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千歳川

(第一鳥柵舞橋〜高速道路下・スポーツセンター前)

 夏を迎えて2週連続で千歳川を下ることになった。
 まず最初は、早朝苫小牧着のフェリーで北海道に上陸したばかりのKevipaさん、ミエさんを迎えてのウェルカムダウンリバーである。
 何時もは夫婦別艇で下っているKevipaさん達だけど、今日は3匹のワンちゃん達も一緒に乗せてのタンデムで下る。
 Kenji&姫さんペアも加わり、カナディアンだけ、それも全艇タンデムで千歳川を下るというのも初めてで、なかなか楽しそうだ。


集合写真
3台のカメラでタイマー撮影、皆それぞれ自分のカメラの方を向いてます(笑)

 今年の7月は平年の3倍もの雨が降っていたので、千歳川の水もこれまで下った中では一番多い方かも知れない。
 支笏湖を源流とする千歳川は、水が増えても、その透明度が全く変わらないのが素晴らしいところである。
 天気は生憎の曇り空だったが、暑い本州からやって来たKevipaさんやワンちゃん達にとっては、ホッとするような涼しさだろう。
途中で休憩 川の流れも速く、あっと言う間にマナブまで下ってきてしまう。
 そこではカヌークラブの若手S君が、黙々と練習をしているところだった。
 そのS君を岸から技術指導しているO橋パパ。現在は釧路へ単身赴任中で、週末ごとに千歳川のほとりに建つ自宅まで帰ってくるというハードな生活を送っている。
 ここへ来る前に自宅前を通りかかったら、奥さんと一緒に仲良く庭の草取りをしていたのに、皆が川を下るのを知った途端に庭仕事を放り出し、自転車に飛び乗ってここまで来てしまったらしい。
 余計な刺激を与えて、奥さんには悪いことをしたと反省する。

S水君とO橋パパ 今日は早く帰らなければならないというS君とO橋パパにお別れして更に下り続ける。
 取水口の工事が行われている魚道付近は、様子がすっかり変わってしまっていた。
 Kenjiさんペアは先日もこの魚道を下っていて、その時は下見しないで突入し、工事の仮設物に引っ掛かって沈したそうである。
 そこで対岸に上陸して様子を見たけれど、魚道の出口の障害物に注意さえすれば、特に問題は無さそうだ。
 私が先頭で魚道を下る。
 水量たっぷりで、久しぶりの大きなバックウォッシュにカヌーを跳ね上げられながらも、無事に通過。
 続く2艇も、迫力のあるウォータースライダーと化した魚道を豪快に滑り降りてきた。

川岸で雨宿り 全く突然に雨が降ってきた。
 かなり強い降りだったので、岸辺の樹木の下にカヌーを入れて雨宿りをする。
 千歳川の豊かな河畔林はこんな雨宿り場所を沢山作ってくれるので、とってもありがたい。
 それにしても、週末雨のパターンだけはしっかりと守られる今年の北海道である。
 雨もほぼ上がったので、川下りを再開。

 蛇籠の落ち込みも迫力のある白波が立っていたけれど、下見無しでそのまま進入する。
 落ち込みに入るポイントさえ間違えなければ、素直な波の中を爽快に下ることができる。
 kenji艇、Kevipa艇も続けてクリア。
 その後は高速道路下のゴールまでのんびりと下り、ウェルカムダウンリバーは終了。
メロンを食べたそうなケビン kenji家が持ってきてくれたメロンを仲良く6等分して、皆でいただく。
 今年初めて食べるメロン、それも本物夕張メロンはとっても美味しかった
 果物アレルギーでメロンが食べられないかみさんのおかげで、私とケビンがそのお裾分けをもらえる。
 14歳になって後ろ足がかなり弱ってきたケビンだけれど、かみさんの手からメロンを食べるケビンの様子はまだまだ元気そうである。
 また来年もその元気な姿を見せてもらいたいものだ。
 まるで、Kevipaさん達が夏を連れて来たかのように、この後北海道は本格的な夏の暑さとなるのであった。


Kevipa&ミエさん   kenji&姫さん
Kevipa&ミエさん・ケビン・ルーク・クレア   kenji&姫さん

 そして1週間後、クラブのK島さんが新入会員のTさんと千歳川でミニミニ練習会をするというので、週末に何の予定も無かった我が家はそれに参加させてもらうことにした。
 同じような人達が集まって、結局総勢10名と、ミニミニの取れた練習会となる。
 当日は航空自衛隊千歳基地での航空ショーとぶつかり、周辺の道路は大渋滞。高速道路の千歳インター出口でも5キロ以上の渋滞となっていたので、一つ手前の恵庭インターで下り、裏道を抜けて、何とか余裕を持って集合場所まで辿り着けた。
集合写真 札幌が晴れていても、太平洋からの霧が流れ込む千歳付近は曇って気温が低いことが多い。
 この日も千歳に近づくにしたがって雲が広がり、途中で霧雨まで降ってくる始末だった。
 それでも下り始める頃には雲も薄くなって、気温も上がってくる。
 S水君の到着が遅れていた。
 クラブの他のメンバーは老獪な人間ばかりなので、要領良く渋滞を抜け出すことができるのだけれど、まだ純朴なS水君は、何もしないで素直に渋滞の列に並んでいるのだろう。
 K島さんがS水君の到着をもう少し待ってみることにして、他のメンバーは先に下り始める。
 雲の切れ間から陽が射してきた。
千歳川に佇む そうすると、澄んだ水を透して川底の様子がくっきりと見えてくる。
 色とりどりの川底の小石、流れに揺れる緑のバイカモ、本当に美しい千歳川の風景である。陽が射すだけで、先週とはまるで違う川のように感じてしまう。
 そんな流れの中で、エディイン・アウトやフェリーグライドをしながらゆっくりと下っていると、K島さんが追いついてきた。
 S水君は来たけれど、急な仕事が入って川を下れなくなり、下流のマナブに顔だけは出すとのことである。
 S水君は先週も、時間が無いからと、マナブで練習しただけで帰ってしまっていたし、何だかとっても気の毒だった。

 両岸から大きく張り出し木の枝に注意しながら下っていくと、マナブの入り口へと出てくる。今日はそこにゲートが張られていたので、何度かそれをくぐる練習をするけれど、なかなか上手くできない。
 何時もここで一人でグルグルと回っているカヤッカーのおじさんから「もうアリーには乗らないの?、あっちの方が格好良かったのに」と声をかけられた。
 確かに、以前はアリーで川を下るのが我が家のステータスだったのに、今のこの舟では、他のカナディアンに乗っている人と何の違いも無いのである。
 と言っても、1時間以上かけて再びアリーを組み立てる気にはなかなかなれないのだ。

 岸辺に人影が見えたので、S水君だと思って近づいていったが、何だか様子がおかしかった。
 「あれ?S水君ってドライスーツを着ていない時はこんなに男前だったっけ?」
 今回は別のクラブからしげさんが参加していたけれど、そのしげさんと親しそうに話しをしていた。
 「あれ?この二人て知り合いだったっけ?」
 どうやらその人物は、S水君でないことだけは確かだけど、何処かで見たことのある顔だった。そしてようやく、その彼がしげさんと同じクラブのネイティブさんであることに気が付いた。
本物S水君登場 でも、しげさんと彼の会話を聞いていると「急な仕事が入って川を下れなくなって・・・」と、何処かで聞いたような内容だった。
 「???」と頭の中が混乱している時、そのS水君がカヌーに乗って颯爽と現れたのである。
 「いや〜、何だか道路が混んでいて遅れちゃいました〜」
 K島さんはこの時になって初めて、自分が話していた相手がS水君ではなかったことを知ったのである。
 それにしても、集合場所に着いた途端、見ず知らずの女性から親しげに話しかけられたネイティブさんも、さぞ驚いたことだろう。
 まあ、この辺でカヌーに乗っている人間は、大体が何処かで繋がっているようなものなので、そんなことも気にならないのかもしれない。

マナブで泳ぐ 暑くなるだろうと思って、わざわざ前の日にTシャツタイプの水着を買ってきて、今日はそれを着て下っていた。
 でも、川の上は涼しくて、積極的に水の中に入りたくなるような暑さではない。
 恐る恐る水の中に入ってみたところ、全く冷たさは感じなかった。逆に気持ちが良いくらいだ。
 かみさんも、泳ぎ始める。
 水の中に入るのが楽しいので、足の付かない場所で、ひっくり返ったカヌーを元に戻しての再乗艇の練習をする。
 こんな練習は、夏の今時期でなければする気にはなれないのだ。
 しげさんの新艇OC−1にも試乗させてもらう。
 慣れないうちはグラグラと揺れて安定が悪いけれど、エディラインでクルリと回る操作性の良さがなかなか魅力的である。

再乗艇練習中   新艇OC-1試乗
カヌーは起こせた、次は再乗艇   不安定なOC-1に試乗


 ここで練習を続けるしげさんと別れて、川下りを再開する。
 カワセミを撮影するための小屋がかけられている場所で小休止していると、その付近の空気がひんやりとしていた。
 何処かから湧き水が流れ込んでいるらしい。
丸太橋の下をくぐって そこの奥に小さな流れを見つけ、そこを少し遡ってみる。
 水の少ない時ならば、とてもカヌーで遡れるような流れではないのに、今日は十分な水量がある。
 丸太橋の下を、体をギリギリまで低くして通り抜けると、そこには美しい空間が広がっていた。
 木々の葉を通した木漏れ日が、優しく水面を照らし出す。苔に覆われた倒木、水温が低いので霧まで立ち上っている。
 何だか釧路川の鏡の間にいるような雰囲気である。
 千歳川にこんな場所があったことを、今まで知らずにいたのが不思議だった。


湧水の小川
釧路川の鏡の間にいるみたいだ

 そこを出ると次は魚道である。
 一週間前にも下っているので、ここは先頭で下りて後続メンバーの写真を写す。
 迫力満点のバックウォッシュを浴びて、皆とっても楽しそうだ。
 ついでに隣りの工事現場の様子も覗いて見ると、そこには新しい魚道が姿を現しつつあった。
 関係者の話では、カヌーで下るのも考慮した魚道になるらしいけれど、その仰々しいコンクリート構造物は千歳川の景観にはどうやったって似合わない代物である。


工事現場が見えてくる   魚道を下る
前方に工事現場が見えてきた   バックウォッシュにカヌーが乗り上げる

新しい魚道
新しい魚道が姿を現しつつある

内別川 内別川の流れ込みにも入ってみる。
 ここも水量が多く、川を横断する飛び石に遮られるまで、カヌーの底をこすることなく遡ることができた。
 手がしびれるような水の冷たさである。

 市街地に近づいてきたところで現れる、三つの分流。
 先週は左側を下ったので、今日は右側を下ってみることにした。
 以前にそこを下った時は途中に倒木があったはずだけれど、先週に下流側からそこを見た限りでは倒木も無くなったようである。
 しかしそこを途中まで下って、突然行く手に現れたのはその時の倒木だった。しかも更に状況は悪くなって川を完全に塞いでいる。
 下流側からは死角になって見えない場所にあったのである。体を低くしてその下を通り抜けようとしたけれど、見事に捕まってしまった。
 「痛たっ!」かみさんが悲鳴を上げる。倒木の枝が背中に引っ掛かっていた。そこへS水君のカナディアンが突っ込んでくる。
 2艇でもがいているところに更に突っ込んできたK−さんのカナディアンは、既にひっくり返っていた。
 3艇団子になりながら、そこを抜け出す。
 結局、ここで一番の貧乏くじを引いたのはK−さんだったけれど、かみさんも背中に25cmの痛々しいみみず腫れを作ったのである。

蛇篭で沈 蛇籠の落ち込みは今回も先頭で下る。
 そして、後続メンバーの写真を撮ろうと思ったけれど、ちょっと心配だったのでカメラはかみさんに渡して、私はレスキューロープの用意をする。
 S水君は無事に下ったけれど、心配なのはカナディアンで川を下るのは6年振りというK−さんである。
 案の定、波に煽られ見事な沈。
 敢えてロープを投げる程でもなく、セルフレスキューでカヌーを引き上げた。
 K−さんは今日2度目の沈になるけれど、いたって楽しそうである。
 夏の一日、こんな水の綺麗な川で泳ぐのが楽しくないわけは無いのだ。

青空の下を下る 今日はスポーツセンターに車を置いてあるので、そこからは暫くのんびりと町の中を下っていく。
 河川敷では若者グループやファミリーが、あちらこちらでバーベキューを楽しんでいる。
 美味しそうな匂いが川の上まで漂ってくる。
 上空に広がる青空。
 航空ショーに出ているジェット機が、轟音と共にその空を横切る。
 こうしてスポーツセンター前に上陸。
 Tさんは、冷や冷やドキドキの2度目の川下りを終えて、ホッと一息。
 S水君は、沈しないで下れたのは初めてだと嬉しそう。
 6年ぶりのカナディアンでの川下りだったKーさんは、これで再来週の歴舟川川下りキャンプもカナディアンで参加できると自信を持てたようだ。
 でも、Kーさんのカナディアンに荷物を預けるのは止めた方が良いかもしれない。
 2週連続で下った千歳川、何度下っても楽しい川である。

2009年8月2日 曇り一時雨 
2009年8月9日 曇りのち晴れ



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