トップページ > 山登り > 夏山歩き

神居尻山(2011/6/5)

プチ縦走気分で


 道民の森神居尻地区から登山道が整備されている神居尻山。三つのコースがあり、登りと下りでルートを変えてプチ縦走気分を味わえるのが良い。
 前日からのキャンプの片付けを終え、車でAコース登山口近くの駐車場へ向かう。三つのルートの中ではAコースが距離が一番長く、大きく迂回しながら山頂へと向かうルートである
 そこをゆっくりと登って、帰りはBコースを一気に下ろうと言うのが私の考えだった。ところが下りが苦手なかみさんは、急なBコースを下りるのが嫌なのでBコース側から登りたいと言い張るので、ここは素直にかみさんの意見に従っておく。
 車はそこの駐車場に止めたまま、Bコース入り口まで緩い登りの車道を10分少々歩く。Bコース側にも駐車場はあるのだけれど、縦走ルートで歩くためにはどっちみち何処かで車道歩きは必要になるのだ。
キバナノイカリソウ まだ朝の7時半だけれど、既に何人かが同じ道を登っているようである。
 その後を追って登り始めると早速、登山道の脇で咲いている見慣れない花を発見した。
 帰ってから図鑑で調べると「キバナノイカリソウ」と言う名前であることが判明。
 特に珍しい花でもないようだが、この時は珍しがって見つける度に写真を撮っていた。
 今回の山登りは、どちらかと言うと花を見ることに目的を定めていたので、登山道沿いの花を探しながら時間も気にせずにゆっくりと登っていく。
 スミレやニリンソウ、ヒトリシズカなど、他にも直ぐには名前を思い出せない花が沢山咲いている。


花を写すのに忙しい ヒトリシズカ
花を写すのに忙しい かみさんの好きなヒトリシズカ

シラネアオイ シラネアオイも多い。
 山野草の女王と言われるその花には一際目を惹かれる。
 これまで私のシラネアオイに対するイメージは、オオバナノエンレイソウなどの大群落の中でちょっとしたアクセントとして咲いている脇役的なものであった。
 ところがここの登山道の主役の座は完全にシラネアオイが占めている感じである。
 野草ばかりではなくオオカメノキやムラサキヤシオなどの灌木類の花も美しい。
 特にムラサキヤシオのピンクの花は、新緑に染まった森の中で一際明るく輝いてみえる。


登山道沿いに咲くムラサキヤシオ ムラサキヤシオ
登山道沿いに咲くムラサキヤシオ 緑の風景の中でピンク色が目立っている

急な丸太階段が続く 丸太階段の付けられた急な坂道が延々と続いていた。
 確かにここを下りることを考えれば、少々苦しくても登る方が良いかもしれない。
 それに、登りの方が登山道脇の花を目線の高さで楽しめるので、登る苦労も忘れてしまうのだ。
 それでも花の写真を撮る時は良い構図を求めてしゃがんだり立ったりを繰り返す。
 これではまるで、急な階段をスクワットをしながら登っているようなものである。

 標高700m付近でようやく尾根の上に出て急な登りから解放される。
 そこにはベンチもあって、還暦をとうに過ぎたようなおばあちゃんが休んでいた。
 前日に札幌から車できて車中泊し、朝早くから登り始めたとのこと。途中で見た花の名前を一生懸命メモしている。
 元気なおばあちゃんに挨拶をして、細い尾根の上の道を歩き始める。
842mのピークが見える 前方に842mのピークが見えている。
 それがまるで神居尻山の頂上に見えるが、本物の頂上はもっと左側である。
 しかしそちらは雲に隠れてしまって姿が見えない。
 今日は次第に天気が回復してくると思っていたのに、実際はその逆で、朝は晴れていたのに次第に雲が増えつつあるようだ。
 サクラがまだ花を咲かせているのに驚いた。
 背の低いサクラなのでチシマザクラかと思ったが、後で調べてみると標高の高いところに咲くタカネザクラという種類らしい。
 尾根を進んでいくと842mのピークに向かって再び急な登りが始まる。
 サクラと一緒にシラネアオイも咲いている。
 ツバメオモトにハクサンチドリと違う種類の花も目立ってきた。


タカネザクラ ツバメオモト
これが今年最後のサクラかな? ひっそりと花を付けるツバメオモト

断崖が迫る 842mのピークに達する頃にはそこも霧に包まれ、周りの展望も失われてしまった。
 そのピークでCコースが合流して、そこから先、神居尻山山頂への尾根沿いのコースが続いている。
 直ぐ右側が切り立った崖になっていてそのまま深い谷へと落ち込んでいる。地図で確認するとその付近が三番川の源頭あたりらしい。
 標高が上がるに従って白い花が目立ってきた。
 正しい名前が分からずにいたところ、その気持ちを覚ってくれたかのようにエゾノハクサンイチゲと書かれた名札が付いていた。同じ花を見るにしても、名前を知っているのと知らないのとではその愛着も全然違ってくるのである。
 その急な斜面はエゾノハクサンイチゲやシラネアオイが咲くお花畑となっていた。
 この霧が晴れればもっと美しい風景が見られたのにと残念に思う。きっとその先にはピンネシリの姿も見えるはずなのに完全に雲の中である。
 谷底から吹き上げてくる風が冷たく、途中で脱いでいたシャツを再び着込んだ。


エゾノハクサンイチゲ ハクサンチドリ
エゾノハクサンイチゲ ハクサンチドリ

花畑
急な崖の斜面はお花畑だ

山頂からAコースを下る 神居尻山の山頂は完全に雲の中で何も見えなかった。
 そこで暫く雲が晴れるのを待とうかとも思ったが、6、7人のパーティーがゾロゾロと登ってきたので、そのまま先に進むことにした。
 その道が最初に登ってくるつもりでいたAコースである。
 少し下ったところに避難小屋が建っている。冬期間は2階の窓から出入りしてくださいと書かれてるところを見ると、冬でもここに登ってくる人がいるのだろう。
 その冬の名残が登山道脇に残っていた。
 登山道も少し前までは雪に覆われていたのかもしれない。タクリがまだ花を咲かせていた。
 ピンネシリへの分岐へとやって来た。ピンネシリへの縦走路は現在通れなくなっていて、分岐から先の登山道もかなり草に覆われてきていたのでそのうちに廃道になってしまうのだろうか。
ピンネシリ分岐から先のAコース そこから先、登山道はダケカンバの林の中に入り、再び尾根の上に出てその後はアップダウンを繰り返しながら標高を下げていく。
 ダケカンバの枝越しに神居尻山の山頂が見えていた。
 と言うことは、もう少し待てば山頂の霧も晴れたのかもしれないが、それでも大した展望は望めなかっただろう。
 下界にも雲がかなり広がってきていたのだ。
 途中で一休みしていると、山頂で追い付いてきたパーティーがすごい早さで追い抜いていった。
 私たちも直ぐその後に続いて下り始めたが、どんどんと距離を離される。
 全員が還暦を過ぎたようなパーティーだったが、登山に年齢は関係ないようである。
 花はBコースの方が沢山咲いていた気がする。
 ただこれも、登り初めて直ぐに目にする風景と、いい加減疲れてきた下山時に目にする風景の気分的な違いによるのかもしれない。
春紅葉 標高が下がるに従って新緑の色付き具合が変わってくるのがはっきりと分かる。
 標高400〜500m付近では春紅葉がちょうど良い色付き具合になっていて、それより下がると爽やかな新緑の色合いへと変わってくる。
 途中で休憩していたパーティーを再び追い抜いたが、彼らもまたす直ぐに歩き始めた気配である。
 休んでいる時に追い抜かれるのは構わないが、歩いている時に追い付かれるのは気に入らないので、歩くスピードを速めた。
 なんだか競争しているみたいである。
 途中で管理用の車道を横切る。
 それで、そろそろゴールも近いかなと思ったが、そこから先がまた長かった。
 相変わらずアップダウンが多く、ここまで下ってきてからの登りはさすがにきつく感じる。


尾根沿いの道 かなり下ってきた
尾根沿いの道では緑も薄いが 下るに従って緑が濃くなる

 最後で登山道は二つに分かれていて、そこでどちらに進むか迷っている時にとうとう還暦パーティーに追い抜かれてしまった。
 これでもう意地を張る必要もなくなったので、そのパーティーの進んだ方の道を私たちも歩くことにした。それにしても早い。多分毎回あのペースで北海道中の山を登り歩いているのだろう。
 もっと余裕を持って歩いた方が楽しいんじゃないかなと思うのは余計なお節介なのかもしれない。

 野鳥のさえずりでも聞きながら、途中のベンチで昼にしようと思ったが、立ち止まった途端にブヨが頭の周りに集まってくるので、そのまま一気に下山してしまう。
 そうして、道民の森の園地でゆっくりと昼を食べる。初夏を思わせるような日差しがとても心地良かった。

神居尻山登山の写真 


GPSトラックデータ

駐車場 707m尾根 842mピーク 山  頂 ピンネシリ分岐 林道交差 登山口

1:00

0:30 0:25 0:20 1:20 0:50
距離:10.5km 標高差:690m


戻る │ ページトップへ