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シーソラプチ川

(ラフトスタート地点〜国体コース)

渡月橋の落ち込みの状況 去年の6月、シーソラプチ川でミニ例会が企画され、澄み渡った青空の下をむせ返るような緑に包まれ水量たっぷりのシーソラプチ川を下った快感を忘れらないO橋さんの呼びかけにより、8名のメンバーが集まった。
 我が家を含めてそのうちの5名が去年と同じ参加者である。
 去年の素晴らしい川下りに魅了された人間、と言えば聞こえは良いが、家族を顧みずに毎週遊び歩いている人間と言うのが実態かもしれない。
 曇り空の隙間から日が射してきたものの気温は10度そこそこ。
 ドライスーツを着込んでようやく寒さをしのぐことができる。
 水量は去年下った時よりも10センチ以上は少ないものの、渡月橋の落ち込み中央の岩が全て水没しているので、十分な水量と言える。
集合写真 スタート地点へ向かうと、ダッキー軍団の皆さんが出艇準備中だった。
 知り合いのブログ経由からダッキーに乗って方々の川を下っている様子を何度か見たことがあるグループで、ダッキー軍団というのは私が勝手にそう呼んでいるだけである。
 軍団の方に集合写真のシャッターを押してもらって、私たちが先に下り始める。
 昨日降った雨の影響が残っているのか、水の透明度は去年よりも少し落ちている感じだ。
 でもそれは、一番良い状態の時と比較しての話しで、これだけを見れば文句の付けようのない透明度である。
 太陽の日射しを受けて川面がキラキラと光り輝く。
  何度ここを下ってもその度に感動する風景だ。
 例会と違ってミニ例会の良いところは勝手気ままに下れることである。
 輝く水面と周りの緑の風景に見とれながら、まるで単独川下りの気分で漕ぎ進む。


光り輝くシーソラプチ川
陽光を受けて輝くシーソラプチ川

 やがて前方に現れた五流の瀬の落ち込み。
 今日の水量ならば左岸寄りのルートから問題なく下れることが分かっているし、多分大型のカナディアンでは増水している時以外はそこしか下れないはずである。
 無難に下って後続を待っていると、全員が中央の岩盤の切れ込み部から下ってきて、OC-1の228君とO橋さんが相次いで沈。
 シーソラプチ川の中ではここが一番沈確率の高い場所かもしれない。
五流の瀬 K岡さんは、ひっくり返ったものの2度目のロールでようやく起き上がる。
 1度目の失敗で当然沈脱すると思っていたので、その粘りに驚かされた。
 そう言えば最近のK岡さんはロールをマスターしたようで、その事が先日の忠別川を初めとしての最近の自信あふれる行動に繋がっているのかもしれない。
 祝福すべき事実かも知れないが、例会の楽しみが少し減ったような気がするのは否めない。

 五流の瀬から下流は、左岸側に新しい流れができていてそこを下る。何年か前にはそこを本流が流れていたこともあったので、元に戻ったと言う方が正しいのだろう。
 去年最後に下った後から大増水したことがあったのだろうか。
 その後も時々、以前とは様子の違った場所が現れる。
 「あれ?こんなところに落ち込みがあったかな?」と思ったら、それは倒木が作った自然の堰堤だったりとか、新たな障害物も登場していた。
 それでも、ここは商業ラフトが盛んな川なので、本当に危険なものは事前に取り除かれていて、安心して下ることができる。


倒木候補   倒木の堰堤
倒木候補が沢山ある   倒木が作った自然の堰堤

羽虫の竜巻に巻き込まれたI山さん 瀬で遊んだり、景色に見とれたりしながら下っていく。
 去年はヤナギの綿毛が音もなく降ってくるとても幻想的な風景に出会えたけれど、綿毛の時期は既に終わってしまったようだ。
 その代わりに河畔の木々からは咲き終わった花ガラとか種子とか、色々なものが降ってきて川面を流れていく。
 空中を舞っているのは大量の羽虫である。
 I山さんがその羽虫の竜巻に巻き込まれていた。
 吸血虫じゃないのでまだ我慢できるけれど、顔にぶつかってくるので邪魔くさい。
 それらも全てが今の季節が作り出す自然の風景の一コマなので、美しい川の風景と一緒に受け入れなければならないのだ。

I上さんに騙された瀬 先を下っていたI上さんが「右に寄れ」と手で合図を送ってきた。
 「あれ?ここって何時もは落ち込みを避けて左岸寄りを下っていたのに、何か障害物でもあるのかな?」と思いながら真っ直ぐに進んでいくと、そこには大きな返し波の立つ落ち込みと岩盤の瀬が待ち構えていた。
 I上さんは親切なことにスリリングなルートを示してくれていたのである。
 大きくバランスを崩して一瞬ヒヤッとしながらも無事に通過。
 I上さんの小さな親切のおかげで、何時もは避けていた場所を初めて下ることができたのである。

 ロールをマスターすることによって余裕のでてきたK岡さんは、今回は所々で先回りして写真を撮ってくれる。
 その片岡さんの余裕に応えるために、私も余裕を見せようとパドルを手のひらの上に立てながら瀬の中を下る。
 前で一生懸命漕いでいるかみさんは、私が後ろでそんな事をしているとは全く気づいていないようだ。


曲芸しながら瀬を下る   曲芸しながら瀬を下る
あらよっと   決まった!

美しいシーソラプチ川 次第に岩が多くなって川幅も狭まってきた。
 両岸から樹木が被さり、緑のトンネルの中を清流が流れる。
 シーソラプチ川の一番美しい核心部へと入ってくる。
 ここで現れる最初の難所がクランクの瀬。
 そろそろかな〜と思いながら下っていくと、その前にもちょっとした瀬が何度も現れる。
 でもやっぱり、クランクの瀬を目の前にすると、それまでの瀬とは明らかに様子が違っていて緊張してしまう。
 それでもここで沈することはまず無いので、そのまま先頭でクランクの瀬を下って直ぐに岸に上陸し、後続のメンバーを撮影する。

クランクの瀬  ダッキー軍団がそこで追い付いてきた。
 写真を撮ってあげようと待っていたが、慎重に下見をしているので私たちはそのまま先に下ることにする。
 川幅は更に狭まり、ため息が漏れそうな美しい流れが森の中に続いている。
 その美しい風景の中でI山さんが沈。
 しかもK岡さんがカメラを構えている目の前での沈である。
 最高に嬉しそうな笑顔を浮かべるK岡さん。
 K岡さんの何よりの喜びはI山さんの沈シーンを見ることにあるようだ。
 カヤックに乗り換えたばかりで、完全な初心者になっていたI山さんもようやくロールができるようになったみたいで、その後は直ぐに起き上がる。
 カヤックはロールで起きてしまえば沈したことにならないので、これは随分と不公平なシステムである。


美しい流れの中で沈を披露するI山さん
美しい流れ、K岡さんの真ん前でカヤックの底を見せるI山さん

 そして次がいよいよトラウマの瀬である。
 先に下ったメンバーが瀬の手前で止まっていたけれど、我が家はそのまま下ってしまうことにした。かみさんが「え〜、先に下るの?」と文句を言うが、先に下っても後から下っても沈する時は沈するのである。
 去年は見事にやられたトラウマの瀬だけれど、今年は無事に下ることができた。下手な真似はしないで、ただバランスを崩さないようにカヌーに乗っているだけなのが良いみたいだ。
 岸に上がってカメラを構えていると228君が豪快な沈を披露してくれた。
トラウマの瀬 再びダッキー軍団が追い付いてきたので、今度はレスキュー体勢をとったまま下ってくるのを待つことにする。
 川を下っている時は助け合いが欠かせないのだ。
 と言いつつも、当然のように心の中では沈シーンを期待しているのである。
 簡単にはひっくり返らないダッキーだけれど、ここでは2艇が沈してその期待に応えてくれた。
 万全のレスキュー体制が無駄に終わってしまうのは少しだけ悲しいものである。
 お礼を言われたけれど、実はお礼したかったのは楽しませてもらったこちらの方なのである。

 228君が沈した拍子にパドルのブレードを折ってしまっていた。
 我が家は最近、予備のパドルをカヌーに乗せておくようにしていたけれど、これが初めて役に立つ。
 「大丈夫だよ予備のパドルがあるから」と言ったところ、大丈夫でないのは228君の体の方だった。
 沈した時に太ももを何処かにぶつけたようで、痛くて足が曲げられないと言うのだ。かなり痛がっていて、それ以上下り続けるのはどう見ても無理である。
228君を運搬中 そこからエスケープすることもできるけれど、急な崖を登らなければならないので、228君の状態では無理そうである。
 色々と検討した結果、228君を我が家のカヌーに乗せて、I山さんが228君のOC-1に乗って自分のカヤックはロープで引いていくことになる。
 そうして体重100キロ超の228君を真ん中に積み込んで、何時もお世話になっている落庵まで運んでいく。
 その途中に大きな瀬は無いけれど、大きく沈んだカヌーで底を擦らないように下るのは結構気を遣った。
 無事に落庵の裏手の川岸に上陸。
 折れたパドルを杖代わりにして歩けるので、心配した程の重傷では無さそうだった。
 それで228君を落庵に預けたまま、私たちは川下りを続行することにする。

三段の瀬を下る 落ち庵から直ぐ下流の橋の手前で危うく沈しかけた。今まで何も無かった場所に落ち込みができていて、気が付いた時には既に遅く、横向きにそこに入ってしまったのである。
 大きく傾きながらも何とか持ちこたえて、国体コースまで下ってきた。
 それまでは積極的に先頭で下っていたのに、ここに来て急に弱気になって、皆に先に行ってもらうことにする。
 途中で脱落者が出たことも影響したのかもしれない。
 それでも三段の瀬は一番最後にクリア。
 下で待っていたメンバーは最後の沈を期待していたらしく、ちょっとがっかりした表情を浮かべていた。
 ここでもやっぱりパドルを手のひらに立てながら下れば良かったのかもしれない。

二人目の離脱者 I田さんが突然「俺ここで止めるわ」と言って、カヌーを岸に引き上げてしまった。
 「???」
 意味が分からずにいるメンバーに「ちょっとお腹の調子が・・・」と言い残して階段を登って行ってしまった。
 「後少しでゴールなのに?」
 「余程切羽詰まっていたのかな?」
 「それなら三段の瀬を下った衝撃で・・・」
 「えっ、それじゃドライスーツの中で・・・」
 最近になってアンビリーバブルI田の名前が付いたI田さんだが、今回もアンビリーバブル振りを発揮してくれたのである。
 それにしても8名中2名が途中リタイア。
 それ以上脱落者が出ないように気を引き締めて下り続ける。
パチンコ岩に向かって I上さん、続いてO橋さんと、パチンコ岩の左を回って渡月橋の落ち込みへ。
 後続メンバーも同じルートで下っていく。
 最後に我が家の順番。橋の上にはギャラリーもいるので絶対に沈はしたくない。
 ギリギリでパチンコ岩を左にかわして、渡月橋の落ち込みは右岸寄りから進入。
 そして無事に、がっかりした表情を浮かべる皆の待つ場所まで下り着いた。

 228君を落庵まで迎えに行くと、そこで蕎麦とエゾシカカレーを食べた228君は自分の車を運転できるまでに回復していた。
 先に帰ったI田さんを除いた全員で、南富良野のなんぷ亭で遅い昼食を食べる。
 そこで再び「そう言えばI田さんのドライって背中のファスナーだよね」
 「間に合ったのかな〜」
 「脱いだスウェットが丸めて置いてあったよ」
 「えっ?ドライスーツ着ているのにどうしてスウェットだけ脱いだわけ?」
 「一緒に車に乗った時には臭わなかったけどな〜」
 何時も話題を提供してくれるアンビI田さんに感謝し、大笑いしながら川下りの余韻を楽しむメンバー達であった。

2011年6月25日 晴れ時々曇り
当日12:00 シーソラプチ川水位(幾寅観測所) 353.94m


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