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恵山(2013/10/26)

10年ぶりに


恵山に登るのならば、ツツジが咲く季節か紅葉の季節が良いらしい。
道南の紅葉を楽しむことをテーマに旅の計画を考えた時、この恵山登山が最初に思い浮かんできた。
我が家が恵山まで来たのは2003年11月の一度だけ、その時も恵山には登ったのだが、愛犬フウマが暑さでばてていたので、火口原をぐるりと一周しただけで終わっていた。
今回は勿論、その山頂を目指す。

紅葉で赤く染まった海向山札幌がちょうど紅葉の見頃を迎えていたので、道南の恵山では紅葉最盛期には少し早いかなと、札幌を出る時はちょっと心配していた。
しかし、火口原の駐車場まで登っていく途中の道路沿いの木々は良い感じに色づいていて、私達を喜ばせてくれる。
そして駐車場に到着すると、そこから一望できる恵山の火口原の荒涼とした風景よりも、駐車場を挟んでその反対側に位置する、海向山などの紅葉の風景に感激した。
その山頂から麓の木々まで、正に全山が赤く染まっているのである。

私達が登山の準備を整えていると、ちょどその海向山から下山してきた男性が、その素晴らしさを滔々としゃべり始める。
その男性は今日、恵山と海向山の両方に登ったらしくて、それぞれ全く違う風景を楽しめるので是非そうしたら良いと言うのだ。
今日はもう時間が無いので恵山にしか登れないが、その男性の話にはちょっと心が動かされた。
そうして翌日、全く予定外の海向山にも登ることになったのである。

恵山登山開始登山口の標示がなく、何処を登れば良いのか良く分からず、適当に駐車場からの道を登っていく。
間違えると、火口原の中に続く遊歩道へ入ってしまいそうだが、途中に観音コースと書かれた矢印看板が立っていった。
矢印の先には、整備された遊歩道から分岐して、細い踏み分け道が続いていた。
「観音コースって何?」
迷った末に、細い道の方が登山道らしいのでそちらへ進むことにした。

岩がゴロゴロと転がる風景の中にお地蔵さんが沢山並んでいる。
この辺りが賽の河原と呼ばれている場所らしい。
後で知ったのだが、この中に高田屋嘉兵衛が建立した十一面観音像が今でも残っているらしい。
それを知っていれば絶対にお参りしていたのに、それが心残りである。


恵山賽の河原 恵山賽の河原
荒涼とした風景の賽の河原 お地蔵さんに着せられた紫の法衣が彩りを添える

上の方を見上げると、私達が歩いてきた遊歩道がそのまま続いているのが見えた。
どうやらそちらの方が山頂まで続く登山道らしい。
観音コースとは賽の河原の中を歩くルートのことだったようだ。
本来の登山道まで登っていけそうな細い道を見つけて、ようやくそちらへと合流する。

かみさんはこんな風景が嫌いらしいその直ぐ先で、恵山の山頂へと続く権現堂コースの分岐があった。
権現堂コースは植物の姿もほとんど無くなり、今にも崩れ落ちそうな奇岩が到る処から迫ってきて、異次元の風景が広がる。
かみさんは「こんなところって嫌い!」と言いながら登っていたが、私はこんな風景が大好きである。

そんな荒々しい風景から目を転じると、緑に覆われた緩やかな起伏の中に真っ赤に色付いたツツジが模様を描き、その先には全体が赤く染まった海向山の姿が見える。
この風景の対比も面白い。

更に登っていくと、火口原から立ちのぼる噴気で先が霞んでいた。
時々流れてくるその噴気を吸い込むと息が詰まりそうになる。


登山道途中から見える海向山
登るに従って海向山の姿が良く見えてくる

噴気に包まれる岩場を登る
岩山の上は噴気に霞む

恵山からの風景 恵山からの風景
銚子岬が見える 周囲の風景を眺めながら登っていく

恵山山頂山頂が近付いてくると、傾斜も緩やかになり、ガンコウランなどの植物も増えてくる。
駐車場から見上げた雰囲気では、もっと切り立って険しい地形の山頂を想像していたので、ちょっと意外だった。

そうして駐車場から1時間もかからずに山頂に到着。
標高618mの山にしては、なかなか素晴らしい眺めである。
海向山を前景としてその後ろには亀田半島の山並みが続いている。
曇っているのはちょっと残念だが、雲間から漏れる太陽の光が津軽海峡の海をスポットライトのように照らし出す。
その先には下北半島らしき姿が浮かんでいる。
函館方向の海岸線の風景も美しい。


津軽海峡 海向山などが見える
津軽海峡に日が射す 海向山や亀田半島の山並み

山頂の先にある恵山大権現にお参りしてから下山開始。
下山時は、銚子岬や紅葉の海向山を眺めながら降りていくことになり、なかなか楽しい。
45分程で駐車場に到着。
時間に余裕があれば火口原も一回りしたかったが、登山道からもその風景は十分に楽しめたので良しとする。
駐車場から眺める紅葉の風景も美しく、恵山は紅葉の盛りに是非とも登りたい山である。


山頂付近のガンコウランの植生 下山時の眺めは良い
頂上付近は緑に覆われている 緑の中の紅葉が一際映えている

下山時の風景
恵山は下山の時の方が楽しいかもしれない

下山時の風景
こんな風景をずーっと眺めながら下っていくのだ



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