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シーソラプチ川

(ラフトスタート地点 〜 国体コース)

 カヌークラブ例会は今日が本番、空知川の上流シーソラプチ川を下る。
 去年はSさん夫婦と2艇で、ここを国体コース手前まで下っている。2箇所ほど難所があるが、去年は沈をすることもなく下っているし、空知川より水の透明度が高い美しい川を今回は気楽に下るつもりだった。
 7月の3連休の中日、道内の他のカヌークラブのメンバーも集まって、スタート地点はカヌーだらけである。
 前のクラブのメンバーが下り始めるのをまずは見送った。そちらにはカナディアンの参加者も多くて、羨ましくなってしまう。
 我がクラブの場合、カナディアンは我が家の他にSさん夫婦とTさん夫婦の2艇だけ、しかもそれらはホワイトウォーター用のカナディアンである。
 この状況でアリーで例会に参加するのは何とも悲しいものがあるが、ここまで来たらアリーで頑張り続けるしかないのだ。

横一列の落ち込み 途中で前のグループに追いつかないように、やや時間をおいてスタートした。
 去年下った時よりは若干上流からのスタートである。
 直ぐにザラ瀬が続き、隠れ岩に乗り上げないように注意して進む。適当なエディがないのでそのまま下り続けるしかない。
 すると前方に川幅一杯に広がった横一列の落ち込みがみ見えてきた。何処を通ってもアリーの腹がつかえそうだ。
 ざっと見渡して中央付近の水深がありそうなので、そこを狙ってカヌーを進める。落ち込み直前になって驚いた
 「せ、狭い!」
 一瞬アリーが挟まってしまうかと思ったが、ガンガンと両側の岩にぶつかりながら、何とかその間をすり抜けることができた。
 その下のエディに入ってホッとして上流を見ると、見覚えのある景色だった。そこが去年のスタート地点だったのである。
 去年はそこから上流を見て、こんな落ち込みはアリーじゃ絶対に下れないなと思っていた場所だ。
 その時よりも水量が多かったので無事だったが、去年の水量なら完全に岩と岩の間に挟まっていただろう。

快適な流れ   周りの景色も最高

 その先はしばらく穏やかな流れが続くはずと思っていたら、結構スリリングな流れが多かった。
 ちょっとした水量の差で、川の様子はガラリと変わるものだ。
 前回は、隠れ岩に捉まらないことだけに気を配って下った感じだが、今回はカヌーが跳ね上げられるような波高の瀬も度々現れる。
 岩に乗り上げないようにヒヤヒヤしながら下るよりは、こんな瀬の中を下る方が断然に楽しい。
 そして最初の難所が見えてきた。2段になって途中から左に捻られ、下に降りたら直ぐに右に曲がる落ち込みである。
 「あれ〜?こんなところだったかな〜?」
 水量が多くて、何だか去年の記憶とは全然別の場所のように見えてしまう。そして迫力も増していた。
 でも、去年ここをクリアした時の記憶がまだ頭の中に残っていたので、それを思い出しながら果敢に飛び込む。記憶していたとおりのルートを通って無事にそこをクリアできた。

落ち込みに向かって   水しぶきが心地良い

 そしていよいよ核心部の落ち込みが見えてきた。その落ち込みの向こうには色とりどりのカヌーが浮かんでいる。
 先に下っていった別のカヌークラブの一行に追いついてしまったようだ。
 ここはほとんど垂直の落ち込みでその直ぐ先には岩壁、流れは右に向きを変えその先の岩にぶつかって左へと流れを変える。
 前回は落ち込み部分で底がつかえて一瞬停止、そのまま横向きになって落ちたのだが、沈もしないで無事に通過できた。
 今回は水量が多いので岩に引っかかることもないだろう。それならば楽勝だ。
 先を行くカヌークラブの面々に、「アリーでもこれくらい華麗に川を下れることを見せてやろう。」なんて考えながら落ち込みへ向かった。
 左寄りから落ちるともろに正面の岩からの返し波にぶつかりそうだ。右寄りから斜めに入ることにする。
 底もこすらずに素直に落ちることができた。「やったー!」
 と思った瞬間、あっと言う間にカヌーが下流側に傾きそのまま水中へ没してしまった。
 プハッ。水中から顔を出して驚いた。そこから下流は両岸にカヌーがびっしりと並び、まるで歌舞伎の花道の様だ。
 その花道のど真ん中を、カヌーに捉まりながらプカプカと流されていくのである。最高に格好悪いのである。
 花道を通ればおひねりぐらい飛んできそうなものだが、代わりに飛んできたのはレスキューロープ。それに必死につかまり、何とか岸へ。そこもカヌーが一杯なので、隙間を空けてもらってようやく上陸できた。
 その後もその花道を次々とカヌーが流されてきては、レスキューロープで次々と釣り上げられる。
 このカヌークラブでは、後日この例会を「落合爆沈祭り」と命名したそうだが、図らずもその祭りに我が家も参加してしまったのである。
 前日の三段の瀬での沈は納得がいかなかったけれど、ここでの沈はまあしょうがないかなといった感じだ。でも、もう少しリカバリーの練習をした方が良さそうである。

沈の瞬間   沈の花道?
アッと言う間の沈!   沈の花道?、この中を流れてきました(^_^;

 休憩を挟んで国体コース入り口まで下ってきた。
 前日は体がまだ慣れないうちに三段の瀬に来てしまい、ボーッとしたまま下って沈をした感じだった。
 今日はたっぷりと瀬の中を下ってきたので、昨日のような無様なことにはならないはずだ。満を持して三段の瀬に突入。
 昨日と同じ場所で一瞬グラッとしたけれど、直ぐに体制を立て直してクリア。
 後は渡月橋の落ち込みを通ってゴールするだけだ。
 今日は最初からパチンコ岩の右側を通過することにする。最初からコースを決めていれば難しいことはない。スルリと狭い岩の間を抜けて、後は最後の落ち込みだけ。
 漫然とパドリングするかみさん。
 昨日と同じく、当然中央の岩の左側から落ちるコースに入ってくれるだろうと思っていたら、何も考えずにボーッとしているだけだ。
 「お、おい、左だぞ!」
 ハッと我に返ったかみさん、慌ててドローを入れるが遅すぎた。アリーは横向きになって落ち込み中央の岩に張り付いてしまった。
 「何でここまで来ながら!」
 ぼやいてもしょうがない。無理をしたらアリーが折れてしまいそうなので、まずは私が岩の上に乗り移る。
 私が降りた途端、カヌーがスルスルと岩から離れ始めた。
 「あらら〜!」
 私を一人岩の上に残して、かみさんはサッサと下り降りてしまった。その下の流れは緩やかなので、かみさん一人でも岸に上がれたようである。
 「で、俺はどうしたら良いわけ?」
 冷静に自分の現在の状況を判断して、かなり間抜けな状況であることだけは確かだった。
 カナディアンで下ってきて、一人でこの岩の上に取り残されたのなんて、自分くらいのものだろう。
 どうすることもできないのは直ぐに分かったし、去年も頭から飲み込まれたおなじみの場所だ。躊躇せずに岩から飛び込んだ。
 「あっ、やっちゃった。」
 水面に到達する寸前に後悔の念が頭の中を過ぎった。
 真っ白に泡立つ水は、通常の水と違って全然浮力を得られないのである。足からそっと入れば良いものの、そんな場所に高いところから飛び込んだら・・・。
 目の前は真っ白、必死になって上がろうとするが、なかなか顔が水面に届かない。
 何秒経ったろう?外から見てたらほんの一瞬だったかもしれないが、水中でもがいていた私は顔が水面に出た時は心底ホッとしたのである。
 最後にこんな目にあって私はかなり落ち込んだが、一人で落ち込みをクリアしたかみさんは上機嫌でニコニコしている。
 まあ、去年は同じ場所でかみさんが前方飛び込み沈を披露しているので、これでおあいこと言ったところだろうか。

三段の瀬
  噴水の瀬で

 途中で追い抜いた別のカヌークラブのメンバーがそこで追いついてきた。
 再び爆沈祭りを繰り広げ、とっても楽しそうだ。
 我がクラブで去年空知川を下った時も、まさに爆沈祭り、レスキューロープが何本も飛び交う様は壮観だった。
 それが今年は、沈する人も少なく何だか寂しささえ感じてしまう。
 初心者やベテランが入り交じって、助け合いながら下るのもクラブの例会の楽しさ。
 私もそろそろ助けられる側から助ける側になりたいものである。


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