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厚田川

(左股川〜名の知らぬ橋)

朝9時前、厚田のコンビニ駐車場に集まったのは、我が家の他には今回の川下りを企画したmarioさんと、男一人旅から帰ってきたばかりの男N島さんだけ。
ブルブルと震えながら、「川下りをするような気温じゃないよね」と言いつつ、直ぐにスタート地点に移動する。
スタート地点の川原我が家がここを下るのは初めて。
N島さんは十数年前にガンネルズのメンバーと一度下ったきりだと言う。
車を停められる場所も少ないので、クラブの例会ではなかなか下る機会のない川なのである。

上陸地点に車を1台置いて、そのままスタート地点に向かう。
どちらも、周りの迷惑にならないように車を停められるスペースは2、3台分しかない。
他にもスタートやゴールに使える場所は幾つかあるみたいだが、どこも似たようなものらしい。

気温は低いけれど、天気は快晴で太陽の陽射しがとてもありがたく感じる。
小さな川原から舟を出す。
スタートして直ぐに、大きな支流が合流してくる。
後で地図を見て分かったのだが、支流だと思ったのが厚田川の本流で、私達が下り始めたのは左股川という厚田川の支流だったようだ。


左股川   厚田川に合流
左股川スタート地点の橋   左から流れ込むのが厚田川

厚田川を下るしばらく雨が続いていたので、水も増えてちょうど下りやすい水量である。
夏の渇水期にはかなり水も少なくなるらしく、春の雪解け時期か雨の降った後など、快適に下ることができる条件は限られるようだ。
水も澄んでいて、こんなベストコンディションは珍しいのかもしれない。

山に里山があるのならば、この厚田川は里川と言っても良いかもしれない。
山間部を蛇行しながら流れる川の周りには水田や畑が広がり、所々にポンプ小屋らしき建物が建っている。
車で川に下りてこられるようなスロープも、あちらこちらにできている。
畑の暗渠のはけ口らしい土管から水が流れ出ている。
川岸に沿うように古いコンクリート管や水路のようなものが残っているのは、昔の田んぼの取水施設の跡だろうか。
川を下りながらも、そんな様子に人間の営みが身近に感じられる。


里川らしい風景   取水施設の跡
人間の営みが身近に感じられる川だ   川沿いに作られた水路の跡か?

とは言っても、河畔林が十分に残っているので、自然のままの川を下っているのと何ら変わりはない。
川が蛇行を繰り返すたびに、周りの風景が次々に移り変わっていく。
豊かな森の中に入ったかと思えば、そこを抜けると開放的な風景広がり、周辺の山まで見渡せる。


厚田川の風景   厚田川の風景
山深いところもあれば   開けた川原もある

厚田川の風景
遠くの山の風景が美しい

厚田川の風景   厚田川の風景
カラマツの黄葉が美しい   この付近の風景も美しい

川を横断する段差流れに削り取られた土壁の中にはノジュールの様な石の塊が見えている。見習い化石ハンターとしては気になってしょうがない。
厚田川河口付近の段丘崖では化石が採れるので、川の途中の崖に化石があっても不思議ではないのだ。

興味深い地層が露出している崖もある。
そしてこの辺りの地質の影響なのだろう。川を横断するような段差が、所々に現れる。
難しい瀬があるわけでもなく、この段差がちょうど良いアトラクションになる。

それよりも気を付けなければならないのは倒木である。
今回はストレーナーになる様な倒木は無かったけれど、油断していると痛い目に遭いそうな倒木はそこかしこに潜んでいた。


厚田川の崖   厚田川の崖
ノジュールのような石が露出している   この地層が川の中の段差を作るのだろうか?

逆光が眩しいこの季節になると日中でも太陽の高度は低い。
その太陽の光を真正面から浴びると、眩しくて前が何も見えなくなる。
でも、川の蛇行が激しいので、少しの間我慢していれば、何時の間にか太陽が背中に回っていたりする。

既に木々の葉は殆ど散ってしまい、カラマツだけが太陽の光を受けて鮮やかな黄色に染まっている。
真っ青な空を背景にその黄色が映えて、暗いはずの晩秋の風景が一際華やかに見える。

ヤマブドウもその葉を全て落としてしまい、黒々とした実だけが蔓から下がっていた。
ヤマブドウを収穫今年はヤマブドウの豊作年だったのだろうか。どのヤマブドウもびっしりと実を付けている。

その実を少し食べてみると、意外と甘いのでびっくりした。
例年ならば霜にあたったりして既に実も落ちている時期なのだが、今年は樹上で十分に熟成しているのかもしれない。
川の上まで蔓が伸びている木があり、カヌーに乗ったままで結構な量を収穫することができた。

ヤマブドウ以外にも、キノコがびっしりと生えた木も目立っていた。
こちらの方は残念ながら既に干からびているが、一か月前に下っていればこちらの方も大収穫だったかもしれない。
殆どはヤナギタケ(ヌメリスギタケ)のようだ。


カラマツの黄葉   キノコが気になる
カラマツの黄葉が風景に彩りを添える   キノコも気になる

堰堤途中に堰堤が一カ所ある。
カーブを曲がった先に突然現れるので、その存在を知らずに下っていると焦るかもしれない。
水が少なければ堰堤の手前で流れが緩やかになるので危険はないが、増水時だと流れが速くてそのまま堰堤まで流されてしまうことも考えられる。

左岸からのポーテージは少し藪こぎ気味である。下る人の殆どいない川なので、これはしょうがないところだ。
堰堤の下の中州で休憩をとる。
その川原で、かみさんが結晶化した石英の様な鉱物を拾っていた。
途中の崖で見かけたノジュールと言い、地質的にも面白そうな川である。
川原で石拾い次にここを下る時は、キノコ狩りの他にも、ロックピックハンマーをカヌーに積んでの化石や鉱物採集も面白そうだ。

下っている途中でオジロワシにも遭遇した。
サケも結構上ってきているので、それを狙っているのだろう。

車を停めてある橋の手前には、今回下った中では最も瀬らしいところもあった。
もう少し水が多くなれば、それなりに楽しめる瀬に変わりそうだ。

小さな川だけれど、川下り以外の楽しみも多く、そして川下りのフィールドとしても楽しめて、来年からはここに通う回数も増えそうだ。
これが今年のカヌー納め。今年も色々な川を下ることができて、良い一年だった

2012年11月3日 快晴 
厚田川には水位観測所がないため、参考としてこの頃の浜益川の水位(浜益観測所) 2.65m 


marioさん   男N島さん
marioさん   男N島さん

厚田川を下る

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