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サロベツ川

(音類橋〜上流へ)

 道北キャンプ旅行の合間に、サロベツ川をカヌーで下ることにした。
 下ると言っても流れのほとんど無い川なので、上流に向かおうが下流に向かおうがあまり関係は無い。
 でも、それでは川でカヌーに乗る楽しさが無いので、音類橋から川を漕ぎあがって下サロベツ原野のパンケ沼に出ることを目標とした。
 実は4年前の5月にも同じ目標でここでカヌーに乗ったのだが、雪解け水で増水した川は思ったよりも流れがあり、おまけに向かい風も吹いていて、パンケ沼への入り口に到達する前に力尽きてしまったのである。
出艇前の記念撮影 音類橋の両岸はそのパンケ沼でシジミ漁をする漁船が係留されている。
 木製の桟橋もあるが、水面まで高低差があるのでそこからはカヌーを出せない。
 前回はその桟橋からカヌーを出したはずなので、その時よりもかなり水位が下がっているようだ。
 しょうがないのでその横のコンクリート護岸部分からカヌーを降ろしたが、それでも90センチくらいの高低差がある。
 バランスを崩さないように注意しながらカヌーに乗り込んだ。
 南からの風が僅かに吹いているので、水面だけを見ていると上流に向かって川が流れているような錯覚に囚われる。
 陸上で飛び回っていたアブも水の上までは付いて来ない。
 かみさんは虫除けネットを頭に被っているが、それもほとんど必要は無さそうだ。
 それでも、しつこいアブが数匹付きまとっていて、油断していると剥き出しの足にとまってくる。
サロベツ川を漕ぎ上がる それを追い払うのに夢中になって、バランスを崩して沈でもしたら大変なので、あまり気にしないことにする。
 何せ、今回は一眼レフカメラもカヌーに乗せているので絶対に沈することはできないのだ。
 青い空が水面に映り込みとても美しい。
 水は勿論濁っているが、その濁りは1週間前に下った天塩川とは全く質が異なっていて、 湿原独特のチョコレート色である。
 湿原の中を流れるこの様な川は景色が単調に思われそうだが、所々にポツンと立っている樹木がアクセントとなり、河畔林が接している場所もあり、それなりに景色の変化を楽しめる。
 その河畔林からはセミの鳴き声が聞こえてくる。
センダイハギも水辺で花を咲かせていた。


サロベツ川   サロベツ川
  サロベツ川

サロベツ川

 GPSの表示を見ていると、二人でのんびりとパドリングしている時のカヌーの速度は4キロちょっとである。
 完全に漕ぐのを止めると、カヌーはその場所から全く動かない。
 この川には本当に流れていないことを実感できる。
 サロベツ川は最後に天塩川に流れ込むのだが、天塩川が増水したら逆流してくるのではと思えてしまう。(実際に潮の満ち引きで逆流することもあるようだ)
怪しげな雲が広がってきた なかなかパンケ沼への入り口が見えてこない。
 後ろを振り返ると、いつの間にか怪しげな雲が広がってきていた。
 携帯電話で雨雲レーダーを確認すると、サロベツ付近の南側に雨雲が接近してきているようである。
 そこからは後ろの空を気にしながらカヌーを漕ぎ進める。
 地図を持っていないので、後どれくらいで入り口に達するのか、まるで見当が付かない。
 スタートして既に30分以上経過している。
 と言うことは、雨が降り始めてから引き返したとしても30分はかかるということだ。
 流れの無い川を漕ぎあがる時、目的地までの時間は分からなくても、スタート地点まで戻る時間だけは確実に分かる。
 しかしそれも、頑張って漕ぎ上がれば上がるほど、戻るのにかかる時間が増えてしまうことになり、これほど頑張りがいのないパドリングは無いだろう。
 体が濡れるのは別にかまわないが、車の窓を少し開けてきたので、それが心配だった。
うろこ雲 とうとうパンケ沼に達する前に、引き返す決断を下すこととなる。
 漕ぎ上がる時は目の前に素晴らしい青空が広がっていたのに、漕ぎ下る時はどんよりとした曇り空が広がり、川の景色が完全に変わってしまったかのようだ。
 ドジョウかヤツメウナギの稚魚なのだろうか、5センチくらいの細長い魚がクネクネと水面下を泳いでいった。
 音類橋が見えてきた頃、上空の雲は引き返すことを決断した時よりも、少し薄くなっていたようだ。
 家に帰ってから、GPSのデータと地形図を重ね合わせたところ、引き返した場所はパンケ沼入り口の手前900mの地点だった。
 我が家がパンケ沼をカヌーで漕ぐのは何時のことになるのだろう。


川岸に咲くセンダイハギ   上下対称の河畔林
センダイハギが咲く川岸   鏡のような川の水面

音類橋が見えた
やっと音類橋が見えた頃には雲も薄くなっていた

2010年7月3日 晴れのち曇り
当日11:00 サロベツ川水位(音類橋観測所) 0.30m



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