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高雄~苔寺 (2020/11/19)

京都一周トレイル最終日

いよいよ今日で京都一周トレイルを歩き終わることができそうだ。
高雄行きの一番早いバスに乗るため、午前6時40分に宿を出る。

そして御所ノ口バス停から午前7時30分に歩き始めた。
途中で見かけた清瀧宮(青龍権現社)で今日一日のトレイル歩きの安全を祈願した。
鳥居もなく御神木の杉の巨木が目を引く程度の小さな神社だけれど、説明看板を読むと歴史も古く空海にも関係のある社らしい。
本当に京都という街は、何気ない場所にも深い歴史が転がっているのである。

清瀧宮(青龍権現社)
今日の安全祈願は清瀧宮で


清滝川に架かる赤い欄干の橋と周りの紅葉が素敵な風景を作り出している。
その橋を渡ると西明寺だが、そこには寄らずにその先の神護寺を目指す。

指月橋
指月橋と紅葉のコラボ


神護寺の拝観時間は午前9時からだけれど、その楼門まで登っていく途中でも美しい紅葉が楽しめるのだ。
長い階段を登っていくと期待通りの紅葉風景が広がっていた。
朝日がその紅葉を更に美しく染め上げる。

神護寺
途中の茶屋も紅葉に染め上げられていた


京都一周トレイルを歩いていたこの七日間は、本当に天気に恵まれた。
明日は雨の予報なので、その前にトレイルを完歩できそうなのも、この天気のおかげである。

神護寺境内に入ればもっと美しい紅葉を楽しめるのだけれど、まだ時間は早過ぎる。
そして、楼門は改修工事中でシートで覆われていたので、後ろ髪を引かれること無く神護寺を後にするのには丁度良かった。

清滝川沿いにホテルのお座敷が作られている。
朝食が並べられているところもあった。
美しい紅葉と川を眺めながらの食事なんて、とても贅沢で羨ましい。

清滝川
こんなお座敷で食事してみたい


その先、川に沿った林道を歩く。
清らかな流れを直ぐ横に見ながら歩けるなんて最高である。

京都一周トレイル
清滝川に沿って歩いていく


清滝発電所の取水堰堤からの水が流れる水路が林道の上を通っている。
今でもそれは機能しているのだろうけれど、苔に覆われたその様子はちょっとした産業遺産に見える。
そこから水でも漏れているのか、林道の擁壁を伝って滝の様に水が流れ落ちていた。

京都一周トレイル
上の水路から水が染み出しているのだろうか


林道が終わり北山杉の美林の中にトレイルは続いていた。

直ぐにまた川沿いの道に出てきて、細い沈下橋で川を渡る。

京都一周トレイル
沈下橋を渡って対岸へ


その先はちょっとした広場になっていて、建物の鉄骨の残骸が残っていた。
昔の茶屋の跡らしい。
徒歩でしか来られないようなこんな場所に茶屋が有ったなんて、俄には信じられない。



そこから先、トレイルは更に川に近づく。
川が増水している時ならば、歩くのが怖くなるくらいに川の直ぐ横がトレイルになっているのだ。
恐らく、大増水した時には川の下に沈んでしまうのだろう。

京都一周トレイル
川のすぐ横を歩く


今の清滝川は、澄んだ穏やかな流れのままで、川底の様子までハッキリと見える。
歩いていても楽しくてしょうがない。
トレイルとしてだけではなく、ここを歩くことだけを観光の目的にしても十分に楽しめそうだ。

京都一周トレイル
美しい景観が続く


そんな清滝川を離れ、トレイルコースは林道に入る。
この林道も清滝川に沿っているけれど、水面は谷の底に見える感じだ。

急に賑やかなところに出てきたなと思ったら、そこは愛宕山表参道の登山口だった。
京都滞在中に時間があれば、私達も愛宕山に登ってみるつもりだった。


愛宕山登山口付近は人も多く賑やかだった


そこから再び清滝川の直ぐ横のトレイルコースを歩くことになる。
最初は川の護岸上の道だったけれど、蛍橋から対岸に渡ると山道に変わる。

京都一周トレイル
この付近は観光客も多い、この先の橋が蛍橋


途中で河原へ下りられそうな場所を見つけて、河原から見る川の風景を楽しんだ。
しかし、ここで無理して河原へ下りなくても、もう少し先でトレイルは本当に川の直ぐ近くへと下りてきたのだ。

清滝川
河原へと下りてみる


川の様相も少し変わって、岩に囲まれた渓流となる。
トレイルはそんな岩場に作られているので、岩を登ったり下りたりしながら歩いていく感じだ。

京都一周トレイル
岩場が多くなってきた


景観的にはこちらの方が優れているかも知れない。
ただ、少し残念なのは谷が深いので、日が当たっている場所と当たらない場所との明暗差が大き過ぎ、その美しい風景が見づらいことだった。

京都一周トレイル
全体に日が当たればもっと美しかったはずだ


太陽が谷全体を照らすようになれば、もっと感動的な風景を楽しめた気がする。
最後に沈下橋を対岸に渡ると、この川歩きも終りとなる。

そこから少し登ると赤い欄干の落合橋がある。
トレイルコースはその橋は渡らずに坂道を登っていくのだけれど、公式ガイドマップでも落合橋を渡るルートが少しだけ伸びていた。

京都一周トレイル
この先に絶景が待っているという


落合橋の少し下流で清滝川は保津川に合流していて、橋を渡ってトンネルを抜けた先でその合流部を見渡せる絶景ポイントがあるのだ。
これだけは見逃せない。

確かに素晴らしい風景だったけれど、私はそこから急な坂道を河原まで下り、二つの川の合流部に立って見る風景の方が好きだった。
その風景を眺めながら一休みする。
保津川下りの船がやって来たら手でも振ってあげたかったけれど、残念ながら船は下ってこなかった。

清滝川と保津川
手前の清滝川がこの先で保津川に合流する


トレイルに戻って、つづら折りの急な坂道を登っていく。
所々で保津峡の絶景を眺められる。

保津川
坂道の途中から眺められる保津峡



峠を超えて街まで下りてきたところが鳥居本である。
そこから400m程寄り道すれば愛宕念仏寺があるけれど、流石にそこまでの元気はなかった。

この辺りは5年前に来ているので、そのまま素通りする。
ただ、化野念仏寺の参道付近の紅葉が美しかったので、ちょっとだけ寄り道した。

化野念仏寺
化野念仏寺の参道を彩る紅葉


人力車も走っている。
コロナの第一波の頃は商売も上がったりだったろうが、ようやくお客さんも増えてきたようだ。

京都一周トレイル
人力車にもお客さんが戻ってきたようだ


既に午前11時を過ぎていて、このまま嵯峨野の観光地ど真ん中まで行ってしまうと、昼食を食べる場所も無くなりそうなので、たまたま目についた店に迷わずに入った。

腹ごしらえして店を出た後、祇王寺、二尊院、常寂光寺と紅葉の名所の寺院が続き、観光客もどんどん増えてくる。
観光名所の竹林の小径も観光客で溢れていた。
そこから逃げるように嵐山公園の中へ入ると、人も少し減ってホッとする。

展望台からは保津川下りの船も見える。
周りの山の紅葉も今が見頃といった感じだ。


嵐山公園展望台から眺める保津峡


公園内の紅葉も素晴らしい。
一週間前にトレイルを歩き始めた頃は、紅葉には少し早いかなと思っていたけれど、私達が歩いている間に紅葉は進んでいたようだ。

嵐山公園
嵐山公園の紅葉も美しい


その後、渡月橋を渡るのだけれど、観光客の人波に溺れそうになった。
外国人観光客の多かった頃の嵐山の混雑ぶりを知っているけれど、外国人観光客がいなくても、その頃の混雑ぶりと大して変わりはない。
平日の今日でもこんな状態ならば、明後日から始まる三連休はどれくらいの人出になるのかと恐ろしく思えてくる。

京都一周トレイル
観光客が溢れる嵐山


そんな嵐山を通り抜け、京都一周トレイルの最後になる松尾山へと登る。
標高275mの低山なので簡単に登れるだろうと思っていたが、ここまでの疲れもあるので結構しんどい登りである。

京都一周トレイル
色取り取りの落ち葉が綺麗な松尾山登山道


おまけに今日の暑さである。
この日の京都の最高気温は26.9度、最も遅い夏日の記録を更新していたのだ。
そんな日に登ってきた松尾山山頂には、何故か寒暖計が設置されていて、その温度も24度近くまで上がっていたのである。

山頂は展望が開けていないけれど、その手前に素晴らしい展望の場所があった。
歩いてきたばかりの嵐山や嵯峨野が目の前に見えているのである。
低山ならではの展望だ。

松尾山からの展望
松尾山ビューポイントからは嵐山や嵯峨野が眼下に見える


今まで歩いてきた京都北部の山も一望できる。
見覚えのあるクリーンセンターの大煙突も確認できる。
そこからの展望で一番目立っている愛宕山にも登ってみたいものだ。

これで比叡山あたりまで見えていれば最高なのだけれど、残念ながらそちらの方は木に邪魔されて見えない。
それでも一周トレイル最後を飾るに相応しい眺めだった。

松尾山からの展望
最後に、自分達が歩いてきた山を眺める


そして下山開始。
最後は苔寺の前に降りてくる。
門前の無人販売所に原木シイタケが置かれていたので、かみさんが購入。

最後は阪急嵐山線の上桂駅まで歩いてトレイル歩きは終了。
本日の行動時間は7時間11分、歩いた距離は18.4キロ。
今日はそんなに苦労しないで歩けるとかみさんに言ってあったけど、結局どちらも7日間の中では一番多い数字となったのである。

山の神さん
最後に山を降りてきたところで出迎えてくれた山の神さん


結局、7日間でトレイルを歩いた総距離は101.3キロ。
公表数字の83.3キロよりは20キロ近く多くなってしまった。
公式ガイドマップの距離と所要時間はあまり当てにはならないようだ。

それでも四国遍路や熊野古道以来の歩く旅は、とても楽しいものだった。
身体が元気なうちにもっとこんな旅を楽しみたいものである。


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