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美々川

(美々橋 ~ 第2美々橋)

 カンヌークラブ6月の例会は美々川です。
 ベテランツアーリーダが誰も参加できないため、クラブの中では多分一番最近に美々川を下っていると思われる私がツアーリーダーを引き受けることになりました。
 最近と言っても最後に下ったのは3年前のGWです。
 今回は美々橋からスタートすることにしたのですが、3年前のその時でさえ上流部はヨシなどが茂って川が塞がっていたところが有ったほどで、果たして本当に下れるのか甚だ心配ではありました。
 そしてもっと心配なのが、普段の例会に於いても遊べるような瀬が無ければ退屈してしまうようなメンバーばかりなのに、こんな美々川の例会に参加するような人が果たして居るのだろうかと言うことです。
記念撮影 この際、会員の参加は期待しないことにして、クラブ員以外の川初体験の人とかをターゲットに参加者を募ってみました。
 すると、ちょうど札幌に滞在していた神奈川県在住の方とか、湖でしかカヌーに乗ったことが無い方とか、カヌーを持ってないけれどとりあえず体験してみたいと言う方など、4名のゲストが参加してくれました。
 普段の例会でも、川のレベルによってはもう少しハードルを下げて、初めての方でも参加しやすいようにした方が良いかもしれませんね。
 私も朱太川で例会に初めて参加させてもらいましたが、その時はノーヘルで長靴と言うスタイルでしたから。
 ゲスト以外にもファミリーで参加する会員も多く、美々川例会は結構な賑わいとなりました。
 参加者の方は心配することも無かったのですが、川のほうはやっぱり心配していたとおりでした。
 いたる所で川が消滅していて、そんなところではヨシを押し倒し水草をかき分け、先頭の私がルートを切り開かなければなりません。まるでラッセルしながら雪山を登っているような気分です。
 水面が開いているところでもヨシが両側から被さってきて、まるでカヌーで藪漕ぎしているようなものです。
 ヨシの葉からは蜘蛛がパラパラと落ちてきて、気が付くとカヌーの中は蜘蛛だらけ。蜘蛛嫌いの人ならば確実に卒倒すると思われます。

藪漕ぎ?   ジャングルクルーズ?

 そのうちに後ろの方から子供の泣き叫ぶ声が聞こえてきました。今日が川デビューのOさんの息子さんのようです。カヌーの上に立ち上がってもヨシが邪魔で後ろの様子が全く分かりません。
 しばらく泣き声が続いていましたが、突然ぱたりと泣き声が聞こえなくなりました。ようやく機嫌が直ったのかなと思ったら、カヌーの中で暴れまわって川の中に落ちてしまったとのことです。

人の頭しか見えない

 のんびり下れる美々川のはずなのに、何だか大変なことになってきました。
 そうしてようやく、松美々橋へ到着。
 ここからはT山さん艇に、奥さんとこれまた今日が川デビューの娘さんが乗り込みます。ここから下流ならば何とか下れるでしょう。
 Oさんの息子さんもここでリタイアかと思われましたが、ようやく機嫌が直ったようで、まだカヌーに乗ると言ってます。
 小さなお子さんの川デビューは何処も大変ですね。
 そこから先も相変わらず、カヌー1艇が通るのがやっとのような狭い川幅です。それでも松美々橋の上流部よりはかなり下りやすくなってきました。

少し水面が開けてきた

 先頭でラッセルする必要も無くなったので、後ろの方からのんびりと下ることにします。
 ヨシに囲まれ蛇行しているので先の様子が全く分かりません。その蛇行の一つを回ったところに突然、川の中に突っ立っている人間が現れたのでビックリしました。 
 「えっ?ま、まさかここで沈したの?」
沈する会長 普通の川ならば、沈した人は直ぐにネタとして取り上げさせてもらうのですが、この美々川で沈したとなると、さすがに本人の名誉のこともありますので、それが誰だったかはここでは伏せておくことにします。
 それにしても初心者ならともかく、北海道ウィルダネスカヌークラブの会長 ともあろう人が、よりによって美々川で沈するとは一体どうしたことでしょう!
 他のクラブに対する手前もありますから、これはもう 北海道ウィルダネスカヌークラブの会長が美々川で沈した と言う事実は絶対に秘密にしなくてはならないのです。
 ウェットスーツならぬスウェットパンツのままカヌーに乗って美々川で沈したのが北海道ウィルダネスカヌークラブの会長だった ことは決して口外しないようにお願いします。

カヌーの上で昼食 まあそんな事件もありながら相変わらず細い流れを一列縦隊で下っていくと、三沢川が合流するところでようやく川幅も広がり、その合流地点でカヌーに乗ったまま昼食にします。
 川幅が広まるのは良いのですが、今度は美々川名物の向かい風がもろに吹き付けてくるようになります。昼食中もこの風によってカヌーが反対岸に吹き寄せられ、おかげでとても親密な昼食タイムとなりました。
 そこから先は向かい風と戦いながらゴールを目指すのですが、この向かい風を考慮してゴール地点を第二美々橋にしたのは正解でした。
 もしも当初の予定通りに植苗橋をゴールにしていたら、悲惨な美々川下りになっていたと思われます。
 それでもそこから先の向かい風で、一人でカヤックを漕いでいたK岡さんの息子さんは相当体力を消耗したようで、途中からお父さんの舟にロープを?いで引っ張ってもらうようになりました。
 お父さんの方も娘さんをインフレータブルの前に乗せて一人で漕いでいるわけですから、かなり大変だったと思われますが、辛そうな表情を一切浮かべず父親の威厳を保つために息子さんを後ろに引っ張りながら必死にパドリングするその姿はとても感動的なものであり、世間一般の軟弱な父親達に是非とも見せてやりたいような勇姿でした。

カヤックを牽引   ハクチョウに睨まれる

 ゴール間際になって、これも美々川名物のハクチョウ夫婦が登場。
 多分10年以上はこの場所に棲み付いているのだと思われます。すっかり美々川の主のようになっていて、その鋭い眼光でひ弱な人間達を睨みつけ「餌よこせ!おらっ!」と威嚇してきます。
 人間どもが手土産無しで手ぶらでやって来たのを知ると、更に凶暴になって「われ!なんしにきたんじゃい!」とカヌーを追い掛け回すので、本当に恐ろしいです。
 そうして、脱落者を出すことも無く無事にゴールに到着。
 初めて川を下った人やお子さんの川デビューを無事に果たした人、家族の絆を深めた人、今回娘さんと二人でカナディアンで下ったI山さんなどは娘さんから「お父さん、また一緒に乗ろうね」と言われてメロメロになっていたりと、美々川例会ならではの良かったことが沢山ありました。
 Mさんの話しでは、かなり昔に行なわれた美々川例会でも「たまには美々川も良いよね」との感想が出ていたとか。
 果たして次の美々川例会は何年後に行なわれることになるのでしょう?

2007年6月10日 曇り


(ウィルダネスカヌークラブ会報No.224に載せた記事をそのまま使用しました)


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