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千歳川

(第一鳥柵舞橋〜高速道路下)

 今シーズンのカヌー初漕ぎで千歳川へと出かけた。
 先にゴール地点の様子を見に行くと、見覚えのある黄色いカヌーを積んだ車が2台停まっていた。同じカヌークラブに所属するSさんとMさんである。
 今日は尻別川に行っているメンバーもいて、その人からは数日前にクラブの掲示板に「誰か一緒に行きませんか?」と誘いの書き込みがされていた。
 「あれ?尻別川には行かなかったの?」
 「いや〜、ちょっと遠いし〜・・・。」
 「いや〜、いきなり最初に尻別川は〜・・・。」
 まあ私達夫婦も同じようなもので、軟弱メンバーがここ千歳川に集まってしまったようである。
シーズン初カヌー 仲間が見つかったおかげで自転車を使って車の回送をする必要もなくなり、そのままスタート地点から直ぐにダウンリバーを始められるのが嬉しい。
 春の陽射しが優しく降り注ぎ、小鳥達のさえずりが賑やかに聞こえてくる。最高の川下り日和だ。
 半年間のブランクを取り戻そうと、ブレードに伝わってくる水の圧力を確かめるように一漕ぎ一漕ぎ丁寧にパドリングする。
 何て格好の良いことを言ってるけれど、そもそもブランクを感じるような高度なテクニックを駆使してカヌーに乗っているわけでもなく、水に浮かんでしまえば去年と何の変わりもなく直ぐに漕ぎ出すことができるのである。
 春の陽射しは暖かだけれど、河畔の木々の芽はまだほとんどが硬く縮こまったままだ。
 カツラの赤い新芽がやや膨らみはじめ、ハンノキの枝先に花穂がびっしりぶら下がっているのが目に付くくらいで、冬枯れの殺風景な景色が広がっているだけだ。
 今年は3月から気温が上がり雪解けも早くなっているけれど、まだ4月の初めである。こんな時期にカヌーに乗っていること自体が少し早すぎるのである。

木々の芽はまだまだ固いままだ
所々に雪も残る

両岸から倒木が
両岸から張り出した倒木の間を抜ける

川岸の風景
裸の木々の風景にもどことなく春を感じる

 ストリームイン・アウトを繰り返しながらのんびりと下る。
 途中で不思議な光景に出会った。
 これは何?川の岸辺に折りたたみの赤いパイプ椅子がさりげなく置かれて、その上の木の枝には同じ色の椅子のケースが結び付けられていた。
 その前の川の中に釣竿が沈んでいるのが見えたので近づいてみる。
 「釣りの途中にちょっと何処かに出かけて、その間に竿が川の中に落ちてしまった。」
 そんなところだろうと思いながら竿を拾い上げると、その竿はかなり前からそのままの状態だったようで水垢でヌルヌルしていて、しかも先端は折れてしまっていた。
 一体何時からこんな状態だったのだろう?
 木の枝に結び付けられた椅子のケースも、何故か背伸びしても届かないような高い場所にあるのが合点がいかない。
 何となくそこにミステリー空間への入り口が口を開けているような気がして気持ち悪くなり、そそくさと先を急いだ。

 ところどころで川底が白くなっているのが気になった。
 よく見るとそれはサケの変わり果てた姿である。原形をとどめないほどに分解が進み、既に骨だけになってしまったものも見受けられる。
川底に白いものが見える もっと早い時期に下った人の話では、これらの死んだサケのために川には異臭が漂っていたらしいが、今はそんな匂いもなくなり、透明な水を通して見るその真っ白な姿に神々しさを感じてしまう。
 下流にあるインディアン水車でのサケの捕獲は去年の12月9日で終了したけれど、その後も例年になく遅くまで遡上が続いていたらしいので、このあたりまで沢山のサケが上ってきたのだろう。
 そんなサケに混じって、なにやら不思議な魚の屍骸を見つけた。
 色が抜けてほとんど白くなりかけているけれど、まだ部分的に赤い色が残っている。そしてその形、どう見ても川魚の姿とは思えない。
 家に帰ってからネットで調べてみると、某カヌークラブに所属する方のブログに、千歳川でキンメダイが死んでいるのを見つけたとの写真付き記事が載っていた。
 今回見つけた魚の屍骸もまさにそのキンメダイに似ている。
 千歳川のこの付近にはカワガレイが生息しているのは確からしいけれど、それにしてもまさかキンメダイまでは生息していないだろう。
 またしても千歳川のミステリーである。

ミステリースポット  
このイスの持ち主は一体何処へ?   キンメダイ?

雲が広がってきた 「まなぶ」では春の陽気に誘われたように、沢山の学生たちがカヤックの練習をしていた。
 このころから上空に暗い雲が広がり始め、やがて太陽の姿を隠してしまった。
 気温は平年並み以上に上がっていても、日が隠れてしまうとさすがに寒く感じる。
 今年は山スキーに出かけてもこんなパターンばかりが続いていて、先週末の初キャンプの時も全道的に快晴に恵まれているにも関わらず我が家がキャンプをしている付近だけが曇っていたりと、徹底的に天気に意地悪され続けている。
 カヌーの時までこのパターンから抜け出せないようでは、この先が思いやられる。

迫力のない魚道 途中の魚道は長沼用水で取水しているため、全然迫力がない。
 蛇籠の落ち込みの手前に国道から車を乗り入れられる場所があって、いつも釣り人の姿を見かけるところだ。
 今日も一人がフライのキャストの練習をしていて、それを見守るように数人の男性が立っていた。
 その邪魔をしないように対岸ぎりぎりをゆっくりと通過していると、男性の一人が突然「こんにちは!挨拶しましょう!」と大きな声をかけてきた。
 川を下っているときに釣り人の前を通過する時は、いつも頭を下げるようにしているけれど、離れた岸に立っている関係なさそうな人間にまで挨拶するほど私は愛想の良い人間ではない。
 それでも相手から挨拶を強制されれば、無視するのも変なので軽く挨拶を返しておく。
 すると今度は、「後ろから近づく時は、通りますと声をかけてください!」とまで言ってきた。
 かみさんは素直に「は〜い」を返事をしていたけれど、私は「はぁ?」である。
 キャストの練習をしている人間とは十分な距離が開いていて、そしてその周りの人間は全員がこちらを見ているのである。
 それでも「後ろを通ります」と声をかけろと言うのだ。
 多分、釣りのインストラクターか何かをやっている人間で、目の前を通る目障りなカヌーに一般的な礼儀を教えてやろうとでも思っているのだろう。
 こんな人間が釣りを教えているのだから、すれ違うときに挨拶しても知らん振りをする釣り人が増えているのではと余計なことまで考えてしまう。
 それぞれが自分の好きな遊びをしているのだから、それぞれが楽しくいられるような関係を保ちたいものだ。

 蛇籠の落ち込みは、右岸寄りが素直な流れになっていて簡単にクリア。
 その後は川の流れに舟を任せて、高速下に到着。
 相変わらず太陽は雲に隠れたままだったけれど、気持ちの良いシーズン初のダウンリバーだった。

2008年4月6日 晴れ後曇り
Photo by サダ吉さん 

倒木の下をくぐる
葉が茂ってくるとここを通過するのは大変かも

蛇篭の落ち込み
蛇篭の落ち込みは楽勝

高速下へ到着
高速道路下のゴール地点に到着


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