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尻別川

(中野橋 〜 羊蹄大橋)

 尻別川例会二日目は京極町から下流のラフトコースを下り、途中でレスキュー講習をするというメニューである。
 昨日は軽装で下ったけれど、今日はレスキュー講習で川の中に入るのだろうから、昨日のようなわけにはいかない。気温は昨日よりさらに高くなっていると言うのに、ドライスーツを着るしかないのだ。
 車の回送を終えてスタート地点の中野橋まで戻ってきて、いよいよ覚悟を決めてドライスーツを着込んだ。
 一気に噴出してくる汗。たまらずに川の中に飛び込んで体を冷ます。
 今日は前日から続けて参加のKevipaさん、ミエさんに加えて、早朝に小樽に着いたばかりの進藤さん夫婦とおばPさんも仲間に加わる。
 皆さん一人でカナディアンに乗る人たちなので、クラブの例会としては珍しくカナディアンが一杯の川下りである。普段はOC-1のI田会長も、前回の歴舟川例会でカヌーの底がボロボロになってしまったようで、昔乗っていたホコリまみれのカナディアンを持ってきていた。
 その他に「大人の外遊び」のkenjiさんと姫さんも始めての参加である。
 橋の下に一列になって記念撮影。並んでみるとやっぱりカナディアンの大きさが良くわかる。まるで大型戦艦と小型駆逐艦の船団の様な雰囲気だ。
橋の下に勢揃い
 スタートして直ぐに岩だらけの嫌らしい流れが続く。
 まだ川の経験が浅いkenjiさん、姫さんのことが気になるが、この流れの中では自分のカヌーが岩に引っ掛からないようにするのに精一杯である。
岩だらけの流れ 途中でとうとう、kenjiさんのファルトが私達の前で岩に捕まってしまった。
 浅瀬なので心配は無いが、カヌーの中にかなりの水が入ったようである。
 アリーでは助けに行けないので、そのまま通り過ぎるしかない。
 その瀬を過ぎたところで見守っていると、カヤックのS村さんが様子を見に行ってくれたので一安心。
 長さのあるファルトではこのような場所が一番下りづらいかもしれない。
 水抜きが終わったようで、再び舟に乗り込むkenjiさん。
 「えっ?!こっちに来ちゃうの?」
 kenjiさんが舟を進めた先は、ほとんど行き止まりになっているような流れである。冷や冷やしながら見ていると、かろうじて通れる場所があって何とかそこを下り降りてきた。
 瀬としては大したことがないけれど、何せ岩が多いのでアリーで下る時も一番いやな場所である。

 そこから先は気持ちの良い瀬が時々現れる。
立ち漕ぎ おばPさん、進藤さんは、見通しの悪い瀬の前ではカナディアンの上に立ち上がって先の様子を窺い、行けるところなら立ったままで瀬を下ってしまう。
 私は去年の夏のシーソラプチ川でおばPさんと一緒に下っているので、その立ち漕ぎ姿は見慣れていたが、クラブの他のメンバーは驚いたようだ。
 北海道では立ったままカナディアンを漕ぐパドラーは、あまり見かけることが無いのである。
 kenjiさんのファルトは、岩にさえ引っ掛からなければ少々の瀬の中ではビクともしないくらい安定している。
 危なっかしいのは姫さんのカヤックである。瀬の中でバランスを崩して、何度も横向きになってしまう。普通ならばそこで絶対に沈する状況なのに、持ちこたえてしまうのが姫さんの凄いところである。
 去年川下りを初めて、沈しそうに見えてなかなか沈しないと言う話しだけは聞いていたけれど、実際に目の前にしてその話しが良く理解できた。

沈しない姫さん   我が家も気持ちよく下る

 途中の川原に上陸して、今回の例会の目的であるレスキュー講習会を行なうことにする。
 講師は日本でも数少ないレスキュー3ジャパンの公認インストラクターであるクラブのB場さんだ。
 今回のメニューは、もっとも一般的なレスキューロープを使ったレスキューの方法だ。ロープの投げ方や注意点についての簡単なレクチャーを受けた後、実技へと移る。
 ドライスーツの中で蒸し風呂状態になっていた私は、進んで流され役を買って出た。
 私の前に流された人を見ていると、最初に投げられたレスキューロープは僅かに届かず。直ぐに次の2投目のロープが投げられたが、全く関係ない方へ飛んでいった。3投目で何とかなるだろうと思っていたら、それも大きく逸れてしまう。
 そのまま下流まで流れていってしまう寸前で、かろうじてレスキューされた。
 「・・・。」
助かりました 本当にこの人たちを信用して良いんだろうか?不安を覚えながら流されていくと、何とか1投目で私の手の届く範囲にロープが飛んできてホッとした。
 そんな様子を目の当たりにすると、自ら進んで流され役をやろうと言う人がいなくなってしまう。しょうがないので、私がもう一度流されることにした。
 今回も私の前に流れていった人を見ていると、1投目に投げられたロープが何故か真上に向かってヒョロヒョロと伸びていった。
 「あ〜あ、まただ・・・」
 すると間髪をいれずに2投目、3投目のレスキューロープが次々と投げ込まれた。
 B場さんの最初のレクチャーの中で、「レスキューする方とされる方のお互いのコンタクトが大切である。勝手に投げ込まれたロープは逆に凶器に変わってしまうこともある。」と言う話しがあったはずである。
 コンタクトも何も有ったものではない。漂流者めがけて四方八方からロープが飛んで行き、まるで蜘蛛の巣に絡み取られた虫のような状態になっている。
 流され役を買って出たことを次第に後悔し始めた。
 私の番になったので恐る恐る川に入って流される。救助側とのコンタクトを大切にしなければならないので、流されながらも岸でレスキューロープを構えている人を捜し求めると、何とそこでロープを構えていたのはかみさんだった。
 万事休す。思ったとおりロープは全然関係ない方向へ飛んでいった。何投目かのロープにようやくしがみついた。
 クラブの例会では、ほぼ全員がレスキューロープを装備している。いざと言う時はそれで助けてもらえるのだろうと信用していたが、その考えは甘かったようである。
 いざとなったら自分で岸に泳ぎ着かなければならないのだ。
 その後はカナディアンと一緒に流されたりとかして、3回もレスキューされることになった。涼しくて良いのだけれど、これも結構疲れるものである。川下り中に沈すると体力を消耗してしまうが、やっぱり川では流されないのが一番である。

 その後、この区間で最大の難所、二股の瀬が現れた。難所と言っても、これまでここで沈した人を見たことは一度もない。
 瀬の入り口部分の岩さえ避けたら、後は一直線の気持ちの良いウォータースライダーのような瀬である。
エディは大混雑 水しぶきを浴びながらそこを下り降りてエディに入ると、そこには沢山のカヤックが集まっていた。ドッグパドルのメンバーである。
 数年前に一度だけここの講習を受けたことがあるが、先生の西田さんは私達夫婦のことをまだ覚えていてくれた。
 その時と比べてツギハギだらけになった我が家のアリーを見て感心してくれたので、ちょっと嬉しくなる。
 kenjiさん、姫さんも無事に下ってきた。この二股の瀬をクリアしたら、その達成感はかなり大きいだろう。
 エディの中で佇んでいると、「カヤックが流されているぞ!」と誰かが声を上げた。
 「えっ?」と思って後ろを振り返ると、流されているのは無事に二股の瀬をクリアしたはずの姫さんである。
 下流には誰もいなかったので、慌ててカヌーを向けた。先に追いついたカヤックのメンバーに助けられ、流されたパドルも手前のエディに浮かんでいて無事に回収して事なきを得る。
 瀬を下った後にエディに上手く入れず、そのままズルズルと流されて沈してしまったようだ。
 いわゆる素沈と言うやつであるが、姫さんに本当の沈を披露してもらうには空知川の国体コース三段の瀬に連れて行かなければだめかもしれない。

二叉を下るkenjiさん   二叉を下るケビン

 ゴール手前でB場さんがカナディアン向けに最後の講習をしてくれることになった。
 内容は沈したときのカナディアンへの再乗艇。カヤック組みは関係ないし、本州からのカナディアン組みはベテラン揃い。必然的に、チャレンジするのは我が家しかいないことになる。
 再乗艇は千歳川で一度だけやったことがあるが、練習しておいて損は無い。
 まずは私から。千歳川の時よりも簡単に乗り込むことが出来た。
 そして次はかみさん。私がカヌーを少し傾けてかみさんが乗り込みやすいようにする。しかし、かろうじて反対側のガンネルに手が届いたものの、ライフジャケットが引っ掛かるらしく、それ以上体を引き上げられないでいる。
 必死の形相で頑張っていたが、最後は他の人に手伝ってもらって何とかカヌーの中に乗り込むことが出来た。
 周りに人がいる時にこんな練習をしておいた方が良いだろう。単独で湖に出た時は誰も助けてはくれないのである

 そうして羊蹄大橋のゴール地点に到着。
 ドライスーツの中に着ていた服は汗でびっしょりと濡れていた。何だか体中の水分が流れ出てしまい、干物になってしまった感じである。
 二日間にわたって楽しんだ尻別川のダウンリバー。満喫!真夏の尻別川と言った気分だった

川下り当日の尻別川の水位(2006年8月6日12:00)
尻別川喜茂別観測所 252.77
尻別川倶知安観測所 167.25




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