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桂月岳・黒岳(2018/09/13)

紅葉の大雪周遊三日目

星空の写真を撮ろうと思って1キロ近い三脚を持ってきたというのに、昨日も今日も、写真どころか一度も星空を見ることも無くテントの中に籠りきりで終わってしまった。
せめて早起きして桂月岳に登り、朝日の写真でも撮ろう。

テントの中が少し明るくなってきたので、そう考えながらテントのファスナーを少しだけ開けて外の様子を窺う。
昨日の夕方に空を覆っていた雲も、ほとんど無くなっていた。
それなのに「東の方の空に雲がかかっていたから、朝日は見られないだろう」と勝手な理屈を付けて、再びシュラフの中に潜りこんでしまう。


桂月岳山頂で朝日を楽しむ若者たち

それでもやっぱり気になってもう一度外の様子を窺うと、東の空が赤く染まっているのが見えた。
ここでようやくシュラフから抜け出す決心がつき、急いで服を着こみ、ヘッドランプを点けて桂月岳を目指す。
息を切らしながら10分で山頂まで駆け上がる。

山頂には既に若者達が集まっていた。
昨日の夕方、石室の前で楽しそうに夕食を食べていたグループである。
時間は午前4時50分。日の出の時間には間に合ったようだ。

東の空には雲がかかっているものの、その雲の切れ間から朝日の姿を見られそうだ。
層雲峡の渓谷は雲海の下に沈んでいた。


桂月岳山頂から日の出を楽しむ


次第に東の空の雲が紅く染まり始め、午前5時5分頃、まばゆい朝の光が私たちのところまで射し込んできた。
黒岳が黒いシルエットとなって朝日の前に浮かび上がる。
朝日に照らされた凌雲岳の山腹には、黒岳の影が映っていた。


凌雲岳に黒岳の影が映る


そんな朝日の風景を楽しんで、テントサイトへ下山。
ゆっくりと朝のコーヒーを味わう。
私が朝食を食べている間に、隣のテント泊デビューの若い女性はテントを片付け御鉢平一周へと出かけて行ったようだ。
私は今日は下山するだけなので、ゆっくりと片付けをして午前7時過ぎにテン場を後にした。


黒岳石室のテン場を後にする




可愛らしいナキウサギ

黒岳へ登っていく途中の岩場で、ナキウサギの鳴き声を耳にした。
声のする方に目をやると、岩の間を動き回るナキウサギの姿を発見。

二日前にこの辺りを歩いた時、数名のカメラマンが所在なさげにしていたが、ナキウサギが出てくるのを待っているのだと直ぐに分かった。
待っていてもなかなか姿を現してくれないナキウサギを、歩いている最中に見られたのはかなりラッキーだったのかもしれない。

大雪の山々は、二日前に見た時よりも心持ち色付きを増したようだ。
テン場を出てから30分で黒岳山頂に到着。
丁度その時間に反対側から登って来る人達もいた。
朝6時始発のロープウェイに乗って登って来ると、この時間に山頂に着くのだろう。


黒岳山頂へ続く最後の登り


紅葉に彩られた大雪山の姿を、名残惜しく思いながらカメラに収める。
遥か遠くに見えている山は、もしかしたら斜里岳や知床連山かもしれない。
そんな遠くまで見えるんだと感動していたけれど、後で調べてみるとそれらの山は雄阿寒岳や雌阿寒岳の姿だった。


烏帽子岳の斜面が一番鮮やかに色づいていた



北海沢から北海岳方向の展望



右側の山塊が知床連山かと思ってしまった



7時50分、名残惜しさを振り払って下山開始。
膝を傷めないように、ゆっくりと慎重に下っていく。
まねき岩付近の紅葉は二日前よりも鮮やかさを増したような気がする。


まねき岩の紅葉


天気も良いので、下からは続々と登山者が登って来る。
大人数のツアーともすれ違うけれど、しっかりとしたガイドが付いているツアーは「下山者が通りますから道を開けてください」とツアー客に指示を出してくれる。


紅葉に彩られた登山道

これがいい加減なガイドだと、私たちが止まって道を譲っていても、まるで気にかける素振りもない。
ツアー客の方が私たちに気づいて「ありがとうございます」と言ってくれるような有様である。
ガイドの質にも随分と差があるものだと思ってしまう。

7合目のリフト終点まで降りてきたけれど、所持金も残り少ないのでリフト代を節約してロープウェイ乗り場までそのまま歩いて下りることにする。
ここの下りのコースタイムは20分だけれど、以前に歩いた時は40分もかかってしまった。
足場も悪く、ところどころで笹に埋もれた登山道を、今回も40分かけて下まで降りることとなる。


このリフトに乗って降りれば楽だったのだが


毎回思うのだけれど、ここをコースタイム通りに歩くのは絶対に無理である。
20分ならば歩いて下りようと思うけれど、コースタイムが40分ならばリフトを使うことも考えるだろう。
このコースタイムが登山者に与える影響はかなり大きいと思うのである。


色付きを増した黒岳山頂付近


実は今回、初日にロープウェイの乗車券を買う時に少し割引になる往復券を買っていた。
しかし、後になってこの往復券の有効期間が二日間だけなのを知ったのである。

今日は三日目。交渉して差額料金を払うだけで下りのロープウェイに乗れるか、それとも新たに乗車券を買わなければならないのか。
所持金が少ないだけに、これは大きな問題だったのだが、乗車券売り場のお兄さんの大岡裁きにより、追加料金を払わずにロープウェイに乗せてもらう事ができた。


黒岳の湯で汗を流す

大雪山食堂ではミニ豚丼ラーメンセットを食べる


おかげで層雲峡の温泉街に降りてから、温泉でゆっくりと汗を流し、ラーメン屋ではミニ豚丼がセットになったラーメンまで食べることができたのである。

2泊3日で歩いた大雪の山々。
例年よりは紅葉の色付きが悪かったみたいだけれど、これ以上は望めないような晴天に恵まれ、最高の山行となったのである。
 

※ コースタイム
テン場(04:40)-(04:50)桂月岳(05:15)-(05:27)テン場(07:03)-(07:33)黒岳(07:50)-(09:00)リフト終点(09:08)-(09:45)ロープウェイ乗り場
 


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