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尻別川

(境橋〜堰堤)

「日曜日に尻別川上流部を下りませんか」との誘いがクラブの掲示板に書き込まれた。
翌週には歴舟川の例会が控え、天気も悪そうなので、しばらく知らんぷりをしていた。
ところが天気予報が良い方に変わってきたので、「我が家も参加しようかな〜」とかみさんに提案すると、かみさんの方はやる気満々だった。
前回の十勝川例会に参加できなかったので、ストレスが溜まっていたらしい。

スタート地点で川下り当日は素晴らしい青空が広がっていた。
同じ尻別川のラフトコースを下る予定だったkenjiさんやそのお友達も、急遽予定を変更してこちらに合流。
marioさんの知り合いの女性も参加して、総勢11名の賑やかな川下りとなる。

kenjiさん達は、私のホームページを見て、この区間がカナディアン向けの川ではないと思っていたらしく、それが我が家が参加表明したので急遽参加することにしたとのこと。
尻別川のこの区間は、逆にカナディアン向けの川と言っても良いくらいの流れである。
ホームページの紹介の仕方を少し考えた方が良いかもしれない。

ただ、ホームページでは「カナディアンカヌーで下る北海道の川」として紹介しているので、そこで紹介する全ての川は、基本的にカナディアンカヌーでも下れる川なのである。
カナディアンカヌーで下れない川とは、岩と岩との間が狭すぎてカナディアンでは物理的に通り抜けられない、そんな場所が沢山ある様な川だけなのだ。
勿論、水が多い時はカナディアンでは絶対に下りたくないと思う川もあるけれど、水が少ない時ならば、カヌーが通れる幅さえあれば大体の川は下ることができるはずである。

草をかき分け川に出るスタート地点の境橋から出艇するためには、草が茂った藪の中をカヌーを降ろさなければならない。
その様子から、ここから下り始める人は殆どいないのだろうと思われる。
何度も水質ランキングで日本一となっている尻別川だけれど、川を下っていてもその実感はほとんどない。
でも、この上流部を下っていると、それが納得できるくらいの水の透明度である。
もっとカヌーフィールドとして宣伝されても良い区間である気がする。

下り始めて直ぐにオロウエンシリベツ川が合流する。
オロウエンと言えば、以前にオロウエン大滝キャンプ場と言うところに泊まったことがあったけれど、地図で確認するとやっぱり、そのキャンプ場の横を流れている川がそれだった。

天気が良いと川の水の透明度が更に引き立つ。
上空に広がる青空。その中に浮かぶ白い雲。
最高の川下り日和である。


最高の川下り日和
こんな日に川を下っていると無上の喜びを感じる

川下り風景   川下り風景
青い空と白い雲に赤いカヌーが映える   透明な水に木々の緑が映り込む

特徴的な土壁の風景国道276号の上尻別橋を過ぎ、川が左へカーブすると、尻別岳の姿が見えてくる。
ここから先は、下るに従ってその尻別岳が次第に大きくなってくる。
右岸側に現れる白い土壁も、楽しめる風景だ。

去年初めてここを下った時よりも、水量は15センチ程増えている。
その分、川の難易度も増しているかなと思っていたが、そんなことは全くなく、逆に下りやすくなった気さえする。
危うく沈しかけた小さな落ち込みや、橋脚に引っ掛かった大量の流木が川を塞いでいた場所なども全て無くなり、安心して下れる川となっていた。

所々で護岸工事も行われていたが、素晴らしい青空と澄んだ水が、そんな無粋な風景さえも隠してくれている気がする。


瀬を下る   瀬を下る
気持ち良く下れる瀬が続く   白波がキラキラと輝く

真正面に迫る尻別岳そんな澄んだ水が、国道230号の橋を過ぎたあたりから若干濁り始める。
橋の手前で合流していた登延頃川の影響かもしれない。

この国道230号の橋からは、ここをスタート地点として何度か下ったことのある場所だ。
真正面に尻別岳が迫ってくる。
その先で川は大きく右へカーブする。
ここから喜茂別川との合流部までは瀬が連続する区間となるが、単純な瀬が多いので楽しく下ることができる。

一か所だけ、本流のほとんどが倒木で塞がっていて、細い分流の方に入らなければならないところがあった。
川原で休憩かみさんがルート選択をミスって、カヌーが座礁してしまう。
最近は、危険な場所以外はかみさんにルート選択を任せているけれど、まだまだ完全には信用できないのである。

喜茂別川合流部手前の川原に上陸して昼の休憩。
川原の上で太陽が照りつけてくると、体が焦げそうなくらいに熱く感じる。
それでも、気温はもう秋のそれである。
日が陰って風が吹けば、ちょっと肌寒く感じるくらいだ。
ただ、ドライスーツを着ている人にはそんな風は関係ない。
直射日光に照らされて、堪らずに川の中に寝ころぶ人まで出てくる。


瀬を下る   川の中でクールダウン
瀬が気持ち良い   川に入ってクールダウン

休憩を終えて再スタート。
喜茂別川と合流して川幅も一気に広がる。
次第に雲が広がり、風も若干強くなってきた。
前回の十勝川では向かい風に苦しめられたけれど、今日はタンデムなのでそんな風は全く気にならない。
羊蹄山の山頂は雲の中でも、ソロで下っているカナディアン4艇は、他のカヌーよりも遅れがちだ。

ここからは先は、尻別岳に代わって羊蹄山の姿が美しく見える区間なのだが、羊蹄山の山頂付近は下り始める前から雲に隠れたままである。
山頂だけではなく上空の青空も雲に隠れてしまった。
しかも、今にも雨が落ちてきそうな黒い雲である。

上陸予定地点は堰堤の手前。
それまでの間、大きな瀬こそないものの、退屈しない程度に小さな瀬が現れる。
たまに、大きなカナディアンでも入れるくらいの波が立っている場所があり、そこで私達もサーフィンを楽しむ。
楽しむと言っても、流れの中にただ留まっていられる程度なので、それ程楽しい訳でもない。

小さなカヤックで下っているmarioさんは、小さな波にも入れるので、暇さえあれば上流を向いてウハウハと喜んでいる。
marioさんの場合、下っているよりも上流を向いている時間の方が多いかもしれない。

去年は蛇籠の針金が出ていたりしてポーテージした石の堰堤も、今年は下見もしないままに通過した。


常に上流を向くmarioさん   石の堰堤
常に一人だけ上流を向いているmarioさん   石の堰堤はそのまま通過

サーフィン中
一応サーフィンしている?

再び日が射してきたそんなmarioさんも、途中から「腕が吊りそうだ」と悲鳴を上げていた。
堺橋から堰堤まで約16キロ。
1日の川下りでこれだけの距離を漕ぐことは滅多にないので、さすがに他のメンバーも疲れ気味だ。
我が家がカヌーを始めたばかりの頃、もっと流れが緩くて向かい風が強い天塩川を30キロも下っていたのが、今となっては信じられない。

再び青空が見え始めて、川の上にも太陽の陽射しが届いてきた。
そうすると、瀬の白波がキラキラと輝き、そんな瀬の中を下るのはパドラーの無上の喜びである。

そうして、堰堤の手前で上陸。
ちょっと疲れたけれど充実感の残る川下りだった。

2013年9月8日 晴れ時々曇り
当日12:00尻別川水位(喜茂別下流観測所) 253.02m


青空が見えてきた   堰堤の手前で上陸
再び青空が見えてきた   堰堤の手前で上陸

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