北海道キャンプ場見聞録 夏山歩きの部屋
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十勝岳連峰縦走1日目(2013/7/13)
十勝岳温泉〜十勝岳〜上ホロカメットク山

まずはテン場目指して


海の日の3連休は今年初の山キャンプへ出かけることにした。
上ホロカメットク山の避難小屋テン場に2泊して、富良野岳や十勝岳に足を延ばす。
しかし、ハイシーズンには避難小屋に泊まれないこともあるらしく、3連休ではテン場も同じような状況になるかも知れない。
ウンコが沢山落ちている駐車場そんな心配があったので、朝4時前に自宅を出発し、6時半頃には登山口である十勝岳温泉の駐車場に到着。
それでも、駐車場はほぼ満車で、かろうじて車を停めることができた。
駐車場の奥には雪も残っているので、駐車台数自体も少なくなっているのである。

その雪の融けかけた場所ギリギリに車を停めたのだけれど、参ったのは、そこら中に人間のウ○コが落ちていることだった。
多分、この付近が冬季登山者の用を足す場所として使われていたのだろう。
積雪期には何メートルもの雪が積もって、そこが駐車場の真上だとは気付いていないのかもしれないが、もう少し気を使ってほしいものである。

6時50分に登山口を出発。
気温は15度くらいだろうか。
しかし、ギラギラと輝く夏の太陽の陽射しに晒されながら歩いていると、直ぐに汗が吹き出てきて、途中で半袖シャツに着替える。
安政火口付近およそ35分程でヌッカクシ富良野川を渡る。
川の上流部には、1875年に爆裂噴火した安政火口の荒涼とした風景が広がる。
安政火口への分岐看板があったので、少し寄り道することにした。しかし、途中で登山道を見失い、引き返す。
後で知ったのだけれど、安政火口への登山道は落石のため2009年から閉鎖されていたらしい。

我が家が上ホロカメットク山に登るのは初めて。
と言うよりも、十勝岳連峰の山に、雪の無い時期に登るのは初めてである。
冬季に一度だけ三段山の山頂に立って、この安政火口を見下ろしたことがある。
そこから上ホロカメットク山へと続く急峻な雪の壁に、登山者が付けたと思われるトレースが有るのを見て驚いた。
その後、多分その時に見たのと同じ場所だと思うが、雪崩による死傷者も出ていて、上ホロカメットク山は私にとって恐ろしいイメージしかない山なのである。

十勝岳温泉凌雲閣安政火口との分岐から先の登山道は、傾斜も急になって岩を乗り越えながら登らなければならない。
一汗かいて尾根の上へと出てくると、眼下に凌雲閣の白い建物が、緑の樹海の中に浮かぶように見えていた。

尾根を回り込むと富良野岳と三峰山の姿が見えてくる。
明日はその上を縦走する予定の山々だ。

途中から雪渓の中の登りとなる。
軽アイゼンを必要とするほどの傾斜ではないけれど、時々足がズルッと滑って登りづらい。
雪渓の上を歩くのはとても涼しそうに思えるが、実際はそうでもない。
特に無風時などは、上からの陽射しに、雪面からの反射光も加わり、普通の登山道よりも暑く感じるくらいだ。

富良野岳と上ホロカメットク山への分岐までやってきた。
看板の示す方向の狭い雪渓に向かって進んでいくと、直ぐにその先は行き止まりとなり、その間違いをあざ笑うかのように人間のウ○コが転がっていた。
富良野岳を背に雪渓を登る多分、それなりの切羽詰まった事情があったのだろうが、せめて携帯トイレくらいは利用してもらいたいものだ。

上ホロへは、ここまで登ってきた雪渓をそのまま真っ直ぐに進むのが正しいルートの様である。
雪渓上の足跡のほとんどが富良野岳方向へと向かう中で、よく見ると二人くらいの足跡が、そこから離れて雪渓の上に続いていたのだ。

そこからもう一つ雪渓を過ぎると、その先に木製の階段が現れた。
これが昭文社の山地図で300階段と表示されているものらしい。
なんまら北海道のアサ妻さんが、この階段の数を数えたとブログにアップしていたので、私も一段一段数えながら登ることにした。
数えている途中に下りの登山者とすれ違ったりすると、挨拶している間に幾つまで数えたか分からなくなってしまい、数もちょっとあやふやだが、私の数えた段数は734段。アサ妻さん説の711段と23段差だった。
まあ、その段数はともかくとして、それだけの階段が延々と続いているのである。

黙々と階段を登る 階段の付けられた登山道は、私はあまり好きではない。
階段には歩きやすい踏面と蹴上の関係があるが、登山道の階段はそれとは関係なく現場の傾斜に合わせて付けられることとなる。
この踏面と蹴上の関係を無視した様な階段、おまけに踏面の土が雨で流されていたりしたら、階段なんか無い方が良いと言いたくなる時がある。
それに比べると、ここの階段はまだ歩きやすい方だった。
ひたすら数を数えることに集中したこともあり、汗をたっぷりとかいただけで、それ程苦労することもなく階段を上りきることができた。

爆裂火口が眼下に広がる。
真正面の赤茶けた崖は、冬に何度か登ったことのある三段山の裏側にあたるはずだ。
私の知る三段山の面影はどこにもなく、とても同じ山とは思えない。
爆裂火口の縁を登るその向かい側の垂直に切り落ちた断崖が、上ホロカメットク山の山体である。
そんな火山の力の凄まじさを感じさせる風景の向うに、端正な姿の十勝岳山頂がのぞいている。
端正とは言っても、そこに植物の姿は無く、荒涼とした風景であることに変わりはない。

後ろを振り返れば、これとは対照的な緑に覆われた富良野岳や三峰山の姿があった。
両方の風景を楽しみながら爆裂火口の縁を登っていく。
その途中に美しい花畑が広がっていた。チングルマにエゾノツガザクラ、イワヒゲなどが岩の間を埋め尽くすように花を咲かせている。
次々と移り変わる風景を眺めていると、疲れも全く感じない。


荒々しい風景 富良野岳を眺める
荒々しい風景の先には端正な十勝岳の姿 後ろを振り返れば富良野岳の姿が

稜線まで登ると穏やかな風景が広がっていた最後の急登を登りきると三峰山から続く稜線の上に出てきた。
その先には、これまでとは打って変わった優美な曲線を描く穏やかな山の風景が広がっていた。
直ぐ近くには上富良野岳の看板が立っている。
周りがなだらかなので、山頂と言ったイメージは無いけれど、爆裂火口の縁に立つとそこからの眺めは圧倒的である。

三段山はもう随分と下に見えていた。
隣には、山体の半分が切り取られたような上ホロカメットク山が間近に迫る。
明日歩く予定の三峰山から富良野岳への稜線も一目で見渡せる。
遠くの方に大きな山塊が霞んでいた。
その隣には海が広がっている様にも見える。
一瞬、積丹半島や知床半島の山々を眺めているイメージが湧いてきた。
しかし、改めて頭の中に北海道の地図を思い描いてみると、その方向に見えているのはどうやら日高山脈のようだ。
そうすると、海と勘違いしたのは十勝平野ということになる。
私の十勝の実家からは十勝岳連峰の姿が見えるのだから、ようやくその眺めに合点がいった。


上ホロカメットク山と十勝岳
目の前に見える上ホロカメットク山とその向こうには十勝岳

富良野岳と三峰山
明日はあの富良野岳まで縦走だ

十勝岳と上ホロ避難小屋のテン場今日の野営予定地は、そこから上ホロカメットク山を越えた先にある上ホロ避難小屋のテン場である。
まずはそのテン場に早く着きたいので、上ホロの山頂はパスして、その裾野を迂回するルートを歩くことにした。
ここも、エゾノツガザクラなどの花畑が広がり、目を楽しませてくれる。
ただ、一旦下った後に尾根をまた登り返す必要があり、迂回ルートとは言いながら、苦労する割合では山頂を経由するルートとさほど変わらない気がする。

そうして尾根を登りきると、十勝岳がその全貌を現した。
尾根を下ったところには大きな雪渓が横切り、そしてその先に上ホロ避難小屋が広大な風景の中に豆粒のように見えていた。


エゾノツガザクラ チングルマ
エゾノツガザクラの花がが絨毯のように咲き誇る チングルマの向こうには上ホロの山頂が

テン場に一番乗りし、昼食を食べ終えてから、午後は十勝岳まで足を延ばすことにする。
再び爆裂火口を見下ろしながら、その縁をしばらく登っていく。
途中でイワブクロが花を咲かせていたが、次第に植物の姿も消えて、活火山らしい風景に変わってくる
十勝岳を目指す途中にある大砲岩からは、以前は三段山まで通じる登山道もあったが、現在は崩落の危険もあり通行禁止になっている。

その先の尾根は、人が一人歩けるくらいの幅しかなく、足がちょっとすくんでしまう。
かみさんは、あえて周りには目をやらない様にして、足元だけを見ながらそこを渡っていた。

十勝岳が近づいてくると、次第に溶岩の塊が目立つようになってきて、最後の山頂へ続く登りでは斜面全体がそんな溶岩の塊に埋め尽くされていた。
テン場を出てからちょうど1時間で十勝岳山頂に到着。
中学生の団体がちょうど登ってきたところで、大きな岩が積み重なったような狭い山頂は大賑わいである。
ほとんどは白金温泉側の望岳台から登ってくる日帰り登山者である。



十勝岳 大賑わいの十勝岳山頂
十勝岳に向かって 山頂は大賑わいだった

十勝岳山頂からの展望山頂からは、残雪を抱く旭岳やトムラウシ山の姿が白く見えている。
そこから繋がるように、やや淡く見えているのがニペソツとか東大雪の山並みらしい。
それらの名前が分かるのもスマホのアプリのおかげで、それが無ければ、私に名前が分かるのはトムラウシ山くらいである。

人が多すぎて落ち着かないので、早々に下山することにした。
テン場を出る頃には雲の目立っていた空も、今は刷毛で履いたような筋雲が僅かにたなびくだけで、空の青さが余計に際立つ。

大砲岩への急斜面を登っている人の姿が見える。
通行禁止なのに無茶な人だな〜と思っていたが、それが全然無茶でもなさそうな人だった。
私達が大砲岩を通り過ぎる頃に、その人もちょうど上まで登ってきたところで、それを見たかみさんが「あ、あの人、走ってるわよ!」と驚きの声を上げた。
半袖にショートパンツ姿。小さなザックを背負って三脚を担ぐ。
そんな姿で、私達が近づくのも怖かった大砲岩の横を走って通り過ぎ、そのまま十勝岳方向へと走り去っていった。
信じられない人がいるものである。

上ホロカメットク山を目指す50分でテン場まで戻ってきて、今度は返す刀でそのまま上ホロカメットク山へ登ることにする。
避難小屋側から上ホロ山頂へは、かなりの急傾斜になっている。
縦走ザックを背負ってここを登るのは大変そうだけれど、軽身なので20分もかからずに登ることができた。

上ホロカメットク山は富良野岳や十勝岳よりも標高が低いが、その両山を手に取るように眺めることができ、十勝岳連峰の中では一番のビューポイントと言っても良いだろう。

明日、そこから見える富良野岳までの縦走路を歩くと思うと、心が弾んでくるようだった。

十勝岳連峰縦走1日目の写真 


十勝岳と上ホロテン場をバックに上ホロカメットク山に登る
上ホロカメットク山に登る後ろにはテン場と十勝岳が見える

上ホロカメットク山山頂から安政火口を見下ろす
足下には安政火口、その先には富良野盆地が広がる


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