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支湧別川・湧別川

(新生橋〜旧白滝駅付近)

 カヌークラブの6月例会初日は、支湧別川から湧別川を下る。
 湧別川は5年前の例会で一度下っているけれど、支湧別川は今回がはじめてのチャレンジである。
その時の例会前日に有志の皆さんが支湧別川を下った時は、我が家は見学に回って、その時の印象では、「川幅が狭いので大型のカナディアンで下るのは無理」と言ったものだった。
 それが今回は、正式な例会で支湧別川を下るのである。
 心配になって「大型カナディアンで大丈夫ですか〜?」と聞いてみたら、会長から「例会で下る川は基本的にどんな舟でもOKです!」との心強いお言葉が返ってきたので、我が家も参加を決意した。
 でも、大型カナディアンで参加したのは、結局我が家だけ。何時もは奥さんとのタンデムで下っている会長でさえ、今回はOC-1で下るのである。
スタート地点 まあ、クラブの人たちの「心配ないです」とか「大丈夫だ〜」の言葉が全く信用できないことは、今までの経験から十分に分かっていたので、そんな状況は覚悟の上の自己責任での参加決意なのである。
 それにしても、OC-2でここを下るのはもしかして我が家が始めてかも知れず、先行きは大いに不安だった。

 車の回送を済ませて、スタート地点の新生橋へ到着。
 車を停めておけるスペースは周辺に沢山あったけれど、多分その付近は農家の方の個人の敷地と思われるので、トラブルにならないように伸びた雑草をなぎ倒しながら、川原近くまで車を下ろした。
 参加者は、ゲスト参加の旭川カヌークラブの○山さんを加えて、総勢15名。
 ベテランメンバーばかりなので、安心して下れそうだ。
 ただ心配なのは、やっぱり川幅の狭さ。
 水量が多いので邪魔な岩は消えているけれど、その分、エディも潰れてしまっているところが多くて、大型のカナディアンで入れるようなエディは僅かしかない。
速い流れの支湧別川 スタート地点も小さなエディしかなく、流れが速くて留まっていることもできず、準備ができた舟から次々と下り始める。
 流れが速い!あっと言う間にカヌーが進んでいく。
 先にスタートしたメンバーが、所々にある小さなエディに入って待っているけれど、我が家のカヌーで入れそうな適当なエディがなかなか見つからない。
 あれよあれよと言う間に他のカヌーを追い越して、このままでは先頭に出てしまいそうだ。
 こうなると贅沢も言ってられないので、小さなエディに無理やりカヌーのバウを突っ込む。すると、スターンが流れに押されてクルリとカヌーは上流側を向いて接岸する。
 通常ならばここで一息なのだけれど、小さなエディなので、流れに押されてそこに留まっていることが難しい。
 直ぐにカヌーから飛び降りて、舟を確保しなければならない。
 一度は、飛び降りた瞬間に足を滑らせて、体をしたたかに岩にぶつけたりと、エディインするだけでも大変である。

 そんな状態で下っていくと、先に下っていたメンバーが全員、川岸にカヌーを寄せて止まっている。
 どうしたのかなと思いながら近づいていくと、その先で倒木が折り重なりストレーナーの様になっている様子があらわになった。
倒木ストレーナー 慌てて、エディインの要領で岸にカヌーを寄せて止まろうとするが、我が家の大型カナディアンが入り込めるスペースは 空いてなくて、そのままズルズルと流れに押され、とうとう後ろ向きのまま流れの中に出てしまった。
 最悪の状況である。
 しょうがなく、後ろ向きのまま漕ぎながら、今度はカヌーのスターン側からのエディインを試みる。
 そのまま反対の岸にスターンから突っ込み、カヌーがクルリと前を向いたところで飛び降りて、何とかカヌーを確保できたのは、倒木ストレーナーの直前だった。
 結局、その倒木ストレーナーは、普通に下っていけば余裕を持ってかわすことができるものだったので、慌てなくても良かったのである。
 (危機一髪の動画 大 11.2MB 小 2.7MB) 

 幅の狭い川が増水すると、両岸からの波が中央部でぶつかり三角波の様になっている。そんなところに岩が絡んでいたりすると、ますます複雑な波となってカヌーに襲い掛かってくる。
 ぐちゃぐちゃに揉まれながらそんな瀬の中を通過すると、カヌーの中に大量の水が流れ込み、直ぐに水舟になってしまう。
 その度に接岸して、カヌーをひっくり返して水抜きしなければならない。そんな水抜きを何度したのか、途中から数を忘れるほどに繰り返された。
 何せ、流れの全てが瀬になっているので、息つく暇もないとはこんな状況のことを言うのだろう。


前から水が!
   
 
横からも水が!
   

岩を避ける 下で見ていたメンバーが「うわっ、まともに来ちゃった!」と話している声が耳に入った。
 スタート時のツアーリーダからの説明では、白滝市街地に入ったところの幅の狭い落ち込みについてだけ、注意してくださいとの話だった。
 実際はそれ以外にも、注意するポイントは沢山あったようである。
 しかし、たとえ注意されていたとしても、一列縦隊になって下っている状況では、そのポイントが目の前に現れるまで気が付かない。
 そうなったらもう、突っ込んでいくしか選択の余地がないのである。
 たまに反応が遅れると、まともに岩に激突したりするけれど、それでも何とか下り続けることはできるのだ。
 (岩衝突の動画 大 7.5MB 小 1.4MB

岩壁に流れがぶつかる 流れが真っ直ぐに岩にぶつかっている場所があったので、念のためにカヌーから降りて一人で様子を見に行く。
 流れは激しいけれど、危険なことも無さそうだ。
 先頭のカヤックが、そこを下ってからOKサインを送ってきたので、直ぐに上流で待機しているメンバーにも同じ合図を送って、カヌーまで戻る。
 かみさんにこんな場所を見せると、「ここは無理〜」と泣き言を言い始めるので、ぶっつけ本番で下らせた方が良いのだ。
 そこも何とかクリア。

 かなり波の大きな瀬を何とか乗り切ったところでエディに入ると、後に続いていたS木さんが沈脱して流されてきた。
 直ぐにレスキューロープを持ってカヌーから降りる。
 焦ると投げ損なうので、袋の口を緩めて、ロープの端をしっかりと握ってと、一つ一つ確認しながら準備をする。
 そして目の前まで流れてきたS木さんに向かって、レスキューロープを投げ入れる。
 「は、外れた・・・。」
 掴まりやすいように、流されている少し下流側に投げたつもりだけれど、それが少し離れすぎてしまい、流される人と同じ速さでロープも流されるので、これでは掴まれる訳がない。
 他の人の投げたロープで、S木さんは無事にレスキューされたけれど、レスキューロープの投げ方くらいもっと練習しておかなくてはと反省するしかなかった。
 過去に一度だけロープレスキューに成功したことがあるが、自分の投げたロープに流されている人が掴まった瞬間は、釣りで大物がヒットした時と同じ感覚で、とても楽しいものなのである。
 (レスキュー失敗の動画 大 15.6MB 小 3.8MB

 川の様子は、何となく空知川支流のシーソラプチ川に似ている。
 両岸から枝を伸ばす木々が緑の回廊を作り、その中を縫う様に皮が流れる。
 川の水は、当然のことながら高所から低所へと流れるものだけれど、川を下りながらその高低差がはっきりと意識できるほど、支湧別川は傾斜がきつい。
 まるで巨大なウォータースライダーの中をカヌーで下っているような気持ちになってくる。

美しい川だ
シーソラプチ川に似ているかも

快適な瀬   快適な瀬
ウォータースライダーのような瀬を下る


 ただ、そのウォータースライダーにはあちこちに障害物が用意されている。
倒木に捕まる 岸から張り出した倒木の枝を、問題なくかわしたと思った瞬間、カヌーが突然ガクンと止まってしまった。
 岩に乗り上げたような感触もなく、一体どうしたのだろうと後ろを振り向くと、かわしたはずの枝がカヌーのスターンをしっかりと上から押さえつけているのが見えた。
 こんなところで止まっていたら、後続のカヌーが次々とぶつかってきてしまう。
 カヌーを揺らして、その倒木から何とか脱出することができものの、この時の衝撃で浮力体を抑えているロープが切れて、ビスも一箇所抜けてしまっていた。
 何処で何が起こるか分からないので、油断大敵である。
 (倒木捕まりの動画 大 7.9MB 小 2.8MB

 適当な川原があったのでそこで昼食タイムとする。下っている最中はなかなか回りを見る余裕も無かったけれど、本当に美しい川である。
 再び川下りを再開して、白滝村の市街地まで下ってきた。
 ここの幅の狭い落ち込みでは、初めて全員で下見をする。
 5年前は岸から皆が下る様子を見ていたけれど、その時はこの狭い落ち込みにカヤックは苦労していたようだった。
 今回は水が増えているので、落ち込みの他の場所からでも下れそうだ。
 かみさんが嫌がるので、ここは私一人で下ることにする。二人乗りだと座礁しそうな場所でも、一人で乗ると何の問題も無く下れてしまう。
 ただ、そのまま下流の瀬まで下って反対岸のエディに入ってしまったものだから、残されたかみさんを回収するのに、余計な手間がかかってしまうのが面倒である。


5年前の状況   今回の状況
5年前は右岸の狭い落ち込みしか下れなかった   今年は左岸からも下れる

落ち込みの下流もハードだ
落ち込みを過ぎたその先もハードな瀬が続く

堰堤越え完了 市街地を過ぎたところで支湧別川は本流の湧別川と合流し、川幅もようやく広くなる。
 ここから先は、5年前の例会で一度下っている区間である。
 その時も増水気味でかなり苦労して下っているのに、今回はそこまで来るのに「もう、お腹一杯です」な状態だった。
 合流後、少し下ってから、堰堤越えがある。
 疲れた体に、この堰堤越えは相当にきつい。
 と言いつつも、私が堰堤の写真を写している間に、かみさんが一人で下流までカヌーを引きずっていってくれたので、私自身はそれほど疲れなかったのである。

 そして次に現れるのが左に折れるクランク状の瀬だ。
 前回は、我が家を含めてポーテージしたメンバーが多かったけれど、今回は当然のように全員がチャレンジする。
 かみさんは、ここでもサッサとパスを決め込んだので、また私一人でのチャレンジ。
既に試合放棄状態 左のチキンルートも下れそうだったけれど、前に下ったメンバーが全員本流の方を下っているので、私一人が逃げるのも格好悪いし、覚悟を決めて私も本流へ。
 久しぶりの緊張感に体が包まれる。
 流れは正面から岩壁にぶつかって、左へと向きを変えるが、右への反転流もある。
 早めに本流から左へ抜け出せば、まともに岩にぶつからずにそこをクリアできる。
 と、頭の中に描いていたイメージだったけれど、その手前の瀬の部分で私のカヌーは反対の右側へと寄っていってしまう。
 私は右漕ぎなので、慌ててクロスドローで修正しようとしたけれど、焦って水を上手く捉えられない。
 バタバタしている間にも、見る見るうちに岩壁が迫ってきて、そこでもう完全にお手上げ、パドリングを止めてしまった。
 岩壁にぶつかった流れは素直にそのままはね返されてくるので、そのまま岩に張り付いてしまう心配は無さそうだ。
 岩壁をパドルで一押しすれば、そのままあっさりとカヌーは下流へと押し流された。
S木さん危機一髪 一応これでもクリアしたことになるのだけれど、かみさんからも「何で右に行っちゃう訳?」と、からかわれる始末で、とても格好悪いのである。
 その後を下ってきたS木さんのカヤックは、ちょっと悲惨だった。
 手前の瀬の部分で沈してしまって、ロールで起き上がれないまま岩壁に衝突。それからようやく脱艇して、水面に浮かび上がってきた。
 アンダーカットになっている岩だったら大変なところだったが、水の流れから判断して、ここのクランクはそれほど危険な場所ではなさそうだ。

 その後は、緑色に染まった周りの山の風景を眺めながら、ゴール予定地点までのんびりと下り続ける。
 以前の例会でアリーで初めてここを下った時は、この付近でもう一杯一杯になっていて、瀬の音を聞いただけで逃げ出しそうな気持ちになっていた。
 先行する他のメンバーからも遅れてしまって、誰も見ている人がいないのを良いことに、何でも無いような瀬をこっそりとポーテージしていたことが、遠い昔の出来事に感じられる。
 目印として、川岸の柳の枝にぶら下げてあったクラブの旗が見えてきた。
 そこから、車を停めてある場所までカヌーを引き上げるのに、また一苦労したけれど、下り終えた後の充実感はとても大きい、今日の川下りだった。

緑に包まれた湧別川
緑に囲まれてゴールを目指す

(支湧別川の瀬の動画総集編 サイズ大きいですが 106MB ) 

2009年6月13日 曇り
当日12:00 湧別川水位(丸瀬布観測所) 174.38m
写真提供 サダ吉さん



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