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額平川

(幌見橋〜堰堤下流)

北海道に上陸したKevipaさんミエさんを迎えて、kenjiさんご夫婦、サダ吉さんご夫婦と額平川を下ることとなった。
前日に降った雨で川の水位は10センチ程上がっていて、下るのにはちょうど良い水量である。
額平川スタート地点しかし、たったそれだけの水位上昇で、川の水はまっ茶色に変わってしまっていた。
元々が濁りやすい川であることは確かだけれど、それにしても酷すぎる。上流部で始まったダム関連工事の影響だろうか。

上陸地点に我が家の車を置いて、スタート地点の幌見橋へと向かう。
スタート地点の川の水は、灰色の濁りに変わっていて、この程度ならば許せる範囲内である。

Kevipaさん、ミエさんとkenjiさん夫婦はソロ、我が家とサダ吉さんのところはタンデムで漕ぐ。
その他に、Kevipa艇には新しく家族の仲間入りをしたマービーとクレアが乗り、ミエ艇にはルークが乗船。
ルークを乗せたミエさん寝たきり状態のルークは、トートーバッグに入れられて、荷物の様に積み込まれる。
何度も一緒に川旅をしてきて、こんな状態になっても一緒に川を下れるのだからルークも幸せ者である。

曇り空だけど、湿度が高くて蒸し暑い。
のんびり川下りのつもりでいたけれど、スタートしてしばらくは流れの中の石を除けるのに忙しい。
そこを過ぎてのんびり区間に入ったと思ったら、岩が絡んだちょっとした瀬が現れる。
流れを楽しめるのはここが最後で、この先は風景を楽しみながら下ることになる。


Kevipaさん   姫さん
マービーとクレアを乗せたKevipaさん   すっかりソロが板に付いた姫さん

kenjiさん   サダ吉さん夫婦
余裕のパドリングのkenjiさん   サダ吉さん、きらerさんのタンデム艇

平取ダム関連の工事現場しかし、その風景が途中で一変した。
河畔林が見事に切り払われ、その中で蠢く重機の姿。
平取ダム関係の工事が始まったとは聞いていてけれど、この変わり果てた川の姿にはショックを覚えた。

工事現場の中を流れる額平川は、もはや川という存在ではなく、水路としか呼べない様な代物になっていたのである。

その先の豊糠橋の上を、伐採朴を満載した大型トラックが走っていく。
ダム湖に水没する地区の樹木伐採は今後も続くと思われ、上流部の額平川が水路に変わってしまうのも、そう遠い将来の話ではなさそうだ。

この様なダム工事が一方的に進められることを私達はただ黙って見ているしかない様に思えるが、民主党政権時代には曲がりなりにもこのダム工事を凍結できたことを、もう一度思い起こしてみることが必要かもしれない。


額平川の工事現場   伐採木が運び去られる
河畔林は見事に丸裸にされた   伐採木が何処かに運び去られる

悪夢のような工事現場を通り過ぎると、額平川はこれまでと全く変わりないような美しい風景を次々に展開してくれる。
そんな風景の中を6艇のカナディアンが思い思いに下っていく。

謎の三角コーンが置かれていた川原皆で小休止している時、かみさんが川原で変なものを見つけた。
川原の水際にチョコンと置かれた、高さ20センチもない小さな三角コーン。
そのコーンに貼り付けられた紙には、「右岸上の絶壁、信仰対象です。念入りさつえいのこと。(この先、腰までつかるところがあり)」と書かれていた。

少しでも増水すれば直ぐに流されてしまう様な場所に、誰が何の目的でこれを置いたのか。
全くの謎としか言えない。
川を下っていると時々、奇妙なものを見つけることがある。
一度は、沢登り中に遭難した登山者のヘルメットを拾ったこともあった。
そんなこともあって、気味悪がったかみさんは、その三角コーンを丁重に元の場所に戻して再び下り始めた。


謎の三角コーン   額平川の風景
誰が何の目的で置いたのか?   美しい緑の風景の中を下っていく

神様がひそんでいそうな洞窟その先の岩壁の下に祠の様な洞窟が口を開いていた。
信仰対象の絶壁とか、何か山の神の存在を身近に感じてしまう額平川の川下りである。

時々エゾシカが姿を現しては、私達に気が付いて大慌てで逃げていく。
見上げる様な急な崖を登って逃げていくシカもいる。
角の生えたオスジカが多く、かみさんが「角を落としていかないかな〜」とポツリとつぶやく。
ミエさんが若いオスジカを見て「久しぶりに若いオトコを見たわ」と喜んでいる。
それにしても、川を下っていて、こんなに頻繁にエゾシカの姿を見ることも珍しい。

去年の秋にクラブの例会で下った時と比べて、川の流れが大きく変わっているところが多かった。
歴舟川の様な暴れ川と言うよりも、額平川は泥が積もった河床がそれだけ不安定ということなのだろう。
こんなところにダムを造ればどうなるか。
川に堆積している大量の泥や土砂が大雨が降るごとにダム湖へと流れ込み、また、付近の山塊の斜面崩壊により、川には次々に新しい土砂が堆積していく。
川原で休憩中ダムを建設するうえでそのようなことは当然織り込み済みのことだとは思うが、福島原発事故の例からも分かるように、自分たちに都合の良いように肝心な部分で安易な想定に頼っていることがままあるのが現実である。

宿主別川との合流部で昼食を兼ねた休憩をとる。
それに合わせるように雨が降り始めた。
今回はドライスーツを着ていなかったが、気温も高く、濡れることも大して気にならない。

私達が昼食を終えるのに合わせるように雨も上がった。
かみさんが例の三角コーンを動かしたので、もしかしたら山の神様が少しだけ気を悪くしたのかもしれない。


額平川の崖   額平川の風景
崩れやすい絶壁が続く   額平川らしい風景は裏を返せば崩れやすい土質

この雨の後、周りの空気が急にヒンヤリとしてきたような気がした。
その先の川原で休憩中、誰かが「四国では40度だって!」と声を上げた。
Kevipaさん達が住む群馬は38度。
それに比べて自分たちがいる川原は、既に秋風が吹き始めている感じだ。

青空が広がる川下りも終盤に近づいてきて、ようやく青空が広がり始めた。
直射日光を浴びると、さすがにそれはまだ真夏の陽射しだった。
それでも、水の上に出ると、その陽射しがちょうど心地良く感じられる。

18キロをのんびりと5時間半をかけて下って、ゴール地点へとやってきた。
その直前の中州にシカの角が落ちているのをかみさんが目ざとく見つけて、直ぐに拾いに行く。
自然からのお土産もゲットして、楽しい川下りを終えた。
ただ、今後のダム工事の進み具合がとても気になるところではある。

2013年8月10日 曇りのち晴れ一時雨
当日12:00 額平川水位(額平川観測所) 70.12m

マービーとクレア   ゴール地点の川原
ルークのために敷いたバスタオルの上に寝転ぶマービー   ゴール地点の川原

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