自分の股間を守るために、已む無く手を伸ばし・・・。

私の股間に向かって泳いでくるサケちなみに、サケを捕まえて水中から持ち上げただけで法律違反となってしまうとのこと。
その後に放流する、しないは全く関係ないらしい。
勿論、真面目なカヌークラブの会員である私達が、法律を犯す行為をするわけはない事をここで宣言しておく。

そんな話をしている時に、河原の上に1匹のサケの死骸があるのを誰かが見つけた。
それも、頭の部分が無くなったサケである。

食べ物が豊富な時、クマはサケを捕まえても、卵と頭しか食べないと聞いたことがある。
直ぐに周りの足跡を探したがそれらしいものは見つからず。
「鷹などの鳥が落としたものでは?」と言う人もいたが、くちばしで突いたような跡も無く、それも考えられない。

頭のないサケ そのサケの体は砂にまみれて、まだ濡れているようにも見える。
頭がちぎれた部分も、赤々としていて全然乾いていない。
もしもそれがクマの食べたものだとしたら、それは数分前の出来事かもしれない。
大勢で下ってきた私達の気配に驚いたクマが、サケを残したまま山の中に逃げて行った。
そう考えるのが一番妥当かもしれない。
ここは、そんなことがあっても全く不思議ではない場所なのである。

まだ昼前だったけれど、そのままそこの河原で昼食にする。
きっと周りの山の何処かで、自分の食事を邪魔されたクマが、恨めしそうに私達を見ていたことだろう。


休憩した河原   中の川の風景
休憩した河原   水の流れ落ちる土壁

土壁の風景その後も土壁の風景やおびただしい数の流木の風景などを楽しみながら、のんびりと下って、三つの川が合流するポイントまでやってきた。
どの川も濁りはほとんど取れていた。
水の量と川の透明度を合わせて考えれば、どこを下ったとしても、今日がベストコンディションだったのではないだろうか。

下り終えるのに5時間はかかるだろうと考えていた中の川を、一度もポーテージすることなく2時間50分で下り終えて、キャンプ場まで戻ってきた。
こうして、歴舟3川を思う存分楽しんだ3日間が終わったのである。 

2014年9月15日 曇りのち晴れ
当日12:00歴舟川水位(尾田観測所) 102.41m


倒木の根   中の川の流木
巨大な倒木の根にビックリ   おびただしい数の流木にビックリ

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