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尻別川

(中野橋〜羊蹄大橋)

羊蹄山とカラマツ林 カヌークラブの有志で尻別川を下ることになり、我が家は洞爺湖でのキャンプを終えてから、集合場所である京極町ふきだし公園駐車場へと車を走らせた。
 この日は朝から気温が高く、まるで春霞に包まれたかのように周りの風景は全て乳白色のベールに覆われている。
 車を走らせていると、そのベールの中から雪に覆われた羊蹄山が忽然と姿を現す。
 黄色く色付いたカラマツ林とその羊蹄山の姿がとても印象的だ。
 ふきだし公園に集まったのは我が家を含めて9名。
 ミニ例会としては、多くもなく、少なくもなく、ちょうど良い人数である。
ふきだし公園に集合 そこからスタート地点の中野橋へ移動する途中に川の様子を見ることができる。
 普通ならば、その付近の尻別川は寒別発電所の取水堰に水を取られてしまって殆ど水が無いはずのに、今日はたっぷりと水が流れていた。
 ここでこれだけ水が多いのならば、これから下るラフトコースはどうなっているのだろうと、少し心配になってきた。
 車の回送を終えて、尻別川にカヌーを浮かべる。
 これまでにここを下った中では一番水量が多そうだ。
 洞爺湖ののどかな風景を眺めながらここへ走ってくる時「このまま湖でカヌーに乗って、温泉に入って、そっちの方が絶対に良いわ!」と言っていたかみさん。
 「やっぱり温泉の方が良かった」と、相変わらず往生際が悪い。
 O橋さんが水の中に手を入れて「こんなところで沈したら悲惨だね〜」と言うので、私も恐る恐る指先を水に浸してみる。
 「何だ?この冷たさは!」
 10日ほど前にどっさりと積もった雪が、雪解け水となって流れ込んでいるのだろうか。
 北海道のカヌーシーズンはとっくに終わりを向かえている事を、その水の冷たさが改めて教えてくれているようだ。


中野橋   中野橋
中野橋の下で出艇準備   水量はたっぷりで水も冷たい

 何時もならば中野橋下流の寒別発電所放水口から勢いよく水が流れ出しているのだが、今日は本流の水が多いためか、その勢いも薄れて見える。
 川の中央にでんと構える大岩の先からは、岩避けに忙しい瀬が延々と続いている。
 今日の水量なら結構きつい流れになっているかもしれない。
早くも沈! そう思っていた矢先に、誰かの「あれ〜?」と言う声が聞こえた。
 どうしたのかと思って顔を上げると、その大岩の先でO橋さんの乗ったOC-1がひっくり返っていた。
 あれだけ沈するのを嫌がっていたのに率先して沈するとは、皆に水の冷たさを知らせようとするO橋さんの見事な心意気である。
 流れの早い川の真ん中なのでどうする事もできず、舟を引っ張りながら岸へと向かうO橋さん。
 時々急流に足を取られて水の中に沈みかけながら必死に歩くその姿は、他のメンバーを震え上がらせるには十分なものだった。
 水が多いので、何時もなら見えているはずの岩が全て水面下ギリギリに沈んでしまい、それがトラップとなっている。
 O橋さんもそんな隠れ岩の餌食になったのだろう。
 注意しながら瀬の中を下り、小さな岩の後ろのエディに入って一息つく。
瀬を下る クラブの例会2度目の参加のJOさんは、今日は買ったばかりのダッキーに乗っている。
 心配していたけれど、さすがにダッキーは安定しているようで、この瀬の中を危なげなく下っていた。
 ただ、途中で止まることができないのか、どんどんと先へ行ってしまうのが困りものだ。
 これではもしも何かがあったとしても、レスキューができないのである。
 瀬は更に続き、波の大きなところではガンネルを越えてカヌーの中に水が少し入ってきた。
今日は絶対に濡れたくないと思っていたので、そんなちょっとの水でも気になってしまう。

最初の瀬の動画) 


瀬を下る   瀬を下る
中野橋が後に見える   岩避けが忙しい

 やがて前方に、かなり落差のある瀬が見えてきた。しかも、かなり大きな波が立っている様子だ。
 「あれ〜?こんな瀬なんて有ったっけ?」
 緊張しながら瀬の中に突入する。
 幾つかの波を越えた後、目の前に更に大きな波が待ち構えていた。
 そしてそこに突っ込んだ瞬間、一瞬かみさんが水の中に消え、次にはかみさんを越えた波しぶきが私の顔にまで降りかかってきたのである。
 これまでも何度も瀬を下っているけれど、私の方にまでしぶきが飛んできたのは初めてかもしれない。


波を被る1 波を被る2 波を被る3
瀬の中で思いっきり波しぶきを浴びる連続写真


迫力のある瀬 勿論カヌーは一瞬で水舟となる。
 よろよろしながら岸まで漕ぎ着けたが、上陸できる場所も無いので、川の中に入ってカヌーをひっくり返して中の水を出した。
 こんなに冷たい川の水には絶対に濡れたくないと思っていたのに、早くもずぶ濡れになってしまった。
 おまけに、上空に意地悪な雲が出てきて太陽の姿を隠してしまう。
 気温は平年より高めだと言っても、今の季節では陽射しがないとちょっと辛い。
 冷たい水が流れる川の上、そして全身が濡れていれば、いくらドライスーツを着ていても、その水がスーツの中にまで染みてきているような気になってしまう。

 次の難所は、流れが急に右岸に変わって土壁にぶつかるところだ。
 ところが、JOさんを先導するI山さんが左のチキンルートを下っていってしまった。
 私は右を下りたかったけれど、かみさんに文句を言われそうなので、しょうがなくその後に続く。
 そのチキンルートも結構な瀬になっていて、それなりには楽しめた。
ダッキーで下るJOさん そこで一息つこうとしたが、JOさんがどんどんと先へ下っていき、I山さんもそれに付いているので、こちらも後を追いかけて下るしかない。
 I山さんが一生懸命エディインを教えようとしているが、安定性のあるダッキーでも小回りは苦手なのかもしれない。

そして二股の瀬へとやって来た。
以前と変わって下りやすくなったと言われているけれど、何処がどう変わったのかが良く分からない。
始めてここを下った時とは何となく様子が違っている気がするけれど、その時は何も分からずに無我夢中で下っていたので、細かいところまでは覚えていないのである。
今日はさすがに水が多いので、下りやすいとは言えない状況だった。
右から左から、次々と波が襲い掛かってくるので、その度に緊張を強いられる。
何とか無事に下り終えて、後続メンバーの撮影をする。
一番最後にダッキーのJOさんが下ってきた。
他のカヌーが波に揉みくちゃにされていたのと比べて、ダッキーは全く別の流れの中を進んでいるかのように、安定している。
JOさんの話ではショップでダッキーを勧められたとのことだが、これを見ると初心者にはとりあえずダッキーを勧めるのは正しい選択なのかもしれない。
水上からの川の風景を楽しむだけならばダッキーで十分。
もう一歩進んで、川の流れや波を体で感じたくなってきてから、他の舟を探せば良いのだろう。



 ここで昼食の休憩となる。
 I山さんの話によると、二股の瀬は以前より川幅が広がり落差も小さくなっているとのこと。
 確かに、初めて下った時の写真と見比べてみると、その様子が良く分かった。
 ただ、その初めて下った時でさえ、瀬の名前の由来である二股の分流は無くなっていたはずだ。
 休憩を終え再スタートする頃になって、雲の陰からようやく太陽が顔を出してきた。


7年前の二股の瀬   現在の二股の瀬
7年前の二股の瀬   現在の二股の瀬

 二股の瀬の直ぐ下流に最後の瀬があって、その先にはもうこれと言った緊張する場所もない。
 太陽の日射しのありがたさを感じながら、のんびりとゴール地点を目指す。
 今にも雪が舞ってきそうな4月の尻別川で幕を明けた今年のカヌーシーズンは、小春日和の尻別川で幕を閉じることとなったのである。


二股の瀬下流   太陽を浴びて
二股の瀬の下流   川面に光が溢れる

2010年11月7日 晴れ時々曇り
当日12:00 尻別川水位(三崎観測所) 219.54m
(倶知安観測所) 167.77m



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