トップページ > カヌー > 川下り日記

 

歴舟中の川

(砂防ダム〜カムイコタン公園キャンプ場)

スタート地点で 5連休最終日は、川を下らずにそのまま札幌まで帰るつもりだったのが、朝から広がる素晴らしい青空とI山さんの悪魔の微笑みに騙されて、歴舟中の川を下ることになってしまった。
 歴舟川本流とヌビナイ川に挟まれたもう1本の支流が歴舟中の川である。
 私を含めてクラブのメンバーでもここを下ったことがある人はほとんどいなくて、今までは何となく、水が少ない時は下れるような川ではない、とのイメージを持っていた。
 それが、歴舟川上流やヌビナイ川で散々苦労した後なのに、本当に大丈夫なのだろうかと心配になるが、
 これまでもI山さんの「大丈夫ですよ」の言葉に騙されて、何度も大丈夫じゃない川を下っているので、今回も素直にI山さんに騙されてみることにする。

カーテンのような滝 そうして狭い林道を走ってたどり着いた場所が、巨大な砂防ダムの上だった。
 落差はヌビナイのダムより低いけれど、幅が広くて、川の水がカーテンの様に流れ落ちる風景が美しくさえ見えてしまう。
 乗ってきた車は、クラブの他のメンバーの方がキャンプ場まで戻してくれるのでありがたい。
 そんな親切な皆さんに見送られて、いよいよ未知の川、歴舟中の川のダウンリバーが始まった。
 参加者は僅か6名、この中で5日間全て漕ぎ通すことになったのは、私達夫婦のほかはF本さんとサダ 吉会長の4人だけである。
 あとの二人はI田さんとI山さん。
 I田さんは昨日のヌビナイ川では一番長い距離を下っているはずだ。何せ、一度下った瀬を、再び舟を上流に引っ張り上げては何度も下り直して、皆を呆れさせていたのである。
 他にも、ドライスーツを前後逆に着たり、何もない場所で沈したり、ザラ瀬の中ではしょっちゅう座礁して後続メンバーの行く手を塞ぎI田ダムと呼ばれたり、川を上ってきたサケを手掴みしたり、若い女の子が宴会の中に混ざっているだけで異常にテンションが高くなったりと、常に話題を提供してくれるI田さんである。
 そして、これから皆を未知の世界に連れ込もうとしているI山さん。
 これくらいの人数で川を下るのが、常に全員の様子が目に入って、一番楽しい気がする。


川下りスタート   美しい歴舟中の川
砂防ダムに背を向けて川下りスタート   天気が良ければ水の透明度も増す

  川の水の透明度は、歴舟川やヌビナイ川とさほ変わりは無いのだろうけれど、太陽の陽射しが川の中まで射し込むので、昨日までとは全く違うくらい澄んでいるように感じられる。
 皆の顔には、自然と笑みが浮かんでくる。
 カヌーをやっていて、こんな川を下ることほど嬉しいことはないのである。


歴舟中の川の風景
こんな川を下れればパドラー冥利に尽きる

 現れる瀬も、ヌビナイ川のように玉石がボコボコと飛び出して、何処を下れば良いのか途方に暮れてしまうような瀬ではなく、波しぶきを浴びるのが心地良いような楽しい瀬である。
カヌーのそこがつかえてしまうような浅瀬も、小砂利の川底なので、座礁することなく通過できる。


楽しい瀬   青空も美しい
これくらいの瀬は楽しく下れる  

青い空が気持ち良い


 一箇所だけ、岩が邪魔になって、カナディアンではどうしても下れないような瀬があった。
 でもそこも、その岩を過ぎたところまでカヌーを移動すれば、後は快適に下ることができた。
 初心者も混じった例会で下るのなら、ヌビナイ川よりも絶対にこちらの川を選ぶはずだ。
 これまで歴舟中の川が例会の対象にならなかったのは、ただ、川の情報が無かっただけということなのだろう。


唯一の嫌らしい瀬
この瀬の入口部分はさすがにすんなり下れなかった

 切り立った岩壁が間近に迫り、歴舟川上流部のようなゴルジュ地形も楽しめる。
 本当に美しい川である。


ゴリュジュ地形の中で記念撮影
ゴルジュ地形の中で記念撮影

中の川大橋 先月の川原キャンプ例会がすっかり気に入ったF本さんは、以前から「来年は2泊でやりましょう」と言ってたけれど、「1泊目をここにするのも良いんじゃないですか」と言い始めた。
 確かに、キャンプに快適そうな川原が何箇所かあった。
 でもさすがに、荷物を満載したカナディアンでここの瀬を下れる自信は無いのである。

 中の川大橋を過ぎると、歴舟川下流部のように分流が多くなってきた。
 しっかりと堤防で囲まれた川でもないので、自由奔放に流れを変えているような雰囲気である。
 その分、浅瀬も多くなって下るのがちょっと大変になってくる。
 カナディアンならば、片足だけ舟の外に出して、その足で川底をけりながら何とか下ることができる。
 カヤックの場合は一々降りていたら、再乗艇に手間がかかるので、意地でも降りないぞとばかりにイグアナ状態で下っているのが気の毒である。
 前半の楽しい流れと比べると、後半の流れが退屈なものに感じてしまうのはしょうがないところだ。


中の川下流の浅瀬   中の川下流の浅瀬
イグアナ状態で下ります   こんな浅瀬も多くなる

川原の上には秋の空 途中の川原で最後の休憩をする。
 柔らかな秋の日差しが照りつけ、そのまま川原で一眠りしたくなるほどに気持ちが良い。
 真っ青な空には刷毛で掃いたような秋の雲が浮かんでいた。
 そこからしばらく下ると、昨日下ったばかりのヌビナイ川と合流する。
 そしてその先では一昨日に下った歴舟川が合流してくる。
 3日間でここを全部下ったことを考えると、その感慨もひとしおである。
 そんな感慨にひたりながら、3回目に下ることになる同じルートをキャンプ場を目指して漕ぎ下った。

写真提供 サダ吉さん

2009年9月23日 晴れ
当日12:00 歴舟川水位(尾田観測所) 102.32m


ヌビナイ川・歴舟中の川合流
左がヌビナイ川、右が歴舟中の川



戻 る