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雨竜沼湿原・南暑寒岳(2020/07/10)

湿原一番乗り

雨竜沼湿原ゲートパークキャンプ場を午前6時10分に出発。
歩き始めて直ぐに印象的な姿の丸山が見えてくる。

雨竜沼湿原登山道
正面に見える丸山の山頂が、雨竜沼湿原と同じ標高らしい


林道を歩いていくとペンケペタン川に架かる怪しげな橋がある。
歩いて渡る分には大丈夫だが、車を運転してこの橋は絶対に渡りたくない。

雨竜沼湿原登山道
この橋を車で渡るのは怖そうだ


林道から渓谷第一吊橋を渡ると本格的な山道となる。
小さな沢を渡った先で、私達の直ぐ前に出発していた女性二人連れを追い越す。
これで私達の前には誰も登っていないはずだ。

雨竜沼湿原登山道
渓谷第一吊橋


白竜の滝を見て渓谷第二吊橋を渡ると急な登りが続く。
ここには険竜坂と名前が付いているようだ。

白竜の滝
白竜の滝


キャンプ場を出る時は風が吹いていたけれど、山道に入ると風は抜けなくなり湿度も高くて、急登に汗が吹き出す。
マシケレイジンソウやヤマアジサイの花が疲れを癒やしてくれる。

マシケレイジソウ
最初は白いトリカブト?と思ったマシケレイジンソウ


ようやく急登を登り切ると、直ぐ横に湿原から流れ出ているペンケペタン川が現れる。
ここまで着たら湿原まであと僅かだ。

ペンケペタン川
ペンケペタン川


途中で登山道を下りてきた二人の若者とすれ違う。
こんな時間に降りてくるなんて何処かに山小屋でもあったかなと思いながら聞いてみると、湿原で一晩中、星を見ていましたとのこと。
若者は信じられないことをするものである。
彼らがちょっと羨ましかった。



湿原の少し手前でヒオウギアヤメの美しい群落が出迎えてくれた。
シナノキンバイの花も美しい。

雨竜沼湿原
ヒオウギアヤメの群落がお出迎え


靴底洗い場を過ぎた先に湿原入口テラスが有り、ここまで1時間15分かかっていた。
夏山ガイドのコースタイムとほぼ同じである。

雨竜沼湿原
雨竜沼湿原に到着


広大な湿原の向こうに南暑寒岳と暑寒別岳の姿が見えている。
木道の脇にはヒオウギアヤメが咲き、湿原の中ではワタスゲが風に揺れていた。
湿原一番乗りで、他の人の姿はない。

雨竜沼湿原
ヒオウギアヤメは何故か木道の周りで咲いている


午前7時半過ぎに湿原テラスに到着。
湿原テラスの前にはペンケペタン川が大きく蛇行しながらゆったりと流れている。

雨竜沼湿原
途中で見たペンケペタン川とは全く別の川のようだ


いよいよここから本格的に湿原の中へと入っていく。
今年の湿原はワタスゲが美しいと聞いていたけれど、まさしくその通りだった。

雨竜沼湿原ワタスゲ
フワフワのワタスゲの花


一方、去年は当たり年だったというエゾカンゾウは、今年はポツポツとしか咲いていない。
昨日、下山してきた女性に花の様子を聞いたところ、エゾカンゾウは鹿に食べられて全然咲いていないとこぼしていた。
本当に鹿が食べたのかどうかは分からないが、エゾカンゾウの橙色の花が咲いていないと、彩り的には少し寂しい気がする。

雨竜沼湿原
ワタスゲが一面に咲いている


でもエゾカンゾウの花は先週のオロロンラインの旅で嫌と言う程見ていたので、私にとっては大好きなワタスゲの花が咲いている方が嬉しかった。
湿原を代表する花と言えば、私の中ではやっぱりワタスゲなのである。
それでいて、実際に湿原でワタスゲが美しく咲いている様子はあまり見たことがなかった。
それが今回はそこら中にワタスゲが咲いているのだから大満足である。

雨竜沼湿原
奥に見えている暑寒別岳や南暑寒岳の姿も雨竜沼湿原の魅力の一つである


前回は7月下旬に訪れていたので、咲いている花の種類はもっと多かった気もする。
目立っているのはヒオウギアヤメとワタスゲ、その中にエゾカンゾウがポツリポツリと咲いている。
場所によってはシナノキンバイも群生しているが、限定的だ。

雨竜沼湿原
数こそ少ないもののエゾカンゾウもそれなりに咲いている


ハクサンチドリも結構咲いているが、花が小さめで盛りを過ぎたものも多くて、あまり目立たない。
風景として咲いている花は少なくても、探していると他にもいろいろな種類の花がひっそりと咲いていて、それらを見つけるのも楽しいものである。

雨竜沼湿原
ハクサンチドリとワタスゲ



雨竜沼湿原
花に囲まれるかみさん


湿原はやや強めの風が吹いていた。
風が吹き抜けるような所では、帽子が飛ばされそうになるくらいの風の強さである。
その風が池塘の水面を波立たせるのがちょっと残念である。
風が吹いていなければ、池塘は一枚の鏡となって周りの風景を映し込むのである。

雨竜沼湿原
池塘が点在する風景も素晴らしい


雨竜沼湿原
風がなければ周りの風景がくっきりと池塘の水面に映るのだが


コウホネ沼ではウリュウコウホネが小さな花を咲かせていた。
抜海のコウホネ沼では花を見られなかったので、これでリベンジを果たせた気分だった。

雨竜沼湿原
ワタスゲとウリュウコウホネ


かみさんが時々、頭を逆さまにしながら「こうして見ると風景が綺麗に見えるのよ」と言っていた。
私も真似してみたが、なる程、確かに美しく見える。
股のぞきの原理なのだろうか。

雨竜沼湿原
写真を逆さまにしても美しくはならないようだ


湿原の出口近くにワタスゲが一際密生している所があった。
遠くからでは、その一角だけが白く見えるくらいだ。

雨竜沼湿原
ワタスゲの群落


午前8時半、湿原展望台まで登ってきて一休み。
11年前より手前の樹木が大きくなったからなのか、湿原の見渡せる範囲が狭くなった気がする。

雨竜沼湿原
展望台から眺めた雨竜沼湿原


休憩を終えて、南暑寒岳を目指す。
険竜坂の様な急登はないけれど、ダラダラとした登りが続く。

登山道のチシマザサを刈ってくれているのは嬉しいが、刈られたチシマザサの硬い茎が登山道上に散らばっているので、気を付けて歩かないとそれが足に絡まって転びそうである。
尻もちでもつこうものなら、地面から生えているチシマザサの尖った切り口がぐさりと・・・。

南暑寒別岳
タツノオトシゴみたいなダケカンバ


それにしてもかみさんから遅れないように付いていくのは大変である。
平地を歩く時と変わらないスピード、もしかしたら平地よりも速いスピードで登っていくのだ。
「こいつは天狗か?」と思えてくる。

南暑寒別岳
ダラダラとした登りが続く


毎日走ってはいても、走るのと登山は全く別物である。
おまけに、山に登るのはこれが今年初めて。
足元がふらついて、大雪や知床の縦走なんてもう出来ないんじゃないかと思えてくる。
これまでには見られなかった、お馴染みのゴゼンタチバナやマイヅルソウが登山道沿いに咲いていて嬉しくなる。

ゴゼンタチバナ
登山道脇で花を咲かせるゴゼンタチバナ


そうして午前9時50分、南暑寒岳山頂に到着。
天気が良く、青空の下で見る少し雪の残る暑寒別岳や群別岳の眺めが素晴らしい。

南暑寒別岳
南暑寒岳山頂到着


ただ、体が飛ばされそうなくらいの風が吹いているので、ゆっくりとそれらの風景を楽しんでいる余裕もない。
さっさと写真を撮って、風を避けられる場所で一休みして下山開始。
上空には風の強い時にできる雲が広がってきていた。

南暑寒別岳
暑寒別岳が美しい


さすがに下山時になるとすれ違う登山者の数も増えてくる。
湿原展望台で一休みしようと思ったが、高齢者の団体に占領されていたので、そのまま湿原へと下りていく。

南暑寒別岳
風が強い時の雲が広がってきていた


湿原の中の木道は一方通行の周回路となっているので、帰りはまた違った風景を楽しめる。
昼食用にカップラーメンを持ってきていたけれど、風が強くてお湯を沸かすのも面倒で、湿原テラスでアンパンを食べて腹を満たす。

雨竜沼湿原
ここから湿原を横断する


その頃には雲がかなり広がってきていた。
これから湿原見学をする人には申し訳ないが、私達には日差しのない方が涼しいので助かるのだ。

途中のペンケペタン川の河原で休憩して、頭から水を被ろうと思っていたが、湿原から流れ出している川なので、水浴びしたくなるような水の清らかさはなく、気温も少し下がってきていたので、水を被るのは止めておいた。

雨竜沼湿原
雲が広がってきた


そうして午後1時過ぎ、予定通りの時間でキャンプ場まで下りてきた。
同じ湿原でも時期を変えて登れば、また違った花々を楽しめる。
8月にもう一度来てみたい気もしたが、8月の暑さの中を登ることを考えると、ちょっと躊躇ってしまう。
北海道三大高層湿原と言われる中では、この雨竜沼湿原へのアプローチが一番厳しい気がするのだ。



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