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手稲山北尾根ルート(2016/10/15)

四国遍路前哨戦


2週間後に出かける予定の四国遍路。
そのために買った靴でまだ長距離を歩いたことがない。
登山用の靴でもないので、本格的な山ではなく手軽に長い距離を歩けそうな所と言うことで選んだのが手稲山の自然歩道だった。
手稲山まで登らなくても、自然歩道を周遊するするだけで12キロもあるのでちょうど良い。

金山入口から歩き始める天気も良く、金山入口から気持ち良く歩き始める。

入口から1.1キロほど歩くと乙女の滝への分岐がある。
そこから滝までは300m、10年ぶりに見に行くとにした。
前回は真冬にスノーシューを履いて訪れ、雪の無い時期は初めてである。

なかなか見事な滝だけれど、滝よりも見事な滝壺の方に目を惹かれてしまう。
夏の暑い時ならば飛び込んでみたくなるような滝壺である。
ただ、乙女の滝は心霊スポットとしても有名みたいなので、滝壺の下から何かに足を引っ張られそうでちょっと怖い。


乙女の滝 乙女の滝
乙女の滝に到着 底が見えない滝壺

乙女の滝
滝壺部分が一段高くなっているのも面白い

滝の沢川に架かる丸太橋途中には旧手稲鉱山の坑水処理施設があり、車も通るので、砂利道ながら路面状態は良い。
何時もならば、こんな道を歩いても全然楽しくないのだが、今日は四国遍路のトレーニングのつもりで来ているので、逆にちょうど良いくらいだ。

丸太橋で滝の沢川を渡る。
小さな沢だけれど、とても綺麗な水が流れている。

自然歩道は次第に、普通の登山道の様になってきた。
ローカットの靴なのであまり足元が悪くなっても困ってしまう。
四国遍路の道は、一部に山道もあるけれど、その殆どは舗装道なのである。

それでもやっぱり、山の中を歩くのは楽しい。
木々の紅葉は遅れ気味だけれど、キノコや木の実が秋の山歩きらしさを演出してくれる。


キノコ キノコ
食毒不明 食毒不明

オオカメノキの実 フッキソウの実
オオカメノキ フッキソウ

自然歩道からハイランドへと出てくる男子大回転ゴール跡まで登ってきた。
札幌冬季オリンピックの時は手稲山に男子大回転のコースが特別に作られたが、いまは復旧が進み、ゴール跡の面影は殆ど無い。
ただ、大回転のコースはまだ形が残っていて、バックカントリースキーヤーの穴場になっているようだ。

そこからは平らな道がサッポロテイネスキー場のハイランドエリアまで続いている。
途中にぬかるんだ箇所があり、四国遍路用の靴を汚さないように慎重に歩く。

ハイランドエリア(旧手稲ハイランドスキー場)までやって来ると、手稲山の山頂が直ぐ目の前に見える。
駐車場には車が沢山停まっていた。
その殆どが手稲山に登る人達の車である。
ここまできたら山頂へ登らずに帰る訳にはいかない。


ハイランドスキー場から見る手稲山
ここまで来たら山頂は目の前に見える

女子大回転コースを登る山頂までは女子大回転コースに沿って道が付いている。
ここから手稲山に登るのは初めてだった。

ゲレンデの中には幾つかのルートが延びていたが、私達はその中からほぼ直登しているルートを選ぶ。
四国遍路の前哨戦とは言いながら、ここでの気分は完全に登山者のものに変わっていた。

ただ、汗はあまりかきたくないので、何時もよりはゆっくりペースで登っていく。
スキー場の30度以上の急斜面を直登するのだから、結構きつい登りである。

登るにしたがって札幌の街並みが背後に広がってくる。
残念ながら霞がかかって、暑寒別岳などの遠くの山々までは見通せなかった。

スキー場ゲレンデを登る数日前に初雪が降った手稲山だが、その雪は完全に溶けてしまっている。
ただ、所々に霜柱が立っていた。

途中でコースを駆け下りてきたトレイルランナーとすれ違う。
山でトレイルランナーの姿を見るのは珍しくないが、そのランナーがワラーチを履いていたのには驚かされた。
ワラーチとはランニング用のサンダルみたいなもので、それで走るだけでも凄いなと思ってしまうのに、それで山道も走ってしまうのだから、本当に感心してしまう。

やっとの思いでゲレンデを登りきり、後は各放送局の電波塔の間を縫いながら山頂を目指す。


後ろに広がる石狩湾

背後には石狩湾や手稲区の街並みが広がる


手稲山山頂そうして、歩き始めてからちょうど3時間で手稲山山頂に到着。
ゲレンデの下からは1時間かかった。

登った標高差は約900m。
これはやっぱり、完全な登山である。

天気の良い週末だけあって、山頂は結構な数の登山者で賑わっていた。

ここまで登ってくる間は札幌の市街地側の風景しか見えなかったのに、山頂までやって来ると突然、手稲山の裏側に広がる山々の風景が飛び込んでくる。
その分、感動も大きい。

山頂から見渡せる札幌近郊の山々の姿をしばし楽しむ。


手稲山山頂からの眺め

札幌近郊の山や遠くには羊蹄山の姿も見える


リフト降り場で昼食山頂は人が多くて落ち着かないので、 昼食はリフト降り場の施設を使わせてもらう。
そこは札幌の街並みが一望できるビューポイントなのだ。

6年前に平和の滝ルートから手稲山に登った時も、ここで昼食にした記憶がある。

下山は、途中まで車道を利用する。
ゲレンデの中の直登ルートをゆっくりと降りるのと、大きく蛇行する車道を小走りに駆け下りるのと、どちらが早いかは微妙なところだ。
ただ、足への負担は、車道の方が確実に少なそうだ。


手稲山から眺める札幌の街並み

札幌中心部の展望を楽しむ


オリンピックハウスゲレンデの下まで降りてくると、五輪のマークが付いた大きな建物に目がいく。
札幌冬季オリンピックの遺構である。
廃墟と言うほど荒れてはいないけれど、周辺は雑草に覆われている。

その建物の階段を使わせてもらって一休みしながら、最近のニュースで耳にするオリンピックのレガシーのことを考える。

各競技団体は今がチャンスとばかりに立派な競技会場を作らせようと必死になっているが、オリンピックが終わってしまえば、そんな競技団体にその後10年20年と施設を維持していく力が無いのは目に見えている。
オリンピックが終わった後のことを、今からももっと真剣に考えて欲しいものだ。

そこから先は再び自然歩道を歩いて金山入口まで戻る。
滝の沢の分岐まで、登りとは違うルートで降りられるのが嬉しい。

自然歩道を下山山道を歩きながら、かみさんが時々キノコを見つける。
私も一生懸命キノコを探しながら歩いているのだけれど、枯葉の中に混じって傘を広げるキノコの存在にはなかなか気が付かない。
多分、マツタケ探しに山に入ったとしても私は絶対にマツタケを見つけられないタイプだと思う。

そうして登り始めてから約6時間でスタート地点まで戻って来た。
歩いた距離は18キロで、累積標高は1200m近くになっていた。

四国遍路では1日に30キロ前後の距離を40日から50日もかけて歩かなければならない。
それでも、山上に建つ寺までの遍路転がしとも言われる遍路道を歩く疑似体験は十分にできた気がする。
気持ちの良い山歩きだった。


自然歩道を下山

ここまで来たら登山口まで後少し


金山入口8:20 - 乙女の滝8:35 - 滝の沢分岐9:05 - 男子大回転ゴール跡9:55 - ハイランド駐車場10:20 - 手稲山山頂11:15 - 11:30昼食11:45 - 12:25ハイランド駐車場12:35 - 滝の沢分岐13:40 - 金山入口14:15



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