続いて我が家もクランクの瀬を真っ直ぐに下って皆のところまで行くと、そこではC葉さんの今後の身の降り方について鳩首協議が行われていた。
「相当疲れているはずで、もうこれ以上は無理じゃないか?」
「この上に民家があるから上陸はできそうだ」
「でもその後はどうする?」
「民家に助けを求めて・・・」
まるで遭難したような騒ぎである。
C葉さん本人は、今の自分がどんな状態で、これから先どんなことになるのか、全く考えることもできず、ただ呆然と佇んでいるだけだ。
C葉さんのカヤックに足を入れてみたT津さんが、そのフィッテングの悪さに気付き、とりあえずそこから先は二人のカヤックを取り替えて下り続けることとなった。
それで何とか沈せずに下れそうかなと安心したところに、トラウマの瀬が待ち構えていた。
普段なら右岸から何とかポーテージできるのだけれど、今日はそこも激しい流れになっている。
カヤックのメンバーは全員がそのルートを下りていった。
ここもやっぱり、もう一度笹舟遊びにチャレンジするしかない。
流れは岩に沿ってカーブしているが、上手くいけばその流れに乗っていけるはずだ。
慎重に狙いを定めて笹舟を水に浮かべたが、今回もやっぱり途中で波の中に消えてしまった。
笹舟遊びの感傷に浸っている暇もなく、今度は自分達の身の上を心配しなければならない。
シーソラプチ川の水量は、我が家がこれまでに下った中でも今日が一番多いのは確かである。
一月ほど前に下った時も沈させられたトラウマの瀬、リベンジするにはなかなか厳しい条件だ。
かみさんは「右岸側を下った方が良いんじゃない?」と言っているが、ここで逃げる訳にはいかない。
カヌーをゆっくりと漕ぎ進め、落ち込みの直前まで来た時「あれ?真っ直ぐに下れそうだ!」と感じた。
トラウマの瀬は斜めに落ち込みを下って、その次の横から襲い掛かってくる波が手強いのである。
これならばその心配も無さそうだと安心して落ち込みに入った瞬間、カヌーの底からガツンと衝撃が突き上げてきて、同時に私の座っていたシートもバリッと音を立ててアームから外れてしまった。
どうやら、平常時ならば水が流れていないような岩だらけの場所を下ってしまったようだ
一応は沈もせずに下って、リベンジは果たした格好だけれど、その代償としてのシートの破損はちょっと辛かった。
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