恵山に登るのならば、ツツジが咲く季節か紅葉の季節が良いらしい。
道南の紅葉を楽しむことをテーマに旅の計画を考えた時、この恵山登山が最初に思い浮かんできた。
我が家が恵山まで来たのは2003年11月の一度だけ、その時も恵山には登ったのだが、愛犬フウマが暑さでばてていたので、火口原をぐるりと一周しただけで終わっていた。
今回は勿論、その山頂を目指す。
札幌がちょうど紅葉の見頃を迎えていたので、道南の恵山では紅葉最盛期には少し早いかなと、札幌を出る時はちょっと心配していた。
しかし、火口原の駐車場まで登っていく途中の道路沿いの木々は良い感じに色づいていて、私達を喜ばせてくれる。
そして駐車場に到着すると、そこから一望できる恵山の火口原の荒涼とした風景よりも、駐車場を挟んでその反対側に位置する、海向山などの紅葉の風景に感激した。
その山頂から麓の木々まで、正に全山が赤く染まっているのである。
私達が登山の準備を整えていると、ちょどその海向山から下山してきた男性が、その素晴らしさを滔々としゃべり始める。
その男性は今日、恵山と海向山の両方に登ったらしくて、それぞれ全く違う風景を楽しめるので是非そうしたら良いと言うのだ。
今日はもう時間が無いので恵山にしか登れないが、その男性の話にはちょっと心が動かされた。
そうして翌日、全く予定外の海向山にも登ることになったのである。
登山口の標示がなく、何処を登れば良いのか良く分からず、適当に駐車場からの道を登っていく。
間違えると、火口原の中に続く遊歩道へ入ってしまいそうだが、途中に観音コースと書かれた矢印看板が立っていった。
矢印の先には、整備された遊歩道から分岐して、細い踏み分け道が続いていた。
「観音コースって何?」
迷った末に、細い道の方が登山道らしいのでそちらへ進むことにした。
岩がゴロゴロと転がる風景の中にお地蔵さんが沢山並んでいる。
この辺りが賽の河原と呼ばれている場所らしい。
後で知ったのだが、この中に高田屋嘉兵衛が建立した十一面観音像が今でも残っているらしい。
それを知っていれば絶対にお参りしていたのに、それが心残りである。
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