我が家のファミリー通信 No.50

知床紅葉ウォーク2012


道東のキャンプ旅行の関係で知床の紅葉について検索している時に、偶然知ったのがこのイベントだった。
羅臼からウトロまでの28キロを、知床峠を横断して歩くと言うもの。
「車で走れるところを、どうしてわざわざ歩かなければならないの?」と思ったけれど、知床半島を歩いて横断するのはなかなか魅力的なものに感じて、直ぐに申込をしてしまう。
何時の日か知床の山を縦走してみたいとの思いがあったので、その前に縦走ではなく横断するのも良いだろうとの単純な考えだった。

前日に羅臼入りして羅臼温泉野営場に宿泊。
一番最初に旅行の計画を考えた時、前日に斜里岳を登ってからこのイベントに参加するつもりだった。
それだとさすがにキャンプは辛いので、普通のホテルを調べてみたらどこも満室。
3連休の中日には空き室もあったので、恐らくこのイベントの参加者で満室になっていたのだろう。

朝から快晴開会式が午前8時、受付開始が7時15分からなので、早めにキャンプ場を出て臨時駐車場に車を停める。
この日は朝から素晴らしい青空が広がり、羅臼岳の姿も羅臼の街からはっきりと見えていた。
受付でおにぎり一個と「いろはす」1本をもらう。
集まったのは200人ほど。
募集定員は500人だったので、参加者は予定していたよりも少ないのだろう。
羅臼町長の挨拶によると、昨年までの主催者でもある読売新聞がこのイベントから降りてしまった影響もあるようだ。
一時は開催も危ぶまれたものの、新たに斜里町も主催者に加わって、何とか開催にこぎつけたらしい。

集まってきた人達を見ると、大きく三つのグループに分けれらそうだ。
登山者風の人達、ランナー風の人達、そして普通の人達である。自分はその中で、気持ちだけは「ランナー風な人達」に入っているつもりでいる。
何と言っても一週間前に余市でハーフマラソンを走ったばかりなのだ。距離は少し伸びても、歩くだけなら楽勝だろう。 レースに出るわけでもないのに、最初から気持ちは逸っていた。
被り物を被った観光協会会長の面白おかしい合図で一斉に歩き始める。


開会式会場 いよいよスタート
もうすぐ開会式 観光協会会長の合図でスタート

早足で歩けば大体時速6キロになる。28キロの距離ならば5時間以内で歩ける計算だ。
ただ、知床峠の標高は738m。海岸からのスタートなので、この標高をまるまる登ることになる。
山登りでこの標高を登ることはあっても、今回の様なウォーキングでの峠越えは勿論初めて。果たしてこの先どうなるのか、全くの未知数だった。

町を過ぎると列が長く伸びてきたマラソン大会と違って、街の中では歩道を歩かなければならない。
先を急ごうと思っても、前の人を追い越すのもままならない。
スタート時に一番前に並んでいる人達はいきなり走り出すのかと思っていたが、皆ゆっくりと歩いている。
あくまでもウォーキングの大会なのである。
張り切っていたのでちょっとがっかりしてしまう。

街外れまできて歩道が無くなる頃には、参加者の列も長く伸びて自然に1列になってくる。

黙々と歩くゆっくり歩いているように見えた先頭の方の人達は、何時の間にかはるか先の方に行ってしまって姿も見えない。
こちらもスピードアップして、前を歩く人達を次々に追い越していく。

ダラダラと続く上り坂。
ランニングならばスピードが落ちるところだが、ウォーキングでは平地と変わらぬ速さで歩くことができる。
このイベントに参加した大きな理由は、車で走っている時には見えない様な風景も楽しめるだろうということだった。
しかし、時速6キロで歩こうとすると、散歩するのとは訳が違って、周囲を見渡している余裕は意外とないのである。
美しい沢を見つけて写真を写そうとしても、後ろから追い抜かれるのが悔しいので、そのまま歩き続けてしまう。


黙々と歩く 黙々と歩く
目の前を歩く人を見れば追い抜きたくなる 雲の陰から羅臼岳が!

所々にスタッフの人が立って声をかけてくれる。
関係者の車が何台も行き来して私達を見守ってくれている。
途中の道路工事の現場でも、私達が歩きやすいように、特別に配慮してくれている。
本当に多くの人達の協力でこのイベントが支えられているのだと実感して、自然と頭が下がってしまう。

黙々と歩く標高450m付近まで登ってきて、ようやく羅臼岳の姿が見えてきた。
ただ、朝は快晴だったのに、次第に雲が増えてきて、ちょっと不安になってくる。
イベントの名前にも入っている「紅葉」だが、今年の異常な秋の高温のため、ここの紅葉もさっぱりである。
ダケカンバの葉も黄色く色づく前に半分が枯れてきている様な状態である。
羅臼岳の写真を撮っている間に何人かに追い越される。
途中で追い越してきた人や、初めて姿を見るような人もいる。
いずれにせよ、先頭から20人程度の中には入っていそうだ。
かみさんによると、歩くのが早い人は皆、お尻がキュッと上がっていて足が長く見えるそうである。
自分のお尻のことを考えると、彼らにはどう頑張っても勝てないと諦めるしかなかった。


羅臼岳を眺めながら
羅臼岳を間近に見ながら黙々と歩く

下の方を黙々と歩く人達 紅葉は全然ダメ
下の方に見える道路にも黙々と登る人の姿が 紅葉する前に葉が枯れてきている樹木が多い

頂上付近には雲が広がっていた知床峠がいよいよ近づいてくる頃、とうとう羅臼岳の姿はガスの中に消えてしまった。
昨日はこの道をウトロ側から車で走っていて、その時は曇り空ながら、知床峠からも羅臼岳の姿がハッキリと見えていた。
ところが、「明日はもっと天気が良くなるから、歩きながらゆっくりと写真を撮れば良いや」と考えて、峠も素通りしていたのである。
気温も下がってきて、汗ばんでいた体が急速に冷えてくる。

そうして午前11時20分に知床峠に到着。
スタッフの人達が拍手で迎えてくれる。
そしてそこでは、暖かいカニの鉄砲汁が待っていた。
冷えた体には最高に嬉しいご褒美である。

鉄砲汁を食べながら一休み私達が鉄砲汁を食べている間に、先頭グループの4、5人が出発していった。
開会式の時の説明では、先頭が峠に到着した後、その15分後でなければウトロに向けて歩きだしてはならないとされていたので、もうその時間が経過したのだろう。
見ると、結構な年配の方もその先頭グループに混ざっている。
60を過ぎてもまだまだ元気な人達は沢山いるのだと感心させられる。

私達は横断コースに参加していたけれど、峠コースはここがゴールである。
参加者200名のうち120名は峠コースのエントリーで、鉄砲汁を食べた後はそのままバスに乗って羅臼へと戻ることができる。
私達はそのバスを横目に、ウトロのゴールまで残り約10キロを再び歩き始めた。

下り坂を黙々と歩く峠のウトロ側は雲も少なく、羅臼岳もその山頂まで姿を現した。
ウォーキングの場合、登りでスピードが落ちないのと同じく、下りでもスピードは上がらない。
ただ、汗のかき方が下りの方が少ないだけである。
足の裏が痛くなってきたけれど、それ以外に身体にダメージは無く、順調に下っていく。
歩いている人の数も少なくなり、私達のかなり前方に人影が見えるだけである。
途中に立っているスタッフと、通り過ぎる関係者の車が声をかけてくれるだけでちょっと寂しい。


再び羅臼岳の山頂が
ウトロ側に下ってくるとガスも晴れてきた

途中に立っているスタッフが「ゴールまで残り○キロ」と書いた紙を持っているので、それが励みになる。
頭の中で残り時間を計算しながら歩いていくと、次のスタッフが持っていた「残り7.4キロ」の表示で、その計算が大きく崩れてしまった。
ちょっとだけ紅葉した木も「えっ?まだそんなにあるの?」
「はい、頑張ってください」と、にこやかに答えてくれるスタッフ。
自分のGPSに表示されている通算距離に、その7.4キロをプラスすると、全体で30キロは歩くことになる。
「変だな〜、あの人が立つ場所を間違えていたんじゃないのか?」

そう考えながら歩いていくと、次のスタッフが持っていた標示は残り6キロ。
そこまで歩いた距離を考えると、やっぱりその標示が正しいようだ。
「頑張ってくださ〜い」とにこやかに言われても、計算が狂ってちょっと心は折れ気味である。

スタッフさんと記念撮影ところが次のスタッフが持っていた標示は「残り3キロ」、一気に距離が縮まった。
「あれ〜?やっぱりこれが正しいの?」
「すいません、前の二人が立つ場所を間違えていたみたいです」

そんな面白いハプニングはあったけれど、それで一気に元気が出てきて足取りも軽くなる。
残り1キロの標示を持っていたスタッフさんと記念写真を撮らせてもらって、そのままゴールのウトロ自然センターへ。
出迎えてくれたスタッフと共に、先に着いていた参加者の方からも拍手をもらって、午後1時40分28キロを歩き終えた。
同じ苦労をしてきた者同士の一体感を感じる。

とても美味しかったソフトクリームゴールでもらったソフトクリームの引換券を持って知床自然センターへ一目散。
ハマナスとコケモモのソフトクリームは、私がこれまでに食べたソフトクリームの中でも一番に美味しかった。
羅臼へ戻る最初のバスは午後2時15分出発。
横断コースを歩いた人数の半分近くはこのバスに乗れたようだ。
私達がバスで戻る途中でも、まだ歩いている人が沢山いる。
最後尾の看板を乗せた車の前では、おじいちゃんが道路際でのんびりと立ちしょんをしていた。

「来年の雪壁ウォークにも参加してくださいね〜」
バスに乗る前にスタッフさんがかけてくれた言葉を思い出しながら、ウトウトと眠りに付いた。

2012年10月6日


最後に羅臼岳の姿
羅臼岳も遠くになった

カーブミラーで記念撮影 観光キツネも応援に
何時ものようにカーブミラーで記念撮影 応援?に現れた観光キツネ

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