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シーソラプチ川

(ラフトスタート地点 〜 国体コース終点)

 カヌークラブ9月例会の二日目は、シーソラプチ川を下る。
 三日間の日程の中でもやっぱりこの日がメインであり、カヌークラブガンネルズとの合同例会になったこともあって、参加者は40名を越える大人数になった。我が家は先月もヌビナイ川を下っているので、今回は余裕でカメラマン役に徹するつもりでいた。
 この付近では2週間ほど前に大雨が降って川も大増水し、そのためにヌビナイ川の様子もかなり変わっているとの話である。スタート地点付近も、ラフトが出艇しやすいように石を積んで溜まりが作ってあったのに、それが跡形も無く流されてしまっていた。
軽やかに瀬を下る 大人数で全員が川に舟を浮かべるまではしばらく時間がかかりそうなので、さっさと先に下って適当な撮影ポイントで待ち構えることにする。
 やがて順々に下ってきたので、カメラを構えてシャッターを切る。はい次の人、はい次の人、はい次、はい、はい・・・。
 撮っても撮っても終わりが無いかのように次々と下ってくる。大した波のある場所でもないので、写す方も飽きてきてしまって、途中で切り上げて先に下ることにした。
 その先に現われる落ち込み。その落ち込みは五流の瀬と呼ばれているらしい。先月は水が少なくてポーテージした場所だけれど、今回はその時よりも更に水が少なそうだ。
 我が家はさっさと右岸側からポーテージする。
 そうとは知らずに下ってきて岩に乗り上げる人も多くて、笑わせてもらえる。
 一箇所だけ岩が切れている所があり、もう少し水があればカナディアンでもそこを通り抜けられるけれど、今の状況では下手するとスッポリと舟が挟まってしまうかもしれない。
 カヤックでそこを抜けると、完全に岩の間に隠れてしまい、頭から水を浴びることになる。これがなかなか楽しそうで、見ていても面白い。

我が家はポーテージ   幅広いカナディアンなら挟まりそう

 そこから下流は、これまでは左岸側に水が集まり倒木の下をくぐるように下るところだったが、新たに右岸側に真直ぐな流れができてしまっていた。
 左岸側のほうは水が少ないので、そのまま新しくできた流れの方を下る。変化が無くて面白くない流れになってしまった。ラフトが1艇、底をこすってあずっている。これだけ流れが変わってしまってはラフト業者も大変だろう。
 水は少ないけれど、その分透明度は最高だった。
 瀬を下って瀞場に入り、ホッと一息つきながら水の中を覗き込むと緑に染まった川底が透けて見えて、その美しさに思わずため息が漏れてしまう。
 太陽の光を受けた水面がキラキラと輝き、樹木の回廊の中を流れていく。
 その流れにカヌーを浮かべて漕ぎ下れば、まさにパドラー冥利に尽きると言ったところである。
 左カーブを曲がった先に突然倒木の根が流れの真ん中に構えていてヒヤッとさせられたが、これも先日の増水の置き土産なのだろう。
 多分、次の大増水まではそこに留まっていそうな様子なので、ちょっと注意した方が良いかも知れない。
クランクの瀬 流れの変わっているところは有ったけれど、何時もの難所は相変わらずそのままで顕在だった。
 まずはクランク状の瀬。ここは手前で止まることも無く、水しぶきを浴びながら一気に下り降りた。
 昨日は青ざめた顔で十勝川を下っていたF迫さんも、今日は一皮剥けたように力強いパドリングでその瀬を乗り切る。
 そして次がシーソラプチ川最大の難所、クランク状の落ち込みである。ここではさすがに寸前で岸に付けて、一呼吸入れることにした。
 先月も下って様子は分かっているし、そのままノンストップで行ってしまっても良かったけれど、カメラマンの準備が整うを待ってから下ろうというせこい考えも有ったのである。
 もっとも、これまでにここを危なげ無くクリアしたことは一度も無く、先月だって後から写真を見たら沈しなかったのが不思議なくらいにバランスを崩して写っていたのである。
 周りの様子を見て、次は自分達が下ることに決める。落ち込みへの進入ルートは完全に頭の中に入っている。
 シーソラプチ川を自分の庭のようにしている(実際に川のほとりに住んでいるので、本当に庭のようなものなのだが)S枝さんから、落ち込みの右寄りに行った方が良いとアドバイスをもらったが、そこは浅瀬になっているのでアリーではちょっと難しい。
 中央よりのルートを通って落ち込み寸前で一気に右に寄せ、右斜めに落ち込みに入る。ここに真直ぐに入ったら正面で待ち受ける岩に激突してしまうのだ。
大混雑の川の上 そこを落ちた後が一番沈しやすいポイント。右から合流してくる流れがカヌーを左にひっくり返そうとする。そこをぐっと堪えながら直ぐに左に向きを変えないと、ここでも正面の岩にぶつかってしまう。
 その岩をかわすと、ここの瀬はクリアだ。
 これまでに無いくらいに完璧にクリアできて、最高の快感だった。
 次々と後続メンバーも下ってきて、川の上は大混雑である。ここで沈したとしても、レスキューロープは全く必要ない。カヌーが沢山浮かんでいるので、絶対にそれに引っ掛かってしまうのだ。
 去年のガンネルズとの合同例会では、我が家を含めてここでは豪沈者が続出し、後で爆沈祭りと称されたくらいだった。
 その時の様子が頭にこびりついているガンネルズのKpapaは、ベストポジションに陣取って舌なめずりをしながらカメラを構えていたが、その期待もむなしく皆軽々とそこを下ってくる。
 増水の影響で微妙に流れが変わっていたのか、それとも水量が少なくて水のパワーが小さかったのか、どちらかなのだろう。
 私としても、せっかく気持ちよくクリアできたのに、皆に同じようにクリアされたのでは、何だかそれが当たり前のことだったみたいな気がしてきて、あまり面白くないのである。

落ち込みに突入   見事にクリア

 シーソラプチ川を下って空知川の国体コースに入る前に、S枝さんのログハウスで昼食を兼ねた休憩を取らせてもらう。
 ログハウスは岸に上陸して歩いて直ぐのところにあり、その庭は周りを背の高い樹木に囲まれ、極上のプライベートキャンプサイトになっている。
 ガンネルズのメンバーはそこを宿泊地としていた。
落庵で休憩 「落庵」の名前で親しまれて、S枝さんの気さくな人柄もあってパドラーが気軽に集まれる場所となっている。
 休憩を終えて、いよいよ最後の国体コースである。
 以前はその名を聞いただけで○○が縮み上がったものだが、数を重ねるうちにそれほど緊張することも無く下れるようになってきた。
 もっともかみさんの方は相変わらず緊張気味で、「えっ?どうすれば良いの?右へ行くの?左へ行くの?」と寸前までオロオロしている。
 「右だ、右っ!」
 もっと自信を持って欲しいなと思いながら、まずは三段の瀬、手前の岩の右側から侵入する。
 緊張することも無くなったと言いながらも、岩の寸前までやって来てその先の白波が立つ落ち込みの様子を目の当たりにすると、緊張感で体中の筋肉が強張てしまう感じだ。
 岩を左に巻くように落ち込みへ突っ込む。
三段の瀬 カヌーのバランスを崩すことも無く無事に落ち込みの下へ。「クリア!」と思った瞬間、思わぬ目の前の光景に愕然としてしまった。かみさんがうつ伏せに倒れ込み、カヌーから落ちないように両腕で舳先にしがみ付いているのである。
 「ゲッ!な、何してるんだ?」
 前日の十勝川と全く同じ状況である。カヌーが傾きドッと水が流れ込む。
 それでも何とか体勢を立て直し、水舟となったカヌーを何とか岸まで持ってくることができた。
 この時の様子を近くで見ていた人の話では、アリーが前後で左右に変形し、しばらく復元しないでいたとのことである。
 十勝川で受けた損傷が結構影響しているのかもしれない。

 そしてツアー最後に待ち構えているのが、我が家がもっとも苦手とする渡月橋の落ち込み。
 三段の瀬で危機一髪だったし、アリーもかなりひしゃげているので、手前のパチンコ岩は右側のチキンルートでかわす事にした。最後の落ち込みは真ん中の岩の右から入ろうと、かみさんと意思の統一を図る。
 そして本番。予定通りパチンコ岩の右を抜けた瞬間、落ち込みの岩の左の方が楽に入れそうな気がした。
 「左から行こう!」
 かみさんも直ぐにそれに反応してカヌーの向きを調整する。
 しかし、直ぐにその後「まずっ、間違えたかも・・・」と思ってしまった。
 思っていたよりも、真ん中の岩に向かう流れが強かったのである。2年前にその岩に張り付いた時の様子が頭の中によみがえり、必死になって岩を避けようとパドリングする。
 岩は避けられたものの、落ち込みに入る角度が悪すぎた。落ちた瞬間になすすべも無くアリーはひっくり返ってしまった。

渡月橋の落ち込みで沈   空知川の水を満喫

 これが今シーズンの初沈である。
 もしかしたら一度も沈しないままシーズンを終えてしまうのかと思っていたら、さすがに空知川、しっかりと沈の洗礼を受けさせてくれた。
 何時ものような沈した際の精神的なショックも無く、空知川の清流を体全体に浴びることができて、とても爽快だった。
 ゴール手前の瀬では結構大きなウェーブができていて、カヤックのメンバーは最後にそこで遊ぼうと行列を作って順番待ちをしている。
 アリーの状態が心配な我が家はその列に加わることなく、すんなりとゴールに到着。
 清流シーソラプチ川のダウンリバーはやっぱり最高である。

川下り当日の空知川の水位(2006年9月17日 12:00)
空知川幾寅観測所 353.87m




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