シーソラプチ川を下って空知川の国体コースに入る前に、S枝さんのログハウスで昼食を兼ねた休憩を取らせてもらう。
ログハウスは岸に上陸して歩いて直ぐのところにあり、その庭は周りを背の高い樹木に囲まれ、極上のプライベートキャンプサイトになっている。
ガンネルズのメンバーはそこを宿泊地としていた。
「落庵」の名前で親しまれて、S枝さんの気さくな人柄もあってパドラーが気軽に集まれる場所となっている。
休憩を終えて、いよいよ最後の国体コースである。
以前はその名を聞いただけで○○が縮み上がったものだが、数を重ねるうちにそれほど緊張することも無く下れるようになってきた。
もっともかみさんの方は相変わらず緊張気味で、「えっ?どうすれば良いの?右へ行くの?左へ行くの?」と寸前までオロオロしている。
「右だ、右っ!」
もっと自信を持って欲しいなと思いながら、まずは三段の瀬、手前の岩の右側から侵入する。
緊張することも無くなったと言いながらも、岩の寸前までやって来てその先の白波が立つ落ち込みの様子を目の当たりにすると、緊張感で体中の筋肉が強張てしまう感じだ。
岩を左に巻くように落ち込みへ突っ込む。
カヌーのバランスを崩すことも無く無事に落ち込みの下へ。「クリア!」と思った瞬間、思わぬ目の前の光景に愕然としてしまった。かみさんがうつ伏せに倒れ込み、カヌーから落ちないように両腕で舳先にしがみ付いているのである。
「ゲッ!な、何してるんだ?」
前日の十勝川と全く同じ状況である。カヌーが傾きドッと水が流れ込む。
それでも何とか体勢を立て直し、水舟となったカヌーを何とか岸まで持ってくることができた。
この時の様子を近くで見ていた人の話では、アリーが前後で左右に変形し、しばらく復元しないでいたとのことである。
十勝川で受けた損傷が結構影響しているのかもしれない。
そしてツアー最後に待ち構えているのが、我が家がもっとも苦手とする渡月橋の落ち込み。
三段の瀬で危機一髪だったし、アリーもかなりひしゃげているので、手前のパチンコ岩は右側のチキンルートでかわす事にした。最後の落ち込みは真ん中の岩の右から入ろうと、かみさんと意思の統一を図る。
そして本番。予定通りパチンコ岩の右を抜けた瞬間、落ち込みの岩の左の方が楽に入れそうな気がした。
「左から行こう!」
かみさんも直ぐにそれに反応してカヌーの向きを調整する。
しかし、直ぐにその後「まずっ、間違えたかも・・・」と思ってしまった。
思っていたよりも、真ん中の岩に向かう流れが強かったのである。2年前にその岩に張り付いた時の様子が頭の中によみがえり、必死になって岩を避けようとパドリングする。
岩は避けられたものの、落ち込みに入る角度が悪すぎた。落ちた瞬間になすすべも無くアリーはひっくり返ってしまった。
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